21 / 40
#21
しおりを挟む
補修もままならないボロ長屋に、一体何人住んでいるのだろうか。
生まれも育ちもバラバラな、恵まれない子ども達の住む孤児院。心優しい年老いた神父の元で暮らしていた。
そんな孤児院だが、それほど裕福ではない人間たちからの支援を受けていた。
彼らもまた、神父に育てられた元孤児だった。恩義を忘れず、しばしば食べ物や日用品を差し入れていた。
今日も綺麗な服を着た青年がやってきていた。
荒んだ反抗期の新参者もいた。なまじ物心が着いた後に捨てられてしまったばかりに、周囲と馴染めずいた。
「こんな所にいたって、なんの意味もない」
「どうしてそう思うんだい?」
「小綺麗な身なりのお前にはわかりっこないだろ」
敵意を剥き出しにすると、青年は笑った。
「何がおかしいんだ」
「昔の僕にそっくりだよ。僕はここの出身なんだ」
「・・・」
「そうだ、お土産を食堂に置いてきた。君はフルーツが好きかい?大した量はないけれど仲良く分けておくれ」
――ぶどうをひとつぶどう?
生まれも育ちもバラバラな、恵まれない子ども達の住む孤児院。心優しい年老いた神父の元で暮らしていた。
そんな孤児院だが、それほど裕福ではない人間たちからの支援を受けていた。
彼らもまた、神父に育てられた元孤児だった。恩義を忘れず、しばしば食べ物や日用品を差し入れていた。
今日も綺麗な服を着た青年がやってきていた。
荒んだ反抗期の新参者もいた。なまじ物心が着いた後に捨てられてしまったばかりに、周囲と馴染めずいた。
「こんな所にいたって、なんの意味もない」
「どうしてそう思うんだい?」
「小綺麗な身なりのお前にはわかりっこないだろ」
敵意を剥き出しにすると、青年は笑った。
「何がおかしいんだ」
「昔の僕にそっくりだよ。僕はここの出身なんだ」
「・・・」
「そうだ、お土産を食堂に置いてきた。君はフルーツが好きかい?大した量はないけれど仲良く分けておくれ」
――ぶどうをひとつぶどう?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる