218 / 499
番外編・エロ本自販機ものがたり・1
しおりを挟む
iedereen. Ik ga dood van de hitte.
(皆様生きておられますか。私は暑さで死にそうです)
それはそうと、無茶な上司や主君から無茶を言われたらどうなさいますか。
・黙って従う
・文句を言うか任務遂行を拒否する
・上司を選べない部下は会社を選ぶ
で、私こと缶詰女王または缶詰王女と言われて早久しいマルハレータの場合。
「なんでまたそんな紙の無駄を。この時代に紙が貴重品なればこそ余計にもっとこう、高尚なものに使わんのですか」
「いやいやいやマルハちゃん、考えてもみてくれよ…エロ小説や恋愛小説を書くのとさ、エロ漫画を描くこととどっちが楽か…」
「似たようなもんではないのでしょうか…」
「更に言うとエロ本を作る作業として、薄かろうが厚かろうがエロ漫画本を作るのと、エロ写真集特にビニ本と言われるものを作る手間をだな」
一体全体何の話をなさっておられるのか。
まず、↓のお話の方でも言及のあった、わしの単身赴任用プレハブ住宅とやら。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/204/
パメカサン近辺でのお仕事の次はここということで、マドゥラ島の東側にあるスメネプというところに新築というか増築というか…されております。
(このわしの新しいヤサについては次回でご説明させて頂きます…ワイには色々言いたいことが山のようにあるのです…)
それはともかくこのスメネプっちゅう町か村かという集落ですが、ここの沖合にあるカンゲアン諸島なる島へ出る船の港であり、更には古のマドゥラの都でもあったらしいのです。
んで、ここら一体をまとめておる族長に話を聞きつつ、慈母寺の拡張の段取りとか新しい競牛場を兼ねた飛行場の建設の話をつけに来ているパメカサン慈母寺分院所属の尼僧騎士っちゅうのが、今のワイの世を忍ぶ仮の偽装身分の姿だったりします。
(連邦世界だとトルノジョヨ空港ってのがあって、定期便ではスラバヤやスメネブ沖の島々との間を結ぶフランス製の中型双発プロペラ機が飛んでます。滑走路は12/30 1600x30…辛うじて小型ジェット旅客機が離着陸できる長さなので、カエル女の国の双発プロペラ機の採用は止むを得ないようです…)
などと、ベラ子陛下に連邦世界のインドネシア領土でのスメネプの状況とか教えていただきます。
でまぁ、その空港の滑走路をあえて未舗装で作っておいて牛の足を痛めないよう考えた競牛場主体にするのか、はたまたそれなりの重量があるスケアクロウや、着陸時の衝撃だ熱だのの問題がある戦闘機に対応できるように簡易舗装滑走路にしてしまうのか。
要は、わしはその辺を現地視察するかめら役。
「しかし、ここの沖合の小島とかそれなりに人が住んでおる様子、水の便も大変でしょうに…」
これは、スメネプと近辺をまとめる代官役のマドゥラ族長のお宅にお邪魔した際のわしの質問。
「いやいや、古の山の火噴きだの海からの波だの地揺れだの諸々ございまして、住めるところを探して移っていった者たちも多いのですよ…移りたくて移った訳ではございませぬ。もしもよろしければ、そうした島々にもお寺が出来ましたならば、住む者たちにも様々な恩恵を頂けますかと…」
で、この族長氏の発言ですが、慈母寺が単なるBoeddhistische tempel…すなわちオテラであるなどとは、もはやここに至り微塵も思っておられません。
きっちり、南洋王国や背後の痴女皇国の出先行政機関という認識をお持ちです。
そして、この界隈での慈母寺に対する人々の認識。
「あった方がわしらに恩恵ありまくり」
すなわち、牛や豚などの大事な財産たる家畜の分も含めて病気やケガは治してもらえるし、農業指導は受けられる。
で、自分達が女になっただけでなく、飼っていた牛や豚、山羊が肥え太ったり聞き分けがよくなったり、更には今まで以上に力強く耕作や運搬に威力を発揮するようになったことで「この地で百姓やらをやるなら絶対手を結ぶ方がお得」という判断に針が思いっきり振れているのがこの界隈の農民の皆様。
更には漁師の船にも手が入りました。
漁業組合めいた組織の頭がいるらしいので、その頭に許可をもらって半生体発電機内蔵船外機を取り付けた試験船を腕利き漁師の手に預け、従来の船と一緒に出港して頂いた半日後。
「是非なにとぞお寺を増やして下さいませ!我ら一同にあの船を!」
ええ、漁師連中全員、土下座せんばかりの勢いでわしの住宅にまで請願に来ました。
なんでもここの漁師連中は結束力が強く、一人だけで他の漁師を出し抜くのではなく数隻が協調して漁をしているそうですねん。
で、万一の遭難や転覆とかあった場合でも、最低1名は生き残って港に危急消息を知らせるグループ管理方式で出漁する習慣があると。
ですので船の性能を揃えておけるものならそうしたい。
豊漁だからと言って腐らせるのも勿体無いので漁獲量管理はやってると。
更には娘を差し出すかとか元・息子を差し出すかとか。
まぁ、慈母寺を受け入れてくれるのと漁師生活に誇りはあるようなので、男に戻りたい場合は住職に相談しなさいとか適当に言うたあとでここの慈母寺の規模拡大と周辺進出、パメカサン分院管長のカーティカと娘のスピカに話を流しておきます。
とまぁ、マドゥラ人女体化以降の諸々の政策によってですね。
「女にされた恨みよりも女体化した恩恵ありまくりやんけ」
「男に戻しても貰えるようになったし一族断絶どころか保護されとるやんけわしら」
「これもしかして前の南洋王国の王様よりも今の女王様の方がワイらを可愛がってくれてない?」
「いや慈母寺でくれた餌食べさせたら牛とか豚とかめっちゃ肥えてるやん。おまけに休憩さすまで前の倍は働きよるで牛」
「米にしても今までの三分の一くらいの早さで稲穂作るやん。つまり年間3回は米取れるで」
「あの緑色のコカンの形をした器に入った汁を貰うために従う必要あるけど、あれあったら稲やバナナがアホほど獲れるねんで」
ええ。
例の鬼細胞強化駄洒落菌が主成分たる驚異の液体肥料チンポネックス。
ろくでもない副作用はあれど、超凶悪なまでの対象作物繁殖性能を存分に発揮しています。
「今度流刑地で使うために作った試作バージョンのチンポネックスあるじゃん。特定作物向けに効果をプリセットしたやつ。で、それ使ってスイカならスイカ、メロンならメロンをさ、ドクダミなりミントなり竹なりユーカリなりの土壌変質植物がはびこってる土地に種蒔いたとするじゃんか」
ええ、オーストラリアで実演されました。
恐ろしい勢いで、ユーカリならユーカリの木が崩れるように枯れて…いえ、分解されていくのです。
…そして代わりに、怒涛の勢いで我々が指定して種を蒔いた作物が芽吹き育つのです。
砂漠だろうが荒地だろうが赤土色の鉄分とやらを含む土地だろうがお構いなし。その試作型チンポネックスさえ撒けばこうなるそうです。
(神種族の鉄扇公主能力同等の力で雨雲すら呼び込むからな…)
(bactérie calembourに続いて、また生物兵器を開発したのですか…ゴルディーニ閣下はこれ以上頭髪の抜けようがないとしましても、ポワカール閣下の頭を気遣って頂きたいのですが…)
(ジョスリン…オーストラリアでも言われたよ…これはもはや生物兵器だ…麦畑にでも使われて麦以外を栽培されたとすれば、我々に対策する手立てはないってな…)
(マリ公。オーストラリアの関係者、うちらをランチハンド作戦実施者を見る目で見てたからな…後で英国、それも王室からうちらの首根っこは抑えてるから心配すんなって散々言わしてやっと落ち着いたそうやけど…)
そう、人間の食糧となる植物を繁殖させるも枯れ果てさせるも思いのままだそうです。
で、その時に使われた黄色の容器のチンポネックスですが。
(試作品の特別仕様…チンポネックス・ボッキダスだけどさ、その秘密は植物を担当する八百万神種族の五十猛命様と、他ならぬおかみ様が仮に受肉した場合を想定した合成血液細胞を勃起状態の外道ちゃんから採取した血に混ぜたことにあるんだわ。なんせ土質改良や地下水の強制吸引現象すら観測されてるからな…)
また名前も効力を無茶苦茶なもんを作りましたね…大丈夫なんですか…。
(命名理由は、鬼のような勃起力を対象植物に与えるという意味だ。で、この強化バージョンの投入目的は綿花栽培なんだよ)
やっぱり、そこに行きますか。
(もともと綿花栽培ってのは大量の水を要する上に、綿花は綿花で植えた土地の土質を自分好みに改質してしまう悪癖持ちなんだわ…で、元来なら綿花採集用は一年草だが…この強化バージョンを使うと1ヶ月から、最速1週間で収穫できる)
ああ…ジーナ閣下の身体の祖国が真っ赤だった時代に、綿花栽培に必要な水を確保する目的だかで、南洋島の半分くらいの面積の湖を干上がらせた話もお聞きしました。
しかし…その力を出すというか勃起力を与える特別仕様のジール・チンポネックスの恐るべき性能は、ゼニの話に敏感にならざるを得ない私の琴線に触れるには充分過ぎたのです…。
ええ、私は叫びました。
(作付け高、1ヶ月で育つとしても12倍やないですか!1週間仕様なら48倍から60倍…うおおおおゼニとシノギの濃厚な匂いでトビそうですわ!)
ああ、赤い蟹光線作戦の際にも見せたマリアリーゼ陛下の悪党顔。
このお顔には警戒せざるを得ないとはわかっていても、ゼニの花が咲き乱れる幻想には勝てないのです…。
(ぐふふふふふ…そうだよマルハちゃん…育成1ヶ月としても、連邦世界の綿花畑の12分の1の開墾面積で同じ量が取れるんだぜ?)
つまり、元来の綿花畑のために開墾しなくてはならない面積の残りを他の用途にも使えたり、自然のままで放置しておいても良いということになります。
のんびりと広い面積を耕さずとも、限られた耕作地を最大限活用できることになってしまいますよね…。
(ただ、副作用も通常型チンポネックスよりさらに強烈でね…千人卒以上の女官でないとまともに扱えねぇ結果も出てるんだ…もはや通常人類男性には触らせらんねぇんだよ…)
まぁ、最強の鬼らしいメイシェ・ゲドウマルの血、元来はとんでもなく強力な汚染力を持っているのは従来型の緑容器のチンポネックスですら充分に理解できます。
南米尻出国はかんぽ平原で、豆撒いてチンポネックス散布しただけで1ヶ月でこれやで土も入れ替えてへんで、と、ナッソーは海賊酒場でその時の収穫品らしい枝豆をぽりぽりやりながらティアラが見せてくれた聖環の記録映像光景も充分めちゃくちゃなものがありましたから。
(あんた未成年だろ…あたしの奢りだからってコロ○ビール何本も空けやがって…)
(せやからテキーラに切り替えたったやんけ!)
ええ。
カリブ開発に伴うマドゥラ移民提供の代償に、BSE諸島を我が南洋行政局の飛地として貰い受ける話を通したのです、わし。
(妹さんの領土にしてやらねぇのかよ…)
(あいつに領地開発、出来ると思うか?)
(あんたが来ると強引にやりすぎる予感がすんのよ…)
(失敗されるよりマシやないけ!)
まぁ、ティアラとの口喧嘩はともかく。
そして、わしが灸場、ひいては海賊共和国の客分認定されてナッソーの海賊酒場に何本かのキープボトルを置くはめになった話はともかく。
「しかしマリアリーゼ陛下。チンポネックスはともかく、エロ本とやら。なじぇにこげな物をこのマドゥラ…しかも今のマドゥラの中心街たるパメカサンではなくですね、なんでこんな東の外れも外れのスメネプで撒くとかいうお話になるのでせうか。これがチンポネックスを撒くならまだ生産性ってやつの話だと、わしにも理解できるのですが」
「実は、聖院学院での情操教育の問題があるんだ」
は?
