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1 最強から元最強へ
1 霊長類最強の男は負けました
俺の名前は井之中拳弥。日本に住む高校3年生だ。
しかし、ただの高校3年生ではない。
とは言っても、この世にただの高校生なんて存在しないだろう。
誰もが皆、夢を目指し、そして、日々研鑽している。
国のために、社会のために、人類のために……。
そんな彼らに比べたら、俺がやっている事なんて道楽でしかない。なんたって、俺が今までの人生をかけてやってきたものは、ただのスポーツなのだから。国のためにも、社会のためにも、人類のためにもならない……いや、国のためにはなるかもしれない。それも、まだ未定なのだが……。
俺は、このまま順調に時が経てば、オリンピックに出場する。その時は、国のために、国旗を背負って戦える。
この拳二つで何かのために戦える日が来る。
そう、俺がやっているスポーツはボクシングだ。
父親がボクシングジムを経営していたこともあり、俺がボクシングを始めたのは幼少期から。物心ついたときには両手にグローブをはめていた。俺にとって、ボクシングは日常だった。
そんな恵まれた環境だったおかげで、俺は強くなることができた。
小学生の頃は、大会に出れば必ず優勝し、その頃から同年代に敵はいないと言われてきた。
そして、中学生では全国大会で優勝。井之中拳弥という名前が知れ渡り、正真正銘、同年代に敵はいなくなった。
さらに、高校生になり、1年生の時点でインターハイ、国体、選抜で優勝を飾り、国内ですら敵がいなくなり、2年生では18歳以下の選手で行われる世界ユース選手権でも優勝を飾った。
そして、3年生では、世界ボクシング選手権大会でも優勝を飾り、「霊長類最強の男」ともてはやされた。
高校を卒業してからは、父のボクシングジムに入門し、数あるタイトルを獲得して、何れはオリンピックで日本の国旗を背負う。
しかし、その前に、やるべき事がある。
高校生で最後となる国体だ。
そこで最後の優勝を果たし、高校ボクシングを引退する。
正直に言って、俺の敵はいない。誰も彼もが戦いきることなく、2ラウンド前半で試合が終わる。
だが、敵は全員、死力を尽くして向かってくる。決して油断はできない。
そんな中での一戦。
いつも通りの猛攻に相手選手がよろめき、こちら側に倒れ込んできた。もちろん、意識がなくなって倒れてきた訳ではない。これはクリンチという戦法。俺の懐に入り込み猛攻を凌ごうという魂胆なのだろう。しかし、それも長くは続かない。試合が膠着状態に入れば、当然、レフェリーが試合を止め、仕切り直す。
その予想通り、審判がブレイクを言い渡したので、俺は対戦相手から離れようとした。しかし、そこで予想外の事態が起こった。
離れようとした俺に、対戦相手の拳が襲いかかってきた。数多の強者を拳を合わせてきた俺からしたら、それほど強い攻撃ではなかったのだが、レフェリーが止めたという油断と顔面に綺麗に決まったことで視界が揺らいだ。
そう、ちゃんと予測しておくべきだったんだ。対戦相手の彼は、俺や俺が戦ってきた強者とは違う。そんな彼が死ぬ気で勝利を掴み取ろうとしているんだ。レフェリーの、周りの声が聞こえていなくても不思議ではない。
だが、俺は霊長類最強と呼ばれた男。顔面にストレートが決まったからと言ってダウンするほど柔な鍛え方はしていない。
レフェリーの制止も聞かず、尚も対戦相手は拳を振るう。次は右フック。
薄れる視界の中、究極まで引き上げられた集中力で拳をすんでのところでかわした。こんな追い込まれた場面、よく経験した。
いや、これは今まで経験してきたような極限の戦いの最中ではない。
そう思い、気を引き締めようと思ったときには、もう、目の前に肘が……。
必死の右フックは前のめりになり、それをかわしたことによって肘が差し込んできたのだろう。
