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広がる世界
一
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どうしようもないもやもやを抱えていても、日は昇るし朝は来る。すばるの心は閉じ込めた恋の前で立ち止まったままでも、変わらない日々が続いていく。
垂氷が去り、成人の祝いも恙なく終わって早数か月。すばるは一人称を僕と改めた以外は何も変わらずいつものように朝に本殿で大神に祈りを捧げ、昼に人々の災いを贖い、夜に傷ついた体を労わりながら眠りにつく。そんな毎日を送っていた。
皓月との関係も変わらない。神子と守護者で、保護者と養い子。近頃はすばる自身、何も変わらないことに安堵を覚えてさえいた。
そんな日が続いたある日、神域に一人の迷い子が現れた。
「ここどこぉ……?うちに帰りたいよ!」
「えっと、お嬢さん迷子なんですね。どっちから来たかわかりますか?」
「わかんない……たぶんあっち……?」
偶々外に出ていたすばるが湖の傍で蹲っている少女を見つけて声をかけたのだが、少女の指した先は道がない。大きな木々の生い茂る森だ。よしんば本当にそこから出てきたのだとして、その先に町や村があるのか聞いたすばるも知らなかった。迷子の案内には絶望的に向かない人選である。
まず、すばるの神域には普段から人の往来がある。皓月が神域に張った結界は害意ある者を弾き出すものなので、大半の人間が容易く出入りできるものだ。しかし神域自体が森の奥深くにあるため目的を持って訪れる者ばかりで、こうして迷い込んだ子供に遭遇するのは初めてのことだった。
「僕はすばると言います。お嬢さん、お名前は何と言うの?」
「あやめ……」
何とか助けてやりたくてしゃがみ込んで視線を合わせ、泣いている少女に問いかける。年の頃は六、七歳位だろう少女はすばるの問いにしゃくりあげつつもあやめと名乗った。
「あやめちゃん、お家からずっと一人でしたか?それとも誰かと一緒にいました?」
「兄ちゃん……でも、わたし、犬にびっくりしてはしってにげちゃって」
「気がついたらお兄さんと離れてしまってたんですね」
「うん……」
迷子になって不安だっただろうに、あやめは自分の状況をすばるに話すことができた。しっかりした子だと感心しながらすばるはあやめの小さな手を両手でそっと握り、安心させるように微笑みかける。
「あやめちゃん、屋敷の者と相談するので一緒に来てくれますか?他の人なら知っているかもしれません」
そう言って泉の向こうにある屋敷を指して問いかけると、あやめはぱちくりと目を瞬かせた。
「でっかい家……ここ、兄ちゃんの家?」
「あい、僕の家です。仕事場でもあります」
「すごい……」
一般家庭では考えられない、貴族が住むような屋敷にようやっと気づいたあやめは驚きで暫く呆けていた。その様子を見守るすばるをちらりと見て、屋敷に視線を戻しまたすばるを見る。改めて見るとすばるは髪も肌も艶々と輝いていて、子供でもわかるような仕立ての良い上等な着物を着ている。首や手に包帯が巻かれているのが少し気になったが、それでもこの大きな屋敷に似合いの人だと思った。
「大丈夫?お屋敷に行ってもいいですか?」
「あっ……うん。おねがいします」
声をかけられてはっとして、着物の袖でごしごしと涙を拭いながら頷く。すばるは小さなその手を引いて屋敷へ戻り、不思議そうな顔をした蛍に事情を説明してあやめを屋敷へ上げてもらった。
「了解了解。十七、八歳の、髪を一つに束ねた男の子ね。お嬢ちゃん顔似てる?そう。んじゃ、ちょっと見てくるっす!」
