縁の切れ目が金の切れ目です!

あんど もあ

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後編

 顔色を無くした二人に
「なぜ私が婚約者に選ばれたのか、分かっていただけたと思います。では、私はこれで失礼いたしますね」
と、笑って告げる。そして、親切に忠告してあげた。
「リンダ様。グレアム様はこれから金利の高い金貸しから70万ルーペを借ります。グレアム様と婚約するという事は、その借金を背負うという事ですよ」

 はっとして考え込んだリンダ様。後ろのご友人たちも思うところがあるようだ。彼の金離れの良さは、学園にいる間によく見ていたのだから。
 70万ルーペは、決して返済できない金額ではない。だが、グレアム様はきっと借金が無くなる前にまた借金をするだろう。そして、それが膨れ上がり……。
 
 皆が想像に没頭している間に、私はパーティー会場を出た。





「任務完了ーーーーーー!」
 外に出て、私は握りしめた両手を空に突きあげた。

 これで、婚約破棄の慰謝料と、必要経費の70万ルーペと、成功報酬をブルーム伯爵からもらえるー!

 グレアム様との婚約時にブルーム伯爵から頼まれたのは、グレアム様に他から借金をさせない事ともう一つ、出来るだけ派手に婚約破棄する事。

 ブルーム伯爵は、王立学園での三年間にグレアム様の浪費癖が治らなかったら彼の廃嫡と伯爵家からの除籍を考えていた。
 だが、グレアム様は信望を集めていて友人知人が多い。グレアム様を除籍しても、親切な誰かがグレアム様を世話し、結果グレアム様に迷惑をかけさせられるのが目に見えていた。その事でその家とブルーム家が険悪になっては困るのだ。
 
 「グレアム様に問題がある事を周知させて婚約破棄」
 かなり難しい依頼だったが、報酬金額はとても魅力的だった。

 婚約破棄された私はキズモノと言われるだろうが、元々私が好きな人は平民のレンガ職人だ。台風が過ぎると町でちょくちょく見かける彼の魔法のような仕事っぷりは、幼い頃から私の憧れだった。
 
 もちろん彼は八歳も年下の貴族の娘の私の思いなど本気にせず、私が王都に行けば気が変わるだろうと考えていたのだが、帰るたびにグレアム様について愚痴る私の話を聞いて「貴族と結婚するのがいいとは限らないんだ」と、私との結婚を考えるようになってくれた。
 今回の婚約で貴族令嬢としての義務も果たしたので、家族も彼との結婚を認めている。
 そして、トータルでは橋を架けられるほどの金額がブルーム伯爵から入って来る。これで災害対策もかなり安心だ。


 
 ブルーム伯爵には、きっと卒業パーティーで婚約破棄されるだろうとあらかじめ知らせを出しておいた。
 私は、食べ損ねた軽食への未練を振り切って、報告を待っているであろうブルーム伯爵のもとへ歩き出した。

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