不思議なショートストーリーたち

フジーニー

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天国のアルバイト

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俺の名前は田中太郎、享年38歳。死因は満員電車での過労死。心の中で「もう限界だ……」と思った瞬間、本当に心臓が限界を迎えたらしい。

目が覚めると、そこは真っ白な待合室。受付のお姉さんがニコニコしながら言った。

「お疲れ様でした! こちら死亡確認書です。サインお願いします」

「え、死んだの?」

「はい。過労死認定で、天国行き確定です。おめでとうございます」

天国ってこんなに事務的なのかよ。

案内されたのは「天国人材派遣センター」。壁に貼られた求人票が目に入った。

```
【急募】幽霊アルバイト
業務内容:心霊写真・心霊スポットへの出没
勤務時間:22:00~翌4:00(人間界時間)
時給:成仏ポイント1時間につき50pt
特典:怖がられた数でボーナスあり
備考:生前怖い顔の人は有利
```

「おいおい、天国にもブラックバイトあんのかよ」

担当の先輩幽霊は、首が90度曲がったおじさんだった。名前は山本さん(享年72歳、死因:階段で転落)

「ほら新人、ちゃんと浮け浮け。腰が浮いてないと威厳がないぞ」

「す、すみません……」

最初の仕事は廃病院の心霊写真。カメラを構えた大学生3人組の前に出現するらしい。

「ルールは三つだ。一、絶対に触っちゃダメ。二、絶対に喋っちゃダメ。三、でも絶対に怖がらせなきゃダメ」

ムズすぎだろ。

現地に移動すると、すでに先客がいた。白いワンピースの女の子幽霊。どう見ても定番の貞子タイプ。

「あ、山本さん。お疲れ様です」

「おう、佐藤ちゃん。今日も美人だな」

佐藤ちゃん(享年19歳、死因:交通事故)は天国のアイドル的存在らしい。心霊写真の写り方が抜群に良いんだと。

「新人さん? 可愛いね。ほら、こうやって髪を顔にかぶせるの。はい、練習してみて」

俺が真似すると……

「うわ、キモい! それ絶対バズるやつ!」

それは褒められてる?


いざ本番。

大学生たちが「せーの」でシャッターを切った瞬間、俺は全力で出現した。

「うおおおおおお!!」

が、結果は……

怖がられた数:0人  
獲得ポイント:0pt  
上司からの評価:「田中君、君は生前も空気だったの?」


翌日、山本さんに連れていかれたのは「幽霊スクール」

授業内容
- 首の曲げ方入門
- 壁抜けのコツ
- 効果音の出し方(「ひゅーどろどろ」認定試験あり)

特別講師として登場したのは、あの「かごめかごめ」の後ろの霊。めっちゃ美人だった。

「怖いだけじゃダメなの。今の若い子は"エモい幽霊"が好きだから」

エモい幽霊?

「ほら、こうやって切なそうに微笑むの。で、背景に桜を散らして……」

俺も挑戦してみた。

「うわ、泣ける……これ絶対TikTokでバズる」


今度は深夜の神社。ターゲットは心霊配信中の人気ライバー「霊感ゼロのあかりちゃん」

俺は特訓の成果をすべて出した。

- 首を120度曲げる
- 背後からゆっくり出現
- BGMに切ないピアノを流す(オプションで月額500pt)
- 最後に一言だけ呟く「……一緒に、写真、撮ろ?」

結果……

視聴者数:50万人突破  
コメント:「神回」「これヤバい」「マジでエモい幽霊きたあああ!!」

怖がられた数:48万9732人
獲得ボーナス:4897万pt  
上司からの評価:「田中君、天国史に残る逸材だ」


一晩で成仏ポイントが万バズした俺は、即座に正社員登壇。

新しい部署は「幽霊インフルエンサー課」

「次は海外進出だ! アメリカのホーンテッドハウスでバズらせようぜ!」

でも、ちょっと待ってくれ。

「俺、いつ成仏できるんだ?」って聞いたら、上司がニヤリと笑った。

「成仏? 君みたいな稼ぎ頭は、永遠にアルバイトだよ」

天国って……地獄じゃね?

(完)

#### おまけ 天国人材派遣センター最新求人

```
【超激務】幽霊VTuberデビュー
条件:生前陰キャ大歓迎
業務:毎日22時に配信(永遠に)
時給:成仏ポイント1000pt(ただし成仏不可)
特典:スパチャ全部自分のもの(成仏したら没収)
現在募集中:枠残り1名
```

俺の天国アルバイトは、まだまだ続くらしい。  
次はどんな姿でバズろうかな。
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