町一番の支援魔法の使い手は元オタサーの姫! ~本気の想いは届かない~

小森 輝

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5 私の波乱の休日

町一番の支援魔法の使い手は 62

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 刀は買い終わったし、もうやることは終わったはず。後は、荷物持ちとして仕事をした分のお金をもらえれば、それで……。
「ほら、これ、お前の分だ」
「ありがとうございます」
 荷物持ちぐらいしかやっていなかったので、お金を貰えるだけありがたいのだが……。
「うわっ……重っ……」
 予想外の重さに思わずよろけてしまった。
「おい、大丈夫か」
「は、はい……大丈夫です……」
 よろけても倒れなかったのは、コンさんに支えてもらったから。
「す、すいません」
 大慌てで離れたのだが、異性からの接触で少し顔が赤みを帯びたような気がする。恥ずかしい。
 そんなことよりも、この私への報酬の多さの方が問題だ。コンさんは今日の換金した分のお金が入った革袋を渡してきたのだ。
 当然、全部私の分という訳ではないだろう。さっきの鍛冶屋のおじいさんみたいに鷲掴みしてそれで取れた分が私の取り分という奴なのだろうか。
 いずれにしろ、換金したお金をすべて私に渡してきた意図が分からない。
「あの……これは……」
「お前の初給料だ」
「えっ……そ、それは……」
 違うと思っていた全て私の取り分パターンだった。でも、終盤まで荷物持ちしかできていなかった私にこんな使えなくなった刀を買い換えて余った分を全て私が貰うことなんてできない。
「私、これだけ貰うほど役に立っていませんよ?」
「いいんだよ。最初の給料なんだし。それに、ギルド
の方に移り住むつもりなら、いろいろ必要なものもあるだろ。その為の金だ。ありがたく受け取っておけ」
「……あ、ありがとうございます……」
 あの3人に騙されていたからだろうか、親切心から来ているものかもしれないが、なんか疑ってみてしまう。
「んだよ。なんか文句あんのか?」
「い、いえ……なんか、らしくないなと思って……」
「チッ……ヘイトとまっさんの提案だ。それに俺も同意しただけだ」
 コンさんが考えたことではなくヘイトさんや団長さんが考えたことなら何となく想像できる。でも、それにコンさんも同意したというのは……なんというか……。
「ほら、さっさと買い物に行くぞ!」
「買い物って……刀の他に何か買うものが……?」
「お前の買い物だよ。俺が荷物持ちになってやるって言ってんだよ」
「それも、ヘイトさんたちが?」
「そうだよ。ほら、さっさと買うもん買いに行くぞ!」
 それから、異世界で冒険者をやっているとは思えないようなショッピングをした。服を買い、いい感じの香水も買い、ちょっとしたお化粧品も買った。
 今までは、なけなしのお金を貯金して、どうにか正規ギルドの入会金を払い、そして、正規ギルドに依頼されているクエストをこなせば、収入も安定すると切り詰めた生活をしていたので、美容にお金をかける余裕がなかった。そのせいだろうか、購買意欲が爆発した。おかげでコンさんが引くほどの買い物をしてしまった。
 そして、翌日、ギルドの精鋭を集めて大規模レイドボス戦が決行された。
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