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ショタ王子様は奮闘中
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「殿下の馬車が門を過ぎました」
との声に、出迎えのために兄弟揃って公爵家の玄関に向かう。
最初は王子様の御訪問と言う事で使用人も揃って出迎えたのだが、「ちょんなに大袈裟にちないで」と言われて、今は兄弟だけになった。
護衛に囲まれた馬車が屋敷に近づいて来て、僕たちの前で止まった。
侍従の手を借りて馬車から降りて来るのは、我が国の第三王子エラリアス殿下、愛称エラン、御歳四歳。僕、ランドール公爵家次男リーファ七歳の婚約者だ。
ステップから飛び降りると、「リーファ!」と、僕に飛んでくる。ハグというより体当たりだ。
婚約者に会えて嬉しいのではなく、お城の外に行けて嬉しい!というのが分かりやすく見えてる。
そして、僕の兄のオリバー、双子の弟妹アレンとカレンにもハグする。すっかり皆と兄弟のようだ。
アレンとカレンはエランと同じ四歳なのだが、エランの方が二ヶ月ほど早く生まれたため、お兄さんぶれるのが嬉しいらしい。
「二ヶ月なんて誤差の内だろう?」
と言ったら
「四歳児の二ヶ月差は大きいんでちゅ!」
ふんす!と断言された。
エランは早速上着を脱いで皆と遊ぼうとして、侍従に「公爵夫人にご挨拶してからです!」と注意されてる。よほど楽しみだったんだね。僕が母様のいる部屋へエスコート。
無事、母様への挨拶を終え、上着を脱ごうとして
「わちゅれてまちた。これ、おばたまとカレンにプレゼントでちゅ」
と、ポケットから何かが詰まった直径三センチほどの小さな可愛い巾着袋を二つ出した。匂い袋かな。
エランと母とカレンがワイワイきゃっきゃと話してると、
「もう行こうよー!」
と、痺れをきらしたアレンがエランを引っ張っていった。
僕の婚約者なんだけど…。
この国の王族・貴族の第二子以降は、これ以上貴族を増やさぬために同性婚が推奨されている。強制では無いが、言い出しっぺの王族や公爵家がそれを実践しない訳にはいかない。
そんなわけで、僕の結婚相手は同性になると分かっていたが、エランはまだ四歳なのでそれを知らなかったらしい。
いきなりの同性との縁談に戸惑いながらも僕の事を気に入ってくれたけど、それは「優しいお兄さん」としてだ。むしろ、婚約者が出来た事で、定期的に城の外に出られて、婚約者やその兄弟と遊べる事の方を喜んでいる様子だ。
まあ、僕も楽しみなんだけとね。
もう風が冷たい季節なのに、屋敷の裏庭には鬼ごっこをする子供たちの声が響き渡る。
「エランがそっちに行ったぞ!」
いつもは大人な兄様が、エランの安全のためと言いつつ遊びに加わってる。
「エランがバラの下をとおってカレンにむかってましゅ!」
アレンは、自分を構いたがるエランが大好きだ。
「ずるいでしゅー! そんなとこから!」
普段は淑女を目指してるカレンも、きゃあきゃあ言いながら走り回ってる。
エランに追い詰められたカレンは、塀の通用口を開けて外に逃げた。
「お外はダメだよ!」
あわてて追いかけると、通りかかった男性がカレンを抱き上げ、自分の片肩に乗せて走り出した所だった。
流れるような動作にポカンとしてると、兄様が
「誘拐だ!!」
と、叫んだ。
護衛騎士が一斉に追いかける。すぐに追いついて、三人の騎士が誘拐犯を取り囲むように並走し、二人が少し間を空けて後ろを走る。
完全に誘拐犯は詰んだが、カレンがいるので手が出せない。
僕たちも追ったが、子供の足では全然追いつかないし、あっという間に体力が尽きた。道端でゼイゼイ言っていると、隣のエランが枯れた声で「……トー!」と、叫んでいるのに気付いた。
「何て言いたいの? ポケット? カレンのポケットだね?」
こくこくと頷くエラン。
「カレン! ポケットー!」
「ポケットだー!」
「カレンー!」
遠ざかるカレンに、僕も兄様もアレンも思いっきり叫んだ。
カレンに聞こえたようで、ポケットに手を入れてまさぐっている。当然、誘拐犯にも聞こえてるので、様子を伺っているのが分かるが、出て来たのは小さな可愛い匂い袋。
誘拐犯が安心した所に、袋の口を開けたカレンが犯人の顔にぺちっと袋をぶつけた。
声にならない声を上げて、誘拐犯が崩れ落ちる。カレンは、地面に落ちる前に護衛騎士が受け止めた。
何が起こったかわからないまま、僕たちは侍従たちに促されて屋敷に戻った。
「あの中身は、とんがらちでちゅ」
「とんがらち? 唐辛子か! あれは防犯グッズだったのか?」
「違いまちゅ。とんがらちは体を温めまちゅ。女の人は体を冷やしてはダメなんでちゅ」
屋敷に戻って兄様が質問攻めしてるが、もうエランの心はおやつに出された栗のタルトに奪われている。フォークを持ったエランからまともな回答は返らないと思うよ。
「あの唐辛子は」
「あまくておいちいでちゅね~」
ほらね。
でも、僕でも「まだ早い」と食べさせてもらえない唐辛子の事を、何故エランが知っていたのだろう…。
