あの日の君は...

海音²

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3.〜過去〜菜穂海と綿飴

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花火大会の会場に向かうにつれ、どんどん人が増えてきた
何度が七草さんとはぐれそうになり俺はその都度手を握ろうと手を掴もうとするけど、まるでつかもうとする手に意思があるように全く動かせなかった...

俺ってこんなにヘタレだったのか....
自分が情けなくて辛い....

会場に着いた時にはもう人波が凄くコレは流石にはぐれちゃうかも....
ここは勇気をだして手を...と思ったらクイッと袖を掴まれる感じがした
振り向くと俯いたまま袖を掴む七草さんが居た

「その...はぐれるのは嫌だから...」
「そ...そうか...」

七草さんもどうしたらいいか悩んだ末袖を掴んでくれたのに...

「あぁーったくもう!!」
「ひっ!ど...どうしたの慶太君?」
「そんな所掴んでてもこの人混みじゃ意味ないだろ!...ほら」

七草さんが勇気をだしてくれたんだ俺も勇気出さないと!
そう思い俺は自分に喝を入れた。
それでも照れくさくて顔を横に向けて手を差し出した 

「う...うん!ありがとう慶太君♪」

最初こそ訳が分からず瞳を開いて驚いてたがその意味を理解したからなのか、にっこり笑って
俺の手に手を乗せてきた
七草さんの手は少し暖かく小さくて柔らかいそれに、少し強く握ったら壊れてしまいそうに思えた。
俺はそんな七草さんの手を痛がらないように優しく握り返した

「これでもうはぐれることは無いだろ?」
「もちろん♪」
「それじゃ約束通りわたあめ買いに行くぞ!」
「やったー♪ありがとう慶太君♪」

小さい子供の様にはしゃぐ七草さん可愛すぎ....
てか今日だけでどんだけ俺に可愛いをふりまくの!?
俺今日幸せすぎて死ぬの?ねぇやだよ俺?

人混みを掻き分け少し進むとわたあめの屋台を見つけた

最近は袋入りのわたあめの屋台が主流だかココは昔ながらの手動で作ってくれるところだった
これならどうにかなるかも...

「すいませんわたあめ1つ欲しいんですけど」
「あいよ!今から作るから少し待ってな!」
「お金は支払うのでめちゃくちゃ大きいの頼めませんか?」
「おっ?なるほどそう言うことか!彼女の為に大きいのが欲しいんだな?」
「かっ...彼女!?...ま...まぁそんな感じです....」
「初々しいじゃねぇか!よし任せろ最大級のやつ作ってやるぜ!」
「ありがとうおじさん!」

そう言って俺は七草さんの方に向いてVサインをした
それを見て理解したのか凄く嬉しそうにわたあめの機械に近づいてきた

「おっ!にぃちゃんの彼女めちゃくちゃ可愛いじゃねぇか!」
「えっ...?...あっ...あの...」
「おっ?くくくっそういう事か良いねぇ~青春じゃねえか」

そう言っておじさんはなにか納得してわたあめを作り始めた
ザラメを機械に入れると機械からふわっふわな白いわたあめが円を描くようにどんどん出てきた
そのわたあめをおじさんは大きな棒でクルクルっと上手に巻きとってどんどん大きくなっていく

「すげぇ...もう顔が隠れそうだ...」
「にぃちゃんまだまだ大きくなるぞ!」
「まじか!マジですげぇ!!七草さんめっちゃ大きくなってく!!」

俺は今まで見た事ない大きさになってくわたあめに興奮していた
七草さんも瞳を輝かせながら大きくなるわたあめを凝視していた

「ほら!嬢ちゃんおまちどう!」
「おじさんありがとうございます!」

そう言って渡してくれたわたあめの大きさはバスケットボール位の大きさになっていた
やべ!初めて見たここまでデカいの

「おじさんいくらですか?」

俺はおじさんにわたあめ代を支払おうと思い聞いた

「300円でいいぞ」
「え?それじゃ普通のと変わらないんじゃ?」
「なぁにおじさんからのエールと思ってくれ」
「なっ!?...ありがとうございます!!」
「2人とも楽しんでこいよ!」
「「ありがとうございます!!」」

そう言って俺達はまた手を繋いで歩き出した
少し歩いて人波から離れる様に脇に移動した

七草さんは大きなわたあめを嬉しそうに食べ始めた

「はむっ....んんーん♪甘くてふわふわ♪」
「まさかわたあめでここまで幸せそうな顔するとは...」
「もぅー慶太君絶対子供っぽいとか思ったでしょ?」
「そこまでは思ってないから!その...美味そうに食べるなと」
「ははーん♪さては少し食べたいんでしょ?素直に言ってくれたらいいのに」

そう言って七草さんはわたあめを少し摘んで俺に摘んだわたあめを渡してきた

「はいどうぞ♪」
「え?あっ...その...」
「もう!はやく~!!」

どっちだ...どっちが正解なんだ?受け取ればいいのか?それとも、このまま食べていいのか?
ええい思うがまま!!

パクッ

「あっ...」
「ふぇっ?...ごめん!」

やべ..間違いだとわかってたのに直接食べたい欲に勝てなかった

「そうじゃなくて...まさか指まで」
「ご...ごめんなにか拭くものあったかな...」

俺はバックの中になにかないかあさった

「もう大丈夫だから...ね?」
「な..ならいいけど」
「それよりわたあめ美味しかった?」
「もちろん甘くて美味しかった」

そう言いながら繋いだ手が逆でよかった...
もし加えてしまった方の手なら意識しすぎてヤバかったかも....
    
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