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私とフラワーは、はしたなく地べたに座り込んで肩で息をしています。お借りした女性用の騎士服は、魔獣の体液でドロドロになってしまいました。
私が魔獣にダメージを与え、フラワーがとどめを刺す。
計画通りに動けたのですが、さすがに至近距離で魔獣と対峙する戦いは精神的に過酷でした。
魔獣の解体を終えた黒薔薇隊が戻ってきます。あの方たちの体力はどうなっているのでしょう。
失礼ながら、座ったままお出迎えです。
「お二人のおかげで無事に討伐が終了しました」
黒薔薇隊の隊長が労ってくれます。
「いいえ。騎士団の皆様のお力ですわ。皆様が魔獣を一匹ずつ私たちの前に誘導してくださったから、予定通りに討伐する事ができました。こんなに上手く魔獣をあしらえるとは、さすがは黒薔薇隊ですわね」
「お気付きでしたか!」
騎士の皆様が驚いています。
魔獣が行儀良く一匹ずつこんにちはするわけない事ぐらい、誰でも分かってますわ。
「気付きませんでしたザマス!」
……誰でも気付く訳ではなかったようです。
「これからは魔獣兵法を学ばなくてはいけませんわね」
「はいっ!!」
何で嬉しそうなのかしら。
ラザール様の命を守るため、三年生になるまで厳しくイジメますわよ。
その日は一泊して翌日ゆっくりと王都に戻ったのですが、その間に「次期聖女と次期王妃が魔獣から町を守った!」と広まっていて、王宮近くになると騎士団の凱旋が民に大歓迎されてパレードのようになりました。
フラワーと一緒に、馬車の中から手を振ります。
フラワーが皆に認識されるのは良い事なのですが、私は「次期王妃」じゃ無いのですけどね……。
「ただの平民のあたしがこんな大きな使命を果たせるなんて、夢みたいザマス……。ベロニカ様のおかげですザマス」
「フラワーが技術を磨いたからよ」
そしてあなたは二年後もっと大きな討伐をするのよ。ラザール様と。
こちらにも次々と王都の情報は届いて来て
「聖女候補が魔物討伐をしたと聞いた現聖女が『今すぐにも引退したい』と喜んでいる」
とか、
「ラザール殿下が騎士団団長に『次の討伐には自分を連れて行け』と詰め寄った」
とか……。
ラザール様はフラワーが心配ですのね。順調に愛を育んでいるようで何よりです。婚約破棄は、予定より早いかもしれませんわ。
ツクンと痛い胸は、気付かないふりをしましょう。
王宮に入り、討伐終了報告に皆で国王陛下との謁見の間に足を踏み入れたらいきなり何かに包まれて視界が塞がれました。
何が起こったか分からずジタバタする私は、自分がラザール様に抱きしめられているなんて、夢にも思っていませんでした。
私が魔獣にダメージを与え、フラワーがとどめを刺す。
計画通りに動けたのですが、さすがに至近距離で魔獣と対峙する戦いは精神的に過酷でした。
魔獣の解体を終えた黒薔薇隊が戻ってきます。あの方たちの体力はどうなっているのでしょう。
失礼ながら、座ったままお出迎えです。
「お二人のおかげで無事に討伐が終了しました」
黒薔薇隊の隊長が労ってくれます。
「いいえ。騎士団の皆様のお力ですわ。皆様が魔獣を一匹ずつ私たちの前に誘導してくださったから、予定通りに討伐する事ができました。こんなに上手く魔獣をあしらえるとは、さすがは黒薔薇隊ですわね」
「お気付きでしたか!」
騎士の皆様が驚いています。
魔獣が行儀良く一匹ずつこんにちはするわけない事ぐらい、誰でも分かってますわ。
「気付きませんでしたザマス!」
……誰でも気付く訳ではなかったようです。
「これからは魔獣兵法を学ばなくてはいけませんわね」
「はいっ!!」
何で嬉しそうなのかしら。
ラザール様の命を守るため、三年生になるまで厳しくイジメますわよ。
その日は一泊して翌日ゆっくりと王都に戻ったのですが、その間に「次期聖女と次期王妃が魔獣から町を守った!」と広まっていて、王宮近くになると騎士団の凱旋が民に大歓迎されてパレードのようになりました。
フラワーと一緒に、馬車の中から手を振ります。
フラワーが皆に認識されるのは良い事なのですが、私は「次期王妃」じゃ無いのですけどね……。
「ただの平民のあたしがこんな大きな使命を果たせるなんて、夢みたいザマス……。ベロニカ様のおかげですザマス」
「フラワーが技術を磨いたからよ」
そしてあなたは二年後もっと大きな討伐をするのよ。ラザール様と。
こちらにも次々と王都の情報は届いて来て
「聖女候補が魔物討伐をしたと聞いた現聖女が『今すぐにも引退したい』と喜んでいる」
とか、
「ラザール殿下が騎士団団長に『次の討伐には自分を連れて行け』と詰め寄った」
とか……。
ラザール様はフラワーが心配ですのね。順調に愛を育んでいるようで何よりです。婚約破棄は、予定より早いかもしれませんわ。
ツクンと痛い胸は、気付かないふりをしましょう。
王宮に入り、討伐終了報告に皆で国王陛下との謁見の間に足を踏み入れたらいきなり何かに包まれて視界が塞がれました。
何が起こったか分からずジタバタする私は、自分がラザール様に抱きしめられているなんて、夢にも思っていませんでした。
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