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十六夜に願うのは
★この世で一番怖いもの(ケイノフ・ダーナ目線)
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───時はほんの少しだけ遡る。
ケイノフは検診の為、そして、ダーナはからかう為にレナザードの部屋に向かっていたが、人並み以上の聴力がある二人は、楽しそうに会話をするレナザードとスラリスの声が聞こえてきたので思わず足を止めたのだ。
そして、そんな二人のやりとりを、廊下の角で隠れて生暖かい目で見守っていた───が、レナザードの一言で空気が一変し、スラリスをは部屋を飛び出してしまった。そして、ちらりと見えた彼女は蒼白で、今まで見たこともないほどに打ちのめされた表情をしていた。
「スラリス、待ってくれっ」
「待ちなさい。ダーナ!」
慌てて飛び出そうとしたダーナの腕を、ケイノフが荒々しく掴む。
「今のスラリスに何を言っても無駄です。きっと私達がどんな言葉をかけても、あの娘の心には何も届かないでしょう」
今、スラリスの心に届くのはレナザードの言葉だけ。言葉で傷を負った者は、傷付けた者からの言葉ではないと、その傷を癒すことはできない。
でもあの時、スラリスを傷付けたレナザードの言葉に悪意は無かった。あの言葉は、むしろスラリスとティリア王女を切り放すことができた何よりの証。特別な存在と認めた何よりの証拠なのだ。それがスラリスに伝わるかどうかは別問題だけれど。
本当に言葉ほど厄介なものはない。時には不便で残酷な凶器となる。そして、心の傷は目に見えない。もちろん血を流すことも。傷つけた本人に自覚がなければ、それが傷だともわからない。
「だからってほっとけるかよ」
「あなたが慰めたところでスラリスの傷が癒えるとでも思ってるんですか?それは思い上がりですよ。何でもないとあしらわれるのがオチです。無理して笑うスラリスを見たいのですか!?」
珍しく声を荒げたケイノフに、ダーナはぶつけどころのない怒りを鎮めるように、深い溜息を付いた。
「ったく、まったくあの二人……気付いてないのは本人達だけなのに」
ダーナは苛立ちを隠すことができず、吐き捨てるように呟く。
そう傍から見たら、お互いが意識し合っているのは周知の事実で、気付いていないのは本人達だけ。鈍感なのか敢えてなのかはわからないけれど、お互いがお互いを探して視線を彷徨わせていることにすら気付いていないのだ。
ただレナザードはティリア王女という残像に囚われていて、やっとその呪縛から解放されたところ。そしてスラリスは過去の一件から、あと一歩が踏み出せないだけ。
「主はただ気付いていないだけなのです。何故あの時、スラリスの命を奪わなかったかを。そしてその答えを見出だせないまま、スラリスに惹かれてしまっただけ。そして、それを認めるのが恐ろしいだけなのです」
「はぁ!?っんな流暢なこと言ってる場合かよっ、俺が殴ってでも気付かせてやるよ」
血気盛んなダーナは拳を振り上げ今度はレナザードの部屋に特攻しようとしたけれど、あっけなくケイノフに殴り飛ばされてしまった。
「殴って気付いてくれるなら、もう私が殴ってますよ。でもそんなことをしても無意味なこと。ダーナだって知っているでしょう、主の頑固さは筋金入りということを。これはもう自分で気付いてもらうしかないんです」
ケイノフは武闘派ではないが、そこそこ強い。そんなケイノフが手加減なしに殴れば、これまたそこそこ強いダーナでも痛みで冷静さを取り戻せる。
少し頭が冷えたダーナはずるずると壁にもたれながら、そのまましゃがみ込みケイノフを見上げた。
「なぁ、ケイノフ、お前だって気付いているんだろ?スラリスこそがティリア王女だと」
「そんなの、とうの昔に知ってますよ」
あっさり答えたケイノフにダーナは、だよなぁと力無く笑みを浮かべた。
それは幼い頃のティリア王女を知らない二人だからこそ、気付けたこと。もちろんそうではなくても知っていたものもいるが。
「別方向から考えればすぐにわかることなんです。あの時、主がスラリスを殺せなかったのは、私達が止めたからではない。もう一人の主に本気の殺意が無かったからなんです」
レナザードの身の内に潜むものは、冷酷で残忍で血を浴びることを常に求めている。目の前に殺していい人間がいるのに、それを止めることは容易なことではない。
ただし、身の内に潜むものにもある程度の感情がある。ごくごく稀に殺したくないと思える人間もいるのだ。例えば、器として存在している者が慈しみ見守っている人間とか。だからあの時レナザードはスラリスを殺せなかったし、苦痛も一時のもので済んだのだ。
でも、とケイノフの瞳が翳る。
「本当の自分を愛してくれる保障なんて……何処にも無いことを主は痛い程知っています。だからこれ以上は、私達が無理矢理踏み込んではいけない領域なんです」
