~エシックスギア~

海音²

文字の大きさ
15 / 22
1章 模擬戦そしてチーム

15話

しおりを挟む
 俺は両手に分かれた光の粒子を握りしめた。その瞬間、それぞれの手に白と黒二丁の銃が現れた––左手に持つ黒い銃は、普通のサイズでバレルの下側から銃口付近まで刃が伸びてた。右手に持つ白い銃は、黒い銃よりバレルが長く、コチラもバレルから銃口まで刃が伸びてる。デザインは共にハンドライフルみたいな形をしてた。

「な……何が起きたんだ? それに君の左眼も色が……」

 先生は突然武器が変わった事に驚いてた。それにしても左眼がどうしたんだ?その瞬間また頭に情報の波が押し寄せてきた。

「うぐっ……っかは!……はぁはぁ…」

 二度目とは言えなれることも無く、今回は頭が割れるような頭痛に、一瞬俺は襲われた。

(レイ大丈夫!?)

(姉さん平気だそれより俺の左眼は、どうなってる?)

(左眼? ……っ!? レイ! 左眼が…瞳が赤くなってるわよ!? 大丈夫なの!?)

(別に痛みとかは無いから大丈夫だよ)

 どうやら俺の左眼の瞳だけ赤くなってるらしい。そしてきっとはこの眼のおかげなのかと、俺は納得した。

「説明しなさいグローレイン!! 一体何が起きたんだ!!」

 先生は、俺が返事しない事に苛立ち、少し怒鳴りながら言ってきた。

「安心してください。それにこの姿も含めて俺の武器なので」

 あの時、最初に情報が流れてきた時、この武器の事も頭に流れてきた。どうやら姉さんもだったけど、先生も知らなかったみたいだ。

「聞いたことないぞ……二刀流なんて……」

「コレばかりは俺も分からないので何も言えませんが、とりあえず行きますね」

 そう言って俺は呆然としてる先生に向かって銃口を向け発砲しながら、接近した。

 先生は俺が攻めてきたのに気が付き、放たれた弾丸を必要最小限で避けようとした。 その瞬間、先生は驚愕し慌てて大きく飛んで避けた。

 俺はその先生を追いかけ、左手で発砲しながら、右手は斬りつけるために思いっきり振りかぶっていた。

「ちっ! クソ厄介な能力身につけやがって!!」

 先生は舌打ちをしながら避けるのでは無く、槍で全て弾いてた。そりゃそうだろうなを考えたらそうするか、大きく逃げるしかないよな?

 俺は先生に接近してから、右手で斬りつけた。それを先生は槍で受け止めた。そのまま俺は左手で先生目掛け突きをした。しかしそれを間一髪で先生は体を捻り回避する。その後休むことなく俺は、左右不規則なリズムで交互に斬りつけた。しかし先生には届かず、避ける受け止めると全て捌かれてく。

(レイ! 切りつけるだけじゃダメ! 確かに刃が付いてるけど、あくまでコレは銃よ!)

(銃……そうか! 斬るだけじゃ足りないなら!)

 俺は、そのまま斬りつけながら銃口が先生に向いた瞬間発砲した。弾丸が先生めがけて真っ直ぐ飛んでいく。至近距離だった事もあり、俺は当たったと確信していた。

「もらった!」

 俺は、大声で叫んだが、次の瞬間先生の姿がブレ視界から消えてしまった。

「なっ!?」

 驚いた俺は辺りを見渡した。いつの間にか先生は横に飛んで回避してた。

「まったく先生を殺す気か! 模擬戦なんだから今のは過剰攻撃だろ! 先生じゃなかったら、死んでたぞ!」

 そこで俺はこれが模擬戦だった事を、思い出した。

「すいません…俺いつの間にか先生に勝つ事しか考えてなかったです……」

「先生も能力を使ってなかったし、手を抜いてると思える行動や言動があったから、それに苛立ってたんだろう。ただこれからは、気をつけるように。あくまで訓練であり、殺し合いをしてる訳じゃないからな」

「はい……以後気をつけます」

「ところでグローレイン君、剣の時と能力が変わってるような気がしたのだが?」

「はい、この状態の時とその前の時は、確かに違います」

「最初のは確証は無いが、今のはホーミングかな?」

「よくわかりましたね。視界に入れて狙ったものに対して少し修正してくれるんです」

 そう、赤い瞳の正体は能力で、少しだが追跡してくれる弾丸を撃つ事が出来る。

「まったく……規格外にも程があるだろ……まぁ調律師としては、もの凄く素晴らしいことであるが」

 そう言って頭に手を当てやれやれと、ため息をついてた。

「それで…模擬戦はどうしますか?」

「ん? もうこれぐらいでいいだろ? 今の時点でも観戦してる生徒には、まったく理解が追いついてないかもしれないしな。まぁ、先生的には全力でやってみたいけどな!」

 そう言って模擬戦を終わらせた先生は、ニコッとこちらに笑みを向けてきた。だが、その笑みを見た俺は、まるで全身金縛りにあったかのように動けず、冷や汗がドッと出てきた。

「ははっ……出来ればお断りしたいですね」

「遠慮する事は無いぞ? あんだけ熱烈な弾丸をぶちかましてくれたのだからな」

(思い出した! レイこの先生ね、強くなりそうな将来有望な生徒がいたら、めちゃくちゃスパルタ指導してくれるんだった)

(それ先に言って欲しかったよ姉さん!)

(まぁまぁ♪ 逆にそれだけ期待してるって事だよ♪)

 俺はこれからの事は思ったら、ただただ後悔していた。

「とりあえずみんなの元に帰るぞグローレイン!!」

「はい!って先生もう君付けしてくれないんですね」

「甘やかすつもりは無いからな」

「お手柔らかにお願いします……」

 俺は接続コネクションを解除して先生と一緒に観戦スペースにいるみんなの元に戻った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

処理中です...