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国民的アイドル!?いえいえ、ゆるキャラ大臣です。
21.嬉し、恥ずかし、城内デート①
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テストの直前、隆兄ちゃんは私のテスト勉強に付きっきりだった。寝る間を惜しんで、問題集を作ってくれていた。お城と西崎家を往復する際に着替えする時間すら節約する、そんな忙しい合間をぬって、私のためにこんなに素敵なドレスを用意してくれていたのだ。
嬉しい、嬉しすぎてクラクラする!!
ぴょんぴょん跳ねたくなる衝動を押さえ込むのと、にやけてしまう顔を引き締めるのに、相当の労力を使ってしまう。───ただなぁ、これ本当に似合っているのだろうか。見た目の美醜の基準なんて、人それぞれだし曖昧なものだ。この先の隆兄ちゃんのリアクション次第では、私は天国から地獄に突き落とされてしまうのだろう。
「あら、かわいい!!」
衝立のから恐る恐る出てきた私を見た途端、おばさんの歓声が部屋いっぱいに響いた。……おばさん、オーバーリアクション過ぎる。孫の七五三で手放しに褒めるお祖母ちゃんみたいだ。
引き攣った笑みを浮かべる私を見ても、おばさんは何度も可愛いを連呼してくれる。でも、ちょっとだけ不満そうに口を開いた。
「やっぱり、この色にして正解だったのね。私は薄いピンクをすすめようとしたんだけど・・・。うーん、少し悔しいわぁ。でも、さすがだわ、隆。水樹ちゃんのこと、ちゃんとわかっているのねぇ」
おばさんはそう言いながら、隆兄ちゃんに意味ありげな視線を送る。お願い、おばさん隆兄ちゃんを煽るの、やめてっ。
ぎょっとした私は、思わず隆兄ちゃんの方を向いてしまった。ちなみに隆兄ちゃんは、いつの間にか王子様スタイルに早変わりしていた。王冠もしっかり装備済み。
この格好のツッコミを入れられる前に、私はとりあえず目に付いたどうでもいいことを口にする。
「隆兄ちゃん、いつ着替えたの?」
「お前が着替えてる最中に、着替えてきた」
でしょうね。会話5秒で終了。
というか、隆兄ちゃんは今の私の質問に、上に空で答えていた。よそ見をしていた訳ではなく、がっつり私を眺めていたのである。もはや、その視線は観察の域に達していた。恥ずかしさで消えてしまいたい。
「隆兄ちゃん、あの───」
「良く似合ってる」
いたたまれなくなって、声を発した私を遮って、隆兄ちゃんは静かにそう言った。
からかう訳でもなく、おちょくる訳でもなく、ただありのままの感想を口にしてくれているというのは、長い付き合いで感じ取れる。
そして目を細めながら私を見つめる隆兄ちゃんに、私は心がそわそわと落ち着かない。
───あれ、不思議だ。ついさっきまで私達は険悪な雰囲気だったのに、隆兄ちゃんのその一言だけで私はすっかり機嫌を直している。それどころか、ドキドキしている自分がいる。
でも次の瞬間、無自覚に私を翻弄する隆兄ちゃんが恨めしく思う。私の心がハードワークで壊れたらどう責任取ってくれるんだ、と隆兄ちゃんに怒りを込めた視線を送る。
けれど私の視線に気付いているはずの隆兄ちゃんは、うんと一つ頷いた後、おばさんの方に首を捻って口を開いた。
「母さん、じゃぁ、このまま水樹とその辺り適当に歩いてくるわ」
隆兄ちゃんはそう良いながら、椅子にかけていたマントを肩にかけ、おばさんに声をかける。
「そうね。なるべく人の多いところを選んでね。あ、水樹ちゃんまだ庭園の噴水見てないから、そこも案内してあげて」
「りょーかい」
二人の会話に首をひねる。そんな私におばさんは、にっこりと笑みを浮かべてこう言った。
「水樹ちゃん、よろしくね。隆との婚約者らしくしっかり楽しいデートをしてきてね」
「!?」
こ、こ、こ、こ、こ、婚約者!?デ、デ、デ、デ、デ、デート!?
さらりとおばさんの口から出てきた単語に理解ができず、私は呆然と立ち尽くしてしまう。けれど、隆兄ちゃんはそんな私の腕を掴んで、ずるずると扉まで移動する。そして、行ってくるわとおばさんに声をかけて静かに扉を開けた。
「ちょっと、待ってぇ」
咄嗟に振り返って助けを求めたけれど、いってらっしゃいとひらひら手を振るおばさんと、ライラさんの夢見る乙女の瞳に見送られただけだった。
そして、廊下に出た隆兄ちゃんは、王座の広間に入室した時と同様に私の手を取り、反対の手を腰にまわす。そのまま廊下を歩くこと数分。ふいに隆兄ちゃんの足が止まった。
「隆兄ちゃん、どうしたの?」
首をかしげる私の腕を隆兄ちゃんは無言で持ち上げた。
「ああ、やっぱり赤くなってるな。乱暴なことをしてすまなかった」
「?───・・・あー」
そういえば、車の中で押し倒された時、かなり強く腕を掴まれてしまっていた。諸々の出来事でそんなことすっかり忘れていた。
「痛かったか?」
「ううん、全然」
隆兄ちゃんは今頃、何を言っているのだ。
ゲームの罰ゲームでデコピンしたり、赤点を隠していたのがバレて教科書で叩かれたり・・・色々してきた仲じゃないか。そりゃあ手加減はしてくれていたけれど、そこそこに痛かった。
怪訝な顔をする私に、隆兄ちゃんはなぜか不満そうな顔をする。次いで何を思ったか、そのほんのり色づいた部分に隆兄ちゃんは唇を這わしたのだった。
隆兄ちゃん、一体どうしちゃったの!?
