崩壊した世界を共に

ジャム

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旅の途中で

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日が暮れて周りが暗くなってきた

クルス「そろそろ休むか」

「そうですね」

近くにあった橋の下で今夜は休むことにした

クルス「なんか・・・懐かしいな・・・」

「そうなんですか?」

クルス「ああ。昔、戦争に行ったときにこうやって野営したんだ」

「そうなんですか・・・」

クルス「その時はいつ襲われるかってビクビクしてたな・・・」

「クルスさんでも怖いことがあるんですね」

クルス「それはな~。その時はまだ新兵だったしな」

そういいながら焚火を作り火を付ける

「明かりがあると安心しますね・・・」

クルス「そうだな・・・そうだ。これを起動しておこう」

そういい超音波発生装置を起動した

「・・・なにも聞こえませんね」

クルス「そうだな・・・効果あるのか?」

そういい装置を見ているクルスさん

「きっとありますよ。たぶん・・・」

クルス「今晩は様子見だな」

そういいお肉を焚火で焼いて行く

クルス「すぐには焼けそうにないな・・・」

「そうですね・・・」

ぐ~~~~・・・

僕もクルスさんもお腹が鳴った

クルス「ハハハ!もう少し待とうな!」

「フフフ。はい!」

お肉が焼けるまでトマトを食べていた

クルス「・・・」

クルスさんは火を見ていた

「・・・」

やっぱり気になるよね
家族のこと、仲間のこと・・・
僕はもう両親が死んだ事知ってるし、見たけど・・・

クルス「ハルト」

「はい」

クルス「隣に行ってもいいか?」

「いいですよ」

クルス「ありがとう」

そういうとクルスさんは僕の隣に来た
そして腕を肩に回してきた

クルス「気を使わせてすまない」

「いいんですよ」

クルス「俺、両親と仲が良くなくてな。毎日喧嘩ばかりしてた」

クルスさんは自分の過去を語ってくれた

クルス「それで高校卒業と同時に俺は軍隊に入った。両親から離れたくてな」

「ご兄弟は?」

クルス「いない。俺は一人っ子だ。だからだろうな。『家業を継げ!』『自分勝手な行動はするな!』って言われてたんだよ。それが・・・嫌だった・・・」

「・・・」

僕はただ静かに聞いていた

クルス「親から離れて初めて感じたんだ。『自由』と『不安』をな」

「不安?」

クルス「ああ。うるさい親から解放されたと思う反面これでよかったのか、家業はどうするのか・・・そういう不安を感じた。だからって家に帰るつもりはなかったけどな」

クルスさんは静かに笑う

クルス「でも・・・こういう状況になってみると心配になるもんだな。もう生きてはいないってわかっているのに帰りたくなる・・・会いたくなる・・・縁を切るつもりで軍に入ったのにな・・・」

そういいクルスさんは涙を流す

クルス「もう少しちゃんと話せばよかった・・・手紙の一つぐらい送ればよかった・・・会いに行ってもよかったのに・・・って、後悔だけが残るんだ・・・」

僕の肩に回っている腕に力が入る

クルス「なんで・・・あの時、素直になれなかったんだろうな・・・言いたいことだけ言って相手の言葉はなに一つ聞かなかった・・・ちゃんと・・・聞いていればよかった・・・」

