崩壊した世界を共に

ジャム

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食うか食われるか・・・

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緑色の人「グヘッ!おいしそうな生き物・・・グヘヘヘヘ~」

よだれをたらし、僕に手を伸ばしてきた・・・

クルス「っ!」

クルスさんが緑色の人の腕を掴んだ

クルス「逃げろ!!」

「え!?でも!!」

クルス「いいから!!早く!!」

「・・・っ!」

僕は急いで家を飛び出した
しかし・・・

「っ!!」

緑色の人「グ、グヘヘヘ・・・おいしそうな子供だ~」

緑色の人「肌・・・綺麗・・・獣とは違う・・・?」

緑色の人「ジュルッ!新鮮・・・」

「っ・・・」

僕は後ずさりした

緑色の人「捕まえた~」

「っ!離して!!」

僕は後ろにもう一人いることに気づかず片腕を掴まれ持ち上げられた

緑色の人「クンクン・・・甘い匂い・・・うまそうだ!!」

そういい僕の首を舐めてきた

「っ!?い、嫌だ・・・やめて・・・」

怖い・・・
怖いよ・・・
僕は暴れたが、力が強く、身体も大きいこの緑の人には効かないらしい

緑色の人「グヘッヘッヘッヘ!生きがいい・・・もっと暴れろ・・・もっとおいしくなる!」

僕を弄ぶかのように投げては捕まえてを繰り返していた

「助けて!!クルスさん!!」

ドカンッ!!

「!?」

僕の出てきた家の壁を壊してクルスさんが飛び出してきた
しかし、地面に倒れたまま動かなかった

クルス「・・・」

「ク、クルス・・・さん?」

声を掛けてもクルスさんはピクリとも動かない

緑色の人「獣・・・しつこい・・・弱いのに」

クルスさんが飛び出してきた壁からさっきの緑の人が出てきた

緑色の人「この獣・・・どうする?」

緑色の人「獣・・・筋肉ばかり・・・まずそう」

緑色の人「ここに置いて行こう・・・運ぶの・・・めんどい」

「クルスさん!クルスさん!!」

僕はクルスさんに駆け寄り揺すった
だが、目を覚まさない

「クルスさん!!起きて!!起きてよ!!っ!?」

緑色の人「お前・・・一緒に来い・・・」

「嫌だ!!離して!!クルスさん!!」

何度も何度もクルスさんの名前を叫んだ
しかし起き上がることはなかった
そして・・・クルスさんは見えなくなってしまった・・・

緑色の人たち「こねて♪焼いて♪蒸して♪食べる♪」

「痛い!離してよ!!離せ!!」

片腕を持たれて僕は引きずられて知らないところに来た
そこには緑の人たちがたくさんいた
数え切れないぐらい

緑色の人「お前・・・なんの生き物だ?」

「っ・・・」

とてつもない異臭の息が僕の顔にかかる
鉄臭い・・・
この臭いって・・・まさか・・・

緑色の人「ムシャムシャ・・・」

「っ!?」

奥にはお肉を貪ってる緑の人達が何人もいた
それも・・・

緑色の人「調理・・・めんどい・・・」

緑色の人「生でも・・・いい」

「うっ・・・」

生のお肉を・・・食べている・・・

犠牲者「た、すけて・・・」

「!?」

食べられているお肉から声が聞こえた

犠牲者「お、ねがい・・・たすけ・・・ぎぎゃぁぁぁぁぁ!!!」

「っ!!」

僕は目を両手で覆った

「うぅ・・・」

僕も・・・同じ運命をたどるの・・・?
そう思ったら・・・

緑色の人「泣いてる・・・肉・・・やわらかくなる!」

緑色の人「恐怖・・・最高のスパイス!」

「うぅ・・・う・・・」

緑色の人「こいつ・・・希少・・・食べるのあと」

緑色の人「今食べよう!」

緑色の人「ダメだ!」

緑色の人「なぜだ!」

緑色の人「希少な肉・・・もっと恐怖を与える・・・肉・・・うまくなる」

緑色の人「お!いい・・・そうしよう!」

そういうと僕は奥に連れていかれた
その時、さっきの悲鳴の聞こえたところの横を通った

「っ!!うっ・・・うげぇぇ・・・」

その光景を見た瞬間・・・吐いてしまった

緑色の人「グヘヘヘ・・・スパイス・・・効いてる・・・」

僕は引きずられ・・・蹴られ・・・金網の牢屋みたいなところに入れられた

緑色の人「ここに・・・いろ・・・もっと・・・恐怖を見せてやる・・・グフッ!グヘヘヘ・・・」

「うぅ・・・」

緑の人は舌なめずりをすると何処かへ行ってしまった

(クルスさん・・・助けて・・・お願い・・・)

