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記憶【記憶をなくしてから?日目】
剣道部での攻防①
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「ここが、剣道部の部室だよ~」
俺達は制服から剣道着に着替えて一つの扉の前に立っていた。
「ここが……。」
「まぁ、そこまで緊張しなくても大丈夫だよ。
君は、思った通りに動けば良いから。」
「とはいえ記憶はないんだぞ?」
「頭は覚えてなくても体は覚えてるでしょ?
今日の朝の軽い試合、覚えてる?」
「あぁ。覚えてるよ。」
「あんな感じに動けば良いんだよ。」
「わ、分かった。」
「それと、この扉を開けて、一歩入ったら、
「お願いします」って大きな声で言ってね。
まぁ、ただ大きな声じゃ駄目だよ。
しっかりと芯の通った声でね。」
「わ、分かった。」
「じゃ、開けるね~」
そして、引き戸が、開く。
「「お願いし…」」
その声を上げた瞬間、練習をしてた全員がこちらを向いて、
「「「「「お願いしますッッッッッ!」」」」」
声で引っ繰り返りそうになりそうだった。
誰もが練習を止めて、竹刀を腰に添えて、頭を下げる。
あれ?俺らって一年生だよな?
って事はこの中には先輩もいる訳で……。
「あ、あの桜?」
「なに?」
俺は小声で桜に、声をかける。
「何で俺らはこんな対応なんだ?」
「それは、この部活を引っ張ってるからだよ。」
「それだけで?」
「まぁ、練習が始まれば分かるよ。
でも、この剣道部も実力者で一杯だよ。
殆どが全国大会は経験してる。」
「でも、先輩も居るんでしょ?」
「居るよ。
でも、皆ボク達に付いてきてくれる。」
「そうなんだ。」
「誇りを持ちなよ。
もっと堂々と。ね?」
「り、了解。」
「それでこそ日向君だよ。」
そして、皆が整列をして、礼をする。
剣道の礼儀作法らしい。
そして、練習を再開する。
「練習の相手をしてください!」
「あ、えっと、」
「日向君。」
「良いですよ。」
「ありがとうございます。」
1礼をし、竹刀を構える。
違いってこの事か?
瑠奏よりと動きが遅いな。
「面!」
相手の動きをよく見て、
「小手!」
「あ~、また1本取られちゃいました。」
「でも、十分良い動きだよ。」
「ありがとうございます!」
一礼をし、1歩下がりながら、竹刀を収める。
「ねぇねぇ、日向君。」
「なんだ?桜。」
「ちょっとボクと試合をしてみない?
朝と違って防具も付けてるし。」
「良いけど。」
「……皆集まって!」
皆が集まってくる。
「1度ボク達の試合を見てくれない?
そこから、学んでほしいんだ。
どう仕掛けて、どう打つのか。
竹刀で、どう防御するのか。
足の動きはどうなのか。」
「「「「わかりました!」」」」
「良し。
そこの君!」
「はい!」
「審判をしてくれない?」
「はい!喜んで!」
やった!と小さくガッツポーズをしながら俺達の中心から横にずれた所に立つ。
周りのみんなは羨ましそうにしているが、しっかりと俺達を見ている。
「「お願いします。」」
朝と同じような緊張感が体を支配する。
一礼。構える。
審判を頼まれた人、名字は紺野と書いてあった。
紺野が、
「初めッ!」
といった瞬間、体が勝手に動く。
頭で考えるよりも早く。そして、速く。
朝の様に当てては行けないという縛りがないからだろうか。
桜が面を打ってくる。
面を打ち返し、胴を狙う。
が、打ち返される。
面、打ち返し、小手。
それが打ち返され、面。
それを打ち返し胴。
打ち返され小手。
打ち返し面。
打ち返され胴。
それの繰り返し。
まるで、桜の技に操られているかの様な、そんな感覚に陥る。
けど、面で見えないが、桜の顔は笑顔だった。
俺も、きっと笑顔なのだろう。
二人ともこの空間を楽しんでいた。
いつの間にか周りは何も見えなくなり、目の前の桜しか視界には入っていなかった。
_未だ、攻防は続いている。_
俺達は制服から剣道着に着替えて一つの扉の前に立っていた。
「ここが……。」
「まぁ、そこまで緊張しなくても大丈夫だよ。
君は、思った通りに動けば良いから。」
「とはいえ記憶はないんだぞ?」
「頭は覚えてなくても体は覚えてるでしょ?