回りを見回ってくれると言う蛍の持つイタチの耳と四本の尾に驚いて、座敷に正座したまま小さく震えるあやめ。お茶を出してくれた篝の燃えるように鮮やかな茜色の髪と目に今度はカチコチに固まり、いっそ不憫なほどだ。
「すぐに見つけてきてくれると思いますから、ここで待っていましょうね」
それに気付かずのほほんと目の前で茶を啜るすばる。あやめの目にはただの育ちのいい青年に見えていたが、もしかして彼も人間ではないのだろうか。よくよく見れば彼の目は人とは違うきらきらした目だ。夜空に似た濃紺から紫雲がたなびく虹彩に、星をちりばめたように小さな光が瞬く瞳など見たことがない。
もしかして、こうやって迷子になった子供を捕って食う鬼の類なのでは。そんな恐ろしい予想が降って湧いて、あやめはぶるりと身を震わせた。
「あ……の、兄ちゃん、ここ、ようかいやしき……?」
「えっ?」
勇気を振り絞ってすばるに尋ねると、まるで予想外だったようで慌てた様子で首と手を横に振った。
「いいえ、違いますよ!二人とも火の神様にお仕えする眷属です!」
「かみさま……?」
怯えているあやめを安心させてやりたくて、すばるは身振り手振りを交えながら自身とこの神域の役割を説明する。すばるにとって神や精霊は人以上に身近な存在なので、人にとって彼らがどれだけ珍しいかを忘れていたのだ。
「じゃあここはしんでんっていうところで、兄ちゃんはかみさまにお仕えしてるみこさまってこと?」
「そうですね。そう呼ぶ方もいます。だから、怖いところではないんですよ」
「そうなんだ……」
納得したのかあやめの体からこわばりが溶けていく。力の抜けた様子にほっとして、すばるは少し冷めた茶を啜った。
「あやめちゃん、お菓子もどうぞ。いただきものですが、とっても美味しいですよ」
「ありがとう、すばる兄ちゃん」
屈託なく笑ったあやめの顔にすばるの胸がぎゅんと締め付けられる。可愛い。妹がいたらこんな感じなのだろうか。ここではどう足掻いても圧倒的年下なので、初めて呼ばれた“すばる兄ちゃん”という呼び名に感動してすばるはふにゃりと口元を綻ばせた。
「た、たくさん食べてくださいね!お土産も包んでおきますから!」
「いいの?!やったあ!」
幸い菓子は食べきれないほどある。いつもは残った分を近隣の村や町へ大神からの下げ渡しとして蛍が配っているが、少しくらいならいいだろう。すばるは座敷の棚に置いてあるお気に入りのお菓子をいそいそと包み、忘れないようにとあやめの傍に置いてやった。
垂氷が去り、成人の祝いも恙なく終わって早数か月。すばるは一人称を僕と改めた以外は何も変わらずいつものように朝に本殿で大神に祈りを捧げ、昼に人々の災いを贖い、夜に傷ついた体を労わりながら眠りにつく。そんな毎日を送っていた。
皓月との関係も変わらない。神子と守護者で、保護者と養い子。近頃はすばる自身、何も変わらないことに安堵を覚えてさえいた。
そんな日が続いたある日、神域に一人の迷い子が現れた。
「ここどこぉ……?うちに帰りたいよ!」
「えっと、お嬢さん迷子なんですね。どっちから来たかわかりますか?」
「わかんない……たぶんあっち……?」
偶々外に出ていたすばるが湖の傍で蹲っている少女を見つけて声をかけたのだが、少女の指した先は道がない。大きな木々の生い茂る森だ。よしんば本当にそこから出てきたのだとして、その先に町や村があるのか聞いたすばるも知らなかった。迷子の案内には絶望的に向かない人選である。
まず、すばるの神域には普段から人の往来がある。皓月が神域に張った結界は害意ある者を弾き出すものなので、大半の人間が容易く出入りできるものだ。しかし神域自体が森の奥深くにあるため目的を持って訪れる者ばかりで、こうして迷い込んだ子供に遭遇するのは初めてのことだった。
「僕はすばると言います。お嬢さん、お名前は何と言うの?」
「あやめ……」