まぁ、そこから差し入れの金玉珈琲と絶林檎パイを頂きながらお聞きした内容なのですが。
そして、何故か田野瀬文教局長ではなく、田中内務局長、すなわちマサミ=サンが呼ばれております。
「まず、連邦世界でのインドネシアでは、コミフ○…コミック○ロンティアという催しが開かれています」
で、その会場画像とやらを拝見します。
「イスラム教の影響があって、女性は髪の毛を隠していたり、過激な描写のエロ本はもとより過剰な肌の露出も規制が入るとか制限はきつめなんだけど、それでも日本の同人誌文化がここまで現地を汚染しているのよ…宗教戒律を打ち破って…」
なるほど。いわゆる漫画やアニメとやらの存在はこのマルハレータとて今や知識の範囲内。
そして色恋話やエロ話、わしはどっちかというと規制する行政の側の人間ですが、個人的にはおなごの部類。
更にはこの時代ですから、えらいさんの嗜みということで、文芸文学絵画彫刻音楽等々、エロを思わせる内容にもゼニを出して文化的創作を支援するパトロンの立場でもあります。
(わかるかティアラ…人を助平に走らせるためには自分が助平になるだけやったらあかんのや…人、わけても多感な少年少女の時分からある程度はエロへの想像力や妄想力を高めさせる必要もあるんや…)
ちなみにこのマルハも愚妹ウィレミーナも、それなりに助平知識は密かに蓄えておった部類。
なんせ貿易稼業やら何やらで生計の一翼を担っていたちっこい国の球根詐欺国です。
様々な文化の通過点でもありましたから。
そして、ここだけの話…ヘット・ローやドラケンシュタイン城での避暑時にですね。
うちの父母の密かな屋外情事だの、下男と下女の逢引きだのは何度も目撃しております。
特に、まだ幼いわしら姉妹の寝てる寝台の横でやるかあんたら。
この父母に、わしの行状を批判する権利は一切ない。わしはそう思っております。
あと、下男と下女。主君が狩猟に行った隙に始めるかお前ら。
で、現場にでくわしたわしですが、下男と下女については沈黙を守る代わりに、お前らのまぐわいとやらをわらわに見せてくれやと口止め要求。
ふむふむ庶民のまぐわいとはかくも野獣の如しなどと拝見したばかりか、秘密にしてやるどころか宮廷絵師と戯曲家に話をしてバレんように架空の王家の家来の話として脚色させ、それぞれの作品として密かに作成させましてね。
で、親がロクに小遣いくれんかった代わりとしてアイデア提供料…更には売り上げの一部をせしめることにも成功。
…ええ、その春画と助平戯曲を裏で刷らせ演じさせとやりましてね。
(この件でマルハちゃんの裏金作りを手伝った因縁があるのは内緒で)
と、強姦作戦の際のわしと愚妹の担当だったメーテヒルデ支部長にもお世話になっとったんですよ。
「で、あたしの類似品めいた過去もあったマルハちゃんなら、エロ本を世間に撒き散らす作戦の意図もわかってくれるんじゃないかなーって」
まぁ、自分で絵が描けないとか詩文戯曲の創作ができんでも、それが出来る奴にゼニを払って色々作らせるのも貴人の嗜みという奴です。
そして、文盲を減らしておいたり、芸術への素養を磨かせておく必要はありますが、下々にもこのような文化…例えヤパンのウキヨエ、特にシュンガのようなものであっても。
あるいは、早熟な貴族女子が私小説の噂もあるエロ小説を書いて年増の貴族文芸家行き遅れ女子に睨まれるようなことがあったとしても。
とりあえず、書いたもんを読むとか音楽聞くとか、画家の絵に一家言を言えるくらいの文化芸能への素養は必要だと思うのですわ、わし。
(これはマルハちゃんが球根詐欺の王女だったのもあると思うのよ。小さい国だからこそ国民の団結を煽るために、自国出身の芸術家を喧伝したいとかさ)
(さいでございます。まさしくマサミ=サンの申される通り)
(で、痴女皇国でもかねてから月間痴女宮はもとより、各種マニュアル類に至るまで絵師やウスイ=ホン作家を活用していたのですが、これは女官の中で画才文才に長けた人物を発掘育成する意味もあったのです)
ふむふむ。
そして、アジア圏の言語を操れる絵師やストリップス・アルティスト…つまり漫画家の養成も構想に入っていると。
まぁ、この南洋王国が正にそうなのですが、地元向けの教育材料とかも作りたいと文教局からも話が来ていたこともありですね。
聖 院 学 院 芸 術 学 部 漫 画 科 を創設する動きすらあるそうです。
「ただ、この時代にいきなり、エロ漫画を撒いても売れるどころか読んでもらえるのかとかさぁ…」
「購買部の図書コーナーにわざわざ紙のエロ本置いてたのもそれですか…」
「聖環の電子ブック機能だと売り上げがイマイチで…」
女官を相手に売上とか、身内から金を巻き上げるような臭いもしますが。
まぁともかく、エロ本を売りたいのはわかりました。
ですが、なんでまだマドゥラでも文化的な何がしかが伝わるパメカサンではなく、田舎の上にも田舎なスメネプで。
「でね。試験したい物件があるのよ」
「それが、これと…」
ええ、壊され号の荷台には、何本もの紐と毛布で固定された、大人の背丈より更に高い、長細い箱が。
「マルハちゃん、これは日本のいにしえの文化の産物たる、エロ本自動販売機だ」
はぁ。
で、説明によれば、このからくり、文字通り本を売るそうです。
ただ…その中の仕掛けは「エロ本の寸法に特化した構造」だそうです。
即ち、分厚いエロ本ではなく、いわゆる薄い本を売るためのもの。
「それと、このスメネプ慈母寺、南洋慈母寺では目新しい構造を採用しただろ」
ええ。
幼年学校、併設。
南洋島まで子供を通わせたり寄宿させるには条件が厳しい町や村向けに、小規模の教育設備を備えた慈母寺を建設することで、地元民の教育をその地域でまかなう事が企図されました。
なんせ、我が南洋行政局の管轄する島々、結構大きいのばかり。
今後の開発に伴い、国民の教育はいずれ避けて通れぬ話として、その教育の場の提供に際して議論が重ねられていた案件でもあります。
