~ゲームに転移したのはヒロインと悪役令嬢でした。~どうする!?

あんず

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 あれから卒業パーティは、滞りなく進んでいた。
(明日は、今日の出来事で噂が流れまくりになっているだろうけどね!)
 ベンジャミン王子は肩を落とし、あの場所から姿を消した。

 私とイザベラさんは、パーティ会場の片隅で反省会を開く。
「これでよかったの? イザベラさん、私は実家に帰るだけなんだけど・・・・・・」
「よかったんじゃない? だって、ラズィさんとずっと一緒っていうのは、心強いのよ!
 転移者同士で、現代の知恵で領地開拓っていう夢もあるじゃない?」

 イザベラさん、ウキウキしてる。
 現代の知恵って言っても、何にもできない私には無理だわぁー

「それにしても、ベンジャミン王子には、ちょっとかわいそうなことしちゃったね」
「だよねー まさか王子が『ざまぁ』な結果に・・・何にも悪いことしてないのにねー」
 私とイザベラさんにとっては、少しだけ後味が悪い。

「でも、これからもラズィさんと一緒だったら楽しめるわ!
 明日、追放される準備してくるから、ベリー領ではよろしくね!」
 そう言って、イザベラさんは軽やかにパーティ会場を後にした。
 私も帰る準備をしよーって思って、やっと気づいた。

 ラズィの実家、ベリー領ってどこにあるの? どうやって行くの~~!?


 翌朝、ドアをドンドンする音で目が覚める。
「ラズィさん、ベリー領に行きましょう!!」
 ドアを開けるとニコニコしているイザベラさんがいた。

「早く顔を洗って! 馬車を準備したから一直線よ!」
 ラズィさん、きっとベリー領の行き方知らないと思ったから、シルスト侯爵さんに最後のわがままって言って、馬車を準備してもらったんだよ」
 イザベラさん、得意顔 似合っています。

 短い間だったけど、学園生活、それなりに楽しかったよ!
 転移してきた場所にさよならを告げて、イザベラさんの馬車へ向かうことにした。

 学園の寮の前には、すごーく豪華な馬車が2台止まっていた。
 さすが侯爵家!
「ベリー領までは1週間くらいかかるらしいよ。のんびりと、観光もできるし、ちょっと楽しみになってきちゃった。王様ありがとーっていう気分だわ!」
 イザベラさんって、結構ポジティブなのねー

 最初の街までは、夕方くらいに着くらしい。イザベラさんは途中で食べるお弁当のチェックに余念がない。
「おーい! 待ってくれー」
 馬車に乗り、出発しようとした時、後ろから声が聞こえた。

 ベンジャミン王子!!!

「僕もベリー領に連れてってくれないかい? 」
「「えぇぇぇぇえーっ!!!!」」
秘密の会話ができなくなっちゃうじゃないよぉー

「ベリー領は何もないところと聞いております。ベンジャミン王子」
 イザベラさんが、悲しげに言う。
「僕のことは、ただベンジャミンとだけ呼んでくれ。
 父上から言われ、僕は気づいたんだ。もっと王国の隅々まで知らなければならないと!
 王国の最南端にあるベリー領で、僕は学ぶべきだと!!」

 そう言うと、ベンジャミン王子は爽やかな笑顔で、颯爽と馬車に乗り込んできた。
「君たち2人の旅の安全は、僕が命をかけて守るからね」 
 キラリン!                効果音が鳴る最高の笑顔だった。

 有無を言わせない強引さ。
 さすが、王子様だわぁーと、納得した。


 それから約1週間、私とイザベラさん、そしてベンジャミンさんの3人はベリー領へと向かったのだ。
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