64 / 67
6 私の初ボス戦
町一番の支援魔法の使い手は 64
しおりを挟む
団長さんの言葉が届いたのか、その言葉と同時に先頭の二人は動き出した。
「さあ、目覚めの時間ですよ!」
競うように駆け出すが、前へ出たのは筋肉ムキムキの巨漢の人だ。
「ブレイクファスト!」
先頭の二人以外動かないので、スキルを発動する声がよく通る。そして、このスキルで、あの筋肉ムキムキの人が誰なのか分かった。
スキルの発動により、その巨体からは想像もできないようなスピードでボスモンスターへと接近し、そして、跳躍した。それも、モンスターの頭上を優に越え、天井スレスレまで行くほどの桁外れな跳躍。
そして、彼が持っている武器、棍棒のような形で先端が丸くこけしのような形状をしており、さらにその先端に無数のトゲが付いている。言うなれば、こけしがロックミュージシャンになって髪をツンツンにとがらせているような形をしているその武器が光輝きだした。
その光量は、まさに地下に降り注ぐ太陽の光。
「闇は明けた。さあ、一日の始まりです。これこそが目覚めの一撃。グッドモーニング!」
光の塊がボスモンスターへと落ちていき、それらが接触したとき、最後尾の私たちのところまで衝撃と熱気が襲ってきた。
あの一撃で起きないものなどいない。ボスモンスターも待機状態から戦闘状態に移る。
しかし、ここまで伝わってくる熱気、近くにいたら見方諸共ダメージを追ってしまう。
そうか、理解した。周囲にダメージを及ぼすほどの攻撃力なので、グッドモーニングさんは単身でボスモンスターに突撃したのだ。
いいや、単身ではなかった。グッドモーニングさんと一緒にボスモンスターへと突撃した漆黒の西洋甲冑を着込んだ暗黒騎士の人がいた。
彼は、当然、無事だった。残念ながら、コック帽はつけていないようだが、代わりに鎧と同じく漆黒の盾を構えていた。
でも、あんなのでグッドモーニングさんの一撃を防げたのかと不思議に思っていると、二撃目の攻撃が直撃し、衝撃と熱気が襲ってきた。
暗黒騎士さんの方を見ると、辺りは火の海で包まれていた。ただ、漆黒の鎧はそこに立っている。
「全てのマナよ、深き闇に包まれ、眠れ。グッドナイト」
その瞬間、彼の周囲にあった炎や熱気がまるで眠るように消え去った。
あまりに強力な能力のため呆気に取られていると、それに気づいた団長さんが説明を加えてくれた。
「グッドモーニングは魔力を熱として放出する事ができ、その威力は広範囲はもちろん、一体の敵でも絶大なダメージを与えることができる」
確かに、グッドモーニングさんの一撃はここまで衝撃と熱気が伝わってくるほど強烈だ。
「そして、グッドナイトは全ての魔法に対する完全な体制。それは見方だけではなく、敵からの魔法も完全に無効にしてしまう」
グッドモーニングさんの炎はもちろん、ボスモンスターからの魔法攻撃も全て無効にしてしまっている。
二人ともすごい能力だ。こんなの……。
「最強、だと思うだろうが、ちゃんと欠点もある。グッドモーニングは見て分かる通り、周囲に影響を及ぼしているので見方が近づけなくなっている。そして、グッドナイトは……」
団長さんが、そう言い掛けて先の言葉を止めると、ボスモンスターの様子が変わった。
今まで魔法で攻撃していたが、今度は両手に剣を持った。おそらく、あれで攻撃するのだろう。でも、あの漆黒の西洋甲冑ならば……。
「行動パターンが変わったぞ! 全体突撃しろ! お二人は早く下がって!」
今まで動かなかった目の前の冒険者たちが一斉に動き出した。
何事かと驚いていると、遠くでグッドナイトさんがボスモンスターの攻撃で吹き飛ばされている姿が見えた。
「あそこ、見えたかい? グッドナイトは魔法に対する完全な体制を持っているが、物理的な防御力はほとんどない」
「えっ……でも、あの甲冑は……」
「あぁ、あれは趣味の飾りだよ。防御力は持っていない」
まさかの事実だった。あんなに強そうな人たちにも欠点がある。もちろん、私にも、支援魔法しか使えず自身に攻撃力がないという欠点が。
コンさんの欠点は……おそらく、常に叫び回ってコミュニケーションが取りづらいことだろうか。
誰にでも欠点はある。問題はそれをどうやってカバーしあうか。
そういう点でいえば、グッドモーニングさんとグッドナイトさんはとても相性がいいと言えるだろう。
「ただ、モーニングもナイトも仲がよくないのがな……」
「あぁ、そう言えば……」
グッドモーニングさんの名前を口にしただけでグッドナイトさんはかなり殺気を放っていた。
「まあ、あの二人の戦いはこれで終わりだからね。ここからが私たちギルドの底力の見せ所だろ」
ボスモンスターが最初は魔法系の攻撃をしていたのを知っていたから、ここまでは予定通りという訳だ。
でも、最後まで戦えなかったグッドモーニングさんやグッドナイトさんは悔しいだろうな。
「さあ、目覚めの時間ですよ!」
