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中編
そろそろ、リイナを始め皆が計算の答えにおかしいと感じたようだ。
「分かりましたか? リンゴは10個買った方が1個の値段が高くなります。3個買った方が安いんです」
えー?、と納得できない声が上がる。
「『こっちの方が得だ』と言われても本当に得なのか。騙されないように自分でちゃんと計算するようにしましょう。大切なお金を損しないように」
私は、こちらを気にしないふりで耳を澄ませている周りの大人たちにも聞こえるように言った。勉強する事は無駄にはなりませんよ、と伝わるように。
王太子が男爵に何か言っている。「計算だけでなく、こんな事まで教えるのか」とでも言ってるんだろうな。男爵も最初、「私のいた世界では、詐欺に引っかからないように詐欺の手口を教えていました」と言ったら驚いていたものね。
授業を終えて、石板を抱えて王太子と男爵の元へ行く。
私の挨拶に王太子がばつが悪そうなのは、私を「聖女じゃない」と追い出したのにそこそこ優秀だと知ったからだろうか。
「ところで、聖女と判断された美悠夏はどうしてますか?」
私の同級生、佐野美悠夏。一緒に駅に向かっていた時に事故に遭って、一緒にこの世界に転移した。
可愛くて明るくて人当たりが良くって、誰からも愛されるキャラだ。
「ミユカは、……頑張っていてくれる。『こういう物があった』とか『こういう物が便利だ』とか……」
ぷぷっ、無理矢理良く言ってますね。美悠夏が何の成果も上げないから、忘れていた私の様子を見に来たのでしょう?
「そうですか、頑張ってますか。でも、成果は期待されない方がいいですよ。美悠夏は向こうの世界では有名な低能でしたから」
「そうなのか!」
「はい」
スマホとAIで宿題をやってましたからねー。それが無い世界で何が出来るのやら。
「聖女で無いなら、お城に住む権利は無いんですよね」
そう言って私を追い出しましたよね。
「なら、彼女もここに送ってください。旧交を温めたいですわ」
まさか、可愛いから愛玩用に城に置くとか言いませんよね?
一週間後、質素な馬車で美悠夏が男爵家に着いた。
玄関で待つ男爵家の皆と私の前に、派手なドレスを引きずって美悠夏が馬車から降りて来る。ちょっと引いてる私に、美悠夏が思いっきり抱きついて来た。
「うわぁぁん苑子ぉ、会いたかったー!」
泣きじゃくる美悠夏に、私も声を上げて泣いた。そうだ。私だってずっと泣きたかったんだ。ひとりぼっちで、怖くて寂しかったんだよ。
「分かりましたか? リンゴは10個買った方が1個の値段が高くなります。3個買った方が安いんです」
えー?、と納得できない声が上がる。
「『こっちの方が得だ』と言われても本当に得なのか。騙されないように自分でちゃんと計算するようにしましょう。大切なお金を損しないように」
私は、こちらを気にしないふりで耳を澄ませている周りの大人たちにも聞こえるように言った。勉強する事は無駄にはなりませんよ、と伝わるように。
王太子が男爵に何か言っている。「計算だけでなく、こんな事まで教えるのか」とでも言ってるんだろうな。男爵も最初、「私のいた世界では、詐欺に引っかからないように詐欺の手口を教えていました」と言ったら驚いていたものね。
授業を終えて、石板を抱えて王太子と男爵の元へ行く。
私の挨拶に王太子がばつが悪そうなのは、私を「聖女じゃない」と追い出したのにそこそこ優秀だと知ったからだろうか。
「ところで、聖女と判断された美悠夏はどうしてますか?」
私の同級生、佐野美悠夏。一緒に駅に向かっていた時に事故に遭って、一緒にこの世界に転移した。
可愛くて明るくて人当たりが良くって、誰からも愛されるキャラだ。
「ミユカは、……頑張っていてくれる。『こういう物があった』とか『こういう物が便利だ』とか……」
ぷぷっ、無理矢理良く言ってますね。美悠夏が何の成果も上げないから、忘れていた私の様子を見に来たのでしょう?
「そうですか、頑張ってますか。でも、成果は期待されない方がいいですよ。美悠夏は向こうの世界では有名な低能でしたから」
「そうなのか!」
「はい」
スマホとAIで宿題をやってましたからねー。それが無い世界で何が出来るのやら。
「聖女で無いなら、お城に住む権利は無いんですよね」
そう言って私を追い出しましたよね。
「なら、彼女もここに送ってください。旧交を温めたいですわ」
まさか、可愛いから愛玩用に城に置くとか言いませんよね?
一週間後、質素な馬車で美悠夏が男爵家に着いた。
玄関で待つ男爵家の皆と私の前に、派手なドレスを引きずって美悠夏が馬車から降りて来る。ちょっと引いてる私に、美悠夏が思いっきり抱きついて来た。
「うわぁぁん苑子ぉ、会いたかったー!」
泣きじゃくる美悠夏に、私も声を上げて泣いた。そうだ。私だってずっと泣きたかったんだ。ひとりぼっちで、怖くて寂しかったんだよ。
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