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変調の兆し
九
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久しぶりの四人での食卓は賑やかなものだった。一年近く静かで和やかだった食卓が一気に華やぎ、すばるはようやく日常が戻ってきたような心地だった。
用意された山盛り御飯はなんとか食べきった。そのうえでお土産の饅頭を食べたものだからすばるの腹はパンパンだ。すばるは己の膨らんだ腹を撫でて満ち足りた溜息を吐いた。
いつもの日常が帰ってきた。今日はいい日だ。
そうして腹が満ちれば次は眠気が襲ってくる。今朝早く目が覚めてしまったせいか二人が帰ってきた安心感か、いつもより早く眠くなってきたすばるは食事が終わった後すぐに湯を貰って床についた。
一方、すばるが床についた後も皓月は酒を飲み続けている。酌み交わす相手は蛍と篝。肴はあまり、旨いとは言えない話題だ。
「すばる殿の、傷が増えておりましたな」
「あぁ」
篝が零した言葉に皓月は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。彼女の言わんとしていることは皓月にも良くわかっている。
「すばる殿にはあの事、話しておいでか」
篝の問いかけに皓月は緩く首を横に振った。それはすばるの傷が増えていることと関係することだ。
「いや、まだだ。状況はどうなっている。六花様からの話だと奴はまだ消滅していないと聞いたが」
「どうもあと一歩で仕留め損ねて逃げられたらしくて、隠遁の術で姿を消したようっす」
「何だと?それは……まずいな」
蛍の返答を聞いて皓月の酒を持つ手が止まる。
すばるが不審に思ったように今人の世に、否神の世には異変が起きていた。
きっかけは幽世で起きた病神の反乱だ。
世界の秩序と均衡を保つには生と死が必要で、幽世には幽世を管理する神が死者を管理している。死者を受け入れ生まれ変わる者を送り出すのが幽世の神の役割で、病神はその配下であり人に病と死を齎すものとして存在していた。その病神があろうことか主人である幽世の神に反旗を翻し、戦争が起きたのだ。
流石にその座を奪われるようなことはなかったものの、幽世の神は不意の一撃を食らい幽世の均衡は乱れた。戦いの余波は現世にまで影響が出て、人の世に不自然なほどの病を齎しているのだ。
討たれてしまえばそのうち病も静まっていくだろうが、逃げ遂せて姿を消したとなると話は変わる。人の世に更なる悪影響を及ぼす可能性があるのだ。例えば病神が現世に姿を現した場合など最悪だ。人の世は病で溢れて多くの人が死ぬことになるだろう。
「少なくともまだ幽世からは出ておりませぬ。幽世の門番には隠遁の術は効きませぬゆえ、出ようとすれば気付かれまする」
「まだ、か」
皓月の懸念を察した篝の言葉。それを聞いても皓月の厳しい顔は崩れることはなく、ゆっくりと盃の酒を飲み干した。
ふ、と酒精の混じった息を漏らし、ついこの間商人達から聞いた話を思い出す。
「夢見の神子が……病が流行る夢を見たと触れを出したそうだ。実際穢れ当たりの病は日を追うごとに増えている。病神は確実に現世に近づいているはずだ」
「うわ、マジっすか。ヤバいなそれ……つーかそれ公表しちゃったんすか……」
要請を受けた大神が天から幽世へ増援を送ったことで病神の眷属は次々と捕らえられているが、肝心の病神が未だ見つからない。このまま奴が神々の軍勢を出し抜いて現世に出てくれば、皓月にとって非常に都合の悪い事態となる。
「はよう見つけて滅せねばなりませぬな。現世に出てしまえば夢見の神子が申すよう、この世に病と死が溢れましょう。そうなれば混乱は必至。すばる殿にもご負担がかかるかと」
「ああ、その通りだ」
半堕ち状態の病神が撒く病は人理を超えた災い。病神を滅するまでの間、すばるがその災いをその身で受けなければならない可能性が高いのだ。
そうなれば最悪、命の危機さえある。
「病神の捜索と並行して浄化の神と精霊が大神の命を受けて幽世の浄化を始めてます。状況をみて現世にも寄越してくださるそうっすよ」
「ああ、そのことについては六花様よりうかがっている。だが、幽世に人手を割いた分こちらの浄化の手が減っているのが現状だ。その分すばるに皺寄せが来ている」
「かといって幽世の穢れを放置すれば幽世に住む者の魂が穢れてしまいまする。魂が穢れては次の生への道が遠ざかり生死の均衡が崩れてしまう。はぁ……ままならぬものにございますね」