今日の朝の軽い試合、覚えてる?」
「あぁ。覚えてるよ。」
「あんな感じに動けば良いんだよ。」
「わ、分かった。」
「それと、この扉を開けて、一歩入ったら、
「お願いします」って大きな声で言ってね。
まぁ、ただ大きな声じゃ駄目だよ。
しっかりと芯の通った声でね。」
「わ、分かった。」
「じゃ、開けるね~」
そして、引き戸が、開く。
「「お願いし…」」
その声を上げた瞬間、練習をしてた全員がこちらを向いて、
「「「「「お願いしますッッッッッ!」」」」」
声で引っ繰り返りそうになりそうだった。
誰もが練習を止めて、竹刀を腰に添えて、頭を下げる。
あれ?俺らって一年生だよな?
って事はこの中には先輩もいる訳で……。
「あ、あの桜?」
「なに?」
俺は小声で桜に、声をかける。
「何で俺らはこんな対応なんだ?」
「それは、この部活を引っ張ってるからだよ。」
「それだけで?」
「まぁ、練習が始まれば分かるよ。
でも、この剣道部も実力者で一杯だよ。
殆どが全国大会は経験してる。」
「でも、先輩も居るんでしょ?」
「居るよ。
でも、皆ボク達に付いてきてくれる。」
「そうなんだ。」
「誇りを持ちなよ。
もっと堂々と。ね?」
「り、了解。」
「それでこそ日向君だよ。」
そして、皆が整列をして、礼をする。
剣道の礼儀作法らしい。
そして、練習を再開する。
「練習の相手をしてください!」
「あ、えっと、」
「日向君。」
「良いですよ。」
「ありがとうございます。」
1礼をし、竹刀を構える。
違いってこの事か?
瑠奏よりと動きが遅いな。
「面!」
相手の動きをよく見て、
「小手!」
「あ~、また1本取られちゃいました。」
「でも、十分良い動きだよ。」
「ありがとうございます!」
一礼をし、1歩下がりながら、竹刀を収める。
「ねぇねぇ、日向君。」
「なんだ?桜。」
「ちょっとボクと試合をしてみない?
朝と違って防具も付けてるし。」
「良いけど。」
「……皆集まって!」
皆が集まってくる。
「1度ボク達の試合を見てくれない?
そこから、学んでほしいんだ。
どう仕掛けて、どう打つのか。
竹刀で、どう防御するのか。
足の動きはどうなのか。」
「「「「わかりました!」」」」
「良し。
そこの君!」
「はい!」
「審判をしてくれない?」
「はい!喜んで!」
やった!と小さくガッツポーズをしながら俺達の中心から横にずれた所に立つ。
周りのみんなは羨ましそうにしているが、しっかりと俺達を見ている。
「「お願いします。」」
朝と同じような緊張感が体を支配する。
一礼。構える。
審判を頼まれた人、名字は紺野と書いてあった。
紺野が、
「初めッ!」
といった瞬間、体が勝手に動く。
頭で考えるよりも早く。そして、速く。
朝の様に当てては行けないという縛りがないからだろうか。
桜が面を打ってくる。
面を打ち返し、胴を狙う。
が、打ち返される。
面、打ち返し、小手。
それが打ち返され、面。
それを打ち返し胴。
打ち返され小手。
打ち返し面。
打ち返され胴。
それの繰り返し。
まるで、桜の技に操られているかの様な、そんな感覚に陥る。
けど、面で見えないが、桜の顔は笑顔だった。
俺も、きっと笑顔なのだろう。
二人ともこの空間を楽しんでいた。
いつの間にか周りは何も見えなくなり、目の前の桜しか視界には入っていなかった。
_未だ、攻防は続いている。_
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