ですから、学校を併設した慈母寺の様子を見るのも、わしがこんなマドゥラの東の果てに来てる理由でもあったわけです。
ただ…それとエロ本、話が全く別ではないでしょうか。
そもそも、子供にエロ本を読ませるべきなのか。
「あるでしょう…早熟児童を大量生産している理由も聞いてるよね?」
そう、ガキの旺盛な好奇心と欲望、そして大人扱いされたり大人になったぞというガキ同士のまうんとがっせんとやら。
こうした思春期未成年特有…わしもなんですけどな…を利用して旺盛かつ大量の精気を抜きまくるために聖院学院を創立したのも習わされました。
とまぁ、失敗した場合も影響が少ないと思われるこのスメネプでまず、試させて欲しいとか言われまして。
更には、経費も一応は内務局持ち。
(本当は教育事業だから文教局の予算も使ってるんだけど、マルハちゃんには直接関係ないからね)
そう…このエロ本販売というか頒布、あくまでも教育活動の一環としての出版事業なのです。
連邦世界の常識には疎いかも知れないわしですら、国家、それも児童教育を行う部署がエロ本を売る件。
そしてですねぇ、運ばれて来たエロ本販売機、電源が必要なのはわかりますよ。
なんでよりによって慈母寺の裏手に置くんですか。
「表だと少年が買えないだろ…」
うーむ。
ええ、さすがにこの頃にはこのわしとて「慈母寺や聖母教会の話を連邦世界の皆様にお話しすると、彼らが頭を抱えるほどに向こう様の常識とは大きくかけ離れた危険かつ不謹慎という反応が返る」という事に気づいております。
すなわち、寺や教会がエロ本を売ったりエロ教師を配備して性教育を担当する件を向こう様に「これが日常やで」というと頭を抱えられることにも。
で、エロ本を買う買えないという話の件。
南洋王国ではスカルノ朝の樹立を宣言した後、まずは茸島と南洋島において聖環を支給し、手持ちの貨幣を慈母寺で聖環口座に入金することを推奨しました。
そしてジョクジャカルタの北側とかスマランとかジャカルタにスラバヤといった特定の街区以外では、農産物の買取やら衣料品日用品の販売や支給、更には納税についても日常生活から貨幣の流通をなくし、更には食料衣料日用品は基本的に慈母寺が支給するとしたのです。
以前には、貨幣がなくなって行ってるお話もあったかと思いますけど、慈母寺が主導で農業させてる村ではモノは買うのではなく慈母寺が「与える」形態になっておるのです…。
更には、特定街区でも貨幣流通をどんどんと減らして行っております。
なにせ店のあるじでもややこしい計算をする回数が減るし、口約束や価格やお釣りのごまかしなどが出来なくなる反面、明朗会計。
(その代わり倒産したら町民が困るんやけどコケそうな店をわしらが実質乗っ取って行くとか、経済の基幹をわしらが抑える体制取って行ってるんですけどな)
で、一旦はこうして国民生活からお金のやりとりを無くしていってから。
(次に来るのは痴女宮の女官や罪人と同様の報奨金制度っちゅうわけですわ。要は人は学び、そして働くのは義務やけど、納税の手間は省いたる。そのかわりにお前らが働いた結果のゼニのやりとりもお前らから省かれるのは承知してくれやというのが南洋王国でやってる無貨幣経済の基本ですねや)
ええ、原始共産制とか言ってめちゃくちゃ呆れられたあれです。
んで、生活の面倒をみてやるかわりにお給金はない。
ないんだけど、単純な労働以上のことができた人にはご褒美をあげましょう。
もしくは、お仕事を頑張ったりお勉強を頑張った人にも、ご褒美のおこづかいをあげましょう。
そう…わしらはもちろん、ベラ子陛下やマリアリーゼ陛下までが基本的にはこの考えに従って「国から皇帝のおつとめをこなした褒美のおこづかい」をもらっている立場なのです、痴女皇国女官自体は。
だから、便宜的に世渡りをするためのお小遣いに加えて聖院時代の考えを踏襲している「女官は一定期間のお勤めが終わったら還俗が基本」の原則に従って、還俗した時に無一文じゃ困るだろうから勤務実績と年数に応じて持参金を持たせてあげるためというのが、報償金の考えの基本なのだそうです。
つまりあの金、じゃっばじゃばと湯水のごとく使うために渡してる銭金じゃないそうなのですよ…。
(もちろんちんぽが生えた千人卒以上は死亡還俗が基本になり、死亡女官の報償金貯蓄は聖院同様に痴女皇国へ返還される。言ってみれば千人卒以上の報償金は現物支給ではままならない物品の購入などなど、あたしらが統治してる連中へ金を渡す便宜を図るための個人裁量予算が元来の理由なんだよな)
(で、聖院同様に痴女皇国では女官採用の時点で元来は個人資産を持てなくなります。理由は全てを聖院に捧げるべしの聖院規範があるからね…これが聖院または痴女皇国の女官になったが最後、基本的人権は保証できないよってあたしが言ってる根拠なのよ。某漫画で言うなら、女官は聖院の構成部品、ネジなのよ…ただ、ネジである期間は有期限が基本。お勤めが終われば還俗という形で人に戻れます)
これにうちの愚妹たるアホのウィレミは反発しとりました…ええ。
ただ、わしは「若返らせたり大人にしてくれたり、挙句知識を与えたり強くするわ美女になれるわ。こんなことを無償でやってくれる都合のよい何かがこの世にあるもんか。この代償やいかに」と思ってましたけどね。
(堕天使連中がマルハレータ殿下とは話が通じると言ってたもんな…つまり相手が悪魔だろうが天使だろうが「取引可能なら取引する」というのがマルハちゃんの基本思考なんだよ…)
ですから、うちの財布や、南洋行政局では一般住民からは慎重に隠されている内部的な貨幣経済に伴う予算、これさえ脅かさなければ、エロ本を売ったり配るのはオゥケィと思ってますよ、わし自身は。
ただ…子供たちがエロ本を買えるようにしないと、企画倒れになると思うのです…。
「正直なところ、慈母寺や聖母教会で行う性教育と、痴女島や茸島の売春、ひいては私たちがやってる精気授受行為は理想と現実の差よね」
まぁ、普通は変態行為をやったりやらせませんわな…。
