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「マルルカ、 奴を一瞬でいいから止めてくれ! できるか?」
(魔力がない。チェーン(鎖)なら発動できるけど、後ろからじゃ届く前に弾かれるはず・・・・・・近くで発動するしかない。)
「わかった・・・・・・ あたしが前に飛び出したら、それが合図!」
「よし! デレク、これで決めるぞぉー 」
「おぉよぉ~ ハリー! まだいけるぜぇぇ!」
魔王城王の間で、剣神と呼ばれるハリー、剣王デレク、そして賢者マルルカの3人が最後の戦いを繰り広げていた。
5メートルはある大きさのどす黒い色をした黒い角2本と暗く濁った光をもつ赤い瞳の魔王と対峙していると、足がすくみそうになる。
あたしがハリーとデレクと一緒に魔王を討つため、師匠メザク様の元を離れたのは1年前。2人がメザク様に魔王討伐の同行を依頼してきたのが始まりだった。
そのときから2人とも「当代至高の強さ」、「ハリーとデレクに勝るものは互いのみ」と言われていたが、さらなる高みを目指すために2人で魔王を討つことにしたのだという。
通常は、魔法と武の精鋭揃いの部隊を編成して魔王討伐に向かう。討伐を指示した国からは討伐のための準備費用や魔王を倒せば莫大な報奨金が出る。ただ2人は、討伐隊を編成すれば、準備金のほとんどが隊の維持にかかり、一番討伐成果を出せるはずの自分たち2人の取り分が極端に少なくなるのが割に合わないと考えた。
2人は当代一の賢者と言われるメザク様が後方支援をしてくれたら、3人で討伐できると言ってきたのだった。メザク様は、「めんどくさい」と言って討伐同行を断ったけど、それでも引かない2人に根負けして、あたしを連れていけと言った。
6歳児くらいの子どもにしか見えず、その上髪の毛も満足に生えていない、体中にぶつぶつとあばたができているあたしを見たとき、2人は口も聞けない様子だった。
「見た目はこうだが、これでも13歳。後2年もしたら成人するぞ。こいつが足手まといだと思ったら、そこらへんに捨てるかしてくれたらいいさ。別にわしに金はいらん」
それから約1年。ハリーとデレクと一緒に魔物を倒しながら、やっとここまできた。
荘厳な雰囲気の広い王の謁見の間には、あたしたち3人と魔王しかいない。この部屋の扉を開けてから戦いの始まりをハリーが叫んでからも魔王は一言も発することなく、ニタニタしてただ3人の前に立ちはだかっていた。
魔王というだけに、攻撃魔法の威力が半端ない。魔王から繰り出される攻撃魔法を相殺するように、マルルカも魔法をずっと発動し続けていた。もちろん、ハリーとデレクの支援も欠かせないし、隙を見ては攻撃魔法を繰り出す。魔力タンクと言われるマルルカでさえ、さすがに魔力が目に見えて減っているのがわかる。
魔王と向き合い、激しい戦いをいつからしていたのか、どれくらいの時間が過ぎたのか、3人とも既に意識することすらできなかった。
目の前にいる禍々しい魔気を放ちまとっている魔王を、ただ自分たちが倒せることだけを信じて・・・・・・
延々と死闘を繰り返してきた。
ハリーもデレクも限界を超えている。並外れた魔力量を持つ賢者マルルカも、すでに魔力が尽きかけていた。
魔王も魔力が減っているのか魔力を温存しているようだ。攻撃魔法を使わずに、物理攻撃になってきた。これが本当に最後のチャンスかもしれない。
(あたしが魔法を使えるのはこれが最後・・・・・・)
「今だ! いけぇぇぇぇぇー!!!!!!」
ハリーの叫びとともに、後衛のマルルカが魔王に向かって走り出した。
最後の魔法を行使する。
「ライト・チェーン 【拘束】!」
マルルカの杖から線上の光の鎖が魔王に伸びていき、その体をとらえて縛り上げる。
(やった・・・・・・)
同時に、ハリーとデレクが魔王に向かって左右から切り込むために飛び込んでいく。
「とどめだぁー ルクスクロス!!!」
ハリーとデレクの2人の聖剣の軌跡が光の十字架を作り、一瞬動きをライト・チェーンで拘束され解除される直前、魔王に見事に切り込み、その首を切り落とした。
「ウオォォォォ!!!」
魔王の最初で最後の絶叫を最後に、その体は霧散していった。
*********************************************************
「ライト・チェーン 【拘束】!」
魔法を発動させると同時に、あたしはその場に倒れた。
【拘束】が失敗したら、ハリーとデレクが倒しきれなかったら、あたしたちは死ぬ。
これが精いっぱいの魔法だった。
わずかに残っていた最後の魔力を発動した魔法だったから、立っていることすらできなかった。辛うじて意識を保っていることができた状態だった。
魔王の絶叫が聞こえ、この空間に漂っていた禍々しい魔気は消えていた。
(やっつけた・・・・・・終わった・・・・・・)
ずっと張りつめていた気持ちが緩み、安心感で心がいっぱいになったまま、意識を無くした。
(魔力がない。チェーン(鎖)なら発動できるけど、後ろからじゃ届く前に弾かれるはず・・・・・・近くで発動するしかない。)
