幸せな婚約破棄 ~どうぞ妹と添い遂げて~

あんど もあ

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後編

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 成長してもミランダが私の物を奪いたがるのは変わる事なく、むしろ私のお気に入りの物、代わりの無い物を狙うのが上手くなっていく。
 しかも、周りの同情をひき、譲らない姉の方が悪いという状況を臨機応変に作り出す。
 我が妹ながら、恐るべき才能だ。

 そんなミランダが、私に婚約者が出来たと知ったら狙うであろう事は火を見るより明らかだった。

 同級生に同じネルソン姓の人がいたのは偶然だ。私は、いつも彼にパートナーを頼むようにした。
 ミランダが誤解するように。
 ネルソン様まで誤解したのは予想外だったけど。


「酷いわ……。私にまで教えてくれなかったなんて」
 どこまでも被害者面で行く気ね。
「ミランダも一緒に隣国に行けば紹介出来たのだけど、『あんな田舎に行きたくない』って一度も行かなかったでしょう?」
 本当は隣国語が出来ないからですよねー。

 あれ以来、私と兄は毎年伯母の所に遊びに行くようになり、そのために隣国語の勉強に力を入れるようになった。
 ミランダは我関せずで、隣国に行く気も隣国語を覚える気も無い。
 おかげで私は邪魔者無しでハロルド様と仮婚約出来た。


 しかし、今までは卒業して隣国に嫁いでしまえばミランダから解放されると思っていたのだけど、この子の執着心は私たちが思っているより強いのかもしれない。
 隣国語が全然出来なくても追いかけて来そうだ。周りの人たちに悪意のある誤解を振り撒きながら。
 ……ぞっとする。 


 私は、ミランダの右手を両手で包み込んだ。
「何を……」
「ミランダ、もう大丈夫よ」
 皆に見えるように優しく微笑む。
「私の婚約者に恋をしたと思って、今まで辛かったでしょう。でももう心配ないわ。ネルソン様はいい人よ。お父様も許してくださるわ。もう悲しまなくていいのよ!」
と、ミランダを抱きしめる。
 ネルソン様を見ると、感極まっているようだ。
 ミランダを連れてネルソン様に近づく。

「ネルソン様……。可愛い妹なんです。どうか大切にしてください」
「もちろんです。きっと幸せにします!」
 
 私がミランダの手をネルソン様に渡すと、一斉に拍手が起こった。
 皆の拍手と「おめでとう!」の声にミランダの抗議の声はかき消され、めでたくミランダはネルソン様の腕の中に。
 報われぬ恋が実った、よかったね、と周りは解釈している。

 それではそう言う事にして、ミランダはネルソン様にお任せしましょう。どうかミランダを大切にして、側から離さず、私を追いかける暇など与えないくらい愛してください。

 よろしくお願いしますわね、一生涯。
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