アルスター ~星降る夜の冒険譚~

小森 輝

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3 妖精の賢者

アルスター 22

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「なるほど……その地上の種族に知恵を与えた存在であれば分かるかもしれないと言うことじゃな」
「それも理由の一つでありますが、もう一つ別の理由がありましてですな。それが龍種は古代の技術、ロストテクノロジーを扱うというはなしでして、それが我が妹の身の上に関係しているのではないかと、小生の考えでして。生物を鉱物に変換するなど、何の利点もない技術。これは呪術が関係しているのではないのかと思うのですが、そのような技術を龍種が未だに保有しているのかが問題でして……」
「問題はそれだけじゃない気がするのじゃが……。どうやって空に浮かぶ大陸に行くんじゃ。過去、誰かが龍の巣へ向かい帰ってきたという話は聞いておらんぞ。そんな場所にどうやって行くんじゃ」
「し、しまったでござるよ。妹が可愛いあまり、解決方法にばかり思考を向けてしまいもうした。小生としたことが、なんたる不覚!」
 メリルの姿がどうにかなるかもしれない可能性は分かったのだが、空に浮かぶ島へ行くのは現実的ではない。人が空を飛ぶなんて、夢物語だ。
「それなんだが……少し俺に心当たりがあってな……」
 そう言ったのは、ドワーフ王だった。
「俺が王の頃にやっていたことの一つでな……。俺たちの領土の上にのさばっているドラゴンどもをどうにかしようと空飛ぶ船、飛行船を作っていたんだ」
「流石! 龍の巣に気づいたドワーフ王殿は先見の明がありますな! では、それで飛び立てばよろしい」
「あぁ、それがな……船は造ったんだが、肝心の動力がなくてな……」
「つまり、動かないと言うことですかな? それでは張りぼてですぞ」
 ドワーフ王はベリルさんに素早い手のひら替えしをされていた。
「どうにか動力源があればいいんだが……。そうだ。妖精女王、さっき荷馬車を動かしていたように飛行船も動かしてくれないか?」
「流石に無理よ。人一人でも上空に飛ばすのはきびしいのに、船なんて飛ばせるわけないでしょ」
 人が空を飛ぶなんて夢物語だと思っていたが、メリルの魔法を使えば、人一人ぐらいは飛ばせるのか。
「動力源……確か、エルフの宝珠、黄金の果実が精霊脈と通じて無限に近い魔力を供給できるという噂を小生、耳にしたことが……」
「本当か!? それを動力源にしたら動くかもしれないな……。妖精女王、あの剣みたく、その果実とやらを出してくれ」
「そうできればよかったんだけど……あれは常に魔力を放っているから……」
 剣のように出し入れは出来ないようだ。つまり……。
「これは宝物庫まで取りに行く必要があるようですな」
 解決方法の一つが分かったのだが、簡単には進めてくれないようだ。
 宝物庫と言えば、王城の中にあるのだろう。そこには王位を奪おうとしてメリルを狙っているエルフもいるだろう。メリルという鍵がいても盗人を全うするのは簡単なことではない。
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