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終焉の始まり
迫る恐怖
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状況は好転しているように見えて、実は悪い方へ悪い方へと進んでいた。けれど、何も知らない私は、ユズリに手を引かれ、ただひたすらに走っている。
足元まで良く見えないけれど、ここは足場の悪い山道のようで、石や木の根に何度も足を取られ、転びそうになる。その度にユズリやリオンに助けられ再び走ることを繰り返していた。
今の私にとって、ユズリの手が全てだ。その手が離れたら私は、たちまち闇に囚われそうな感覚に陥ってしまう。
違う、闇に囚われるのではない、不安に襲われるのだ。バイドライル国の軍勢に囲まれたまま私を見送ってくれたレナザードが無事なのか、不安で不安で堪らない。怪我だって完治していないというのに。
そんな不安が掌ごしに伝わってしまったのだろうか、ユズリはピタリと足を止め、前を向いたまま口を開いた。
「ねぇスラリス、レナザードさまのことが心配?」
「はい。ものすごく心配です」
さらりと聞かれ、さらりと本音が漏れてしまった。そして私の言葉にユズリは、再びさらりと問い掛けた。
「じゃ、戻る?」
「は?」
ユズリからの提案に、思わず間の抜けた声が出てしまう。けれど、ユズリは気を悪くする様子もなく、もう一度口を開いた。
「屋敷に戻る?私も一緒に行くから大丈夫。あの人のことが心配なんでしょ?」
ユズリは口元には優しい笑みを浮かべているが、目は笑っていない。初めて見る表情に私は戸惑いを隠すことができない。
ごくりと唾を飲んだ音を最後に、私達の間に無言の時間が過ぎていく。宵闇は静寂に包まれて、木の騒めきも、風の音も何も聞こえない。そんな中、リオンが大声で叫んだ。
「姫さま大丈夫、心配いらないからっ。主さま達三人が、たかだか人間風情の夜襲で死ぬことなんてないよ!」
たかだか人間風情その言葉に思わず眉を寄せてしまった。何故だろう、ユズリとリオンが急に遠くに感じられる。言葉にできない沢山の不安に押しつぶされそうだ。
「………ユズリさん、私、心配ですけどこのまま進みますっ」
迷いや不安を打ち消すように私は声を張り上げる。そう、きっと何もかも、杞憂で終わるはず。そう自分に言い聞かせ今度は私がユズリの手を引き、進もうとする。が、ユズリは一歩も動かない。
「さぁ、ユズリさん、行きましょう」
そう言ってもう一度手を引くがユズリは何も言わないし、まったく動こうともしない。
「あの、ユズリさん、どこか怪我をされているんですか?それともお身体の具合が─────」
「ねぇ、スラリスこっちを向いて」
私の言葉を遮ったユズリの言葉に、どうしてと聞くよりも前に首を横に振ってしまう。
だって私はもうユズリより前にいる。ユズリの顔を見るためには、振り向かなくてはならない。それはレナザードに決してするなと言われたこと。だから大好きなユズリのお願いでも、メイド長の命令でも、それだけはできない。
「ユズリさん、ごめんなさい。私、今は振り向けないんです」
「そうね、ここはケイノフが施した結界。教えてくれてありがとう、スラリス。あなたは『振り向かない』っていう言魂で縛られているのね?」
ちょっと何言っているのか分からない。私は何と答えたらいいのだろうか。そもそも結界というのは何だろう。混乱しすぎて、思考がままならない。
はるか昔、アスラリア国よりずっとずっと遠くに術師がいて不思議な力を持っていたと聞いたことがある。しかし、それは今となっては、おとぎ話のようなもので、都市伝説でしかない。
アスラリア国でそんな不思議な技を使える者など見たことないし、もちろん聞いたこともない。
「えっと……どう答えていいのか、わかりません。……私はただ、裏口を出たら振り返らず逃げろというレナザードさまから命令を受けただけなんです」
「そう。で、それは屋敷の主からの命令?それとも恋人からの命令?」
「こ、こ、恋人!?……い、いや……それはその………」
ついさっき、恨み節という名の惚気た独り言を吐いていたくせに、いざ第三者から恋人と言われただけで、顔から火が出るほど恥ずかしい。
