30 / 56
6 アペルピシアという魔王
まさか魔王が異世界で 30
なかなか支度が終わらないミラを急かしながら、やっとの思いで外に出ると、人の往来はなくなっていた。
「騒ぎなんてどこにもないじゃない」
「いや、これはこれで異常だ」
騒ぎがどこにもないのが異常なのだ。
ミラがなかなか起きずに手こずってはいたが、それでも今はまだ朝。人々が勤勉に行き交っていてもおかしくない時間帯のはずだ。
勤勉の使徒である商人すら今日は特別に怠惰を満喫しているというのだろうか。
数名ならまだしも全員となれば話は別だ。
「今、この町になにかしらの異常が起こっているのは間違いない」
だが、その異常がどこで起こっているのか分からない。手がかりは、窓から見た人々の往来のみ。
思い出すんだ。魔力や体は変わっていても、この脳だけは魔王の頃のままなのだから。
確か、人が多く行っていたのは窓から見て左側だった。だが、騒ぎの中心がそちらにあるとは限らない。例えば、何かの騒ぎから逃げてきた人間かもしれない。そう考えれば、窓から見て右側に行っている人間は武装した人間が多かった。
もしや、なにものかから襲撃を受けているのではないのだろうか。
ともかく、右に行くのがいいだろう。
「右に行くぞ!」
そう威勢よく言ったのだが、隣にミラの姿はなかった。
「こんな時にどこに行ったんだ、あいつは……」
辺りを見渡すと、なぜか宿に戻っていたミラの姿を見つけた。
「あいつ、また寝ようとしていたんじゃないだろうな……。おい! 行くぞ!」
呼ぶと、愚図ることなくすぐにやってきた。
「なんか右の方に戦える冒険者が集められているみたい」
「右……やはりか」
俺の推理は当たっていた。魔力は奪われ、体は人間の子供になっても、この魔王としての頭脳が劣化することはない。
そう誇りたかったが、俺にも理解できない疑問があった。
「って、なんでそんなことが分かるんだ」
「あぁ、さっき宿の人に聞いたから」
確かに。ここには人が全くいないわけではない。あれだけの騒ぎだったのだから、誰かに聞けば教えてくれたはずだ。人間に聞くなど魔王の頃では考えられなかったので失念していた。
「ともかく、早く行くぞ。もしかしたら、原因は俺たちにあるかもしれない」
右側にいった先には、俺が主を倒した森がある。もしやそれが関係しているかもしれない。そうなると、この町からの信頼度が落ちる結果になってしっまう。
それはあまりよろしくないので、急いで騒ぎの中心へと向かった。
「騒ぎなんてどこにもないじゃない」
「いや、これはこれで異常だ」
騒ぎがどこにもないのが異常なのだ。
ミラがなかなか起きずに手こずってはいたが、それでも今はまだ朝。人々が勤勉に行き交っていてもおかしくない時間帯のはずだ。
勤勉の使徒である商人すら今日は特別に怠惰を満喫しているというのだろうか。
数名ならまだしも全員となれば話は別だ。
「今、この町になにかしらの異常が起こっているのは間違いない」
だが、その異常がどこで起こっているのか分からない。手がかりは、窓から見た人々の往来のみ。
思い出すんだ。魔力や体は変わっていても、この脳だけは魔王の頃のままなのだから。
確か、人が多く行っていたのは窓から見て左側だった。だが、騒ぎの中心がそちらにあるとは限らない。例えば、何かの騒ぎから逃げてきた人間かもしれない。そう考えれば、窓から見て右側に行っている人間は武装した人間が多かった。
もしや、なにものかから襲撃を受けているのではないのだろうか。
ともかく、右に行くのがいいだろう。
「右に行くぞ!」
そう威勢よく言ったのだが、隣にミラの姿はなかった。
「こんな時にどこに行ったんだ、あいつは……」
辺りを見渡すと、なぜか宿に戻っていたミラの姿を見つけた。
「あいつ、また寝ようとしていたんじゃないだろうな……。おい! 行くぞ!」
呼ぶと、愚図ることなくすぐにやってきた。
「なんか右の方に戦える冒険者が集められているみたい」
「右……やはりか」
俺の推理は当たっていた。魔力は奪われ、体は人間の子供になっても、この魔王としての頭脳が劣化することはない。
そう誇りたかったが、俺にも理解できない疑問があった。
「って、なんでそんなことが分かるんだ」
「あぁ、さっき宿の人に聞いたから」
確かに。ここには人が全くいないわけではない。あれだけの騒ぎだったのだから、誰かに聞けば教えてくれたはずだ。人間に聞くなど魔王の頃では考えられなかったので失念していた。
「ともかく、早く行くぞ。もしかしたら、原因は俺たちにあるかもしれない」
右側にいった先には、俺が主を倒した森がある。もしやそれが関係しているかもしれない。そうなると、この町からの信頼度が落ちる結果になってしっまう。
それはあまりよろしくないので、急いで騒ぎの中心へと向かった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。