【悲報】異世界から日本に帰ってきたら幼女魔王が付いて来たんだが!?〜農家なのでスローライフをご所望します〜

かまぼこ

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1章 スローライフ、始めますっ!

9、私の力が強すぎる件

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「ふと思ったのじゃが、ヒナのステータスってどうなってるのじゃ?」


 私とは頭一つ分くらいの身長差がある琴音ちゃんは、上目遣いでこっちを向き素朴な質問を投げかけた。、


「ステータス? あれ、琴音ちゃん知らなかったっけ?」

「全く知らないのじゃ」


 琴音ちゃんに言われ、自分のステータスがどうなっているのか気になったのだ。、

 =====

ヒナ

職業:農家

レベル1

 体力:999

攻撃力:999

防御力:999

 魔力:999

素早さ:999

 知力:999

 能力など:【天候操作】、【不老不死】等々、全20個

  装備品:<創造者><エリオルの指輪>

 =====

「れ……レベル1で全ステータスがカンスト!? バグですかこれは!?」


 さらっと、私のステータスをバグ扱いしようとする受付嬢さん。普通、レベル1で全てのステータスがカンストしてることはない(あるとしたらライトノベルの中の世界ぐらい)。つまり、驚いてしまった受付嬢の反応はこれが正常なはずだ。


「なんでレベル1でステータスが全部カンストしてるのじゃ?」


 元魔王も、こういうのを見るのは初めてらしい。という訳で、私はみんなに説明することにした。


「えっと……今私は、<エリオルの指輪> っていうアイテムを装備してるの。 その子の効果で、レベルが1で固定される代わりに、全てのステータスがカンストしてる……はずよ」

「 <エリオルの指輪> ? そんなアイテム実装されてかしら?」


 はずよ、と言ったのは何かのバグなのか、この指輪、効果が読めないのである。フォントが文字化けしているのだ。


 受付嬢さんは首をかしげると、どこからかタブレット端末を取り出して調べ始めた。私は実装という単語を聞くと、実はここがゲームの世界ではないかと疑ってしまう。とは言うものの、今のこの世界はネトゲと似たような事には変わりがなかった。


「……なるほど、 数日前に実装されてましたね。疑ってしまって申し訳ございませんでした」

「疑う……? なんで?」

「最近、全国で実装されていないはずの能力や、アイテムを装備している人が増えてきてるのよ。 ヒナちゃんも見慣れない名前のアイテムを装備してたから、そういう系の人かと思ったのよ」

「……数日前に実装じゃと? この世界が今の状態になったのはもう1年ほど前のはずじゃろ?」


 琴音ちゃんの言葉に首を傾げ、話が噛み合っていないと感じていた。つまり、これ以上余計な事を言うと話がややこしくなる予感がしたのである。


「……えっと、二人にはまだこの世界の概要を説明していなかったわね」


 先程とは違い、受付嬢さんは少し落ち着いた口調で語り始める。


「今から約一年と半年ほど前、神様と名乗る物が、私達の脳内に直接語ってきたの」

「今からここを、異世界にするわよ! と。この一言が、更新アップデート 事件の全ての始まりだったわ」


 私は神様がお嬢様系の女の子だったのに驚愕した。


「その発言から五分後、一回目の更新アップデートが行われました」


主な変更点はこんな感じだ。


・自分の【レベル】【HP】【MP】といった【ステータス】が見れるようになった

・【魔法】【能力】【装備】【ストレージ】の追加

・自分の外見や声を自由にカスタマイズできるようになった

・いろんなところに【ダンジョン】が出現

・スライムやドラゴン等のモンスター、エルフやオーク等の言葉を話す人間以外の種族の登場

・【クエスト】【称号】の実装


「5分後って……いきなり過ぎませんか? 某ステーキ店もびっくりですよ!」

「その通り、最初はみんな混乱してたの……一部の人を除いてはね」

「『厨二病』の奴らじゃな。 この世界の魔法や能力は自分のイメージが大きく反映されるのじゃから、それ系の奴らが無双する光景が目に浮かぶのじゃ」


 私は……何処でそんな言葉覚えたのか疑問を感じた。というかそういう発言を表情一つ変えずにできるのある意味尊敬する。


「琴音様の言う通り、イメージ力は【魔法】や【能力】等に多大な影響を及ぼしますからね。 ヒナ様、試しにここで、魔法を使って片手用直剣を作って下さい」

「いや、魔法を使えと言われましても私呪文とか全く分からないですよ? 片手剣なんか作れるんですか?」


 受付嬢さんは笑顔を見せると、とんでもないことを言い放ったのだ。


「ノリと勢いで適当に詠唱して下さいっ! そうすればなんとかなります!」


 ギルド職員さんそんな事を言っちゃって大丈夫なのかと心配になった。そこで、不安になり琴音ちゃんの方を向いてみる。


「大丈夫、お主なら出来るはずじゃっ」


 予想はしていたが、とびきりの笑顔と共に帰って来たのだ。……色々と不安しかないが、まあやるだけやってみようと決めたのである。


「武装錬成、片手剣」


 私の声に反応し、どこからか目の前に一本の片手剣が出て来た。全体的に黒く輝いており、見た目は完全に、某黒の剣士さんの持つ武器だった。


「「「……」」」


 一同、揃って沈黙してしまう。……どうやらやらかしたようであった。

 数分程の沈黙の後、最初に口を開いたのは受付嬢さんだ。


「……しれっと未実装武器作らないでもらえますかね」

「えっ、未実装武器なの?」

「未実装というか、実装予定の武器ですね。 でも、こんなのが作れるって誰かに知られるとあなたたちの身に危険が起こるのは分かっていますよね?」

「「……はい」」


 私達は頷くことしかできなかった。


「それが分かったのなら、今すぐお家に帰りなさい。ここは危険です」

「「はい……」」


 受付嬢さんに言われるがまま、私達はマイホームへ帰ることにした。

 

 冒険者ギルドの古びた木製の扉をを開け、ふと空を見上げると朝なのにどんよりとした雲に覆われていた。

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