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序章 旅立ち……そして入学
6話
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俺は姿勢を下げながらトールに接近した。トールは最初に言ってた通り、構えたままコチラの出方を見てるだけだった。
間合いに入る間際右手だけで剣を握りしめ一気に踏み込み、トールめがけ思いっきり下から上へ一気に斬りあげた。しかし、トールはそれを、最小の動きで躱した。すぐさま左手で殴りに行ったが、トールは片手で弾きそのまま俺の腹に蹴りを入れてきた。衝撃を抑える為、咄嗟に後ろに飛んだがそれでもかなりの威力だった。
「筋は良いがまだまだ荒いな」
「そう言うけど、めっちゃ余裕そうじゃないですか」
俺は呼吸を整えながら立ち上がった。まだ蹴られた腹が痛み足にも少し来ていた。少しでも回復しようと会話を続けるようとした。
「まぁ場数が違うからね。それに結果も決めたし、他の人もまだいるから、これで終わらせてもらうよ…ちゃんと避けてくれよ?」
そう言ってトールはとても重たい大剣を持ってるとは思えない速度で俺に迫ってきて、まるで人を投げ飛ばすかのように全身を使って振り下ろしてきた。両手で剣を構え捌こうと試みたが、俺の脳内で物凄く危険信号が鳴り響き咄嗟に右へ大きく飛んだ。
振り下ろされたトールの大剣は地面に刺さりその衝撃で地面が少しえぐれてた。
「よく咄嗟に避けれたね?」
「こんな危険信号ガンガンに出る攻撃逃げるしかないでしょ? それより今の、避けないと死んでたんじゃ?」
「危機感知能力も良さそうだ。それに死にはしないさ少し死ぬ思いはするかもしれないがな」
「もしかしてそれを確認するためだけに今の攻撃を? だとしたら避けてよかった……」
「そうなるな。わざわざ危険を冒してまで勝ちに拘らなくていいんだよ。これはあくまで試験なんだからな? それよりレイジこれで試験は終わりだ」
「え? 俺まだ負けてないんだが?」
「だから今言っただろ?勝ちに拘るなって。 大体の実力がわかったからこれで十分なんだよ」
「はぁ? それで結果は?」
「荒削りな戦い方でまだまだだが、その分伸び代が大いに期待できる。つまり合格だおめでとう」
結果は合格だと言われたが、実際は完敗だし結果を先に言われたせいで俺は不完全燃焼に終わった事に納得ができなかった。
「まぁ、そんな顔するなよ。また今度模擬戦やってやるから」
どうやら俺は、気づいてなかったけど顔に出てたみたいだ。
「約束ですから、俺その時までにもっと強くなっときます」
「若いねぇ~、そういう訳でレイジ、あっちいって待ってろ」
トールは校舎の入口の方を指差し言ってきた。 試験を終わった何人かはそっちの方に歩いて行ってる姿があった。
「ありがとうございました。それじゃトールさんまたな」
「おう! これからが本番だからな頑張れよ!」
そう簡単なやり取りをして俺は荷物を持って教えてもらった方へ向かった。
少し歩いた時、後ろから叫ぶ声が聞こえた。
「待ってやレイジ!! 置いてくとか酷いやんかぁ!」
その声に振り向いたら、走ってきたせいか、息を切らしながらユーリが、こちらを睨みつけてた。
「ごめんユーリ。てっきりもう終わって、移動してると思ってたから」
「そんな都合ええ事言いながら、どうせウチは、試験に落ちとると思とったんとちゃうん?」
「……落ちたの?」
「ちゃんと受かっとるよ! てかその反応! ウチの事そもそも忘れとったやろ!?」
「忘れてたというか…完敗だったから、悔しくて色々考えてたんだ。ユーリはどうだったんだ?」
俺は完敗だったけど、皆がそうとは限らないしな。
「ウチ? アカンかったよ? そりゃもう、コテンパンにやられてもうたよ♪」
何故かユーリは嬉しそうにそう言ってきた。俺は思わずユーリが可哀想な子なのかもと思ってしまった。
「あっ! 今変な事考えてたやろ? 別に負けた事が嬉しいんやないで? ウチな、これでも小さい頃から、周りより強かったんよ? それで調子に乗っとんたんやろな…なんかな、ここまでコテンパンにされたら、世の中強い人がおるんやなぁって思ったらな、ウチすっごく嬉しくなってん♪ 仕方ないやん、今より強くなればもっと強い人と戦える。そしてそんな凄い人らと切磋琢磨出来る環境に今おるんやで? ……すまんなんか話してで訳分からんようになっとるね? つまりや! もっと強くなりたいって思とるってことやねん♪」
あぁ…なんかマルコやトールとは違うけど…同じ人種な気がしてきた……
「そうだな。俺達はこれからもっと強くなればいいんだけなんだよな」
「それや! ウチそれをレイジに言いたかったんよ!」
その割には色々言ってたような……
「それより、この後俺達はどうなるんだ? ユーリは何か知ってるのか?」
「この後は、クラス分けして、そんでいよいよ本日のメインイベントの倫理的歯車やで♪」
「いよいよか…」
「どんな武器になるんやろな? ウチ…折角なら刀がええんよなぁ~」
「俺も使い慣れてる武器がいいな。 それと後は能力も気になるな」
「ウチもそれ気になっとんよ! ウチに合う能力ってどんなんやろか? 考えるだけでワクワクせぇへん?」
「たとえどんな能力でも俺は必ず上位20位で卒業してみせるさ」
「せやったね。レイジは故郷に帰りたいんやもんね♪ それなら気張らなあかんね♪」