ユズリから私の顔は見えないけれど、一気に熱を帯びたのは顔だけではなく、手まで熱くなっていたようで言葉にしなくても、バレバレだったようだ。
「恋人からの命令だったのね」
その言葉がユズリの口から出た途端、抗うことができない強さでユズリは私の腕を引いた。ユズリの予期せぬ行動に、あっと思った時には、重心が後ろに傾き、バランスを崩した私は転がるように振り向いてしまった。
─────刹那、硝子が割れるような音が闇森に響き、辺りに光の破片のようなものが飛び散った。ケイノフの結界が壊れた瞬間だった。
「あなた、馬鹿ね。素直に屋敷に戻ったら最後に愛する人の姿を見ることができたのに、ね」
ぞっとする程冷たい声が、私の背に突き刺さる。
恐る恐る振り返ると、ユズリが微笑んでいた。途端、警鐘が頭の片隅で鳴った。
「あの……ユズリさん?────……っ……痛っ」
ユズリの手が、私に触れたと思った瞬間、右腕に鋭い痛が走った。
「ユズリ、ダメだよ!姫さまを傷つけないで!!」
苦痛に顔を歪めた私を庇うように、リオンはユズリの腕に縋りつく。
「ったく、うるさいわね。消えなさい!」
ユズリの非情な声とともに、リオンは鞠のように弾き飛ばされ、宵闇の彼方へ消えて行った。
「リオン!!」
そう叫ぶのと同時に、何か視えないものに付き飛ばされたリオンの元へ駆けようと、一歩踏み出そうとした。けれど───。
「あなたはここに居てちょうだい。お迎えがくるのよ」
ユズリの鋭い声が耳朶を裂いた。その声は、まるで蜘蛛糸のように私の体を絡め取り、その場から一歩動けなくなってしまった。そんな私を見て、ユズリは満足そうに微笑むと、木の葉のように枝に飛び移った。
「闇夜に舞うは、明星と見紛うしおり糸。ユズリの名の下に集いたまえ」
何かの唄なのか、ユズリの不思議な言葉は、夜風に掻き消された。
痛みに顔をしかめながらユズリを見上げた瞬間、私は自分の目を疑ってしまった。
木の枝に腰かけ、私を見下ろしているのはの瞳に灰色がかった紫色の髪と瞳の知らない《少女》。そう、ユズリは月夜でもわかるほど、別人になっていた。
「スラリス、悪いけど……もう一度、《ティリア王女》になってちょうだい」
そう言うと、ユズリは私に向かって無邪気に微笑んだ。
足元まで良く見えないけれど、ここは足場の悪い山道のようで、石や木の根に何度も足を取られ、転びそうになる。その度にユズリやリオンに助けられ再び走ることを繰り返していた。
今の私にとって、ユズリの手が全てだ。その手が離れたら私は、たちまち闇に囚われそうな感覚に陥ってしまう。
違う、闇に囚われるのではない、不安に襲われるのだ。バイドライル国の軍勢に囲まれたまま私を見送ってくれたレナザードが無事なのか、不安で不安で堪らない。怪我だって完治していないというのに。
そんな不安が掌ごしに伝わってしまったのだろうか、ユズリはピタリと足を止め、前を向いたまま口を開いた。
「ねぇスラリス、レナザードさまのことが心配?」
「はい。ものすごく心配です」
さらりと聞かれ、さらりと本音が漏れてしまった。そして私の言葉にユズリは、再びさらりと問い掛けた。
「じゃ、戻る?」
「は?」
ユズリからの提案に、思わず間の抜けた声が出てしまう。けれど、ユズリは気を悪くする様子もなく、もう一度口を開いた。
「屋敷に戻る?私も一緒に行くから大丈夫。あの人のことが心配なんでしょ?」
ユズリは口元には優しい笑みを浮かべているが、目は笑っていない。初めて見る表情に私は戸惑いを隠すことができない。
ごくりと唾を飲んだ音を最後に、私達の間に無言の時間が過ぎていく。宵闇は静寂に包まれて、木の騒めきも、風の音も何も聞こえない。そんな中、リオンが大声で叫んだ。
「姫さま大丈夫、心配いらないからっ。主さま達三人が、たかだか人間風情の夜襲で死ぬことなんてないよ!」
たかだか人間風情その言葉に思わず眉を寄せてしまった。何故だろう、ユズリとリオンが急に遠くに感じられる。言葉にできない沢山の不安に押しつぶされそうだ。
「………ユズリさん、私、心配ですけどこのまま進みますっ」
迷いや不安を打ち消すように私は声を張り上げる。そう、きっと何もかも、杞憂で終わるはず。そう自分に言い聞かせ今度は私がユズリの手を引き、進もうとする。が、ユズリは一歩も動かない。