嬉しい、嬉しすぎてクラクラする!!
ぴょんぴょん跳ねたくなる衝動を押さえ込むのと、にやけてしまう顔を引き締めるのに、相当の労力を使ってしまう。───ただなぁ、これ本当に似合っているのだろうか。見た目の美醜の基準なんて、人それぞれだし曖昧なものだ。この先の隆兄ちゃんのリアクション次第では、私は天国から地獄に突き落とされてしまうのだろう。
「あら、かわいい!!」
衝立のから恐る恐る出てきた私を見た途端、おばさんの歓声が部屋いっぱいに響いた。……おばさん、オーバーリアクション過ぎる。孫の七五三で手放しに褒めるお祖母ちゃんみたいだ。
引き攣った笑みを浮かべる私を見ても、おばさんは何度も可愛いを連呼してくれる。でも、ちょっとだけ不満そうに口を開いた。
「やっぱり、この色にして正解だったのね。私は薄いピンクをすすめようとしたんだけど・・・。うーん、少し悔しいわぁ。でも、さすがだわ、隆。水樹ちゃんのこと、ちゃんとわかっているのねぇ」
おばさんはそう言いながら、隆兄ちゃんに意味ありげな視線を送る。お願い、おばさん隆兄ちゃんを煽るの、やめてっ。
ぎょっとした私は、思わず隆兄ちゃんの方を向いてしまった。ちなみに隆兄ちゃんは、いつの間にか王子様スタイルに早変わりしていた。王冠もしっかり装備済み。
この格好のツッコミを入れられる前に、私はとりあえず目に付いたどうでもいいことを口にする。
「隆兄ちゃん、いつ着替えたの?」
「お前が着替えてる最中に、着替えてきた」
でしょうね。会話5秒で終了。
というか、隆兄ちゃんは今の私の質問に、上に空で答えていた。よそ見をしていた訳ではなく、がっつり私を眺めていたのである。もはや、その視線は観察の域に達していた。恥ずかしさで消えてしまいたい。
「隆兄ちゃん、あの───」
「良く似合ってる」
いたたまれなくなって、声を発した私を遮って、隆兄ちゃんは静かにそう言った。
からかう訳でもなく、おちょくる訳でもなく、ただありのままの感想を口にしてくれているというのは、長い付き合いで感じ取れる。
そして目を細めながら私を見つめる隆兄ちゃんに、私は心がそわそわと落ち着かない。
───あれ、不思議だ。ついさっきまで私達は険悪な雰囲気だったのに、隆兄ちゃんのその一言だけで私はすっかり機嫌を直している。それどころか、ドキドキしている自分がいる。
でも次の瞬間、無自覚に私を翻弄する隆兄ちゃんが恨めしく思う。私の心がハードワークで壊れたらどう責任取ってくれるんだ、と隆兄ちゃんに怒りを込めた視線を送る。
けれど私の視線に気付いているはずの隆兄ちゃんは、うんと一つ頷いた後、おばさんの方に首を捻って口を開いた。
「母さん、じゃぁ、このまま水樹とその辺り適当に歩いてくるわ」
隆兄ちゃんはそう良いながら、椅子にかけていたマントを肩にかけ、おばさんに声をかける。
「そうね。なるべく人の多いところを選んでね。あ、水樹ちゃんまだ庭園の噴水見てないから、そこも案内してあげて」
「りょーかい」
二人の会話に首をひねる。そんな私におばさんは、にっこりと笑みを浮かべてこう言った。
「水樹ちゃん、よろしくね。隆との婚約者らしくしっかり楽しいデートをしてきてね」
「!?」
こ、こ、こ、こ、こ、婚約者!?デ、デ、デ、デ、デ、デート!?
さらりとおばさんの口から出てきた単語に理解ができず、私は呆然と立ち尽くしてしまう。けれど、隆兄ちゃんはそんな私の腕を掴んで、ずるずると扉まで移動する。そして、行ってくるわとおばさんに声をかけて静かに扉を開けた。
「ちょっと、待ってぇ」
咄嗟に振り返って助けを求めたけれど、いってらっしゃいとひらひら手を振るおばさんと、ライラさんの夢見る乙女の瞳に見送られただけだった。
そして、廊下に出た隆兄ちゃんは、王座の広間に入室した時と同様に私の手を取り、反対の手を腰にまわす。そのまま廊下を歩くこと数分。ふいに隆兄ちゃんの足が止まった。
「隆兄ちゃん、どうしたの?」
首をかしげる私の腕を隆兄ちゃんは無言で持ち上げた。
「ああ、やっぱり赤くなってるな。乱暴なことをしてすまなかった」
「?───・・・あー」
そういえば、車の中で押し倒された時、かなり強く腕を掴まれてしまっていた。諸々の出来事でそんなことすっかり忘れていた。
「痛かったか?」
「ううん、全然」
隆兄ちゃんは今頃、何を言っているのだ。
ゲームの罰ゲームでデコピンしたり、赤点を隠していたのがバレて教科書で叩かれたり・・・色々してきた仲じゃないか。そりゃあ手加減はしてくれていたけれど、そこそこに痛かった。
怪訝な顔をする私に、隆兄ちゃんはなぜか不満そうな顔をする。次いで何を思ったか、そのほんのり色づいた部分に隆兄ちゃんは唇を這わしたのだった。
隆兄ちゃん、一体どうしちゃったの!?
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