「ああ! 必ず村に…みんなの所に戻ってみせるさ」
俺達はその後もこれからの事を話しながら目的地へ向かった
間合いに入る間際右手だけで剣を握りしめ一気に踏み込み、トールめがけ思いっきり下から上へ一気に斬りあげた。しかし、トールはそれを、最小の動きで躱した。すぐさま左手で殴りに行ったが、トールは片手で弾きそのまま俺の腹に蹴りを入れてきた。衝撃を抑える為、咄嗟に後ろに飛んだがそれでもかなりの威力だった。
「筋は良いがまだまだ荒いな」
「そう言うけど、めっちゃ余裕そうじゃないですか」
俺は呼吸を整えながら立ち上がった。まだ蹴られた腹が痛み足にも少し来ていた。少しでも回復しようと会話を続けるようとした。
「まぁ場数が違うからね。それに結果も決めたし、他の人もまだいるから、これで終わらせてもらうよ…ちゃんと避けてくれよ?」
そう言ってトールはとても重たい大剣を持ってるとは思えない速度で俺に迫ってきて、まるで人を投げ飛ばすかのように全身を使って振り下ろしてきた。両手で剣を構え捌こうと試みたが、俺の脳内で物凄く危険信号が鳴り響き咄嗟に右へ大きく飛んだ。
振り下ろされたトールの大剣は地面に刺さりその衝撃で地面が少しえぐれてた。
「よく咄嗟に避けれたね?」
「こんな危険信号ガンガンに出る攻撃逃げるしかないでしょ? それより今の、避けないと死んでたんじゃ?」
「危機感知能力も良さそうだ。それに死にはしないさ少し死ぬ思いはするかもしれないがな」
「もしかしてそれを確認するためだけに今の攻撃を? だとしたら避けてよかった……」
「そうなるな。わざわざ危険を冒してまで勝ちに拘らなくていいんだよ。これはあくまで試験なんだからな? それよりレイジこれで試験は終わりだ」
「え? 俺まだ負けてないんだが?」
「だから今言っただろ?勝ちに拘るなって。 大体の実力がわかったからこれで十分なんだよ」
「はぁ? それで結果は?」
「荒削りな戦い方でまだまだだが、その分伸び代が大いに期待できる。つまり合格だおめでとう」
結果は合格だと言われたが、実際は完敗だし結果を先に言われたせいで俺は不完全燃焼に終わった事に納得ができなかった。
「まぁ、そんな顔するなよ。また今度模擬戦やってやるから」
どうやら俺は、気づいてなかったけど顔に出てたみたいだ。
「約束ですから、俺その時までにもっと強くなっときます」
「若いねぇ~、そういう訳でレイジ、あっちいって待ってろ」
トールは校舎の入口の方を指差し言ってきた。 試験を終わった何人かはそっちの方に歩いて行ってる姿があった。
「ありがとうございました。それじゃトールさんまたな」
「おう! これからが本番だからな頑張れよ!」
そう簡単なやり取りをして俺は荷物を持って教えてもらった方へ向かった。
少し歩いた時、後ろから叫ぶ声が聞こえた。
「待ってやレイジ!! 置いてくとか酷いやんかぁ!」
その声に振り向いたら、走ってきたせいか、息を切らしながらユーリが、こちらを睨みつけてた。
「ごめんユーリ。てっきりもう終わって、移動してると思ってたから」
「そんな都合ええ事言いながら、どうせウチは、試験に落ちとると思とったんとちゃうん?」
「……落ちたの?」
「ちゃんと受かっとるよ! てかその反応! ウチの事そもそも忘れとったやろ!?」
「忘れてたというか…完敗だったから、悔しくて色々考えてたんだ。ユーリはどうだったんだ?」
俺は完敗だったけど、皆がそうとは限らないしな。
「ウチ? アカンかったよ? そりゃもう、コテンパンにやられてもうたよ♪」
何故かユーリは嬉しそうにそう言ってきた。俺は思わずユーリが可哀想な子なのかもと思ってしまった。
「あっ! 今変な事考えてたやろ? 別に負けた事が嬉しいんやないで? ウチな、これでも小さい頃から、周りより強かったんよ? それで調子に乗っとんたんやろな…なんかな、ここまでコテンパンにされたら、世の中強い人がおるんやなぁって思ったらな、ウチすっごく嬉しくなってん♪ 仕方ないやん、今より強くなればもっと強い人と戦える。そしてそんな凄い人らと切磋琢磨出来る環境に今おるんやで? ……すまんなんか話してで訳分からんようになっとるね? つまりや! もっと強くなりたいって思とるってことやねん♪」
あぁ…なんかマルコやトールとは違うけど…同じ人種な気がしてきた……
「そうだな。俺達はこれからもっと強くなればいいんだけなんだよな」
「それや! ウチそれをレイジに言いたかったんよ!」
その割には色々言ってたような……
「それより、この後俺達はどうなるんだ? ユーリは何か知ってるのか?」
「この後は、クラス分けして、そんでいよいよ本日のメインイベントの倫理的歯車やで♪」
「いよいよか…」
「どんな武器になるんやろな? ウチ…折角なら刀がええんよなぁ~」
「俺も使い慣れてる武器がいいな。 それと後は能力も気になるな」
「ウチもそれ気になっとんよ! ウチに合う能力ってどんなんやろか? 考えるだけでワクワクせぇへん?」
「たとえどんな能力でも俺は必ず上位20位で卒業してみせるさ」
「せやったね。レイジは故郷に帰りたいんやもんね♪ それなら気張らなあかんね♪」
「ああ! 必ず村に…みんなの所に戻ってみせるさ」
俺達はその後もこれからの事を話しながら目的地へ向かった
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