異形の者である自分達には桁外れな力がある。だから武力など怖いものではない。怖いと思うものは、力では及ばないもの。全てを知られること。伸ばした手を振り払われること。────そして、失うこと。
それを想像するだけで、ケイノフもダーナも胸が軋む。
レナザードに対して苛立ちを覚えるが、怒りの感情を持てない。なぜなら、二人も同じように胸深くにある怯えを抱えているから。
きっとこの戦という一件がなければ、レナザードはティリア王女と会うことはなかっただろう。手を振り払われることを恐れ、遠くから見守るだけで良かったはずだ。
「それでも……スラリスに願いを託してしまう俺は鬼畜なのかもしれないな」
「それなら私だって鬼畜ですよ。でもあとちょっと、なんです」
レナザードは間違いなく、この想いに気付く。それは、あと僅かな時間で。
「スラリスをこんなに傷付けて、俺らは最低だな」
ダーナは片手で顔を覆い、自嘲的に微笑む。心優しい少女を利用してでもそれでも、どうしても叶えたい願いがある。誰よりも孤独な自分の主のために。
主の孤独を癒したい。それが、ケイノフとダーナの願い。
二人がレナザードと出会うはるか昔、自分たちの知らない少女が、レナザードを一族の長へと導いた。それは、自分達に《絶対の主》という掌中の珠を与えてくれたのだ。
でもその代わり、自分の主は孤高の存在となってしまった。心を凍りつかせる程の孤独を抱えて生きていかなくてはならなくなったのだ。そんな主を少しでも癒す為にティリア王女を無理矢理、主の元へとさらうことは容易だったが、それでは意味が無いことは十分に承知していた。
レナザードを慕い、自分の意思でその傍らにいることを選んでもらわなければ、一生、自分達の主は孤独のままだから。
今だから言えることだが、ケイノフとダーナにとって、どちらでも良かったのだ。レナザードの慕う少女が、ティリア王女でもスラリスでも。
大切なのは全てを知っても、愛してくれるかどうか、それだけだから。そして二人が笑ってくれればいい。ただそれだけだったのだ。
でも多分間違えてしまった。
レナザードに、あの時の少女は本当に王女だったのか、と問えば良かったのだ。そして例えば王女ではなく別の名前で別の生き方をしている可能性がある、と伝えれば良かったのだ。そうすればきっと、こんな空回りをしなくて済んだというのに。
こんな時に痛感させられる。自分達は異形のものだということを。どれだけ人の姿で生きてきても、心までは人に成りきることができないのだから。
大切なもの以外を切り捨てることができる無情さを、これほど疎ましいと感じたことは無かった。
ケイノフは検診の為、そして、ダーナはからかう為にレナザードの部屋に向かっていたが、人並み以上の聴力がある二人は、楽しそうに会話をするレナザードとスラリスの声が聞こえてきたので思わず足を止めたのだ。
そして、そんな二人のやりとりを、廊下の角で隠れて生暖かい目で見守っていた───が、レナザードの一言で空気が一変し、スラリスをは部屋を飛び出してしまった。そして、ちらりと見えた彼女は蒼白で、今まで見たこともないほどに打ちのめされた表情をしていた。
「スラリス、待ってくれっ」
「待ちなさい。ダーナ!」
慌てて飛び出そうとしたダーナの腕を、ケイノフが荒々しく掴む。
「今のスラリスに何を言っても無駄です。きっと私達がどんな言葉をかけても、あの娘の心には何も届かないでしょう」
今、スラリスの心に届くのはレナザードの言葉だけ。言葉で傷を負った者は、傷付けた者からの言葉ではないと、その傷を癒すことはできない。
でもあの時、スラリスを傷付けたレナザードの言葉に悪意は無かった。あの言葉は、むしろスラリスとティリア王女を切り放すことができた何よりの証。特別な存在と認めた何よりの証拠なのだ。それがスラリスに伝わるかどうかは別問題だけれど。
本当に言葉ほど厄介なものはない。時には不便で残酷な凶器となる。そして、心の傷は目に見えない。もちろん血を流すことも。傷つけた本人に自覚がなければ、それが傷だともわからない。
「だからってほっとけるかよ」
「あなたが慰めたところでスラリスの傷が癒えるとでも思ってるんですか?それは思い上がりですよ。何でもないとあしらわれるのがオチです。無理して笑うスラリスを見たいのですか!?」
珍しく声を荒げたケイノフに、ダーナはぶつけどころのない怒りを鎮めるように、深い溜息を付いた。
「ったく、まったくあの二人……気付いてないのは本人達だけなのに」
ダーナは苛立ちを隠すことができず、吐き捨てるように呟く。
そう傍から見たら、お互いが意識し合っているのは周知の事実で、気付いていないのは本人達だけ。鈍感なのか敢えてなのかはわからないけれど、お互いがお互いを探して視線を彷徨わせていることにすら気付いていないのだ。
ただレナザードはティリア王女という残像に囚われていて、やっとその呪縛から解放されたところ。そしてスラリスは過去の一件から、あと一歩が踏み出せないだけ。
「主はただ気付いていないだけなのです。何故あの時、スラリスの命を奪わなかったかを。そしてその答えを見出だせないまま、スラリスに惹かれてしまっただけ。そして、それを認めるのが恐ろしいだけなのです」
「はぁ!?っんな流暢なこと言ってる場合かよっ、俺が殴ってでも気付かせてやるよ」
血気盛んなダーナは拳を振り上げ今度はレナザードの部屋に特攻しようとしたけれど、あっけなくケイノフに殴り飛ばされてしまった。
「殴って気付いてくれるなら、もう私が殴ってますよ。でもそんなことをしても無意味なこと。ダーナだって知っているでしょう、主の頑固さは筋金入りということを。これはもう自分で気付いてもらうしかないんです」
ケイノフは武闘派ではないが、そこそこ強い。そんなケイノフが手加減なしに殴れば、これまたそこそこ強いダーナでも痛みで冷静さを取り戻せる。
少し頭が冷えたダーナはずるずると壁にもたれながら、そのまましゃがみ込みケイノフを見上げた。
「なぁ、ケイノフ、お前だって気付いているんだろ?スラリスこそがティリア王女だと」
「そんなの、とうの昔に知ってますよ」
あっさり答えたケイノフにダーナは、だよなぁと力無く笑みを浮かべた。
それは幼い頃のティリア王女を知らない二人だからこそ、気付けたこと。もちろんそうではなくても知っていたものもいるが。
「別方向から考えればすぐにわかることなんです。あの時、主がスラリスを殺せなかったのは、私達が止めたからではない。もう一人の主に本気の殺意が無かったからなんです」
レナザードの身の内に潜むものは、冷酷で残忍で血を浴びることを常に求めている。目の前に殺していい人間がいるのに、それを止めることは容易なことではない。
ただし、身の内に潜むものにもある程度の感情がある。ごくごく稀に殺したくないと思える人間もいるのだ。例えば、器として存在している者が慈しみ見守っている人間とか。だからあの時レナザードはスラリスを殺せなかったし、苦痛も一時のもので済んだのだ。
でも、とケイノフの瞳が翳る。
「本当の自分を愛してくれる保障なんて……何処にも無いことを主は痛い程知っています。だからこれ以上は、私達が無理矢理踏み込んではいけない領域なんです」
異形の者である自分達には桁外れな力がある。だから武力など怖いものではない。怖いと思うものは、力では及ばないもの。全てを知られること。伸ばした手を振り払われること。────そして、失うこと。
それを想像するだけで、ケイノフもダーナも胸が軋む。
レナザードに対して苛立ちを覚えるが、怒りの感情を持てない。なぜなら、二人も同じように胸深くにある怯えを抱えているから。
きっとこの戦という一件がなければ、レナザードはティリア王女と会うことはなかっただろう。手を振り払われることを恐れ、遠くから見守るだけで良かったはずだ。
「それでも……スラリスに願いを託してしまう俺は鬼畜なのかもしれないな」
「それなら私だって鬼畜ですよ。でもあとちょっと、なんです」
レナザードは間違いなく、この想いに気付く。それは、あと僅かな時間で。
「スラリスをこんなに傷付けて、俺らは最低だな」
ダーナは片手で顔を覆い、自嘲的に微笑む。心優しい少女を利用してでもそれでも、どうしても叶えたい願いがある。誰よりも孤独な自分の主のために。
主の孤独を癒したい。それが、ケイノフとダーナの願い。
二人がレナザードと出会うはるか昔、自分たちの知らない少女が、レナザードを一族の長へと導いた。それは、自分達に《絶対の主》という掌中の珠を与えてくれたのだ。
でもその代わり、自分の主は孤高の存在となってしまった。心を凍りつかせる程の孤独を抱えて生きていかなくてはならなくなったのだ。そんな主を少しでも癒す為にティリア王女を無理矢理、主の元へとさらうことは容易だったが、それでは意味が無いことは十分に承知していた。
レナザードを慕い、自分の意思でその傍らにいることを選んでもらわなければ、一生、自分達の主は孤独のままだから。
今だから言えることだが、ケイノフとダーナにとって、どちらでも良かったのだ。レナザードの慕う少女が、ティリア王女でもスラリスでも。
大切なのは全てを知っても、愛してくれるかどうか、それだけだから。そして二人が笑ってくれればいい。ただそれだけだったのだ。
でも多分間違えてしまった。
レナザードに、あの時の少女は本当に王女だったのか、と問えば良かったのだ。そして例えば王女ではなく別の名前で別の生き方をしている可能性がある、と伝えれば良かったのだ。そうすればきっと、こんな空回りをしなくて済んだというのに。
こんな時に痛感させられる。自分達は異形のものだということを。どれだけ人の姿で生きてきても、心までは人に成りきることができないのだから。
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