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シャイな妹はロックンローラー
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俺の妹・紗季は、信じられないくらいシャイだ。
「お、おはよう……」
その声量は、もはや概念。
朝の食卓では母が毎日こう言う。
「え?今なんて?」
「……おはよう」
「もう一回!」
「……おはよう……」
「聞こえない!」
会話が成立しない。
学校ではさらに深刻で、先生に当てられるとフリーズ。
クラスメイトの男子からは「無口系クール女子」と誤解されているが、実態はただの極度の人見知りだ。
――だが。
夜十一時。
ドゴォン!!ギャリギャリギャリィィ!!
「地震!?いや違う、妹だ!!」
隣の部屋から轟音がする。
ドアを開けると、そこには昼間の妹は一切存在しなかった。
黒T、ボロジーンズ、ギターを構え、髪を振り乱す生物。
「ロックは魂だァァァ!!!」
誰だ。
「紗季、学校でもそれくらい声出せ」
「無理!!それとこれは別!!」
別らしい。
そんなある日、紗季はなぜかライブハウスに出ることになった。
理由は単純。
「……間違えて応募ボタン押した……」
シャイすぎる事故。
当日、ステージ裏で紗季は瀕死だった。
「む、無理……人が多い……帰る……」
だがステージに立ち、ギターを持った瞬間。
「――ロックンロールォォォ!!!」
また別人だ!!
爆音、爆アクション、爆テンション。
観客は大盛り上がり。
中でも最前列で、やたら目を輝かせている男子がいた。
演奏終了後。
「……あの……」
その男子が紗季に近づいた瞬間、妹は通常モードに戻った。
「ひっ!?な、なに……?」
「あ、えっと……さっきのライブ、すごく良かったです!」
「……あ、あの……べ、べつに……」
ロックどこ行った。
男子は顔を赤くして、意を決したように言った。
「ぼ、僕!あなたのギターに一目惚れしました!!」
「……ぎ、ギターに?」
「い、いえ!ギターもですけど!あなたにもです!!」
来た。
完全に来た。
「よ、よよよよよよよ……」
紗季の処理能力が限界を迎えた。
「す、すすすす……すみません!!」
そして――
逃走。
全力ダッシュ。
後日。
学校でその男子が紗季に告白した、という噂が流れた。
「え!?紗季ちゃん、告白されたんだって?」
「マジ!?あの無口な!?」
本人はというと。
「む、無理……恋愛イベント難易度高すぎ……」
そう言いながらも、ギターを抱えて小さく笑っていた。
シャイな妹はロックンローラー。
そしてどうやら――
恋のフラグには、まだアンプの音量が足りないらしい。
続く。
「お、おはよう……」
その声量は、もはや概念。
朝の食卓では母が毎日こう言う。
「え?今なんて?」
「……おはよう」
「もう一回!」
「……おはよう……」
「聞こえない!」
会話が成立しない。
学校ではさらに深刻で、先生に当てられるとフリーズ。
クラスメイトの男子からは「無口系クール女子」と誤解されているが、実態はただの極度の人見知りだ。
――だが。
夜十一時。
ドゴォン!!ギャリギャリギャリィィ!!
「地震!?いや違う、妹だ!!」
隣の部屋から轟音がする。
ドアを開けると、そこには昼間の妹は一切存在しなかった。
黒T、ボロジーンズ、ギターを構え、髪を振り乱す生物。
「ロックは魂だァァァ!!!」
誰だ。
「紗季、学校でもそれくらい声出せ」
「無理!!それとこれは別!!」
別らしい。
そんなある日、紗季はなぜかライブハウスに出ることになった。
理由は単純。
「……間違えて応募ボタン押した……」
シャイすぎる事故。
当日、ステージ裏で紗季は瀕死だった。
「む、無理……人が多い……帰る……」
だがステージに立ち、ギターを持った瞬間。
「――ロックンロールォォォ!!!」
また別人だ!!
爆音、爆アクション、爆テンション。
観客は大盛り上がり。
中でも最前列で、やたら目を輝かせている男子がいた。
演奏終了後。
「……あの……」
その男子が紗季に近づいた瞬間、妹は通常モードに戻った。
「ひっ!?な、なに……?」
「あ、えっと……さっきのライブ、すごく良かったです!」
「……あ、あの……べ、べつに……」
ロックどこ行った。
男子は顔を赤くして、意を決したように言った。
「ぼ、僕!あなたのギターに一目惚れしました!!」
「……ぎ、ギターに?」
「い、いえ!ギターもですけど!あなたにもです!!」
来た。
完全に来た。
「よ、よよよよよよよ……」
紗季の処理能力が限界を迎えた。
「す、すすすす……すみません!!」
そして――
逃走。
全力ダッシュ。
後日。
学校でその男子が紗季に告白した、という噂が流れた。
「え!?紗季ちゃん、告白されたんだって?」
「マジ!?あの無口な!?」
本人はというと。
「む、無理……恋愛イベント難易度高すぎ……」
そう言いながらも、ギターを抱えて小さく笑っていた。
シャイな妹はロックンローラー。
そしてどうやら――
恋のフラグには、まだアンプの音量が足りないらしい。
続く。
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