かわす事もできず、衝撃を受けた後に俺の意識はなくなった。
しかし、ただの高校3年生ではない。
とは言っても、この世にただの高校生なんて存在しないだろう。
誰もが皆、夢を目指し、そして、日々研鑽している。
国のために、社会のために、人類のために……。
そんな彼らに比べたら、俺がやっている事なんて道楽でしかない。なんたって、俺が今までの人生をかけてやってきたものは、ただのスポーツなのだから。国のためにも、社会のためにも、人類のためにもならない……いや、国のためにはなるかもしれない。それも、まだ未定なのだが……。
俺は、このまま順調に時が経てば、オリンピックに出場する。その時は、国のために、国旗を背負って戦える。
この拳二つで何かのために戦える日が来る。
そう、俺がやっているスポーツはボクシングだ。
父親がボクシングジムを経営していたこともあり、俺がボクシングを始めたのは幼少期から。物心ついたときには両手にグローブをはめていた。俺にとって、ボクシングは日常だった。
そんな恵まれた環境だったおかげで、俺は強くなることができた。
小学生の頃は、大会に出れば必ず優勝し、その頃から同年代に敵はいないと言われてきた。
そして、中学生では全国大会で優勝。井之中拳弥という名前が知れ渡り、正真正銘、同年代に敵はいなくなった。
さらに、高校生になり、1年生の時点でインターハイ、国体、選抜で優勝を飾り、国内ですら敵がいなくなり、2年生では18歳以下の選手で行われる世界ユース選手権でも優勝を飾った。
そして、3年生では、世界ボクシング選手権大会でも優勝を飾り、「霊長類最強の男」ともてはやされた。
高校を卒業してからは、父のボクシングジムに入門し、数あるタイトルを獲得して、何れはオリンピックで日本の国旗を背負う。
しかし、その前に、やるべき事がある。
高校生で最後となる国体だ。
そこで最後の優勝を果たし、高校ボクシングを引退する。
正直に言って、俺の敵はいない。誰も彼もが戦いきることなく、2ラウンド前半で試合が終わる。
だが、敵は全員、死力を尽くして向かってくる。決して油断はできない。
そんな中での一戦。
いつも通りの猛攻に相手選手がよろめき、こちら側に倒れ込んできた。もちろん、意識がなくなって倒れてきた訳ではない。これはクリンチという戦法。俺の懐に入り込み猛攻を凌ごうという魂胆なのだろう。しかし、それも長くは続かない。試合が膠着状態に入れば、当然、レフェリーが試合を止め、仕切り直す。
その予想通り、審判がブレイクを言い渡したので、俺は対戦相手から離れようとした。しかし、そこで予想外の事態が起こった。
離れようとした俺に、対戦相手の拳が襲いかかってきた。数多の強者を拳を合わせてきた俺からしたら、それほど強い攻撃ではなかったのだが、レフェリーが止めたという油断と顔面に綺麗に決まったことで視界が揺らいだ。
そう、ちゃんと予測しておくべきだったんだ。対戦相手の彼は、俺や俺が戦ってきた強者とは違う。そんな彼が死ぬ気で勝利を掴み取ろうとしているんだ。レフェリーの、周りの声が聞こえていなくても不思議ではない。
だが、俺は霊長類最強と呼ばれた男。顔面にストレートが決まったからと言ってダウンするほど柔な鍛え方はしていない。
レフェリーの制止も聞かず、尚も対戦相手は拳を振るう。次は右フック。
薄れる視界の中、究極まで引き上げられた集中力で拳をすんでのところでかわした。こんな追い込まれた場面、よく経験した。
いや、これは今まで経験してきたような極限の戦いの最中ではない。
そう思い、気を引き締めようと思ったときには、もう、目の前に肘が……。
必死の右フックは前のめりになり、それをかわしたことによって肘が差し込んできたのだろう。
かわす事もできず、衝撃を受けた後に俺の意識はなくなった。
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