ショウカンビト

十八谷 瑠南

文字の大きさ
3 / 29

大都市ウォーキンシティ

しおりを挟む
アパートを下りるとそこにはたくさんの人々が行き交っていた。
道路には、車が列をなして止まっている。
「また、朝から渋滞してる」
(みんなもっと地下鉄を使えばいいのに。それが一番エコなんだから)
リリィは軽く息を吐くと、駅へと向かった。
階段を下り、駅のホームへ向かう。
改札に入ると、そこにも外と同じようにたくさんの人々が電車の到着を待っていた。
満員電車に揺られ、ふた駅あとで下りる。
階段を上がり、改札を出ようとしたとき、カメラを構えた男が目をキラキラさせながら
改札の向こう側を見つめていた。
(観光客ね)
リリィは観光客が見つめる視線の先を見つめた。
(まあ、確かにこれは、シャッターに収めたくなるわよね)
「私たちにはもうとっくに日常の風景だけど」
リリィは改札を出た。
そこは、この世界でも有数のビジネス街。
有数のビジネス街とは言い方がおかしいかもしれない。
だがリリィの住むこの街自体が世界一の大都市であるウォーキンシティ。
都市でありながら、入国をするように入るのが厳しい。
そんな都市のビジネス街なのだから、観光客が集まるのも当然なのだ。
リリィは立ち止まると上を見上げた。
天井が吹き抜け、朝の木漏れ日が行き交う人々を照らす。最新のデザインでありながら、時計塔、ベンチ、階段のデザインは昔ながらの雰囲気を残している。
(私もこの駅が好き。さっきの観光客の気持ちすごくわかる)
だが、この都市で暮らす人間にはただの駅にしか映らない。
ふと視線を人々に移すと、誰も駅など見向きもせず、せわしなく歩いていた。
(もっと周りを見ればいいのに・・・って朝からそんな余裕ないか)
「私も」
リリィは、再び歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...