ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか?

小森 輝

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万年の嵐

ゲームのキャラに恋するのは規約違反ですか? 63

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 私の気持ちに気づくことはなく、コルテは話を続けた。
「この嵐、どうやらおかしいらしいんだ」
「確かに、天気予報とハズレているけど、それがどうかしたの」
 珍しいといえば、珍しい。とはいっても、天気予報がハズレて小雨程度なんてことはよくあることだ。的中率が100%ではないので、こんな嵐になることだって十分あり得る。
「予報がハズレたこともそうだが、なにやら、別の場所では普通に晴れているそうだ」
「そんなの当たり前でしょ。世界中が同じ天気になることはないの。それはゲームの中でも一緒でしょ」
「あぁ。だが、この嵐は、一部の地域で起きているらしい。向こうのマップだと当たり前だったが、こっちでは珍しいんだろ?」
「そんなのどこで」
「一緒にレイド回りしていたみんなが言っていたんだ」
 コルテだけではなく、ゲームをしていたみんなの情報なので信用できないことはないのだが、嘘の情報に踊らされる気はない。
 テレビをつけて、ニュース番組へと変えた。今日の話題は、どこも異常気象で持ちきりのようだ。それらのニュース番組から得られた情報から考えても、それほど規模が大きい訳ではないようだ。おそらく、県すら覆っていない。
「でも、それがどうしたって言うの? 異常気象なんて今時珍しくも」
「なんでも、気象予報士を目指している学生というクラスを持っている奴がいてな」
 そう言えば、メンバーの中にそんな学生がいたような記憶がある。今日はちょうど日曜日で学校が休みだったのだろう。
「そいつが言うには、今回の嵐は例がないほど異常らしい。急に発達するし、その場で止まって動かないし、勢いは衰えるどころかさらに強くなっているしで、異常なことが重なって起こっているとか」
 気象予報とは無関係の職業だが、コルテが言っていることがとてつもなく異常なことだということは分かる。でも、それは実際に嵐の中にいる私が一番よく分かっている。
「それは分かっているわよ。それがどうしたのか聞いてるの」
「どうしたんだ? そんなに機嫌を悪くして……。まあ、いいけど。相談したいのは、その後なんだ。急に発生した嵐。もしかすると、モンスターの影響かもしれない」
「モンスターって……その確証は?」
「確証はない。だが、みんなモンスターの可能性を勘付いていた。でも、そんなのはあり得ないって。ただ、俺たちは知っているんだ。モンスターがこっちにくることを。だから、これは知っている俺たちの役目だろ」
 こんな異常気象は何らかの異常がなければ起こらない。その異常というのが、おそらくモンスターなのだろう。この異常気象から考えて、どのモンスターが出現したのか、予測できる。おそらく、コルテも同じモンスターを思い浮かべているのだろう。
 モンスターの正体を知っていながらも挑むというのなら、私も止めはしない。
「分かった。とりあえず、この嵐の中心地までは連れて行ってあげる」
「一緒に行くなんて、危険だ」
「一人でいく方が危険なんだから。それに、私は、送るだけ……」
 コルテだって、私と同じモンスターを想像しているなら、分かるはずだ。勝ち目なんてないと。それでも、コルテは行くのだろう。人々を守るタンクとしての役目を果たすために。
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