縁の切れ目が金の切れ目です!

あんど もあ

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前編

「アナベル・グーランド子爵令嬢! お前とは婚約破棄だ!」
 
 王立学園の卒業パーティーに、グレアム・ブルーム伯爵令息の声が響きました。
 私、アナベルはできるだけ軽食を食べておかねばと忙しかったのですが、グレアム様とそのご友人たちに囲まれては、ゆっくり食べている場合では無さそうです。ちぇっ、軽食の費用も私たちの支払った安くは無い学費から出ているのですもの、できるだけ食べたかったのに。
 諦めてテーブルから離れて、グレアム様に向き合います。

「グレアム様、何事でございますか?」
「みすぼらしいお前とはやっていけない。ここで婚約を破棄する!」
 みすぼらしい……? 確かに着ているドレスは三年前に姉がここの卒業パーティーで着た物ですが、それを見た人はもう学校に居ないし、今年の流行のビーズの刺繍を裾にしといたので、そんなにみすぼらしくは無いと思うのですけど……。
 パタパタとドレスを叩く私を、グレアム様の腕に絡みついているリンダ様がクスクスと笑います。
「お前には華やかさが無い! 私の隣には、このリンダのような女性がふさわしいのだ」
 はぁ、確かに私のドレスとは違って、リンダ様のドレスはこれでもかと言う量のドレープの布とレースとフリルで飾られています。あれは私には着こなせませんね。それ以前にあんなのを買いませんけど。

 我がグーランド領は、台風の通り道になりやすい場所にあります。毎年のようにどこかに台風の被害があり、10~20年に一度くらいで大きな台風の被害があります。
 その時は川が氾濫し、建物が壊れ、山が崩れ、畑が水の底になります。
 そのため、グーランド家の家訓は質素倹約しっそけんやく節倹力行せっけんりっこう。いつか来る被害に備えて無駄な事にお金を使わず、復興のために貯蓄し、食料難にならぬよう備蓄しています。
 貴族らしからぬ家だと笑う人もいます。グレアム様も私の質素さを不満に思っているのは気付いていました。

「分かりました。婚約破棄を了承いたします。……でも、その前に」
 私はポケットから封のしていない封筒を取り出し、中の四つ折りにされた紙を広げました。

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