~ゲームに転移したのはヒロインと悪役令嬢でした。~どうする!?

あんず

文字の大きさ
6 / 10

しおりを挟む
「ベンジャミンさまぁー」

 私は、ちょっとアホッぽく、ピンクのフリフワドレスで、ベンジャミン王子のもとへ出ることにした。

「ラズィ嬢 どうしたのだ? まだ君には声をかけていないのだが・・・・・・」

王子はちょっと困ったように私を見る。公の場面では、上位の方が言葉をかけなければ、発言してはいけないのだ。



「さっきのイザベラさんのお話は少しちがいますぅ。イザベラさんは階段を踏み外そうとしたあたくしを助けてくれたんですぅ。医務室にいたイザベラさんとベンジャミンさまもお会いしたでしょ?」

「いや・・・そうだが・・・・・・」

 王子はちょっと困り顔になった。   よしっ!



「それに、いちごだって、いっぱいあって困っていたら、イザベラさんが泥だらけになるのも構わずに手伝ってくれたんですよぉ~ その上、長く食べられるようにってコンポートまで作ってくれて!! こんないい人いませんよぉ~」

「いや・・・いや、ラズィ嬢、君はイザベラ嬢に脅されているのではないか?」

 ちょっと立場の悪くなったベンジャミン王子! 巻き返したよね!?



「そんなことありません! いちご姫は、いつも愛と真心でハートをいっぱいにしなくちゃなりませんから! いちごに嘘は通用しません! 赤い実がなったのが何よりの証拠ですっ♡」

 決まったぁー

 イザベラさんのほうを見て、サムアップする。



 ベンジャミン王子、それに王様とお妃様は、口をぽかんと半開きにして、私を見てる。

 みんなどこか別の世界に旅立ってしまったようです。



「ベンジャミン様、正直に申し上げます。わたくしイザベラは、ラズィ様に知識の大切さを知っていただくために教科書を破いたり、きれいにしてさしあげようと頭からお水をかけたこともございました。それもすべて、ラズィ様がわたくしの真心のお友だちだからでございます。

 わたくし、ラズィさんのいちごをいただきましたら、目覚めたのです。愛と真心に!」



 イザベラさん、唐草模様のドレスをフワフワさせて私の隣に来たけど、何言ってるかよくわかりません。





「ベンジャミンよ。なかなか個性的なご令嬢と親しくしておるのだなー」

 半開きの口をピシッと閉めて、王様はなんとかこの世に戻ってきたらしい。



「ベンジャミン、希望どおり、イザベラ・シストル侯爵令嬢との婚約を破棄することを許そう」

「父上、いえ、国王よ。私の申し出を受諾いただき感謝申し上げます。

 それでは、改めてここに、ラズィ・ベリー男爵令嬢をご紹介させていただくことをお許し願います」



 王様はベンジャミン王子の言葉に首を振り、片手をあげて次の言葉を制した。

 両手じゃなくてよかったよー お手上げってね!!



「聞けば、イザベラ嬢とラズィ嬢は真心の友人というではないか。ベンジャミンから聞いていたことと事実は異なるようだ。

 よって、ここに、イザベラ・シストルならびにラズィ・ベリーの両名は、真の友情を深めることをここに誓い、2人の友情を育んだ『いちご』をこれからもベリー育てることを命令する。2人ともベリー男爵領で思う存分いちごを育てるがよい。王命である」



 とりあえず、深くお辞儀をする。

 ん? 私は実家に帰れってことで、イザベラさんは・・・・・・ベリー領に追放ってこと?

 ベリー領って受刑者を強制労働させるようなところなのぉー??



「ベンジャミンよ。私は王として、この国を治めるのにふさわしい者とこれまでは評価していた。しかしながら、今回のそなたの起こした出来事で、私は王として、まだ未熟であったと思うぞ。

 今回の一件において、そなたは私以上に未熟であることが判明した。よって、ベンジャミン・ロマネスコ第1王子の王位継承権をはく奪し、王城より追放する。市井に紛れて研鑽を積むがよい! 王命である」



 えぇぇぇーっ!?

 ベンジャミン王子が、「ざまぁ」になった??



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...