「だからあくまでもエロ本の内容はそれこそウスイ=ホンや商業エロマンガ、そして淋の森での売春実態のようなもの。自己責任でお金を出して買うべきだとしたいのよ…」
「で、雅美さんの案で行くと少年、ことによると少女たちにもお小遣いは必要になるだろ」
「ですね、お金を使わせるんやったらお小遣い、それも親に使途を追求されにくいお金を渡す必要があるかと」
「現状ではマドゥラ限定だけど、そのお小遣いを合法的に渡す方法がある。りええ…室見国土局長の発案した、子供鉄道がそれだ」
(皆様生きておられますか。私は暑さで死にそうです)
それはそうと、無茶な上司や主君から無茶を言われたらどうなさいますか。
・黙って従う
・文句を言うか任務遂行を拒否する
・上司を選べない部下は会社を選ぶ
で、私こと缶詰女王または缶詰王女と言われて早久しいマルハレータの場合。
「なんでまたそんな紙の無駄を。この時代に紙が貴重品なればこそ余計にもっとこう、高尚なものに使わんのですか」
「いやいやいやマルハちゃん、考えてもみてくれよ…エロ小説や恋愛小説を書くのとさ、エロ漫画を描くこととどっちが楽か…」
「似たようなもんではないのでしょうか…」
「更に言うとエロ本を作る作業として、薄かろうが厚かろうがエロ漫画本を作るのと、エロ写真集特にビニ本と言われるものを作る手間をだな」
一体全体何の話をなさっておられるのか。
まず、↓のお話の方でも言及のあった、わしの単身赴任用プレハブ住宅とやら。
https://novel18.syosetu.com/n5728gy/204/
パメカサン近辺でのお仕事の次はここということで、マドゥラ島の東側にあるスメネプというところに新築というか増築というか…されております。
(このわしの新しいヤサについては次回でご説明させて頂きます…ワイには色々言いたいことが山のようにあるのです…)
それはともかくこのスメネプっちゅう町か村かという集落ですが、ここの沖合にあるカンゲアン諸島なる島へ出る船の港であり、更には古のマドゥラの都でもあったらしいのです。
んで、ここら一体をまとめておる族長に話を聞きつつ、慈母寺の拡張の段取りとか新しい競牛場を兼ねた飛行場の建設の話をつけに来ているパメカサン慈母寺分院所属の尼僧騎士っちゅうのが、今のワイの世を忍ぶ仮の偽装身分の姿だったりします。
(連邦世界だとトルノジョヨ空港ってのがあって、定期便ではスラバヤやスメネブ沖の島々との間を結ぶフランス製の中型双発プロペラ機が飛んでます。滑走路は12/30 1600x30…辛うじて小型ジェット旅客機が離着陸できる長さなので、カエル女の国の双発プロペラ機の採用は止むを得ないようです…)
などと、ベラ子陛下に連邦世界のインドネシア領土でのスメネプの状況とか教えていただきます。
でまぁ、その空港の滑走路をあえて未舗装で作っておいて牛の足を痛めないよう考えた競牛場主体にするのか、はたまたそれなりの重量があるスケアクロウや、着陸時の衝撃だ熱だのの問題がある戦闘機に対応できるように簡易舗装滑走路にしてしまうのか。
要は、わしはその辺を現地視察するかめら役。
「しかし、ここの沖合の小島とかそれなりに人が住んでおる様子、水の便も大変でしょうに…」
これは、スメネプと近辺をまとめる代官役のマドゥラ族長のお宅にお邪魔した際のわしの質問。
「いやいや、古の山の火噴きだの海からの波だの地揺れだの諸々ございまして、住めるところを探して移っていった者たちも多いのですよ…移りたくて移った訳ではございませぬ。もしもよろしければ、そうした島々にもお寺が出来ましたならば、住む者たちにも様々な恩恵を頂けますかと…」
で、この族長氏の発言ですが、慈母寺が単なるBoeddhistische tempel…すなわちオテラであるなどとは、もはやここに至り微塵も思っておられません。
きっちり、南洋王国や背後の痴女皇国の出先行政機関という認識をお持ちです。
そして、この界隈での慈母寺に対する人々の認識。
「あった方がわしらに恩恵ありまくり」
すなわち、牛や豚などの大事な財産たる家畜の分も含めて病気やケガは治してもらえるし、農業指導は受けられる。
で、自分達が女になっただけでなく、飼っていた牛や豚、山羊が肥え太ったり聞き分けがよくなったり、更には今まで以上に力強く耕作や運搬に威力を発揮するようになったことで「この地で百姓やらをやるなら絶対手を結ぶ方がお得」という判断に針が思いっきり振れているのがこの界隈の農民の皆様。
更には漁師の船にも手が入りました。
漁業組合めいた組織の頭がいるらしいので、その頭に許可をもらって半生体発電機内蔵船外機を取り付けた試験船を腕利き漁師の手に預け、従来の船と一緒に出港して頂いた半日後。
「是非なにとぞお寺を増やして下さいませ!我ら一同にあの船を!」
ええ、漁師連中全員、土下座せんばかりの勢いでわしの住宅にまで請願に来ました。
なんでもここの漁師連中は結束力が強く、一人だけで他の漁師を出し抜くのではなく数隻が協調して漁をしているそうですねん。
で、万一の遭難や転覆とかあった場合でも、最低1名は生き残って港に危急消息を知らせるグループ管理方式で出漁する習慣があると。
ですので船の性能を揃えておけるものならそうしたい。
豊漁だからと言って腐らせるのも勿体無いので漁獲量管理はやってると。
更には娘を差し出すかとか元・息子を差し出すかとか。
まぁ、慈母寺を受け入れてくれるのと漁師生活に誇りはあるようなので、男に戻りたい場合は住職に相談しなさいとか適当に言うたあとでここの慈母寺の規模拡大と周辺進出、パメカサン分院管長のカーティカと娘のスピカに話を流しておきます。
とまぁ、マドゥラ人女体化以降の諸々の政策によってですね。
「女にされた恨みよりも女体化した恩恵ありまくりやんけ」
「男に戻しても貰えるようになったし一族断絶どころか保護されとるやんけわしら」
「これもしかして前の南洋王国の王様よりも今の女王様の方がワイらを可愛がってくれてない?」
