英華女学院の七不思議

小森 輝

文字の大きさ
26 / 53

英華女学院の七不思議 26

しおりを挟む
 あれから、次に雛ノ森さんと会ったのは、月曜日の午前中。3時間目の授業だった。
 お互い、自分の頭を整理する時間も必要だろうということで、土曜日はあれから話し合うことなく別れた。そして、日曜日を挟んで、今日、月曜日。
 雛ノ森さんの様子が気になっていたが、授業にもちゃんと出席しているし、集中力を欠いている様子でもない。心配していたが、杞憂に終わってしまったようだ。
 それよりも、人の心配より、自分の心配をした方がいいかもしれない。
 休みだった日曜日は一日中、部屋で考えていたのだが、正直、私自身、まだ整理がついてない。私には、あの骸骨が脳裏に焼き付いている分、現実との区別が付いていないのかもしれない。
 日曜日に一日中悩み、さらに月曜日までそれを引きずっているのだが、授業中に私情を挟むような愚か者ではない。
 今日の授業もいつも通り行い、予定通りの場所まで進み、ちょうどよくチャイムが鳴った。
 出勤時は少し不安だったが、何事もなく授業を終えることができた。と思ったが、今日はいつも通り終わってはくれなかった。
「橋本先生。少しお時間よろしいですか?」
 私に話しかけてくるのはいつだって彼女だ。でも、今日は珍しく教室で話しかけてくれた。だが、珍しいのはそれだけではない。
「どうしましたか、雛ノ森さんと……」
 今日は雛ノ森さん一人ではなく、隣には別の生徒が立っている。授業終わりなので、もちろん、雛ノ森さんと同じクラスの1年3組。確か、名前は……。
「桃家薫(ももか かおる)さんです。先生、同じクラスなんですから忘れるなんて酷いですよ」
「忘れていたわけではないですよ。名前を思いだそうとしていたのに、先に言われてしまっただけで……」
「本当ですかぁ?」
 雛ノ森さんがお嬢様にはあるまじき卑しい顔で見てくるが、面倒なので相手にはしないでおこう。
 確かに、私は1年3組の副担任なので、生徒の名前を覚えておいて当然 なのかもしれないが、私が授業を担当しているのは1年3組だけではない。1組、2組も担当している。生徒の名前が瞬時に出てこないことなんて許してほしい。私はまだ20代だが、これから歳をとれば物忘れも多くなってくるだろう。生徒のみなさんには、雛ノ森さんのような意地悪にならず、関大な心で許してほしいものだ。
 面倒と思いながらも、結局、雛ノ森さんのことを考えている自分が腹立たしく思えるが、表面に出てしまう前に話の続きを促そう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...