競うように駆け出すが、前へ出たのは筋肉ムキムキの巨漢の人だ。
「ブレイクファスト!」
先頭の二人以外動かないので、スキルを発動する声がよく通る。そして、このスキルで、あの筋肉ムキムキの人が誰なのか分かった。
スキルの発動により、その巨体からは想像もできないようなスピードでボスモンスターへと接近し、そして、跳躍した。それも、モンスターの頭上を優に越え、天井スレスレまで行くほどの桁外れな跳躍。
そして、彼が持っている武器、棍棒のような形で先端が丸くこけしのような形状をしており、さらにその先端に無数のトゲが付いている。言うなれば、こけしがロックミュージシャンになって髪をツンツンにとがらせているような形をしているその武器が光輝きだした。
その光量は、まさに地下に降り注ぐ太陽の光。
「闇は明けた。さあ、一日の始まりです。これこそが目覚めの一撃。グッドモーニング!」
光の塊がボスモンスターへと落ちていき、それらが接触したとき、最後尾の私たちのところまで衝撃と熱気が襲ってきた。
あの一撃で起きないものなどいない。ボスモンスターも待機状態から戦闘状態に移る。
しかし、ここまで伝わってくる熱気、近くにいたら見方諸共ダメージを追ってしまう。
そうか、理解した。周囲にダメージを及ぼすほどの攻撃力なので、グッドモーニングさんは単身でボスモンスターに突撃したのだ。
いいや、単身ではなかった。グッドモーニングさんと一緒にボスモンスターへと突撃した漆黒の西洋甲冑を着込んだ暗黒騎士の人がいた。
彼は、当然、無事だった。残念ながら、コック帽はつけていないようだが、代わりに鎧と同じく漆黒の盾を構えていた。
でも、あんなのでグッドモーニングさんの一撃を防げたのかと不思議に思っていると、二撃目の攻撃が直撃し、衝撃と熱気が襲ってきた。
暗黒騎士さんの方を見ると、辺りは火の海で包まれていた。ただ、漆黒の鎧はそこに立っている。
「全てのマナよ、深き闇に包まれ、眠れ。グッドナイト」
その瞬間、彼の周囲にあった炎や熱気がまるで眠るように消え去った。
あまりに強力な能力のため呆気に取られていると、それに気づいた団長さんが説明を加えてくれた。
「グッドモーニングは魔力を熱として放出する事ができ、その威力は広範囲はもちろん、一体の敵でも絶大なダメージを与えることができる」
確かに、グッドモーニングさんの一撃はここまで衝撃と熱気が伝わってくるほど強烈だ。
「そして、グッドナイトは全ての魔法に対する完全な体制。それは見方だけではなく、敵からの魔法も完全に無効にしてしまう」
グッドモーニングさんの炎はもちろん、ボスモンスターからの魔法攻撃も全て無効にしてしまっている。
二人ともすごい能力だ。こんなの……。
「最強、だと思うだろうが、ちゃんと欠点もある。グッドモーニングは見て分かる通り、周囲に影響を及ぼしているので見方が近づけなくなっている。そして、グッドナイトは……」
団長さんが、そう言い掛けて先の言葉を止めると、ボスモンスターの様子が変わった。
今まで魔法で攻撃していたが、今度は両手に剣を持った。おそらく、あれで攻撃するのだろう。でも、あの漆黒の西洋甲冑ならば……。
「行動パターンが変わったぞ! 全体突撃しろ! お二人は早く下がって!」
今まで動かなかった目の前の冒険者たちが一斉に動き出した。
何事かと驚いていると、遠くでグッドナイトさんがボスモンスターの攻撃で吹き飛ばされている姿が見えた。
「あそこ、見えたかい? グッドナイトは魔法に対する完全な体制を持っているが、物理的な防御力はほとんどない」
「えっ……でも、あの甲冑は……」
「あぁ、あれは趣味の飾りだよ。防御力は持っていない」
まさかの事実だった。あんなに強そうな人たちにも欠点がある。もちろん、私にも、支援魔法しか使えず自身に攻撃力がないという欠点が。
コンさんの欠点は……おそらく、常に叫び回ってコミュニケーションが取りづらいことだろうか。
誰にでも欠点はある。問題はそれをどうやってカバーしあうか。
そういう点でいえば、グッドモーニングさんとグッドナイトさんはとても相性がいいと言えるだろう。
「ただ、モーニングもナイトも仲がよくないのがな……」
「あぁ、そう言えば……」
グッドモーニングさんの名前を口にしただけでグッドナイトさんはかなり殺気を放っていた。
「まあ、あの二人の戦いはこれで終わりだからね。ここからが私たちギルドの底力の見せ所だろ」
ボスモンスターが最初は魔法系の攻撃をしていたのを知っていたから、ここまでは予定通りという訳だ。
でも、最後まで戦えなかったグッドモーニングさんやグッドナイトさんは悔しいだろうな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
21
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる