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美術館
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ダミアンの店を出て、ぶらぶらとふたりは街を散策していた。
ショーウインドウに飾られたきらびやかな服やバック、アクセサリーを横目に見ながら。
特にお店に入るわけでもなく歩くふたりの前に古い建物が見えてきた。
その建物はまるで昔、貴族でも住んでいたのではないかと思わせるお屋敷のようなたたずまいをしていた。
入口へ続く大きく広がった階段の両脇に女神のような姿をした銅像と剣士のような姿をした銅像が置かれていて、建物の1階から3階には規則正しく並べられた窓がついていたが、どれもきれいに磨かれていて青い空が窓に映っている。
だが入口は頑丈そうな大きな冷たい鉄の門で閉ざされていた。
「もう少しらしいわね」
リリィは建物を見上げてそう言った。
「そうね。リリィはよくここに来るの?」
「ええ。雨の日とか。雨の日の美術館って好きなの」
そう。このお屋敷のような建物はウォーキンシティでも一番古い美術館。
100年以上まえから存在するこの建物は、もともと貴族の家だったとかでウォーキンシティの観光名所にもなっている。
「ふうん。じゃあやっぱり楽しみなんだ」
「そりゃあ楽しみよ。なんたってとんでもなく綺麗な絵だって聞いてるわ」
「とんでもなく?」
「この世界であの絵をみて誘惑されない人間はいない」
「なにそれ?」
「そう何かの雑誌に載っていたの」
「そんなに価値のある絵なら私も是非見てみたいわね」
「ナナのようなお子様にその絵の価値がわかるかしら?」
「少なくともその雑誌の記者より私のほうが価値はわかるわ」
そう言ったナナの声はなにか気迫のようなものがこもっていた。
リリィは不思議そうな顔をしてナナを見つめた。
「どういう意味?」
「なんでもない。私、そろそろ帰るわ」
「え」
「じゃあ、またご飯食べに行くわね。リリィ」
そう言ってナナはさっさと去っていた。
(何か気に触るようなこと言ったかしら)
リリィはため息をつくと目の前の建物を見上げた。
建物には大きな横断幕が垂れ下がっていて、“クレイラントの夕焼け世界初公開”と書かれていた。
「楽しみだわ」
リリィは少し微笑んでまた街を歩き出す。
ショーウインドウに飾られたきらびやかな服やバック、アクセサリーを横目に見ながら。
特にお店に入るわけでもなく歩くふたりの前に古い建物が見えてきた。
その建物はまるで昔、貴族でも住んでいたのではないかと思わせるお屋敷のようなたたずまいをしていた。
入口へ続く大きく広がった階段の両脇に女神のような姿をした銅像と剣士のような姿をした銅像が置かれていて、建物の1階から3階には規則正しく並べられた窓がついていたが、どれもきれいに磨かれていて青い空が窓に映っている。
だが入口は頑丈そうな大きな冷たい鉄の門で閉ざされていた。
「もう少しらしいわね」
リリィは建物を見上げてそう言った。
「そうね。リリィはよくここに来るの?」
「ええ。雨の日とか。雨の日の美術館って好きなの」
そう。このお屋敷のような建物はウォーキンシティでも一番古い美術館。
100年以上まえから存在するこの建物は、もともと貴族の家だったとかでウォーキンシティの観光名所にもなっている。
「ふうん。じゃあやっぱり楽しみなんだ」
「そりゃあ楽しみよ。なんたってとんでもなく綺麗な絵だって聞いてるわ」
「とんでもなく?」
「この世界であの絵をみて誘惑されない人間はいない」
「なにそれ?」
「そう何かの雑誌に載っていたの」
「そんなに価値のある絵なら私も是非見てみたいわね」
「ナナのようなお子様にその絵の価値がわかるかしら?」
「少なくともその雑誌の記者より私のほうが価値はわかるわ」
そう言ったナナの声はなにか気迫のようなものがこもっていた。
リリィは不思議そうな顔をしてナナを見つめた。
「どういう意味?」
「なんでもない。私、そろそろ帰るわ」
「え」
「じゃあ、またご飯食べに行くわね。リリィ」
そう言ってナナはさっさと去っていた。
(何か気に触るようなこと言ったかしら)
リリィはため息をつくと目の前の建物を見上げた。
建物には大きな横断幕が垂れ下がっていて、“クレイラントの夕焼け世界初公開”と書かれていた。
「楽しみだわ」
リリィは少し微笑んでまた街を歩き出す。
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