「さぁ、ユズリさん、行きましょう」
そう言ってもう一度手を引くがユズリは何も言わないし、まったく動こうともしない。
「あの、ユズリさん、どこか怪我をされているんですか?それともお身体の具合が─────」
「ねぇ、スラリスこっちを向いて」
私の言葉を遮ったユズリの言葉に、どうしてと聞くよりも前に首を横に振ってしまう。
だって私はもうユズリより前にいる。ユズリの顔を見るためには、振り向かなくてはならない。それはレナザードに決してするなと言われたこと。だから大好きなユズリのお願いでも、メイド長の命令でも、それだけはできない。
「ユズリさん、ごめんなさい。私、今は振り向けないんです」
「そうね、ここはケイノフが施した結界。教えてくれてありがとう、スラリス。あなたは『振り向かない』っていう言魂で縛られているのね?」
ちょっと何言っているのか分からない。私は何と答えたらいいのだろうか。そもそも結界というのは何だろう。混乱しすぎて、思考がままならない。
はるか昔、アスラリア国よりずっとずっと遠くに術師がいて不思議な力を持っていたと聞いたことがある。しかし、それは今となっては、おとぎ話のようなもので、都市伝説でしかない。
アスラリア国でそんな不思議な技を使える者など見たことないし、もちろん聞いたこともない。
「えっと……どう答えていいのか、わかりません。……私はただ、裏口を出たら振り返らず逃げろというレナザードさまから命令を受けただけなんです」
「そう。で、それは屋敷の主からの命令?それとも恋人からの命令?」
「こ、こ、恋人!?……い、いや……それはその………」
ついさっき、恨み節という名の惚気た独り言を吐いていたくせに、いざ第三者から恋人と言われただけで、顔から火が出るほど恥ずかしい。
ユズリから私の顔は見えないけれど、一気に熱を帯びたのは顔だけではなく、手まで熱くなっていたようで言葉にしなくても、バレバレだったようだ。
「恋人からの命令だったのね」
その言葉がユズリの口から出た途端、抗うことができない強さでユズリは私の腕を引いた。ユズリの予期せぬ行動に、あっと思った時には、重心が後ろに傾き、バランスを崩した私は転がるように振り向いてしまった。
─────刹那、硝子が割れるような音が闇森に響き、辺りに光の破片のようなものが飛び散った。ケイノフの結界が壊れた瞬間だった。
「あなた、馬鹿ね。素直に屋敷に戻ったら最後に愛する人の姿を見ることができたのに、ね」
ぞっとする程冷たい声が、私の背に突き刺さる。
恐る恐る振り返ると、ユズリが微笑んでいた。途端、警鐘が頭の片隅で鳴った。
「あの……ユズリさん?────……っ……痛っ」
ユズリの手が、私に触れたと思った瞬間、右腕に鋭い痛が走った。
「ユズリ、ダメだよ!姫さまを傷つけないで!!」
苦痛に顔を歪めた私を庇うように、リオンはユズリの腕に縋りつく。
「ったく、うるさいわね。消えなさい!」
ユズリの非情な声とともに、リオンは鞠のように弾き飛ばされ、宵闇の彼方へ消えて行った。
「リオン!!」
そう叫ぶのと同時に、何か視えないものに付き飛ばされたリオンの元へ駆けようと、一歩踏み出そうとした。けれど───。
「あなたはここに居てちょうだい。お迎えがくるのよ」
ユズリの鋭い声が耳朶を裂いた。その声は、まるで蜘蛛糸のように私の体を絡め取り、その場から一歩動けなくなってしまった。そんな私を見て、ユズリは満足そうに微笑むと、木の葉のように枝に飛び移った。
「闇夜に舞うは、明星と見紛うしおり糸。ユズリの名の下に集いたまえ」
何かの唄なのか、ユズリの不思議な言葉は、夜風に掻き消された。
痛みに顔をしかめながらユズリを見上げた瞬間、私は自分の目を疑ってしまった。
木の枝に腰かけ、私を見下ろしているのはの瞳に灰色がかった紫色の髪と瞳の知らない《少女》。そう、ユズリは月夜でもわかるほど、別人になっていた。
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そう言うと、ユズリは私に向かって無邪気に微笑んだ。
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