聞きたいけど、栗のタルトを満喫しておねむなのでまた今度ね。
との声に、出迎えのために兄弟揃って公爵家の玄関に向かう。
最初は王子様の御訪問と言う事で使用人も揃って出迎えたのだが、「ちょんなに大袈裟にちないで」と言われて、今は兄弟だけになった。
護衛に囲まれた馬車が屋敷に近づいて来て、僕たちの前で止まった。
侍従の手を借りて馬車から降りて来るのは、我が国の第三王子エラリアス殿下、愛称エラン、御歳四歳。僕、ランドール公爵家次男リーファ七歳の婚約者だ。
ステップから飛び降りると、「リーファ!」と、僕に飛んでくる。ハグというより体当たりだ。
婚約者に会えて嬉しいのではなく、お城の外に行けて嬉しい!というのが分かりやすく見えてる。
そして、僕の兄のオリバー、双子の弟妹アレンとカレンにもハグする。すっかり皆と兄弟のようだ。
アレンとカレンはエランと同じ四歳なのだが、エランの方が二ヶ月ほど早く生まれたため、お兄さんぶれるのが嬉しいらしい。
「二ヶ月なんて誤差の内だろう?」
と言ったら
「四歳児の二ヶ月差は大きいんでちゅ!」
ふんす!と断言された。
エランは早速上着を脱いで皆と遊ぼうとして、侍従に「公爵夫人にご挨拶してからです!」と注意されてる。よほど楽しみだったんだね。僕が母様のいる部屋へエスコート。
無事、母様への挨拶を終え、上着を脱ごうとして
「わちゅれてまちた。これ、おばたまとカレンにプレゼントでちゅ」
と、ポケットから何かが詰まった直径三センチほどの小さな可愛い巾着袋を二つ出した。匂い袋かな。
エランと母とカレンがワイワイきゃっきゃと話してると、
「もう行こうよー!」
と、痺れをきらしたアレンがエランを引っ張っていった。
僕の婚約者なんだけど…。
この国の王族・貴族の第二子以降は、これ以上貴族を増やさぬために同性婚が推奨されている。強制では無いが、言い出しっぺの王族や公爵家がそれを実践しない訳にはいかない。
そんなわけで、僕の結婚相手は同性になると分かっていたが、エランはまだ四歳なのでそれを知らなかったらしい。
いきなりの同性との縁談に戸惑いながらも僕の事を気に入ってくれたけど、それは「優しいお兄さん」としてだ。むしろ、婚約者が出来た事で、定期的に城の外に出られて、婚約者やその兄弟と遊べる事の方を喜んでいる様子だ。
まあ、僕も楽しみなんだけとね。
もう風が冷たい季節なのに、屋敷の裏庭には鬼ごっこをする子供たちの声が響き渡る。
「エランがそっちに行ったぞ!」
いつもは大人な兄様が、エランの安全のためと言いつつ遊びに加わってる。
「エランがバラの下をとおってカレンにむかってましゅ!」
アレンは、自分を構いたがるエランが大好きだ。
「ずるいでしゅー! そんなとこから!」
普段は淑女を目指してるカレンも、きゃあきゃあ言いながら走り回ってる。
エランに追い詰められたカレンは、塀の通用口を開けて外に逃げた。
「お外はダメだよ!」
あわてて追いかけると、通りかかった男性がカレンを抱き上げ、自分の片肩に乗せて走り出した所だった。
流れるような動作にポカンとしてると、兄様が
「誘拐だ!!」
と、叫んだ。
護衛騎士が一斉に追いかける。すぐに追いついて、三人の騎士が誘拐犯を取り囲むように並走し、二人が少し間を空けて後ろを走る。
完全に誘拐犯は詰んだが、カレンがいるので手が出せない。
僕たちも追ったが、子供の足では全然追いつかないし、あっという間に体力が尽きた。道端でゼイゼイ言っていると、隣のエランが枯れた声で「……トー!」と、叫んでいるのに気付いた。
「何て言いたいの? ポケット? カレンのポケットだね?」
こくこくと頷くエラン。
「カレン! ポケットー!」
「ポケットだー!」
「カレンー!」
遠ざかるカレンに、僕も兄様もアレンも思いっきり叫んだ。
カレンに聞こえたようで、ポケットに手を入れてまさぐっている。当然、誘拐犯にも聞こえてるので、様子を伺っているのが分かるが、出て来たのは小さな可愛い匂い袋。
誘拐犯が安心した所に、袋の口を開けたカレンが犯人の顔にぺちっと袋をぶつけた。
声にならない声を上げて、誘拐犯が崩れ落ちる。カレンは、地面に落ちる前に護衛騎士が受け止めた。
何が起こったかわからないまま、僕たちは侍従たちに促されて屋敷に戻った。
「あの中身は、とんがらちでちゅ」
「とんがらち? 唐辛子か! あれは防犯グッズだったのか?」
「違いまちゅ。とんがらちは体を温めまちゅ。女の人は体を冷やしてはダメなんでちゅ」
屋敷に戻って兄様が質問攻めしてるが、もうエランの心はおやつに出された栗のタルトに奪われている。フォークを持ったエランからまともな回答は返らないと思うよ。
「あの唐辛子は」
「あまくておいちいでちゅね~」
ほらね。
でも、僕でも「まだ早い」と食べさせてもらえない唐辛子の事を、何故エランが知っていたのだろう…。
聞きたいけど、栗のタルトを満喫しておねむなのでまた今度ね。
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