28 / 53
コレ星人ーレジスタンス・コレー
しおりを挟む
地球征服から三年後。
人類は完全にコレ星人の支配下にあった。街はピコの像で埋め尽くされ、学校では「コレ!」が国語の授業。仕事はなく、毎日公園でコレ星人と遊ぶだけ。それが「幸せ」だと、誰もが信じていた。
しかし、わずかな者たちが、地下で抵抗を続けていた。
彼らは「レジスタンス・コレ」と名乗っていた。メンバーわずか五十人。リーダーは、元MACの隊員だった佐藤健一。ピコが最初に現れた公園で、子供たちを守ろうとしたあの日の生き残りだ。
佐藤は、ぬいぐるみを一切買わなかった数少ない人間の一人だった。だから、服従信号の影響が薄く、正気を保てていた。
地下シェルターで、佐藤は仲間たちに語った。
「奴らの弱点は、可愛さだ。逆に言えば、可愛さを否定できれば、信号は効かない」
仲間の一人、元心理学者の中村美咲が提案した。
「なら、逆を利用しよう。『不気味さ』で対抗するんだ」
彼らは、ピコのぬいぐるみを改造し始めた。
目を少しずらし、口を歪ませ、毛を逆立てて――「怖いピコ」を作った。
それを、夜中に街中にばらまく。
翌朝、人々はそれを見て、初めて違和感を覚えた。
「コレ……?」
ぬいぐるみの目が、笑っていない。
少しずつ、疑問が芽生え始めた。
「なんか……変だ」
「コレ、って言いたくない気がする」
コレ星人の監視網が、それを察知した。
ピコ(今は地球総督)は、宮殿で報告を受けた。
「コレ?」
部下がテレパシーで伝える。
「一部の人間が、抵抗信号を発信しています。可愛さを拒否する者たちです」
ピコの丸い目が、わずかに細くなった。
「コレ……」
ピコは、自ら出撃を決めた。
ドーナツ型宇宙船で、レジスタンスのシェルター上空に現れる。
佐藤たちは、迎撃準備をしていた。
改造ピコの巨大バージョンを、囮として設置。
ピコの船が近づくと、巨大な「怖いピコ」が立ち上がった。
目が赤く光り、口から不気味な笑い声。
「コレ……コレコレ……」
コレ星人たちは、初めて動揺した。
可愛さが武器の彼らにとって、「不気味さ」は最大の毒だった。
船内のコレ星人たちが、パニックに。
「コレ!? コレコレコレ!!」
信号が乱れ、地球中の人間たちが、一瞬だけ正気に戻った。
「え……俺、何やってたんだ?」
「仕事……辞めて三年?」
「コレ、って何だよ!」
世界中で、混乱が起きた。
ピコは、急いで信号を強化した。
だが、遅かった。
佐藤たちは、その隙にシェルターから脱出。
街中で、本物の声を上げ始めた。
「目を覚ませ! 奴らは侵略者だ!」
人々は、ぬいぐるみを投げ捨て始めた。
ピコの宮殿に、群衆が押し寄せた。
「出てこい!」
ピコは、宮殿のバルコニーに出た。
「コレ!」
いつもの可愛い声。
しかし、人々はもう、笑わなかった。
「うるせえ!」
石が飛んだ。
ピコは、初めて「恐怖」を知った。
コレ星人にとって、可愛さを拒否されることは、死に等しかった。
艦隊は、慌てて撤退を開始した。
ピコは、最後に地球を見下ろしながら、テレパシーで呟いた。
「コレ……失敗、か」
地球は、解放された。
だが、完全にではない。
今でも、どこかの家に、ピコのぬいぐるみが残っている。
夜中、かすかに光る目。
「コレ……」
レジスタンスは、今も活動を続けている。
「可愛いものは、時に一番怖い」
佐藤は、そう言い聞かせる。
次にまた、どこかの星から、可愛い侵略者が来ないよう。
――終わり。
