町一番の支援魔法の使い手は元オタサーの姫! ~本気の想いは届かない~

小森 輝

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3 私の恩人を求めて

町一番の支援魔法の使い手は 32

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「でも、何で私を? 支援魔法が優れているのはそうなんですけど……その……私自身にはそれほど力はないんで私よりも他の人の方が能力があると思うんですよ」
「その評価は正しくない。今日、一緒に狩りをして分かったが、君の力はとても頼もしい。副団長の私でも自惚れてしまいそうになるほどだ」
 誉めてくれていることは嬉しいのだが、自惚れてしまうと言うのは私の能力の欠点とも言える。
「え? 二人で狩りに? いつのまにそんなことが……」
「今日たまたま成り行きでね」
「そうかい。まあ、理由は聞かないでおくよ。大体の予想はついているから」
 そう言って、団長さんは彼のほうへと視線を向けた。どうやら、彼はその件で呼び出されてお叱りを受けていたのだろう。
「それより、一緒に狩りしてみてどうだった? 仮入団してみる気にならない?」
「えっと……その……」
 見た目によらず、とてもグイグイうる団長さんだ。新手の宗教勧誘か押し売り販売の人のような図々しさだ。
 そう考えると、一気に不信感が沸いた。
 私が今まで騙されていたというなら、今ここで騙されていないという保証は全くない。それに、このギルドは非正規の闇ギルド。悪いことを考えていても何も不思議ではない。
「あの……そこまで私に拘る理由ってなんですか?」
「それは……ほら、君って結構有名だし、ヘイトが言っているように強いんだから、どこのギルドだって君に入ってもらえると戦力アップだよ」
 どうも胡散臭い。
 そのことに気づいて文句を言ってくれたのは彼だった。
「まっさん、あんたに嘘は似合わねぇよ。それにヘタクソだしな。もういろいろと暴露してんだ。本当のこと言ってやれよ」
 その言葉に、頭を掻きながら悩んだ後、諦めたようにため息をついた。
「私たち非正規ギルドは正規ギルドと対立な立場にあるんだ。新人の冒険者が何も知らないことをいいことに搾取を続け、そして使い潰していくのが間違っていると。そんな中、君が現れた。君も例に漏れず搾取され続け、その内、使い潰されていくだろう。もちろん、そんな現状から救い出すことも大事なんだけど、君にはもう一つ正規ギルドに取られたくない理由があってね。君は支援魔法が使えた。それも他の追随を許さないほどのすさまじい支援魔法だ。当然、支援魔法で強化されれば普段よりも強いモンスターを倒すことが出来る。つまり、普段より、収入が多くなると言うこと。そんな君が正規ギルドに入れば、人が集まる。正規3ギルドは協定を結んでいるので、君の使用権はギルド内で独占される。そうなると、魔石の交換レートが下がり、ギルドに所属していない冒険者の収入は今以上に減る。すると、借金をしてでもギルドに入る人間が出てくるだろう。現に今でもそう言う冒険者は少なくない。だが、君は一人しか居ないので、ギルドの下っ端にはなかなか回ってこない。そして、借金が膨らんだ頃、やっと君とのパーティーが編成される。ただし、普段では絶対に勝てないようなモンスターが相手だ。逃げることも許されず、死ぬまで戦わされて、君と見張り以外が死んだら、魔石だけを回収して借金返済だ。最悪なシナリオだろ?」
 今まで聞いてきた話が本当なら、そんな最悪な話も現実味を感じる。
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