溜め息を吐いて片手で己の頬に手を添える篝。成体になったばかりでまだ力の弱い彼女は戦いでは役に立てない。それが酷くもどかしかった。
大神と混沌の神との戦いから千年。ゆっくりと取り戻した生死と天地の均衡を再び崩されてはたまらない。こんな話ばかりではすばるが横にいた時は美味かったはずの酒も不味くなるばかりだ。皓月は苛立ちをぶつけるように鋭い犬歯で硬い干し肉を齧る。
「もし奴が現世に出てくれば私も出るぞ。すばるの身が危険に晒されるより先に私が奴を滅してくれる」
そもそも役割を逸脱した神を罰するのは神の仕事の一つだ。一時すばるの傍を離れることになるだろうが、延いてはそれがすばるの身を守るためになるならやぶさかではない。
陰鬱な顔をした病神の喉を噛み千切る想像をしながら硬い干し肉をガシガシと噛む皓月の姿は獣を彷彿とさせるもので、イタチの妖である蛍は本能的な恐怖にびくりと体を震わせた。
蛍は火の神の使いになる前、妖としてぶいぶい言わせていた頃に皓月に噛み殺されそうになったことがある。無意識に首を擦る蛍を篝は不思議そうに首を傾げて見ていた。
「んで!一通り現状は伝えましたけどどうします?神子さんにもちゃんと伝えた方がいいと思うっすけど……」
「む、そうだったな」
蛍は嫌なことを思い出しそうになって強引に話を戻す。すばるの名を聞いて意識が逸れたのか、皓月の凶悪な狐の顔はなりを潜めた。
「あの子に知られぬうちに解決すればと思っていたが、そうも言っていられんようだ……話すしかあるまい。あまり気は進まんがな」
「左様にございますね。それがよろしいかと」
既に不審に思われている状況だ、これ以上隠しても何もいいことはないだろう。この話を聞いて彼が何を言い出すか考えると頭が痛いが、それでも理由もわからないまま勤めを続けるよりはマシだろうと三人は思う。
状況を理解したうえですばるの負担が増えすぎないように彼を助ける。篝と蛍も戻って人出が増えたのだ、今までのように目が届かずに知らないうちに文に返事を出されることもないだろう。状況を確認し合った三人はとりあえずの結論を得て、肩の力を抜くようにほっと息を吐いた。
「では、難しい話はここで仕舞いにいたしましょう。さ、気を取り直して飲みましょうぞ!」
からりと明るい篝の言葉を合図に二人は小さく笑い、仕切り直した酒盛りはすばるが起き出してくる朝まで続いたのであった。
用意された山盛り御飯はなんとか食べきった。そのうえでお土産の饅頭を食べたものだからすばるの腹はパンパンだ。すばるは己の膨らんだ腹を撫でて満ち足りた溜息を吐いた。
いつもの日常が帰ってきた。今日はいい日だ。
そうして腹が満ちれば次は眠気が襲ってくる。今朝早く目が覚めてしまったせいか二人が帰ってきた安心感か、いつもより早く眠くなってきたすばるは食事が終わった後すぐに湯を貰って床についた。
一方、すばるが床についた後も皓月は酒を飲み続けている。酌み交わす相手は蛍と篝。肴はあまり、旨いとは言えない話題だ。
「すばる殿の、傷が増えておりましたな」
「あぁ」
篝が零した言葉に皓月は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。彼女の言わんとしていることは皓月にも良くわかっている。
「すばる殿にはあの事、話しておいでか」
篝の問いかけに皓月は緩く首を横に振った。それはすばるの傷が増えていることと関係することだ。
「いや、まだだ。状況はどうなっている。六花様からの話だと奴はまだ消滅していないと聞いたが」
「どうもあと一歩で仕留め損ねて逃げられたらしくて、隠遁の術で姿を消したようっす」
「何だと?それは……まずいな」
蛍の返答を聞いて皓月の酒を持つ手が止まる。
すばるが不審に思ったように今人の世に、否神の世には異変が起きていた。
きっかけは幽世で起きた病神の反乱だ。
世界の秩序と均衡を保つには生と死が必要で、幽世には幽世を管理する神が死者を管理している。死者を受け入れ生まれ変わる者を送り出すのが幽世の神の役割で、病神はその配下であり人に病と死を齎すものとして存在していた。その病神があろうことか主人である幽世の神に反旗を翻し、戦争が起きたのだ。
流石にその座を奪われるようなことはなかったものの、幽世の神は不意の一撃を食らい幽世の均衡は乱れた。戦いの余波は現世にまで影響が出て、人の世に不自然なほどの病を齎しているのだ。
