町一番の支援魔法の使い手は元オタサーの姫! ~本気の想いは届かない~

小森 輝

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3 私の恩人を求めて

町一番の支援魔法の使い手は 33

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「そう言うわけで、非正規ギルドはどうしても君が正規ギルドに入って欲しくなかった。でも、ガードは堅くて正規3ギルドのトップレベルが一人ずつついている。非正規ギルドはどこも正規ギルドに喧嘩は売りたくない。そこで、戦闘力が最も高いうちのギルドに白羽の矢が立ったわけだ。正直、無理難題だと頭を抱えながら帰ってきたら、その本人の君が居るんだもの。びっくりして二度見しちゃったよ」
 なんというか、コミュ障の人の意見に賛同したら怒濤のように言葉が溢れてきたような感じだ。どこの世界にもこういう人はいるのだろう。
「それで、どうだろう。仮でもいいから入ってみない? 非正規ギルドみんなが無理だと諦めているし、ここで入ってくれたら私の立場もよくなるんだよね」
 ただ、こういうコミュ障の人がこんな興奮して長文を話すときは大体嘘を付いていない。まあ、話を少し盛ることはあるけど。でも、悪意のある嘘を付くようなことはない。だからこそ、信じることができる。
「あんまり役に立てるか分からないんですけど……よろしくお願いします」
「え!? 本当に? うち、非正規だから正直あんまり報酬とかでないよ?」
「誰かから奪い取ったお金を受け取るなんてこと、出来ませんから」
「あぁ……君がいい子でよかった。女神という通り名は君のためにあるようなものだよ」
 団長さんから拝まれた。私を拝んでも女神の加護なんて授けれないのに。
「それで、パーティーはどうするんだ? 元から出来てるパーティーに突っ込んでかき回されても困るだけだぞ」
「まあ、できれば事情を知っている人に頼みたいんだけど……」
 そう言って団長さんはチラリと彼の方を見たが、そんなのはどこ吹く風といった様子だ。
「事情なら今いる奴らは全員知ってるぜ」
「酒場で教えたのか……。本当、デリカシーがなくてごめんね」
「悪口教えたまっさんが言うな」
 それは確かにそうだが、彼も人から反感を買う才能はピカイチだと思う。
「まあ、誰でもいいだろ。ここにいる奴らはみんな同じようなもんだからな」
 私と同じような、というのは、騙された人と言うことだろう。でも、ヘイトさんや彼が騙されるような人種には見えない。
「……ヘイトだんもそうだったんですか?」
「いいや。私は志願してこのギルドに入れて貰った。それに、君よりも酷い境遇の者もいる。例えば、奴隷だったり……」
 奴隷という言葉で真っ先に思いついたのは町での光景だった。獣の耳を付けた獣人、モングレルの人たちが奴隷として扱われている姿。
「そう言えば、酒場のウェイターの人もモングレルの人が多かったですね」
 奴隷から解放されて、このギルドの冒険者になったり、戦えなければウェイターをしているのだろう。
 そう言う意図の言葉だったのだが、一瞬にして、この場が凍り付いた。
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