アイリス未来探偵事務所

小森 輝

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「周辺にある防犯カメラには犯人らしき人が映っていなかったとありますけど、これは一体……」
「そのままの意味だろ。この周辺の防犯カメラには犯人と思われるような人物は映っていなかった。だから俺たち探偵に依頼が回ってきた訳だしな。見た感じ、抜け道なんかもなさそうだし、おそらく、防犯カメラの録画履歴に残らない日数、だいたい2週間ほど前から被害者の自宅に住んでいたんじゃないのか?」
「なるほど……では、その同棲相手が犯人と言うことですか」
 被害者は同棲していたということだろう。しかし、2週間も外に出ないようなヒモ男を養っていたのに殺されるなんて、被害者の苦労が報われない。
「おそらくな。被害者を殺害した後、そのまま被害者の車で逃走。近くの空き地に乗り捨てられていたそうだ」
「じゃあ、その車から犯人の指紋とかが出たんじゃ?」
「あぁ。ただし、3人分の指紋がな」
「そうですよね……」
 鐘ヶ江さんが言っていたように、特定できれば私たちに依頼は来ていなかった。
「3人とも被害者とは接点があり、恋人関係だったが同棲はしていないと供述している。そして、3人とも犯行時刻のアリバイはない」
 どうやら手詰まりといった様子だ。
「あとは自供するのを待つしかなさそうですね……」
 そう思っていた私だったが、鐘ヶ江さんは違った。
「そうでもないさ。この周辺を見て確信したよ」
 どうやら、鐘ヶ江さんには犯人が見えているようだ。
「この周辺は防犯カメラで囲われていて、映らずに被害者宅へ行くのは、ほぼ不可能。なら、防犯カメラの記録が残っている間のアリバイを調べればいい。2週間ほどはあるんだ。その期間でどこかの防犯カメラに映っていればいいだけだ。後は警察が調べたら解決するだろう」
 突飛な思考ではなく、ちょっとした見落としが捜査を難航させていたようだ。
「とりあえず、これで事件は解決するだろう。あとは警察から事件の背景なんかの事後報告を待つだけだ。帰るぞ」
「は、はい!」
 殺人現場を見ることもなく、事件は解決してしまった。
 そう言えば、今回の事件では防犯カメラが重要になっていたが、もしかすると、それを確認するためにわざとこの周辺を回っていたのだろうか。道に迷ってはいたけれど、やっぱり事務所でトップと言われるだけの実力は持っているのだろう。
 私もいつかは……でも、社会人として、こんないい加減でいいのだろうか。
 そんな葛藤を抱きながら、私は車へと戻った。
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