【悲報】異世界から日本に帰ってきたら幼女魔王が付いて来たんだが!?〜農家なのでスローライフをご所望します〜

かまぼこ

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4章 チート×幼女

28、ダンジョンに普通を求めるのは間違っているだろうか

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 目の前の幼女(ロリ)魔王がサラッといったパワーワード「お主(要は私)の作ったダンジョン」 まさか私の農業系チート(仮)【天候操作(オペレーション)】でそんなことが出来るはずが……

「【天候操作(オペレーション)】:ダンジョンせいs……」
「ストップなのじゃぁぁぁぁ!!」

――がしっ 
 
 ダンジョンが生成出来るかを私が試そうとしたところ、ロリ魔王が私に抱きつきながら止めて来た。 突然の行動に驚きを隠せず、行っていた詠唱? が中断される。 

「えっちょっとなんで突然抱きついてくるの……?」
「……お主、こんな見晴らしの良い土地にダンジョンなんかを生成したらいろんな意味で目立ちまくるということが分からないのかのぅ?」
 
 ロリ魔王は途中から顔を赤らめつつ、若干早口で語り掛けてくる。 言われてみれば確かに、こんなとこにダンジョンを作ってしまえば観光名所としてすっごい人がやって来るような未来が見える。

 目立つことは私達の「スローライフ」に反するということにどうして気付かなかったのか……我ながら不覚だった。

「えっと……ダンジョンってどこに作るの?」

 ダンジョン―それは冒険者たちが攻略する建物のこと。モンスターが出現したりお宝があったりトラップがあったり等々、ラノベやRPGとかではお馴染みの要素である。 
 
 基本は地上にあるので発見するのに苦労はしない(作品によって異なる)が、隠しダンジョンと呼ばれる見つけにくいダンジョンだと地下に生成するモノがテンプレだろうけど……うちの地下はどうせエヴァン◯リオンやらガン◯ムみたいな巨大ロボを格納する施設になるのだから、流石に地下に作るわけには場所が足りなかったりするのよね……

 私の心配に対して、ロリ魔王はびしっと言ってくれる

「決まっとるじゃろ。 別次元(アナザーディメンション)に作るのじゃっ!」
「あ……別次元(アナザーディメンション)?」
「お主なら見たことあるじゃろ……?」

 抱きついた状態のまま問いかけてくるロリ魔王。 そう言われてみれば何か思い当たるような……

 考えること30秒 私の脳裏によぎったのは<インデックス> ロリ魔王の記憶を具現化した書籍が保管されている、図書館みたいな部屋だ。 

 たしかウチのお風呂場がその空間の扉となっていた様な……

「まさか……別次元(アナザーディメンション)自体はロリ魔王が作るけど、その中で実際に作業するのは私ってこと?」
「いえーす! ざっつらいとなのじゃ♪」
「そんな笑顔で言われましても……てかちょっと離れてよ結構恥ずかしいんですが」

 ロリ魔王は見た目の幼女(ロリ)を生かして、私を上目使いで見上げながらローブ越しの腰辺りに抱きついているのだが、一応魔王なので見た目に反してステータスが高いのだ。
 
 そして力が強いので結構腰を締め付けてくる……(多分本人は無意識)それが負担となって腰が痛くなる……というのがただの女子高生だった(過去形)な私。 

 今は私の方がステータスが高いのでほとんど痛みとかは感じていなあだだだだだ

「……ニーナ? もしかして今私のステータスを無視して抱きついてるの?」
「なんかダメなのじゃ?」
「いやダメと言うかなんというかあだだだだ」
 
 私の微(かす)かな願いが届いたのか……ばっ とロリ魔王は離れてくれる。 その際、ほんの一瞬だけ見えたのは……彼女の目から零れ落ちそうなった一粒のしずくだった

……うん多分彼女が泣くわけがないよねうん

――ぽとっ ぼわんっ

 地面が一瞬濡れたかと思うと、そこに向日葵(ひまわり)によく似ている1輪の花が咲いた……何の種も植えていないのに。

「これは何?」

 足元にぽつんと咲いている向日葵(ひまわり)のような見た目をした赤い花を視界に入れつつ、私はこれを作ったロリ魔王に問いかける。

歌を纏いし創り世の花ベアトリーチェじゃよ。 特別な術式で抑え込んでいる我の力を引き出すために作ったのじゃ」

 そう答えたロリ魔王は、誇らしげな顔をして私を見た。 「凄いじゃろ? 我、超凄いじゃろ?」なんて言いたげな雰囲気を醸し出している。

 その幼女(ロリ)っぽさに、思わず「わー凄いね!」なんて言いながら頭を撫でたくなる。 が、今着ている装備(ローブ)の影響で両肩から先がすっぽりとなくなっているため、なでなでするにしても、魔力(マナ)で構築された私の両腕~他人からは基本見えない奴~でするのはちょっと気が引ける……

