不思議なショートストーリーたち

フジーニー

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コレ星人ーレジスタンス・コレー

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地球征服から三年後。

人類は完全にコレ星人の支配下にあった。街はピコの像で埋め尽くされ、学校では「コレ!」が国語の授業。仕事はなく、毎日公園でコレ星人と遊ぶだけ。それが「幸せ」だと、誰もが信じていた。

しかし、わずかな者たちが、地下で抵抗を続けていた。

彼らは「レジスタンス・コレ」と名乗っていた。メンバーわずか五十人。リーダーは、元MACの隊員だった佐藤健一。ピコが最初に現れた公園で、子供たちを守ろうとしたあの日の生き残りだ。

佐藤は、ぬいぐるみを一切買わなかった数少ない人間の一人だった。だから、服従信号の影響が薄く、正気を保てていた。

地下シェルターで、佐藤は仲間たちに語った。

「奴らの弱点は、可愛さだ。逆に言えば、可愛さを否定できれば、信号は効かない」

仲間の一人、元心理学者の中村美咲が提案した。

「なら、逆を利用しよう。『不気味さ』で対抗するんだ」

彼らは、ピコのぬいぐるみを改造し始めた。

目を少しずらし、口を歪ませ、毛を逆立てて――「怖いピコ」を作った。

それを、夜中に街中にばらまく。

翌朝、人々はそれを見て、初めて違和感を覚えた。

「コレ……?」

ぬいぐるみの目が、笑っていない。

少しずつ、疑問が芽生え始めた。

「なんか……変だ」

「コレ、って言いたくない気がする」

コレ星人の監視網が、それを察知した。

ピコ(今は地球総督)は、宮殿で報告を受けた。

「コレ?」

部下がテレパシーで伝える。

「一部の人間が、抵抗信号を発信しています。可愛さを拒否する者たちです」

ピコの丸い目が、わずかに細くなった。

「コレ……」

ピコは、自ら出撃を決めた。

ドーナツ型宇宙船で、レジスタンスのシェルター上空に現れる。

佐藤たちは、迎撃準備をしていた。

改造ピコの巨大バージョンを、囮として設置。

ピコの船が近づくと、巨大な「怖いピコ」が立ち上がった。

目が赤く光り、口から不気味な笑い声。

「コレ……コレコレ……」

コレ星人たちは、初めて動揺した。

可愛さが武器の彼らにとって、「不気味さ」は最大の毒だった。

船内のコレ星人たちが、パニックに。

「コレ!? コレコレコレ!!」

信号が乱れ、地球中の人間たちが、一瞬だけ正気に戻った。

「え……俺、何やってたんだ?」

「仕事……辞めて三年?」

「コレ、って何だよ!」

世界中で、混乱が起きた。

ピコは、急いで信号を強化した。

だが、遅かった。

佐藤たちは、その隙にシェルターから脱出。

街中で、本物の声を上げ始めた。

「目を覚ませ! 奴らは侵略者だ!」

人々は、ぬいぐるみを投げ捨て始めた。

ピコの宮殿に、群衆が押し寄せた。

「出てこい!」

ピコは、宮殿のバルコニーに出た。

「コレ!」

いつもの可愛い声。

しかし、人々はもう、笑わなかった。

「うるせえ!」

石が飛んだ。

ピコは、初めて「恐怖」を知った。

コレ星人にとって、可愛さを拒否されることは、死に等しかった。

艦隊は、慌てて撤退を開始した。

ピコは、最後に地球を見下ろしながら、テレパシーで呟いた。

「コレ……失敗、か」

地球は、解放された。

だが、完全にではない。

今でも、どこかの家に、ピコのぬいぐるみが残っている。

夜中、かすかに光る目。

「コレ……」

レジスタンスは、今も活動を続けている。

「可愛いものは、時に一番怖い」

佐藤は、そう言い聞かせる。

次にまた、どこかの星から、可愛い侵略者が来ないよう。

――終わり。
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