3 / 5
嫉妬
しおりを挟む
新クラスになり、僕は偶然にも未央と同じクラス、しかも隣の席となった。毎朝おはようを交わし合い、授業の合間にもよく話すようになった。こう改めて未央と2人でたくさん話をしてみると、どれ程会話が心地よかったのかを実感した。そして話せば話すほど、もっとたくさん喋りたい、もっと未央のことをたくさん知りたいと思うようになってきた。
新クラスとなり1ヶ月ほどが過ぎたとある日のお昼、僕は新2年のクラスになり仲良くなった東條正志と一緒にご飯を食べていた。
「英之さ、クラスの女子の中で誰が1番可愛いと思う?」
「んー、うちのクラス結構可愛い人多いからな」
「それ俺も思った。まじで可愛い子多いしこのクラス最高」
「てか正志彼女いるだろ?あんまそんなこと言ってるとまた彼女に怒られるぞ」
「またとか言うな。昨日も怒られてなだめるの大変だったんだぞ」
「ちなみに正志は誰が1番可愛いと思う?」
「えーっとあの子、斎藤未央ちゃんって子」
その名前を聞いた時、僕はかなりドキッとした。
「確かに、席隣だけどめっちゃ可愛いと思う」
「そういや英之隣だったわ、ずるくね?」
「毎日喋ってるけどめっちゃ楽しいよ」
「俺は学校ではあんま喋らないけどメールならめっちゃするよ」
そういって正志は僕に未央とのトークを見せてきた。
そこに映る正志と未央との楽しげな会話を目にした時、僕は自分の胸が締め付けられるのを確かに感じた。
正志の性格を僕は知っているので、正志が未央と連絡を取りあっていることで嫌いになると事はない。とりあえず色んな女の子と仲良くしておく。そういう性格だし、はたから見ていてもとても面白かった。
それに正志に彼女がいるという事はそれなりに学年の中では有名な話ではあるので、正志と未央が恋愛関係に発展する事はないだろう。そんな事は頭では充分に分かっている。
分かってはいるがー
未央と正志のトークを見た時、僕が抱いた感情は確かに嫉妬に似た感情だった。
今まで僕は自分が未央に対してどのような感情を抱いているのかがあやふやであった。あまりにも全てにおいて綺麗で醜いところや汚い所が全くなかった。そんな未央のことを僕は今まで天使のようだと思ってきた。清廉で純粋で、そんな彼女を恋愛対象として自分なんかが見ていいいのか、純白な彼女に対する不純となり得るのではないかと思ってきた。
でも、この感情を抱いたときにようやく自覚した。
僕は未央のことが好きだ。自分でもどうしようもないくらいに、一緒に話せば鼓動は高鳴り、その綺麗な肌の輝きで君のことが直視するのが恥ずかしくなるくらいに、そして、君が他の男の人と喋っているのが、たとえそれが親友であろうともたまらなく嫌な気持ちになるほどに。
いつか誰かに未央をとられるかもしれない。席替えをすれば、席は離れ話す機会も減ってしまうかもしれない。
僕と未央との時間は着実に増えてきていて、僕の中での未央の存在も日に日に大きくなっている。しかし関わる機会が減ってしまえば、また前のように僕の中での未央が薄れていってしまうかもしれない。そんな事は絶対にいやだ。こんなにも大切な思いを失いたくなんてない。
僕は、この天使を絶対に振り向かせると心に誓った。
新クラスとなり1ヶ月ほどが過ぎたとある日のお昼、僕は新2年のクラスになり仲良くなった東條正志と一緒にご飯を食べていた。
「英之さ、クラスの女子の中で誰が1番可愛いと思う?」
「んー、うちのクラス結構可愛い人多いからな」
「それ俺も思った。まじで可愛い子多いしこのクラス最高」
「てか正志彼女いるだろ?あんまそんなこと言ってるとまた彼女に怒られるぞ」
「またとか言うな。昨日も怒られてなだめるの大変だったんだぞ」
「ちなみに正志は誰が1番可愛いと思う?」
「えーっとあの子、斎藤未央ちゃんって子」
その名前を聞いた時、僕はかなりドキッとした。
「確かに、席隣だけどめっちゃ可愛いと思う」
「そういや英之隣だったわ、ずるくね?」
「毎日喋ってるけどめっちゃ楽しいよ」
「俺は学校ではあんま喋らないけどメールならめっちゃするよ」
そういって正志は僕に未央とのトークを見せてきた。
そこに映る正志と未央との楽しげな会話を目にした時、僕は自分の胸が締め付けられるのを確かに感じた。
正志の性格を僕は知っているので、正志が未央と連絡を取りあっていることで嫌いになると事はない。とりあえず色んな女の子と仲良くしておく。そういう性格だし、はたから見ていてもとても面白かった。
それに正志に彼女がいるという事はそれなりに学年の中では有名な話ではあるので、正志と未央が恋愛関係に発展する事はないだろう。そんな事は頭では充分に分かっている。
分かってはいるがー
未央と正志のトークを見た時、僕が抱いた感情は確かに嫉妬に似た感情だった。
今まで僕は自分が未央に対してどのような感情を抱いているのかがあやふやであった。あまりにも全てにおいて綺麗で醜いところや汚い所が全くなかった。そんな未央のことを僕は今まで天使のようだと思ってきた。清廉で純粋で、そんな彼女を恋愛対象として自分なんかが見ていいいのか、純白な彼女に対する不純となり得るのではないかと思ってきた。
でも、この感情を抱いたときにようやく自覚した。
僕は未央のことが好きだ。自分でもどうしようもないくらいに、一緒に話せば鼓動は高鳴り、その綺麗な肌の輝きで君のことが直視するのが恥ずかしくなるくらいに、そして、君が他の男の人と喋っているのが、たとえそれが親友であろうともたまらなく嫌な気持ちになるほどに。
いつか誰かに未央をとられるかもしれない。席替えをすれば、席は離れ話す機会も減ってしまうかもしれない。
僕と未央との時間は着実に増えてきていて、僕の中での未央の存在も日に日に大きくなっている。しかし関わる機会が減ってしまえば、また前のように僕の中での未央が薄れていってしまうかもしれない。そんな事は絶対にいやだ。こんなにも大切な思いを失いたくなんてない。
僕は、この天使を絶対に振り向かせると心に誓った。
0
あなたにおすすめの小説
【書籍化決定】憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜
降魔 鬼灯
恋愛
コミカライズ化決定しました。
ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。
幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。
月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。
お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。
しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。
よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう!
誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は?
全十話。一日2回更新
7月31日完結予定
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私は彼に選ばれなかった令嬢。なら、自分の思う通りに生きますわ
みゅー
恋愛
私の名前はアレクサンドラ・デュカス。
婚約者の座は得たのに、愛されたのは別の令嬢。社交界の噂に翻弄され、命の危険にさらされ絶望の淵で私は前世の記憶を思い出した。
これは、誰かに決められた物語。ならば私は、自分の手で運命を変える。
愛も権力も裏切りも、すべて巻き込み、私は私の道を生きてみせる。
毎日20時30分に投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる