闇堕ち女帝マリア・痴女皇帝建国譚

すずめのおやど

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番外編・カザノヴァ被害者友の会ジェノヴァ支部より・4

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シニョーリ・エしんしとしゅくじょの・シニョーラみなみなさま

ルクレツィア・ボルジアと聞かされて何を連想なさいますでしょうか。

で、そのルクレツィア・ボルジアがこの私でございます。

思い起こせば痴女皇国から伸ばされた手に捕まり、更には兄ともどもマリアリーゼ陛下に召し抱えられ相応の地位を頂けたばかりか、後に東方聖母教会聖母とされたジーナ様との間に出来た子が痴女皇国二代目皇帝になるなど、諸々の出来事が起きましたのですが。

そしてわたくし自身は連邦せかいとかいう、ジーナ様が元々お生まれになり人がカラクリで空を飛ぶどころかよその星までお邪魔しとるような、人にとっては遥か未来となる世の中で暫く、お仕事しとりました。

で、マリアリーゼ陛下からしますと叔母に当たるというアレーゼ様に従者ともども付き従ってアメリゴ大陸を南の端から北の端まで旅しつつも痴女皇国の拠点作りをお手伝いしたかと思えば、本宮に戻って痴女皇国の外交の長とされるなど、あっち行きこっち行きをやらされておりました。

そして、イタリアに戻って来れと言われたばかりか、イタリアの政治の頂点についてくれという辞令を受け取ったのがつい昨日のような思いも抱く日々でございます。

しかし、イタリアの頂点に立ったからと申しましても、世の中にはその上もございます。

わかりやすく申しますと、わたくしの更に上長となるお方が今、目の前におられます。

フラメンシア・バタイユ・ド・ヴァロワ王女殿下…イスパニア女王であり痴女皇国南欧行政局長のイザベル陛下の、実の娘さんです。

で、このフラメンシア殿下。

嫡子嫡女ではなく、庶女です。

そして実の父親が変態作家として悪名が流れたジョルジュ・バタイユという元・フランス貴族。

いえ、本当はフランス貴族の地位を密かに安堵されておるらしいのですけど、建前としてはお仲間のサド侯爵や幼馴染のシモーヌたちが行った悪事の片棒担ぎをやらされたとかでお尋ね者の立場だそうでして。

で、そのバタイユ様の書かれたものや、映画だの舞台劇だの、あたくしも拝見させて頂きましたし、当のバタイユ氏ご本人とパリでお会いしたこともございますけどね。

どうもこのバタイユという御仁、女に弱いというか、押しの強いおなごに弱い節が見受けられます。

そして、よりによって幼馴染のシモーヌが、男をどぎまぎされたり挙句右往左往させることに快感愉悦を抱く部類の、一種の変態女だったことが悪徳の道に進んでしもうた真の理由のようですわね。

見た目はまぁ、うちの兄であるチェーザレ・ボルジアにも勝るとも劣らぬ体格なのですが、どうもその体に乗っかってるおつむの出来が兄ほどには覇気と強引さを感じさせるものではなかったのが、運の尽きってもんでしょうかしら。

まぁ、人の人たるやを見たり、背徳や悪徳について思慮を巡らし道を踏み外す男女についての話を作るのがお上手だというのならば、その才能才覚を存分に生かして頂くのも道というもの。

本当の悪事に邁進するよりは、遥かにマシってものでしょう。

(うちの父親をここまで肯定する人間、なかなかおりまへんで…おめこも女買うのも大好きやし…)

(ほほほほほ、ちょっとくらいペーネちんぽに無節操なくらいでフランスの方は騒がれるのですわね…)

(いやそのルクレツィア閣下、ランス後期中高等学校集団懐妊事件とか、近隣で起きた轢き逃げ殺人事件とか、あげく逃走中に南仏で保養避暑中の英国貴族をたぶらかして救世主教の僧侶を逆強姦殺害した罪に加担さすとかですな、どんだけあのボケのシモーヌと、うちの父親の悪事を揉み消さざるを得なかったか…)

(存じております。そしてサド侯爵の鬼畜行為の数々も。しかし殿下。何とかとはさみってのは使いようでしてよ。そんなドクズだからこそ黄薔薇騎士団の一員に取り立てられて女を辱めることをなりわいにできるというもの…ほほほほほ)

(ああ、そういえばルクレツィア閣下も、に目覚められたんでしたな…)

うー、と嫌そうな顔をなさる、フラメンシア殿下。

この方、イスパニア育ちということもあって、あまり変態の変態たるやという行為はもちろん、人を人に思わぬ鬼畜行為にはあまり良い顔をしない御仁…そう、騎士道とかいう考えも頭の片隅にはある、と思って接すべき部類の方です。

まぁ、そういう考えもありながら結構えげっつないことをやっておったうちの兄チェーザレ、あたくし同様にイスパニアの者の血を引いてはおったのですけどね。

んで、フラメンシア殿下にわっざわざジェノヴァくんだりまでお越し頂いた理由ですけどね。

実のところは今はローマ住まいが多いこのあたくしルクレツィアとしましても、足を運ぶには結構めんどくさい場所なのですよ、ジェノヴァ。

しかし、このジェノヴァだからこそ、場所として色々と都合が良いのです。

そして、ここジェノヴァでドン=ファンなる伝説の女たらしの話に絡んだことどもや、あるいはお尋ね者であるジャコモ・カザノヴァの話をするのが好適だろうと推してきた痴女宮本宮の人物。

表向きは娘のマリアヴェッラと、そしてシニョーラ・田中なのですけどね。

(まぁ、あたしも全力で噛んでるよね…でさぁ、なるべくお腹痛めて産ませるって件だけど、他で撤去した即成栽培チャンバープラントの設置だけで足りるのかな? とりあえずは千基、エマ子に頼んでイタリア各地に配置して苗床の代わりにさせてもらってるけどさ…)
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