「僕・・・死にたくない・・・」

???「おや?今度は子供か?」

「!?だ、だれ!?」

???「君は・・・これは珍しい・・・まだ生き残りがいたのか?」

別の金網の牢屋には衣類がボロボロの犬獣人の男性が居た

カリム「俺は『カリム』。『カリム・ブレイク』。君の名前は?」

「・・・」

カリム「・・・怖いよな。まぁすぐにそんなの感じなくなる」

そういい座るカリムさん

「・・・ハルト・・・」

カリム「ん?」

「名前・・・ハルトです・・・」

カリム「ハルトか。覚えた。まぁすぐにお別れだろうけどな」

「・・・」

カリム「俺は多分次・・・だろうな」

「・・・」

カリム「俺の前には10人いたんだ。それが昨日の事」

「・・・」

カリム「あいつらは食欲が半端ないからな・・・」

「聞きたくない・・・」

カリム「ん?」

「聞きたくない!!!」

僕は耳を塞いだ

カリム「でも。最後なんだ。最後くらい誰かと話ぐらいしたいんだよ」

「・・・」

カリム「はぁ~あ・・・俺の町・・・大丈夫かな・・・」

「・・・町?」

カリム「ああ。俺は『ブレイクタウン』のリーダー・・・と言うか市長的なことをやってるんだ。代々受け継いでいる」

「・・・」

カリム「でも・・・失敗だったな・・・食料集めなんて参加しなければよかった・・・」

「・・・」

カリム「まぁ俺が参加する必要なんてなかったんだけどな。ただの気まぐれで参加したら・・・このザマだ」

「・・・」

カリム「ま、最後に珍しい生き物に会えたし、冥土の土産にはいいかな?」

「・・・」

カリム「・・・なぁ?話そうぜ?」

「・・・」

カリム「お前、歳は?」

「・・・14」

カリム「それは残念だったな。短い人生で」

「・・・」

カリム「俺はもう少しで30になれたんだけどな~」

「・・・」

カリム「でさ~30になった時にはさ~」

カリムさんの話は途切れることがなかった
ずっと話続けていた

カリム「で!その時、俺はナイフで首を掻っ切ってやったんだよ!」

「・・・」

カリム「あの時が俺の始めての殺しだったな~懐かし~」

「・・・」

カリム「・・・」

「・・・」

カリム「お前、話さねぇのな?」

「・・・」

カリム「何か聞かせてくれよ。質問でもいいぜ?」

「じゃあ・・・」

カリム「質問か!お兄さんに何でも聞きなさい!」

「あの緑の怪物・・・なんですか?」

カリム「は!?お前、ミュータントも見たことねぇの!?」

「ミュータント?」

カリム「どんだけ箱入りなんだよ・・・あいつらは『ミュータント』。俺たち獣人が放射能によって変異した化け物・・・って言われてる。真実はわからないがな」

「そんな・・・」

カリム「力も数も圧倒的に上だ。ただ知能が俺たちより下だがな」

「でも、武装してます・・・」

カリム「多少の知能はあるんだよ。会話をしたり・・・な。でも、交渉は無駄だ。奴らは俺たちを『食べ物』としか思ってねぇんだ」

「・・・」

カリム「・・・お前、家族は?」

「・・・」

カリム「もう食われたのか?」

「・・・家族は・・・もう、死んでます」

カリム「・・・食われた・・・わけじゃないのか?」

「はい・・・」

カリム「じゃあ、まだお前の家族は幸せだったな」

「・・・」

カリム「食われる苦しみや恐怖を感じないで死んだんだ」

「・・・」

僕はあの時の光景を思い出した

「うっ・・・うげぇぇぇ・・・」

カリム「たくさん吐いとけ」

「ゲホッ・・・ゲホッ・・・はぁはぁ・・・」

カリム「俺はもう慣れた」

「・・・な、れた・・・?」

カリム「ここに来てもう三日経つんだ。毎日悲鳴と光景を見聞きしてる。さすがに慣れる」

「・・・うっ・・・」

僕はまた吐いてしまった

カリム「よく吐くな~?」

「ゲホッ!ゲホッ!」

カリム「仲間とかはいないのか?」

「・・・」

カリム「いないのか?」

「います・・・でも・・・」

僕はクルスさんを思い出した
地面に転がって・・・動かなくなってる・・・クルスさんを・・・

カリム「助けに・・・来てくれるはずないよな・・・ミュータント相手に助け出そうなんて馬鹿な奴なんて・・・」

「・・・」

そうだよね・・・
それに・・・クルスさんは・・・

「うぅ・・・」

カリム「泣くなよ・・・泣いてもなんにもならないだろう?」

「うぅ・・・う・・・」

カリム「・・・はぁ・・・」

カリムさんはため息をつき視線を外へ向けた
外は暗くなっていた

カリム「・・・いつ食われるんだ・・・」

「・・・」

カリム「まだ・・・やりたい事あったのによ・・・」

「・・・」

カリム「・・・クソッ!!!」

カリムさんは床を何度も叩く

カリム「クソ!!・・・クソ!クソ!!クソ!!!!クソォォォォォ!!!!」

その時・・・

ドガ~~ン!!!

「!?」

カリム「!?な、なんだ!?」

地響きと共に大きな爆音が聞こえた

カリム「あいつら・・・俺をどう調理するつもりなんだ!?」

???「ハルト!!!どこだ!!!」

「!?この声・・・!」

僕は大きな声で叫んだ

「クルスさん!!!!」

そして・・・銃撃戦が始まったみたいだった・・・
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