「わかった・・・・・・ あたしが前に飛び出したら、それが合図!」
「よし! デレク、これで決めるぞぉー 」
「おぉよぉ~ ハリー! まだいけるぜぇぇ!」
魔王城王の間で、剣神と呼ばれるハリー、剣王デレク、そして賢者マルルカの3人が最後の戦いを繰り広げていた。
5メートルはある大きさのどす黒い色をした黒い角2本と暗く濁った光をもつ赤い瞳の魔王と対峙していると、足がすくみそうになる。
あたしがハリーとデレクと一緒に魔王を討つため、師匠メザク様の元を離れたのは1年前。2人がメザク様に魔王討伐の同行を依頼してきたのが始まりだった。
そのときから2人とも「当代至高の強さ」、「ハリーとデレクに勝るものは互いのみ」と言われていたが、さらなる高みを目指すために2人で魔王を討つことにしたのだという。
通常は、魔法と武の精鋭揃いの部隊を編成して魔王討伐に向かう。討伐を指示した国からは討伐のための準備費用や魔王を倒せば莫大な報奨金が出る。ただ2人は、討伐隊を編成すれば、準備金のほとんどが隊の維持にかかり、一番討伐成果を出せるはずの自分たち2人の取り分が極端に少なくなるのが割に合わないと考えた。
2人は当代一の賢者と言われるメザク様が後方支援をしてくれたら、3人で討伐できると言ってきたのだった。メザク様は、「めんどくさい」と言って討伐同行を断ったけど、それでも引かない2人に根負けして、あたしを連れていけと言った。
6歳児くらいの子どもにしか見えず、その上髪の毛も満足に生えていない、体中にぶつぶつとあばたができているあたしを見たとき、2人は口も聞けない様子だった。
「見た目はこうだが、これでも13歳。後2年もしたら成人するぞ。こいつが足手まといだと思ったら、そこらへんに捨てるかしてくれたらいいさ。別にわしに金はいらん」
それから約1年。ハリーとデレクと一緒に魔物を倒しながら、やっとここまできた。
荘厳な雰囲気の広い王の謁見の間には、あたしたち3人と魔王しかいない。この部屋の扉を開けてから戦いの始まりをハリーが叫んでからも魔王は一言も発することなく、ニタニタしてただ3人の前に立ちはだかっていた。
魔王というだけに、攻撃魔法の威力が半端ない。魔王から繰り出される攻撃魔法を相殺するように、マルルカも魔法をずっと発動し続けていた。もちろん、ハリーとデレクの支援も欠かせないし、隙を見ては攻撃魔法を繰り出す。魔力タンクと言われるマルルカでさえ、さすがに魔力が目に見えて減っているのがわかる。
魔王と向き合い、激しい戦いをいつからしていたのか、どれくらいの時間が過ぎたのか、3人とも既に意識することすらできなかった。
目の前にいる禍々しい魔気を放ちまとっている魔王を、ただ自分たちが倒せることだけを信じて・・・・・・
延々と死闘を繰り返してきた。
ハリーもデレクも限界を超えている。並外れた魔力量を持つ賢者マルルカも、すでに魔力が尽きかけていた。
魔王も魔力が減っているのか魔力を温存しているようだ。攻撃魔法を使わずに、物理攻撃になってきた。これが本当に最後のチャンスかもしれない。
(あたしが魔法を使えるのはこれが最後・・・・・・)
「今だ! いけぇぇぇぇぇー!!!!!!」
ハリーの叫びとともに、後衛のマルルカが魔王に向かって走り出した。
最後の魔法を行使する。
「ライト・チェーン 【拘束】!」
マルルカの杖から線上の光の鎖が魔王に伸びていき、その体をとらえて縛り上げる。
(やった・・・・・・)
同時に、ハリーとデレクが魔王に向かって左右から切り込むために飛び込んでいく。
「とどめだぁー ルクスクロス!!!」
ハリーとデレクの2人の聖剣の軌跡が光の十字架を作り、一瞬動きをライト・チェーンで拘束され解除される直前、魔王に見事に切り込み、その首を切り落とした。
「ウオォォォォ!!!」
魔王の最初で最後の絶叫を最後に、その体は霧散していった。
*********************************************************
「ライト・チェーン 【拘束】!」
魔法を発動させると同時に、あたしはその場に倒れた。
【拘束】が失敗したら、ハリーとデレクが倒しきれなかったら、あたしたちは死ぬ。
これが精いっぱいの魔法だった。
わずかに残っていた最後の魔力を発動した魔法だったから、立っていることすらできなかった。辛うじて意識を保っていることができた状態だった。
魔王の絶叫が聞こえ、この空間に漂っていた禍々しい魔気は消えていた。
(やっつけた・・・・・・終わった・・・・・・)
ずっと張りつめていた気持ちが緩み、安心感で心がいっぱいになったまま、意識を無くした。
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※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
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