「いや慈母寺でくれた餌食べさせたら牛とか豚とかめっちゃ肥えてるやん。おまけに休憩さすまで前の倍は働きよるで牛」
「米にしても今までの三分の一くらいの早さで稲穂作るやん。つまり年間3回は米取れるで」
「あの緑色のコカンの形をした器に入った汁を貰うために従う必要あるけど、あれあったら稲やバナナがアホほど獲れるねんで」
ええ。
例の鬼細胞強化駄洒落菌が主成分たる驚異の液体肥料チンポネックス。
ろくでもない副作用はあれど、超凶悪なまでの対象作物繁殖性能を存分に発揮しています。
「今度流刑地で使うために作った試作バージョンのチンポネックスあるじゃん。特定作物向けに効果をプリセットしたやつ。で、それ使ってスイカならスイカ、メロンならメロンをさ、ドクダミなりミントなり竹なりユーカリなりの土壌変質植物がはびこってる土地に種蒔いたとするじゃんか」
ええ、オーストラリアで実演されました。
恐ろしい勢いで、ユーカリならユーカリの木が崩れるように枯れて…いえ、分解されていくのです。
…そして代わりに、怒涛の勢いで我々が指定して種を蒔いた作物が芽吹き育つのです。
砂漠だろうが荒地だろうが赤土色の鉄分とやらを含む土地だろうがお構いなし。その試作型チンポネックスさえ撒けばこうなるそうです。
(神種族の鉄扇公主能力同等の力で雨雲すら呼び込むからな…)
(bactérie calembourに続いて、また生物兵器を開発したのですか…ゴルディーニ閣下はこれ以上頭髪の抜けようがないとしましても、ポワカール閣下の頭を気遣って頂きたいのですが…)
(ジョスリン…オーストラリアでも言われたよ…これはもはや生物兵器だ…麦畑にでも使われて麦以外を栽培されたとすれば、我々に対策する手立てはないってな…)
(マリ公。オーストラリアの関係者、うちらをランチハンド作戦実施者を見る目で見てたからな…後で英国、それも王室からうちらの首根っこは抑えてるから心配すんなって散々言わしてやっと落ち着いたそうやけど…)
そう、人間の食糧となる植物を繁殖させるも枯れ果てさせるも思いのままだそうです。
で、その時に使われた黄色の容器のチンポネックスですが。
(試作品の特別仕様…チンポネックス・ボッキダスだけどさ、その秘密は植物を担当する八百万神種族の五十猛命様と、他ならぬおかみ様が仮に受肉した場合を想定した合成血液細胞を勃起状態の外道ちゃんから採取した血に混ぜたことにあるんだわ。なんせ土質改良や地下水の強制吸引現象すら観測されてるからな…)
また名前も効力を無茶苦茶なもんを作りましたね…大丈夫なんですか…。
(命名理由は、鬼のような勃起力を対象植物に与えるという意味だ。で、この強化バージョンの投入目的は綿花栽培なんだよ)
やっぱり、そこに行きますか。
(もともと綿花栽培ってのは大量の水を要する上に、綿花は綿花で植えた土地の土質を自分好みに改質してしまう悪癖持ちなんだわ…で、元来なら綿花採集用は一年草だが…この強化バージョンを使うと1ヶ月から、最速1週間で収穫できる)
ああ…ジーナ閣下の身体の祖国が真っ赤だった時代に、綿花栽培に必要な水を確保する目的だかで、南洋島の半分くらいの面積の湖を干上がらせた話もお聞きしました。
しかし…その力を出すというか勃起力を与える特別仕様のジール・チンポネックスの恐るべき性能は、ゼニの話に敏感にならざるを得ない私の琴線に触れるには充分過ぎたのです…。
ええ、私は叫びました。
(作付け高、1ヶ月で育つとしても12倍やないですか!1週間仕様なら48倍から60倍…うおおおおゼニとシノギの濃厚な匂いでトビそうですわ!)
ああ、赤い蟹光線作戦の際にも見せたマリアリーゼ陛下の悪党顔。
このお顔には警戒せざるを得ないとはわかっていても、ゼニの花が咲き乱れる幻想には勝てないのです…。
(ぐふふふふふ…そうだよマルハちゃん…育成1ヶ月としても、連邦世界の綿花畑の12分の1の開墾面積で同じ量が取れるんだぜ?)
つまり、元来の綿花畑のために開墾しなくてはならない面積の残りを他の用途にも使えたり、自然のままで放置しておいても良いということになります。
のんびりと広い面積を耕さずとも、限られた耕作地を最大限活用できることになってしまいますよね…。
(ただ、副作用も通常型チンポネックスよりさらに強烈でね…千人卒以上の女官でないとまともに扱えねぇ結果も出てるんだ…もはや通常人類男性には触らせらんねぇんだよ…)
まぁ、最強の鬼らしいメイシェ・ゲドウマルの血、元来はとんでもなく強力な汚染力を持っているのは従来型の緑容器のチンポネックスですら充分に理解できます。
南米尻出国はかんぽ平原で、豆撒いてチンポネックス散布しただけで1ヶ月でこれやで土も入れ替えてへんで、と、ナッソーは海賊酒場でその時の収穫品らしい枝豆をぽりぽりやりながらティアラが見せてくれた聖環の記録映像光景も充分めちゃくちゃなものがありましたから。
(あんた未成年だろ…あたしの奢りだからってコロ○ビール何本も空けやがって…)
(せやからテキーラに切り替えたったやんけ!)
ええ。
カリブ開発に伴うマドゥラ移民提供の代償に、BSE諸島を我が南洋行政局の飛地として貰い受ける話を通したのです、わし。
(妹さんの領土にしてやらねぇのかよ…)
(あいつに領地開発、出来ると思うか?)
(あんたが来ると強引にやりすぎる予感がすんのよ…)
(失敗されるよりマシやないけ!)
まぁ、ティアラとの口喧嘩はともかく。
そして、わしが灸場、ひいては海賊共和国の客分認定されてナッソーの海賊酒場に何本かのキープボトルを置くはめになった話はともかく。
「しかしマリアリーゼ陛下。チンポネックスはともかく、エロ本とやら。なじぇにこげな物をこのマドゥラ…しかも今のマドゥラの中心街たるパメカサンではなくですね、なんでこんな東の外れも外れのスメネプで撒くとかいうお話になるのでせうか。これがチンポネックスを撒くならまだ生産性ってやつの話だと、わしにも理解できるのですが」
「実は、聖院学院での情操教育の問題があるんだ」
は?