何とか助けてやりたくてしゃがみ込んで視線を合わせ、泣いている少女に問いかける。年の頃は六、七歳位だろう少女はすばるの問いにしゃくりあげつつもあやめと名乗った。
「あやめちゃん、お家からずっと一人でしたか?それとも誰かと一緒にいました?」
「兄ちゃん……でも、わたし、犬にびっくりしてはしってにげちゃって」
「気がついたらお兄さんと離れてしまってたんですね」
「うん……」
迷子になって不安だっただろうに、あやめは自分の状況をすばるに話すことができた。しっかりした子だと感心しながらすばるはあやめの小さな手を両手でそっと握り、安心させるように微笑みかける。
「あやめちゃん、屋敷の者と相談するので一緒に来てくれますか?他の人なら知っているかもしれません」
そう言って泉の向こうにある屋敷を指して問いかけると、あやめはぱちくりと目を瞬かせた。
「でっかい家……ここ、兄ちゃんの家?」
「あい、僕の家です。仕事場でもあります」
「すごい……」
一般家庭では考えられない、貴族が住むような屋敷にようやっと気づいたあやめは驚きで暫く呆けていた。その様子を見守るすばるをちらりと見て、屋敷に視線を戻しまたすばるを見る。改めて見るとすばるは髪も肌も艶々と輝いていて、子供でもわかるような仕立ての良い上等な着物を着ている。首や手に包帯が巻かれているのが少し気になったが、それでもこの大きな屋敷に似合いの人だと思った。
「大丈夫?お屋敷に行ってもいいですか?」
「あっ……うん。おねがいします」
声をかけられてはっとして、着物の袖でごしごしと涙を拭いながら頷く。すばるは小さなその手を引いて屋敷へ戻り、不思議そうな顔をした蛍に事情を説明してあやめを屋敷へ上げてもらった。
「了解了解。十七、八歳の、髪を一つに束ねた男の子ね。お嬢ちゃん顔似てる?そう。んじゃ、ちょっと見てくるっす!」
回りを見回ってくれると言う蛍の持つイタチの耳と四本の尾に驚いて、座敷に正座したまま小さく震えるあやめ。お茶を出してくれた篝の燃えるように鮮やかな茜色の髪と目に今度はカチコチに固まり、いっそ不憫なほどだ。
「すぐに見つけてきてくれると思いますから、ここで待っていましょうね」
それに気付かずのほほんと目の前で茶を啜るすばる。あやめの目にはただの育ちのいい青年に見えていたが、もしかして彼も人間ではないのだろうか。よくよく見れば彼の目は人とは違うきらきらした目だ。夜空に似た濃紺から紫雲がたなびく虹彩に、星をちりばめたように小さな光が瞬く瞳など見たことがない。
もしかして、こうやって迷子になった子供を捕って食う鬼の類なのでは。そんな恐ろしい予想が降って湧いて、あやめはぶるりと身を震わせた。
「あ……の、兄ちゃん、ここ、ようかいやしき……?」
「えっ?」
勇気を振り絞ってすばるに尋ねると、まるで予想外だったようで慌てた様子で首と手を横に振った。
「いいえ、違いますよ!二人とも火の神様にお仕えする眷属です!」
「かみさま……?」
怯えているあやめを安心させてやりたくて、すばるは身振り手振りを交えながら自身とこの神域の役割を説明する。すばるにとって神や精霊は人以上に身近な存在なので、人にとって彼らがどれだけ珍しいかを忘れていたのだ。
「じゃあここはしんでんっていうところで、兄ちゃんはかみさまにお仕えしてるみこさまってこと?」
「そうですね。そう呼ぶ方もいます。だから、怖いところではないんですよ」
「そうなんだ……」
納得したのかあやめの体からこわばりが溶けていく。力の抜けた様子にほっとして、すばるは少し冷めた茶を啜った。
「あやめちゃん、お菓子もどうぞ。いただきものですが、とっても美味しいですよ」
「ありがとう、すばる兄ちゃん」
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