討たれてしまえばそのうち病も静まっていくだろうが、逃げ遂せて姿を消したとなると話は変わる。人の世に更なる悪影響を及ぼす可能性があるのだ。例えば病神が現世に姿を現した場合など最悪だ。人の世は病で溢れて多くの人が死ぬことになるだろう。
「少なくともまだ幽世からは出ておりませぬ。幽世の門番には隠遁の術は効きませぬゆえ、出ようとすれば気付かれまする」
「まだ、か」
皓月の懸念を察した篝の言葉。それを聞いても皓月の厳しい顔は崩れることはなく、ゆっくりと盃の酒を飲み干した。
ふ、と酒精の混じった息を漏らし、ついこの間商人達から聞いた話を思い出す。
「夢見の神子が……病が流行る夢を見たと触れを出したそうだ。実際穢れ当たりの病は日を追うごとに増えている。病神は確実に現世に近づいているはずだ」
「うわ、マジっすか。ヤバいなそれ……つーかそれ公表しちゃったんすか……」
要請を受けた大神が天から幽世へ増援を送ったことで病神の眷属は次々と捕らえられているが、肝心の病神が未だ見つからない。このまま奴が神々の軍勢を出し抜いて現世に出てくれば、皓月にとって非常に都合の悪い事態となる。
「はよう見つけて滅せねばなりませぬな。現世に出てしまえば夢見の神子が申すよう、この世に病と死が溢れましょう。そうなれば混乱は必至。すばる殿にもご負担がかかるかと」
「ああ、その通りだ」
半堕ち状態の病神が撒く病は人理を超えた災い。病神を滅するまでの間、すばるがその災いをその身で受けなければならない可能性が高いのだ。
そうなれば最悪、命の危機さえある。
「病神の捜索と並行して浄化の神と精霊が大神の命を受けて幽世の浄化を始めてます。状況をみて現世にも寄越してくださるそうっすよ」
「ああ、そのことについては六花様よりうかがっている。だが、幽世に人手を割いた分こちらの浄化の手が減っているのが現状だ。その分すばるに皺寄せが来ている」
「かといって幽世の穢れを放置すれば幽世に住む者の魂が穢れてしまいまする。魂が穢れては次の生への道が遠ざかり生死の均衡が崩れてしまう。はぁ……ままならぬものにございますね」
溜め息を吐いて片手で己の頬に手を添える篝。成体になったばかりでまだ力の弱い彼女は戦いでは役に立てない。それが酷くもどかしかった。
大神と混沌の神との戦いから千年。ゆっくりと取り戻した生死と天地の均衡を再び崩されてはたまらない。こんな話ばかりではすばるが横にいた時は美味かったはずの酒も不味くなるばかりだ。皓月は苛立ちをぶつけるように鋭い犬歯で硬い干し肉を齧る。
「もし奴が現世に出てくれば私も出るぞ。すばるの身が危険に晒されるより先に私が奴を滅してくれる」
そもそも役割を逸脱した神を罰するのは神の仕事の一つだ。一時すばるの傍を離れることになるだろうが、延いてはそれがすばるの身を守るためになるならやぶさかではない。
陰鬱な顔をした病神の喉を噛み千切る想像をしながら硬い干し肉をガシガシと噛む皓月の姿は獣を彷彿とさせるもので、イタチの妖である蛍は本能的な恐怖にびくりと体を震わせた。
蛍は火の神の使いになる前、妖としてぶいぶい言わせていた頃に皓月に噛み殺されそうになったことがある。無意識に首を擦る蛍を篝は不思議そうに首を傾げて見ていた。
「んで!一通り現状は伝えましたけどどうします?神子さんにもちゃんと伝えた方がいいと思うっすけど……」
「む、そうだったな」
蛍は嫌なことを思い出しそうになって強引に話を戻す。すばるの名を聞いて意識が逸れたのか、皓月の凶悪な狐の顔はなりを潜めた。
「あの子に知られぬうちに解決すればと思っていたが、そうも言っていられんようだ……話すしかあるまい。あまり気は進まんがな」
「左様にございますね。それがよろしいかと」
既に不審に思われている状況だ、これ以上隠しても何もいいことはないだろう。この話を聞いて彼が何を言い出すか考えると頭が痛いが、それでも理由もわからないまま勤めを続けるよりはマシだろうと三人は思う。
状況を理解したうえですばるの負担が増えすぎないように彼を助ける。篝と蛍も戻って人出が増えたのだ、今までのように目が届かずに知らないうちに文に返事を出されることもないだろう。状況を確認し合った三人はとりあえずの結論を得て、肩の力を抜くようにほっと息を吐いた。
「では、難しい話はここで仕舞いにいたしましょう。さ、気を取り直して飲みましょうぞ!」
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