人類は完全にコレ星人の支配下にあった。街はピコの像で埋め尽くされ、学校では「コレ!」が国語の授業。仕事はなく、毎日公園でコレ星人と遊ぶだけ。それが「幸せ」だと、誰もが信じていた。
しかし、わずかな者たちが、地下で抵抗を続けていた。
彼らは「レジスタンス・コレ」と名乗っていた。メンバーわずか五十人。リーダーは、元MACの隊員だった佐藤健一。ピコが最初に現れた公園で、子供たちを守ろうとしたあの日の生き残りだ。
佐藤は、ぬいぐるみを一切買わなかった数少ない人間の一人だった。だから、服従信号の影響が薄く、正気を保てていた。
地下シェルターで、佐藤は仲間たちに語った。
「奴らの弱点は、可愛さだ。逆に言えば、可愛さを否定できれば、信号は効かない」
仲間の一人、元心理学者の中村美咲が提案した。
「なら、逆を利用しよう。『不気味さ』で対抗するんだ」
彼らは、ピコのぬいぐるみを改造し始めた。
目を少しずらし、口を歪ませ、毛を逆立てて――「怖いピコ」を作った。
それを、夜中に街中にばらまく。
翌朝、人々はそれを見て、初めて違和感を覚えた。
「コレ……?」
ぬいぐるみの目が、笑っていない。
少しずつ、疑問が芽生え始めた。
「なんか……変だ」
「コレ、って言いたくない気がする」
コレ星人の監視網が、それを察知した。
ピコ(今は地球総督)は、宮殿で報告を受けた。
「コレ?」
部下がテレパシーで伝える。
「一部の人間が、抵抗信号を発信しています。可愛さを拒否する者たちです」
ピコの丸い目が、わずかに細くなった。
「コレ……」
ピコは、自ら出撃を決めた。
ドーナツ型宇宙船で、レジスタンスのシェルター上空に現れる。
佐藤たちは、迎撃準備をしていた。
改造ピコの巨大バージョンを、囮として設置。
ピコの船が近づくと、巨大な「怖いピコ」が立ち上がった。
目が赤く光り、口から不気味な笑い声。
「コレ……コレコレ……」
コレ星人たちは、初めて動揺した。
可愛さが武器の彼らにとって、「不気味さ」は最大の毒だった。
船内のコレ星人たちが、パニックに。
「コレ!? コレコレコレ!!」
信号が乱れ、地球中の人間たちが、一瞬だけ正気に戻った。
「え……俺、何やってたんだ?」
「仕事……辞めて三年?」
「コレ、って何だよ!」
世界中で、混乱が起きた。
ピコは、急いで信号を強化した。
だが、遅かった。
佐藤たちは、その隙にシェルターから脱出。
街中で、本物の声を上げ始めた。
「目を覚ませ! 奴らは侵略者だ!」
人々は、ぬいぐるみを投げ捨て始めた。
ピコの宮殿に、群衆が押し寄せた。
「出てこい!」
ピコは、宮殿のバルコニーに出た。
「コレ!」
いつもの可愛い声。
しかし、人々はもう、笑わなかった。
「うるせえ!」
石が飛んだ。
ピコは、初めて「恐怖」を知った。
コレ星人にとって、可愛さを拒否されることは、死に等しかった。
艦隊は、慌てて撤退を開始した。
ピコは、最後に地球を見下ろしながら、テレパシーで呟いた。
「コレ……失敗、か」
地球は、解放された。
だが、完全にではない。
今でも、どこかの家に、ピコのぬいぐるみが残っている。
夜中、かすかに光る目。
「コレ……」
レジスタンスは、今も活動を続けている。
「可愛いものは、時に一番怖い」
佐藤は、そう言い聞かせる。
次にまた、どこかの星から、可愛い侵略者が来ないよう。
――終わり。
12
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる