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翌朝、入学式へと大講堂に向かう新入生と父兄たちは、寮からの道を来る女生徒たちが既に仲良くなっているのを微笑ましく見ていた。
そこに、
「ディアナ! 見つけたぞ!」
と、大きな声が響いた。
思わず声の主を注目すると、護衛二人が付いた豪華な金髪の上級生が立っている。
王族にお目見えがかなわない貴族でも、彼が王都学園の3年に在学しているアーロン第三王子だと推察出来た。
それで、ディアナとは?、と皆がキョロキョロしてると、寮生の中から赤茶の長い髪を適当に三つ編みにした日焼けした少女が進み出た。
「お久しぶりです、アーロン様。お元気でした?」
「それはこちらのセリフだ! 学園に通えるほど元気になったのなら、なぜ一言連絡を寄こさない! 私たちは婚約者だろう?」
「「「「「 ええっ!? 」」」」」
「ええ?」
周りも驚いたが、ディアナも驚いている。
「……えーっと……。五年前にあたしが領地に療養に行く時に、婚約を解消するようお父様にお願いしておいたのですが……」
「受け入れなかったのよ。このワガママ王子は」
いつの間にかやって来た上級生の女性が答える。
「ルチーナ。何しに来た」
その名を聞いて、皆はこの女性が才色兼備で名高いルチーナ・アンデラス公爵令嬢だと知る。手入れの行き届いた赤茶の髪は美しく波打ち、優雅なたたずまいは高位貴族の品位に溢れている。アーロン王子と同じ学年なので気安いのだろう。
「『何しに来た』って、あなたが馬車を降りてから行方不明で、いつまでも教室に来ないから先生方が焦っているのよ。どうせディアナに会いに行ったのだろうと思ったら、やっぱり。入学式で歓迎の言葉を述べるのですから、そろそろ準備してくださいな」
「そんな事より婚約者の方が大事だ」
「婚約者じゃありませんって!」
「婚約を解消したと思っていたから、何度手紙を書いても返事をくれなかったのか?」
「あ……、はい。新しい婚約者の方が不愉快になると思って」
「こちらは、返事も書けないほど病気が重いんだと思ってせっせと書いたのに!」
「それは……すみません」
「ルチーナも、ディアナが元気になったのを知っていたのか!」
「もちろんですわ。大切な妹ですもの」
再び周りに衝撃が走った。
ディアナがルチーナ・アンデラス公爵令嬢の妹、という事はディアナも公爵令嬢……。
「何で寮に入ってるの?」
はしたなくも口に出してしまったロッティ。全員の目が集まり、小さくなる。
そんなロッティを見て、ディアナは口を開いた。
「……あたし、貴族の生活が合わないの」
何でも他の人たちがやってくれて、何でも他の人たちが決めてくれる。そんな満ち足りた生活がディアナの心を蝕み、「こんなに恵まれているのに、何故自分はこの生活を享受出来ないのだろう」と更に自分を責めてすっかり病み、命の火が消えそうな状態で領地へ療養に行った。
「そしたら、すっかり元気になっちゃって。自分で井戸から水を汲んで顔を洗って、服を汚したら自分で洗って、自分が食べるジャガイモの皮を自分で剥いて、って事がすごく嬉しいの。もう、使用人と侍女に囲まれた生活は無理!」
だから、王都学園に入学する時も、屋敷に戻らずに寮に入ることにしたのだと。
「そんなわけで、アーロン様と結婚なんて無理なんです。婚約を解消してください」
「ちなみに現在の妹の二つ名は『赤の女神』ですわ」
赤の女神!! またまた周囲に衝撃が走る。
それは、アンデラス公爵家の領地に駐在する魔獣狩りを得意とするアンデラス騎士団の、最強と噂の女騎士の呼び名だ。この少女が!
そこに、
「ディアナ! 見つけたぞ!」
と、大きな声が響いた。
思わず声の主を注目すると、護衛二人が付いた豪華な金髪の上級生が立っている。
王族にお目見えがかなわない貴族でも、彼が王都学園の3年に在学しているアーロン第三王子だと推察出来た。
それで、ディアナとは?、と皆がキョロキョロしてると、寮生の中から赤茶の長い髪を適当に三つ編みにした日焼けした少女が進み出た。
「お久しぶりです、アーロン様。お元気でした?」
「それはこちらのセリフだ! 学園に通えるほど元気になったのなら、なぜ一言連絡を寄こさない! 私たちは婚約者だろう?」
「「「「「 ええっ!? 」」」」」
「ええ?」
周りも驚いたが、ディアナも驚いている。
「……えーっと……。五年前にあたしが領地に療養に行く時に、婚約を解消するようお父様にお願いしておいたのですが……」
「受け入れなかったのよ。このワガママ王子は」
いつの間にかやって来た上級生の女性が答える。
「ルチーナ。何しに来た」
その名を聞いて、皆はこの女性が才色兼備で名高いルチーナ・アンデラス公爵令嬢だと知る。手入れの行き届いた赤茶の髪は美しく波打ち、優雅なたたずまいは高位貴族の品位に溢れている。アーロン王子と同じ学年なので気安いのだろう。
「『何しに来た』って、あなたが馬車を降りてから行方不明で、いつまでも教室に来ないから先生方が焦っているのよ。どうせディアナに会いに行ったのだろうと思ったら、やっぱり。入学式で歓迎の言葉を述べるのですから、そろそろ準備してくださいな」
「そんな事より婚約者の方が大事だ」
「婚約者じゃありませんって!」
「婚約を解消したと思っていたから、何度手紙を書いても返事をくれなかったのか?」
「あ……、はい。新しい婚約者の方が不愉快になると思って」
「こちらは、返事も書けないほど病気が重いんだと思ってせっせと書いたのに!」
「それは……すみません」
「ルチーナも、ディアナが元気になったのを知っていたのか!」
「もちろんですわ。大切な妹ですもの」
再び周りに衝撃が走った。
ディアナがルチーナ・アンデラス公爵令嬢の妹、という事はディアナも公爵令嬢……。
「何で寮に入ってるの?」
はしたなくも口に出してしまったロッティ。全員の目が集まり、小さくなる。
そんなロッティを見て、ディアナは口を開いた。
「……あたし、貴族の生活が合わないの」
何でも他の人たちがやってくれて、何でも他の人たちが決めてくれる。そんな満ち足りた生活がディアナの心を蝕み、「こんなに恵まれているのに、何故自分はこの生活を享受出来ないのだろう」と更に自分を責めてすっかり病み、命の火が消えそうな状態で領地へ療養に行った。
「そしたら、すっかり元気になっちゃって。自分で井戸から水を汲んで顔を洗って、服を汚したら自分で洗って、自分が食べるジャガイモの皮を自分で剥いて、って事がすごく嬉しいの。もう、使用人と侍女に囲まれた生活は無理!」
だから、王都学園に入学する時も、屋敷に戻らずに寮に入ることにしたのだと。
「そんなわけで、アーロン様と結婚なんて無理なんです。婚約を解消してください」
「ちなみに現在の妹の二つ名は『赤の女神』ですわ」
赤の女神!! またまた周囲に衝撃が走る。
それは、アンデラス公爵家の領地に駐在する魔獣狩りを得意とするアンデラス騎士団の、最強と噂の女騎士の呼び名だ。この少女が!
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