まぁ、そこから差し入れの金玉珈琲と絶林檎パイを頂きながらお聞きした内容なのですが。
そして、何故か田野瀬文教局長ではなく、田中内務局長、すなわちマサミ=サンが呼ばれております。
「まず、連邦世界でのインドネシアでは、コミフ○…コミック○ロンティアという催しが開かれています」
で、その会場画像とやらを拝見します。
「イスラム教の影響があって、女性は髪の毛を隠していたり、過激な描写のエロ本はもとより過剰な肌の露出も規制が入るとか制限はきつめなんだけど、それでも日本の同人誌文化がここまで現地を汚染しているのよ…宗教戒律を打ち破って…」
なるほど。いわゆる漫画やアニメとやらの存在はこのマルハレータとて今や知識の範囲内。
そして色恋話やエロ話、わしはどっちかというと規制する行政の側の人間ですが、個人的にはおなごの部類。
更にはこの時代ですから、えらいさんの嗜みということで、文芸文学絵画彫刻音楽等々、エロを思わせる内容にもゼニを出して文化的創作を支援するパトロンの立場でもあります。
(わかるかティアラ…人を助平に走らせるためには自分が助平になるだけやったらあかんのや…人、わけても多感な少年少女の時分からある程度はエロへの想像力や妄想力を高めさせる必要もあるんや…)
ちなみにこのマルハも愚妹ウィレミーナも、それなりに助平知識は密かに蓄えておった部類。
なんせ貿易稼業やら何やらで生計の一翼を担っていたちっこい国の球根詐欺国です。
様々な文化の通過点でもありましたから。
そして、ここだけの話…ヘット・ローやドラケンシュタイン城での避暑時にですね。
うちの父母の密かな屋外情事だの、下男と下女の逢引きだのは何度も目撃しております。
特に、まだ幼いわしら姉妹の寝てる寝台の横でやるかあんたら。
この父母に、わしの行状を批判する権利は一切ない。わしはそう思っております。
あと、下男と下女。主君が狩猟に行った隙に始めるかお前ら。
で、現場にでくわしたわしですが、下男と下女については沈黙を守る代わりに、お前らのまぐわいとやらをわらわに見せてくれやと口止め要求。
ふむふむ庶民のまぐわいとはかくも野獣の如しなどと拝見したばかりか、秘密にしてやるどころか宮廷絵師と戯曲家に話をしてバレんように架空の王家の家来の話として脚色させ、それぞれの作品として密かに作成させましてね。
で、親がロクに小遣いくれんかった代わりとしてアイデア提供料…更には売り上げの一部をせしめることにも成功。
…ええ、その春画と助平戯曲を裏で刷らせ演じさせとやりましてね。
(この件でマルハちゃんの裏金作りを手伝った因縁があるのは内緒で)
と、強姦作戦の際のわしと愚妹の担当だったメーテヒルデ支部長にもお世話になっとったんですよ。
「で、あたしの類似品めいた過去もあったマルハちゃんなら、エロ本を世間に撒き散らす作戦の意図もわかってくれるんじゃないかなーって」
まぁ、自分で絵が描けないとか詩文戯曲の創作ができんでも、それが出来る奴にゼニを払って色々作らせるのも貴人の嗜みという奴です。
そして、文盲を減らしておいたり、芸術への素養を磨かせておく必要はありますが、下々にもこのような文化…例えヤパンのウキヨエ、特にシュンガのようなものであっても。
あるいは、早熟な貴族女子が私小説の噂もあるエロ小説を書いて年増の貴族文芸家行き遅れ女子に睨まれるようなことがあったとしても。
とりあえず、書いたもんを読むとか音楽聞くとか、画家の絵に一家言を言えるくらいの文化芸能への素養は必要だと思うのですわ、わし。
(これはマルハちゃんが球根詐欺の王女だったのもあると思うのよ。小さい国だからこそ国民の団結を煽るために、自国出身の芸術家を喧伝したいとかさ)
(さいでございます。まさしくマサミ=サンの申される通り)
(で、痴女皇国でもかねてから月間痴女宮はもとより、各種マニュアル類に至るまで絵師やウスイ=ホン作家を活用していたのですが、これは女官の中で画才文才に長けた人物を発掘育成する意味もあったのです)
ふむふむ。
そして、アジア圏の言語を操れる絵師やストリップス・アルティスト…つまり漫画家の養成も構想に入っていると。
まぁ、この南洋王国が正にそうなのですが、地元向けの教育材料とかも作りたいと文教局からも話が来ていたこともありですね。
聖 院 学 院 芸 術 学 部 漫 画 科 を創設する動きすらあるそうです。
「ただ、この時代にいきなり、エロ漫画を撒いても売れるどころか読んでもらえるのかとかさぁ…」
「購買部の図書コーナーにわざわざ紙のエロ本置いてたのもそれですか…」
「聖環の電子ブック機能だと売り上げがイマイチで…」
女官を相手に売上とか、身内から金を巻き上げるような臭いもしますが。
まぁともかく、エロ本を売りたいのはわかりました。
ですが、なんでまだマドゥラでも文化的な何がしかが伝わるパメカサンではなく、田舎の上にも田舎なスメネプで。
「でね。試験したい物件があるのよ」
「それが、これと…」
ええ、壊され号の荷台には、何本もの紐と毛布で固定された、大人の背丈より更に高い、長細い箱が。
「マルハちゃん、これは日本のいにしえの文化の産物たる、エロ本自動販売機だ」
はぁ。
で、説明によれば、このからくり、文字通り本を売るそうです。
ただ…その中の仕掛けは「エロ本の寸法に特化した構造」だそうです。
即ち、分厚いエロ本ではなく、いわゆる薄い本を売るためのもの。
「それと、このスメネプ慈母寺、南洋慈母寺では目新しい構造を採用しただろ」
ええ。
幼年学校、併設。
南洋島まで子供を通わせたり寄宿させるには条件が厳しい町や村向けに、小規模の教育設備を備えた慈母寺を建設することで、地元民の教育をその地域でまかなう事が企図されました。
なんせ、我が南洋行政局の管轄する島々、結構大きいのばかり。
今後の開発に伴い、国民の教育はいずれ避けて通れぬ話として、その教育の場の提供に際して議論が重ねられていた案件でもあります。
ですから、学校を併設した慈母寺の様子を見るのも、わしがこんなマドゥラの東の果てに来てる理由でもあったわけです。
ただ…それとエロ本、話が全く別ではないでしょうか。
そもそも、子供にエロ本を読ませるべきなのか。
「あるでしょう…早熟児童を大量生産している理由も聞いてるよね?」