「ヒナ、<災禍輪(ディザスターメビウス)>を貸してほしいのじゃ」

 <災禍輪(ディザスターメビウス)>というのは、私が持ってる農業用のクワ……の進化形みたいなものである。 ウル◯ラマンに出てくる変身アイテムみたいなものとしても使用することが出来る機能を持つのだが、変身のために力を貸してくれる存在の娘、<堕天使るしあ>(クワの擬人化ちゃん)の力が今の私には強すぎるためか、以前にウルト◯マンオー◯みたいな口上で変身を試みたら今装備している黒色ローブ<災禍の魔装・エリオル>の中に着ている元通っていた学校既定のセーラー服が一瞬で吹っ飛んだのだが、そんなヤバい代物をどうするつもりなのか……

「良いけど、何に使うの?」
歌を纏いし創り世の花ベアトリーチェだけでは足りない我の力を補うために使うのじゃよ」
「足りないって……別次元(アナザーディメンション)を作るのってそんなに力を消費するの?」

 ロリ魔王はウチのお風呂場になんか<インデックス>とかいう別次元(アナザーディメンション)をサラッと作れるんだから、ダンジョン用の別次元(アナザーディメンション)だって指ぱっちん1つで作れそうなのに……

「お主は我を何だと思ってるのじゃ……? ってそんなことはさておきさっさとやるのじゃ」
「あ、うん」

 これツッコミを放棄したわね…… なんて考えながら、「のあ、出て来て」と召喚コマンドを唱える。何もない空間から光の粒子が出てきて……一点に集(つど)って青と黒を足して2で割った感じの色の輪っかが空中に生成される。 

 スッ……と空中をスライドしたそれが、ロリ魔王の手元に渡ると、彼女は詠唱を開始した。

「ご唱和下さい、我の名を! ニーーーーーーナ!!」

 青を基調とした体色でメカニカルな印象の外見を持ち、全体的に青と銀のカラーが多く、正面から見ると普通だが、側面から見ると一昔前の漫画やドラマに登場するヤンキーみたいに大きくカーブを描いたスラッガーの様な形をした特徴的な頭部を持つウル◯ラマンさんの口上をウルトラパクげふんげふんウルトラオマージュした詠唱。 

 <災禍輪(ディザスターメビウス)>はそれに反応し、ぱぁぁぁんとロリ魔王を光で包み込む。 彼女の背中から天使の羽っぽい天使の羽が出現すると、着ていた黒ワンピースが紺のブレザーに変化した……えっ何でブレザーなの?

「それじゃあ……本格的に作っていくかのぅ」
歌を纏いし創り世の花ベアトリーチェ封印解放、レベルⅠなのじゃ」

 花の根元を中心に、私達の周りに魔法陣が展開される。 そこから黒い粒子がもわもわっと宙に浮き始めた

 ロリ魔王は更に続ける
「幻界は今開かれる、永遠(とわ)なる刻印をその地に具現し、森羅万象の理(ことわり)をここに開闢させ、新なる領域を生み出すのじゃっ! 【別次元(アナザーディメンション):魔王の領域シュヴァルティアノヴェル】っっ!!」

……

 ロリ魔王は今までにないくらい丁寧な詠唱……を行ったはずだが、十秒経っても周囲に変化が起きない……

「……出来たのじゃ」

 ロリ魔王はポツリと呟いた。 その途端、私の視界に巨大な立方体の空間……を仮想的に具現化したモノ……要は空中にすっごい高画質な立方体(正し中がくり抜かれているパノラマ?っぽいやつ)が出て来たのだっっっっ

 アイテムなしでAR(拡張現実)をやっちゃうなんてもう更新(アップデート)した世界さまさまですなぁ……

「これは今作った別次元(アナザーディメンション)を簡略化して出したものじゃ。 お主がこの中に自由に作るのじゃぁ」
「操作方法は?」
「お主がこの中に入って農業(チート)で作れば良いのじゃ」
「要は完全没入(フルダイブ)しろってことよ、ご主人様」 

「……はい」

 てなわけで、私はこの中でダンジョンを作ることになりましたとさ…… ちゃんとした農業やりたいよぉ……。
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