ショウカンビト

十八谷 瑠南

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なぜ?

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リリィは、ナナが何を言っているのかわからない以上にどうして自分の休日をそこまで把握しているのかわからなかった。
「ナナ、ちょっと待って。いくらあなたでもなんでそこまで知っているの?ナナとは
そんなに一緒に休日だって過ごしていないのに」
「私、リリィをずっと見ていたの」
この時、この言葉を発したのが気持ちの悪い感じの男の人だったら、リリィは間違いなくストーカーだと確信しただろう。だが、目の前にいるのは12、3歳の女の子だ。
どう考えてもリリィをストーカーする理由がない。
理由がわからないリリィが発する一言は決まっていた。
「なんで?」
ナナはじっとリリィを見つめるだけでなかなか答えなかった。
「ナナ、あの絵と関係あるの?クレイラントの絵。あなたが盗んだんでしょう?」
ナナは少し微笑むと近くにあったベンチを指さした。
「とりあえずあそこに座って話さない?私、コーヒー買ってくるから」

ベンチに座り、ナナからコーヒーを受け取ったリリィはナナにさっきの話の続きをしようとしたが、ナナがおいしそうにコーヒーを飲むものだからリリィも思わずコーヒーを飲んだ。
「ショウカンビト・・・って知ってる?」
とっさにナナから問いかけられてリリィはコーヒーのカップから口を離した。
「いきなり何?それよりもさっきの」
「いいから。ショウカンビトってリリィは知ってるの?」
リリィはナナが何を言いたいのかよくわからなかったが、とりあえず話を合わせることにした。
「ショウカンビト?昔話でしょ?」
「うん。昔話」
「たしか、どんな願い事も叶えてくれる魔人みたいな感じだったっけ?魔法のランプみたいなもので呼ぶのよね」
「ランプじゃなくて鈴」
「あ、そうそう!鈴よ鈴。ショウカンビトに選ばれた人が鈴を授かってその鈴でショウカンビトを呼び、願いを叶えてもらうって話よね。で、この話が何?」
「私がそうなの」
「え?」
「私がショウカンビトなの」
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