僕はクルスさんの頭を優しく抱きしめた

「僕にも・・・わかります」

クルス「・・・」

「もっと言いたいことありました。一緒に行きたいところもありました。でも・・・もう、無理なんです」

クルス「・・・うぅ・・・」

「でも、行くと決めたんですから行きましょう。そして、もし・・・会えたなら・・・伝えましょう。きっとクルスさんの言葉はご両親に届くはずですよ?」

クルス「うぅ・・・ハルト・・・すまない・・・」

そういい僕を抱き締めて泣く
僕も抱きしめる
クルスさんは泣き続けた

クルス「すまない・・・すまない・・・大人のくせに・・・」

「大人が泣いてはいけないっていう法律はありませんよ?そもそもこの世界に法律なんて関係ありませんし!」

クルス「ああ・・・」

しばらくクルスさんは僕の胸で泣いていた
泣き止んだ頃・・・

クルス「・・・肉・・・」

「・・・焦げ焦げですね・・・」

お肉は真っ黒な炭と化していた

クルス「すまない・・・」

「いいんですよ!仕方ありません!」

そういいジャガイモを焼いて食べた

クルス「肉・・・」

「フフフ。まだ言ってるんですか?」

クルス「食いたかったんだよ・・・」

「焼きますか?」

クルス「いや、食料には限りがある。今日は我慢する」

そういい地面に寝っ転がるクルスさん

クルス「はぁ・・・この歳になって子供の胸で大泣きするとはな・・・」

「泣きたいときは泣いていいと思いますけど・・・」

クルス「大人になるとそう簡単に泣いちゃいけないんだよ?」

「そうなんですか?」

クルス「ああ。だから、今のうちにたくさん泣いとけよ?」

「泣くことがあれば・・・」

そして焚火を消して僕たちは寝ることにした

クルス「苦しくないか?」

「大丈夫です」

クルス「そうか!」

僕とクルスさんは一緒の寝袋に入って寝ることになった

「寝袋もう一つあるのに・・・」

クルス「毎日一緒に寝てたからくっ付いてないと寝れないんだよ!」

まぁ・・・わかるけど・・・

クルス「じゃあ、お休み」

「おやすみなさい」

しばらく抱き合いながらいたが・・・

バキッ!

「っ!」

少しの物音が怖くて落ち着いて寝ていられない

クルス「怖いか?」

「す、少し・・・」

クルス「大丈夫だ。俺が傍にいるからな」

「はい・・・」

僕はクルスさんの胸に顔を埋めた

ピュ~~~・・・ガサガサ・・・

風が吹き木々が揺れる音が聞こえる
ゼッタさんが言ってたことがよくわかる
こんな状態じゃゆっくり休めるはずがない・・・

クルス「・・・寝れないなら話でもするか?」

「そ、そうですね」

僕たちは寝っ転がりながら話をすることにした

クルス「ここからもう少し進むと確かスーパーマーケットがあったはずなんだ。そこにもしかしたら食料やなにか役に立つ物があるかもしれない」

「スーパーマーケット・・・あ!マジカルスーパーですか?」

クルス「そうそう!知ってるのか?」

「テレビでやってましたよ!マジカ~ル♪スーパーマーケット~♪荷物も軽く、財布も軽くなるマジ軽なマーケット~♪って!」

クルス「ハハハ!そうそう!そんな感じだったな!一体なんのCMだよ!って思ったもんな!」

「アハハハハ!お財布が軽くなるのは困るな~ってお父さんが言ってました!」

クルス「それは確かに困るな!」

それ以外にもクルスさんの子供時代の話もしてくれた

クルス「初恋は中学の頃だったな~」

「お相手は女性ですか?」

クルス「ああ!メスの猫獣人だったよ!でも・・・振られた!」

「なんでですか?」

クルス「『私、熊獣人は嫌なの!』だってさ!」

「え~かっこいいのに」

クルス「まぁ好みは人それぞれだからな。仕方ない!それからも色んな人と付き合ってきたが・・・長続きしなかったな・・・」

「え?なんでですか?」

クルス「まぁ・・・軍人だからな。デート中に呼び出されることもあったし、ドタキャンもよくあったしな・・・それが原因だな」

「そうなんですね・・・」

僕は少し悔しく思った
嫉妬・・・かもしれない・・・

クルス「・・・でも、今はお前がいる」

そういいおでこにキスをしてきた

クルス「こんな世界になってしまったが、お前と出会えて付き合っている。俺は幸せだ」

「僕も・・・幸せです・・・とても・・・」

そういい僕からキスをした

クルス「お前はどうだったんだ?」

「え?僕ですか?」

クルス「ああ。初恋とかは?」

「初恋は・・・」

僕の初恋はクルスさん・・・
なんて言えない
恥ずかしい・・・

クルス「初恋は?」

「・・・秘密です!」

クルス「ほうほう・・・俺が初恋相手だと?」

「!?な、なんで知ってるんですか!?」

クルス「ハハハ。かかったな!」

「っ!?」

は、嵌められた・・・

「ひ、卑怯ですよ・・・」

クルス「素直に言わないのが悪いんだぞ?」

そういい強く抱きしめてきた

クルス「ありがとな!」

「こ、こちらこそ・・・」

他にも色々な話をした

「で、僕の誕生日忘れられてたんですよ?」

クルス「そうなのか?」

「はい。ケーキもプレゼントも・・・何もなかったんですよ。あ、でも、ジェットだけは僕にお花をくれましたよ?」

クルス「花?」

「はい!なんのお花かはわかりませんが、くれました!」

クルス「ちなみに、何日なんだ?」

「僕の誕生日ですか?」

クルス「ああ」

「1月18日ですが・・・」

クルス「もうすぐなんだな!」

「え?あ・・・そうかもしれないですね」

クルス「何か用意しないとな!」

「もうもらいましたよ!」

そういい僕は左手を見せた
薬指では指輪が輝いていた

「最高のプレゼントですよ?」

クルス「それはそれ!誕生日はちゃんと用意する!」

「フフフ。あまり期待しないで待ってます!」

僕の話。クルスさんの話。
色んな事を話した
そして気が付いたら僕もクルスさんも抱き締めあいながら眠ってしまっていた
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