三日天下の聖女です!

あんど もあ

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 あの薔薇、ファイアローズって言うんだ。王妃様の物だったんだ。と、いうことは?!
「私、王妃様に王妃様の薔薇をプレゼントしてしまいましたか?」
「プレゼント?」
「あ、はい。あの薔薇は王妃様に差し上げました」
 レティシア様の顔色が変わる。
 祭壇に捧げられた花は、王妃様が用意してくれた薔薇に似ている別の赤い花だ。

 ごめんね、私の国では「棘のある花をお供えすると、亡くなった人が苦しむ」って言われてるから、せっかくの薔薇だけど抵抗があって王妃様にプレゼントしちゃった。
 昨夜、侍女に「会いたい」って王妃様に伝えてもらったらすぐに私の部屋に来てくれて、話を聞いてすぐに別の花を手配してくれた。
 ほら、と代わりの花をふよんふよんと振ると、言葉を失うレティシア様。

 王族席から、怒りを隠さず王妃様がゆっくりと階段を上って来て私たちと向き合う。
「レティシア。なんという醜態です!」
 私までひれ伏しそうな威圧感。
「あなたのした事は国家を揺るがす神事の妨害です。この件に手を貸した者たちは厳罰を覚悟しなさい」
 王妃様が周りを見渡して冷たく告げると、あちらこちらで血の気の引いた人がいた。

 一転して営業スマイルを作った王妃様は私の手を取って、一般席へ向かって
「神事は無事に終了しました。聖女アユミと皆に幸あらんことを!」
と言うと、会場は地鳴りのような歓声に包まれた。


 歓声はなかなか鳴り止まず、王妃様の隣で笑顔で手を振っているのも顔が引き攣ってきた頃、大神官様と王族が私の横に勢ぞろいして大歓声を浴びて終わりとなった。

 そして、私たちが注目されている間にレティシア様や何人かの貴族が騎士たちに連れて行かれた。




「つ、疲れた……」
 私は部屋に戻って何とか巻き付けられた衣装を剥がしてもらい、元の制服に着替えてから、初日にお茶を飲んだ部屋に来ている。
 目の前には王子様。
 王様と王妃様は、今回捕まった人たちの対処中だ。

「お疲れ様」
 爽やかな笑顔の王子様に
「王子様。レティシア様に、私と結婚するとか何とか言ったでしょう?」
と、恨み言を言う。
 王子様は無言の笑顔。否定しませんね。
 レティシア様なら、百年前の聖女がここに残った理由なんて調べて無いでしょう。今回の聖女も残るかも、と思ったはず。

「私と仲良くしてるのをわざとレティシア様に見せたでしょう。レティシア様が私に手を出すのを期待して」
 王子様に婚約者がいないのは、私を待ってたのではなく、婚約者の座を狙っているレティシア様のせいだろう。さぞ、えげつなくライバルを蹴落としまくったはず。
 何とか彼女を排除したいが、なまじ家柄が良過ぎて手が出せない所に私がやって来たのだ。

「レティシア様って、外面だけは完璧なんですけどね~」
「君は、レティシアにおとしいれられそうになった事にショックを受けて無いみたいだね」
「まあ、なんとなく予想してましたから」
 公爵令嬢って、悪役令嬢なのがお約束なんで!
「さすがは聖女アユミ」
 そして王子様は、ポンコツか腹黒がお約束なんですよね……。
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