そう、ガキの旺盛な好奇心と欲望、そして大人扱いされたり大人になったぞというガキ同士のまうんとがっせんとやら。
こうした思春期未成年特有…わしもなんですけどな…を利用して旺盛かつ大量の精気を抜きまくるために聖院学院を創立したのも習わされました。
とまぁ、失敗した場合も影響が少ないと思われるこのスメネプでまず、試させて欲しいとか言われまして。
更には、経費も一応は内務局持ち。
(本当は教育事業だから文教局の予算も使ってるんだけど、マルハちゃんには直接関係ないからね)
そう…このエロ本販売というか頒布、あくまでも教育活動の一環としての出版事業なのです。
連邦世界の常識には疎いかも知れないわしですら、国家、それも児童教育を行う部署がエロ本を売る件。
そしてですねぇ、運ばれて来たエロ本販売機、電源が必要なのはわかりますよ。
なんでよりによって慈母寺の裏手に置くんですか。
「表だと少年が買えないだろ…」
うーむ。
ええ、さすがにこの頃にはこのわしとて「慈母寺や聖母教会の話を連邦世界の皆様にお話しすると、彼らが頭を抱えるほどに向こう様の常識とは大きくかけ離れた危険かつ不謹慎という反応が返る」という事に気づいております。
すなわち、寺や教会がエロ本を売ったりエロ教師を配備して性教育を担当する件を向こう様に「これが日常やで」というと頭を抱えられることにも。
で、エロ本を買う買えないという話の件。
南洋王国ではスカルノ朝の樹立を宣言した後、まずは茸島と南洋島において聖環を支給し、手持ちの貨幣を慈母寺で聖環口座に入金することを推奨しました。
そしてジョクジャカルタの北側とかスマランとかジャカルタにスラバヤといった特定の街区以外では、農産物の買取やら衣料品日用品の販売や支給、更には納税についても日常生活から貨幣の流通をなくし、更には食料衣料日用品は基本的に慈母寺が支給するとしたのです。
以前には、貨幣がなくなって行ってるお話もあったかと思いますけど、慈母寺が主導で農業させてる村ではモノは買うのではなく慈母寺が「与える」形態になっておるのです…。
更には、特定街区でも貨幣流通をどんどんと減らして行っております。
なにせ店のあるじでもややこしい計算をする回数が減るし、口約束や価格やお釣りのごまかしなどが出来なくなる反面、明朗会計。
(その代わり倒産したら町民が困るんやけどコケそうな店をわしらが実質乗っ取って行くとか、経済の基幹をわしらが抑える体制取って行ってるんですけどな)
で、一旦はこうして国民生活からお金のやりとりを無くしていってから。
(次に来るのは痴女宮の女官や罪人と同様の報奨金制度っちゅうわけですわ。要は人は学び、そして働くのは義務やけど、納税の手間は省いたる。そのかわりにお前らが働いた結果のゼニのやりとりもお前らから省かれるのは承知してくれやというのが南洋王国でやってる無貨幣経済の基本ですねや)
ええ、原始共産制とか言ってめちゃくちゃ呆れられたあれです。
んで、生活の面倒をみてやるかわりにお給金はない。
ないんだけど、単純な労働以上のことができた人にはご褒美をあげましょう。
もしくは、お仕事を頑張ったりお勉強を頑張った人にも、ご褒美のおこづかいをあげましょう。
そう…わしらはもちろん、ベラ子陛下やマリアリーゼ陛下までが基本的にはこの考えに従って「国から皇帝のおつとめをこなした褒美のおこづかい」をもらっている立場なのです、痴女皇国女官自体は。
だから、便宜的に世渡りをするためのお小遣いに加えて聖院時代の考えを踏襲している「女官は一定期間のお勤めが終わったら還俗が基本」の原則に従って、還俗した時に無一文じゃ困るだろうから勤務実績と年数に応じて持参金を持たせてあげるためというのが、報償金の考えの基本なのだそうです。
つまりあの金、じゃっばじゃばと湯水のごとく使うために渡してる銭金じゃないそうなのですよ…。
(もちろんちんぽが生えた千人卒以上は死亡還俗が基本になり、死亡女官の報償金貯蓄は聖院同様に痴女皇国へ返還される。言ってみれば千人卒以上の報償金は現物支給ではままならない物品の購入などなど、あたしらが統治してる連中へ金を渡す便宜を図るための個人裁量予算が元来の理由なんだよな)
(で、聖院同様に痴女皇国では女官採用の時点で元来は個人資産を持てなくなります。理由は全てを聖院に捧げるべしの聖院規範があるからね…これが聖院または痴女皇国の女官になったが最後、基本的人権は保証できないよってあたしが言ってる根拠なのよ。某漫画で言うなら、女官は聖院の構成部品、ネジなのよ…ただ、ネジである期間は有期限が基本。お勤めが終われば還俗という形で人に戻れます)
これにうちの愚妹たるアホのウィレミは反発しとりました…ええ。
ただ、わしは「若返らせたり大人にしてくれたり、挙句知識を与えたり強くするわ美女になれるわ。こんなことを無償でやってくれる都合のよい何かがこの世にあるもんか。この代償やいかに」と思ってましたけどね。
(堕天使連中がマルハレータ殿下とは話が通じると言ってたもんな…つまり相手が悪魔だろうが天使だろうが「取引可能なら取引する」というのがマルハちゃんの基本思考なんだよ…)
ですから、うちの財布や、南洋行政局では一般住民からは慎重に隠されている内部的な貨幣経済に伴う予算、これさえ脅かさなければ、エロ本を売ったり配るのはオゥケィと思ってますよ、わし自身は。
ただ…子供たちがエロ本を買えるようにしないと、企画倒れになると思うのです…。
「正直なところ、慈母寺や聖母教会で行う性教育と、痴女島や茸島の売春、ひいては私たちがやってる精気授受行為は理想と現実の差よね」
まぁ、普通は変態行為をやったりやらせませんわな…。
「だからあくまでもエロ本の内容はそれこそウスイ=ホンや商業エロマンガ、そして淋の森での売春実態のようなもの。自己責任でお金を出して買うべきだとしたいのよ…」
「で、雅美さんの案で行くと少年、ことによると少女たちにもお小遣いは必要になるだろ」
「ですね、お金を使わせるんやったらお小遣い、それも親に使途を追求されにくいお金を渡す必要があるかと」
「現状ではマドゥラ限定だけど、そのお小遣いを合法的に渡す方法がある。りええ…室見国土局長の発案した、子供鉄道がそれだ」
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる