アグネイヤIV世

東沢さゆる

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第三章 深淵の鴉

冬薔薇1

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 夕食の後、ルーラは侍女に案内されるがまま、王太子の部屋へと赴いた。

 ――話がある。

 食事の最中に、ディグルが漏らした呟きに等しい言葉。それは後で寝室に来いとの命令だった。寵姫であるルーラが、主人の言葉に逆らえるわけがない。承知の旨を告げ、自室で侍女の迎えを待っていると、やって来たのは他でもない王太子妃付の侍女ツィスカであった。彼女は必要最低限の言葉のみ伝えると、何の支度をさせるでもなくルーラを王太子の寝室へと導く。世間一般の感覚であれば、これから行われることは、王太子とその愛妾の伽である。

 だが。
「座れ」

 部屋に着いたルーラを迎えたディグルが、開口一番口にした言葉は、それだった。
 ルーラが言われるままに長椅子に腰を下ろすと、すかさず王太子付の侍女が酒を運んでくる。それが卓上に置かれた刹那

「用があれば呼ぶ」

 ディグルは人払いをした。
 侍女も小間使いも去り、二人だけになったとき――ディグルは、物言いたげな視線をルーラに向けた。そうだ。彼は、待っていたのだ。この瞬間を。

「エリシア様を、見つけました」

 ルーラの答えは、簡潔だった。ディグルは一瞬、何を言われたのかわからない、と言った風に軽く眼を開き。頭の中でルーラの言葉を反芻しているかのように、唇を動かす。

 エリシアを見つけた。エリシアを。

 二十三年前に国を追われて以来、行方の掴めなかったエリシア。その消息をルーラが掴んだ。耳で受け取った情報を脳が実感するまで、どれほどの時を要したであろう。漸くディグルが息をつき、襟元を緩める仕草をしたころを見計らって、ルーラは言葉を続ける。
「エリシア様は、現在も御存命です。名乗りを上げて御挨拶申しあげたわけではございませんが、ご無事な姿は確認しております」
「……」
 ディグルは無言だった。無言で、杯に口をつける。一気に酒を飲み干した彼は、目を閉じ深く椅子の背に凭れた。
 ルーラもまた、それ以上何も言うこともなく、沈黙のなか主人を見つめる。

 長年探し求めていた生母、エリシア前妃の居場所が分かった。それだけで、彼は満足はしないだろう。
 彼が病身を今まで永らえて来たのは、エリシア前妃の無実を証明すること、彼女の追放を解くこと、彼女を罪に陥れた人々に報復すること――そのためであったのだから。
 だが、証人となるべき人物の一人、ラトウィスは現在廃人となっており、エリシアと青年将校の不義を申し立てた神官長はとうに病没してしまっている。あとはラウヴィーヌ自身か、もしくは彼女の実家であるレンティルグ辺境候、ラウヴィーヌの腹心であるオルウィス伯爵夫妻を証言台に立たせるしかないのだが。
 辺境候とラウヴィーヌを引き摺り出すのは難しく、伯爵夫妻の身柄を手に入れる方が最も楽な方法である。
 タティアンからフィラティノアへの道程で、ルーラもその方法を考えていた。しかし、相手は爵位を持つれっきとした貴族。王太子の寵姫とはいえ、宮廷においては何の地位もない自分が彼らを捕えるのは難しい。かといって、王太子の名前を用いての捕縛は危険すぎる。どうにか、オルウィス夫妻を手に入れる方法はないものか――結局、考えが纏まらぬまま、オリアへと帰還してしまった。

 今後のことは、ディグルと相談して決めていくほかはない。否、ディグルがどうしたいのか。改めて彼の意見を確認する方が先決だった。

 燭台の明かりが揺らめく卓子テーブルを挟んで、二人は暫しの間沈黙を守った。

 決して重苦しいそれではなく、寧ろ静かな、落ち着いた沈黙である。ルーラはふと、ディグルとの情事のあとに訪れる、心地よい時間を思った。彼の薄い胸に頬を寄せて眠りにつく、まどろみの中にあるあの優しいひととき。今宵も、ディグルはルーラに伽を命じるのだろうか。
 否。
(痩せた)
 もともと細身ではあったが、暫く会わぬうちに、ディグルの身体は一回りほど小さくなっている。病が進行しているのだろうか。それとも、心労のせいか。計りかね、ルーラは軽く唇を噛む。元来、ディグルは性欲が強い方ではない。それはとりもなおさず生殖に向いていないということでもある。単なる女性嫌いというよりも、情交自体を好まない。自身の種を残すことを望んでいない節があった。王太子として将来国を担う身としては、怠慢と謗られても仕方がないが、彼は現世のあらゆる物事に執着しない――しようとしない。

 何が彼を、虚無の海へと投げ出してしまったのか。
 幼子から母を取り上げるような真似をした、国王と現王妃に責があるのか。
 彼を見ていると、心の隅がチリチリと痛み出す。

(まるで……)

 オルネラにいたころの自分と同じだ、と。ルーラは思った。
「ルーラ」
 名を呼ばれ、彼女は我に返る。目を上げれば、ディグルが相変わらずの無表情でこちらを見つめていた。
「母上は、カルノリアに?」
 短い問いだった。ルーラは頷く。カルノリアの何処に、と、重ねて問うディグルに、
「ユリシエルです」
 彼女は、あくまでも端的に答える。ユリシエルのどこであるのか。問われてしまったときにどうは、答えよう。ルーラの心が揺れた。正直に述べても良いものか、それとも、正確な場所は口にせぬ方が良いのか。事実を知ったディグルは、どう思うのだろう。
 ラウヴィーヌを、彼女を受け入れエリシアを追放した国王を、魂の底から罵倒するのだろうか。
「ユリシエルの、何処にいる」
 危惧していた通りの問いが投げられる。ルーラは逡巡した。ここで言わねば、ディグルは何としてでもルーラの口を割らせようとするだろう。彼は冷静で冷徹であるが、一度その魂に熱い焔が点ると一気に感情を噴出させるところがある。それは、おもに怒りに集約されるのだが――主人の怒りを恐れるルーラではないが、事実を知って打ちのめされる彼を見るのは辛かった。
「それは」
 彼女が渋ると、
「言え」
 命令だ――ディグルの声に支配者特有の威圧感が含まれる。屈したわけではないが、彼の瞳の奥に見え隠れする孤独の影に、ルーラは静かに口を開いた。情にほだされた、と言った方が正しいのかもしれない。
「娼館、です」
 ディグルの視線が、僅かに揺れた。が、彼は「そうか」と呟いたきり押し黙る。彼もある程度の予想はしていたのだろう。国を追われ、人買いに売られた女性の辿る末路を。
「娼館の、名は?」
 乾いた問いかけだった。ルーラは舌先で唇を舐める。ここまで答えてしまった今、口を噤むべきではない。己の知るところは、主人に全て話す。それが自身に与えられた使命なのだと思い直し、彼女は出来る限り淡々と、感情を込めずにその名を告げた。

冬薔薇ふゆそうび、です」

 北の都に咲く、可憐な薔薇。その名の如く美しく気高い女性が、苦界に沈められている。ルーラは、込み上げる苦い思いを噛み殺し、まっすぐに主人を見つめた。
「エリシア様は、そこで……」



 ルーラは、ディグルのもとで夜を過ごすのだろうか。
(当り前じゃない)
 彼女は、ディグルの愛妾なのだから。

 考えて、マリサは吹き出した。なんと間抜けなことを考えているのだろう、自分は。
 若干とぼけてしまっている自身の頭を冷やそうと、マリサは寝床を抜け出した。隣に眠るリィルを起こさぬよう、細心の注意を払い、床にそっと足を落とす。爪先で履物を探り、それを突っ掛けると、彼女は脇机に置いてあった肩掛けショール羽織り、卓上に置かれた水差しに手を伸ばす。
「寝酒なら、付き合うよ」
 暗がりから聞こえる声に、しかし彼女は驚かなかった。驚きもせず、答えもせず。行儀悪く水差しから直接酒を喉に流し込む。口に広がる赤葡萄酒の味が、なんとも言えず美味だった。
「かーっ、これが男だったら、間違いなく惚れるんだけどねえ」
 寝ずの番のつもりか。寝室の扉の前に佇む侍女は、剣を携えていた。闇の中、蝋燭の明かりに映える瞳は金緑石アレキサンドライト。赤みを帯びた紫の瞳は、ミアルシァでも忌み嫌われる色だった。
「でもさ、最近酒の量増えてない? 身体に悪いよ、妃殿下。って、説教する気はないけどね」
 言葉通り、そのつもりはないらしい。彼女は剣を置くと、棚に並べられた葡萄酒を手に取った。
「あたしも、飲んでいい?」
 答えるかわりに、マリサは棚に置かれた杯を視線で示す。エルナは「ありがと」と短く礼を言い、歯で栓をこじ開けると中の液体を杯に注いだ。室内に、芳香が漂う。
「わたしにも頂戴」
 マリサの依頼に、エルナは杯を差し出した。マリサは礼を言って受け取り、一気に干す。味がわからないのではないか、かつてサリカに問われたことがあったが、そのときは笑って答えた。

 ――そんなことはない。

 と。今夜もそうだ。味はわかる、深みのある渋みとコクを充分に備えた酒だと。彼女は空になった杯をエルナに戻し、すとんと椅子に腰を下ろす。天井を仰ぎ溜息を洩らせば、闇の中にちらつくのは片翼の面影だった。彼女は髪をかきあげた左手に目を移す。その人差指に嵌められているのは、純銀の指輪。サリカが身につけていた、ティルデの指輪である。今まで気付かなかったのだが、内側に文字が彫られていた。古語を飾り文字と鏡文字で意匠化したそれの意味を、サリカが知らなかったはずがない。
(馬鹿ね)
 片翼の意図を邪推するわけではないが、この期に及んで彼女は――
(わたしに、全部投げようってこと?)
 苦笑がこみ上げてくる。指輪の内側に刻まれた文字、そこには

 ――覇王、ここに帰還せり。

 意味深長な一文があった。
 指輪をルーラに託した理由、それは自身の無事を伝えるためだというのが第一の理由だろう。だが、その裏に秘められた真意は? サリカは、真実のアグネイヤにその名を返そうとしているのではないだろうか。帝国再興という重荷とともに。
「……」
 ありえない――片翼はそんな無責任な人間ではない。マリサは、かぶりを振った。だが、心に宿る不信の根は深く。葡萄酒などでは打ち消せぬほどの苦さを、彼女に与えているのだ。
「ユリシエル」
 そこに、片翼は向かっているのだという。父の親友・シェルキス二世を頼ろうというのか。それとも、マリサの友人・アレクシア皇女に保護を求めるつもりなのか。神聖皇帝として身柄を預けるのだとしたら、サリカの生き残る道はただ一つ。カルノリア皇太子エルメイヤとの婚姻である。それ以外に彼女を公的に救う道はない。それを承知で、サリカはユリシエルに足を向けているのか。
「ユリシエル、ね」
 マリサの呟きに、エルナが反応した。彼女は杯に唇を寄せ、小さく笑う。
「おもしろい街だよ、ユリシエル。あそこに、禁断の薔薇が咲いているらしい」
 エルナの喉が鳴った。どういうことかと理由を尋ねようとして、マリサは眉を顰める。
「それって……?」
「そゆこと。見つかったって、お妃さまが。ユリシエルの、冬薔薇。そこに、エリシア前妃がいるそうだよ」
 国を追われた王妃と、皇帝。
 絶望の淵に身を投げたものが行く先は、北の果てなのか。
 マリサは、こくりと息を呑み、再び自身の左手を見下ろした。左手に収められた、指輪を。



「御気分は、如何でしょうか」
 脇机に置いた燭台の明かりが直接目に触れぬよう、寝台との間に衝立を置きながら、侍女が尋ねた。金色の髪に緑の瞳。明らかに異国のものだと判るその容姿、ディグルは僅かに目だけを動かし、
「変わりない」
 抑揚のない返事をする。異国の娘、王太子妃の侍女であるはずのツィスカがここにいるのは何故だろう――熱に浮かされた頭で考える。そうだ。礼拝の帰りに刺客に襲われたあの日、無表情に刺客の躯を見下ろしていた彼女に興味を持った。
 あの侍女が欲しい、そう妻に言ったところ、

 ――かまわないわ。

 妻は即答した。
 頷きの後に、眼が高いわね、と。軽く微笑んで。

 配置替えというわけではない。ただ、借りている。それだけの感覚でいた。だが、妻は違ったらしい。彼女はツィスカは使えると言ったのだ。使える――彼女がそう言う理由はひとつしかない。つまりは、ツィスカはそれなりの剣の腕を持っているということ。レンティルグの放った刺客ではないから、大丈夫だと王太子妃は言っていた。元はと言えば、父である国王が異国の花嫁に対してつけた監視らしいが。今のところ妻のもとには、ルーラが侍っている。それこそ、誰の寵姫かわからぬくらい、ルーラは王太子妃に近しいところにいる。監視、という点においては、ルーラに勝る存在はない。

 王太子妃も、ルーラを独占していた手前、罪悪感を覚えていたのだろうか。

 もしや、継母に命を狙われるディグルを案じて――
(馬鹿な)
 即座にその考えを否定する。妻が自分を案じるのは、国王よりも先に死なれては困るからだ。それ位は、わかる。ディグルとしても、継母に王冠を譲るくらいであれば、南方の魔女・クラウディアにくれてやった方がましだと思っているのだ。
 けれども。
 いつまでこの身がもつか。
「御用がございましたら、お声をかけてください」
 気を使ってか、ツィスカが消えた。その瞬間、気が抜けたのか。ぐふっ、と喉が鳴った。熱い塊が、胸から込み上げてくる。一回咳き込んでしまえば、もう止まらなかった。発作、と呼ばれるものだろう。
「……っ、……っ」
 敷布を強く掴み、必死で堪える。咳き込むたびに命が削られていく、それは錯覚ではないだろう。容赦なく這い上がってくる赤い体液が、唇をこじ開け外界へと放出する。たちまち白い敷布が赤黒く染まり、なんともいえぬ生臭い匂いが辺りを覆った。
「殿下」
 異変を察知したツィスカが慌てて駆け寄り、抱き起した背を、ゆっくりとさする。以前は触るなと振り払った手だったが、今はもうその気力すらない。咳をするだけで、やっとだ。

「……な」
「殿下?」
「誰にも、いうな」

 彼は苦しい息の下でそう呟いた。ツィスカは「かしこまりました」とだけ答える。楽だった。こういう冷徹な女は、氷の心を持つ女は、楽だった。性別を感じさせぬところが、心地よかった。

 やがて発作が治まると、ツィスカは彼を横たわらせ、湿らせた布で口元を拭った。敷布はもう少し落ち着いてから替える、そんなことを言い、薬湯を彼の口元へと運んだ。
「飲まれたり止められたり、は、宜しくありません」
 唇に流し込まれるのは、苦い液体。口の中で血液と混ざり、不気味な味に変わる。彼は顔を顰めたが、なんとかそれを呑み下した。飲み下して、ふ、と息をつく。
「ツィスカ」
 名を呼ばれ、彼女は、「はい」と返事をした。緑の瞳が蝋燭の明かりを受けて、赤く輝く。その眼は、異国から送りつけられた花嫁のそれに、どこかしら似ていた。
「言ってもいい。――いや、触れまわれ」
「殿下」
「俺が床に伏していることを、触れまわれ」
 いいな――その命令に、ツィスカは頷いた。なぜ、とは問わない。そう言うところも楽だった。最小限の言葉で動いてくれる存在がこれほどまでに有難いものだとは、ルーラを妻に奪われてから初めて知った。


「まあ、……まあ、殿下」
 女官長であり、彼の乳母でもあるスタシア夫人が部屋を訪れたのは、その翌日のことである。彼女は手塩にかけて育てた息子同然の大事な王子が、病にやつれ痛々しいまでにやせ細っている様を見て、目に涙を浮かべた。おいたわしい、その言葉しか知らぬのか、と言いたくなるほど幾度も同じ言葉を繰り返す彼女に、
「こんな状態だ。暫くは、政務の方は休む」
 端的に要件のみを告げる。
「名代として、あれを――ルクレツィアを使え」
 はい、と頷いたスタシア夫人は、
「まああ」
 不意に何かに気づいたようにパッと顔を輝かせた。ルクレツィア、と。ディグルが初めて妻の名を呼んだのだ。今までは『あれ』としか言わなかった彼が。これは王太子妃との仲が縮まった、そう思ってよいのではないか、とスタシアは歓喜している。その様子を見て取ったディグルは、
「その補佐には、ルナリアを。ルナリアならば、それなりにしきたりを知っている」
 言葉を継いだ。更に、この病気ゆえ、あまり人を近づけるな、と。スタシアにきつく言い置いた。完治するまでは、なるべく部屋を出ないようにする。ゆえに、誰もここには来るなと。たとえ妃であろうと、ルーラであろうと、スタシアであろうと。見舞いは必要ない、と、彼は冷ややかに言い放った。
「ですが、殿下」
「くどい。王太子妃や寵姫にまで、病を移すわけにはいかぬだろう」
 尤もらしい言い分であった。スタシアは渋々とそれを承諾し、傍らに控えるツィスカに目をやって
「殿下を宜しくお願いいたしますよ」
 またしても幾度も同じ言葉を繰り返して、去っていった。
 ぱたりと閉じられた扉の音に、ディグルは安堵のため息を漏らす。これでいい、心の奥で呟いて。彼はゆっくりと寝台から身を起こした。
「本当に、行かれるのですか?」
 彼の愛用の剣を手に現れたツィスカが、視線を揺らす。ディグルは頷くことなく剣を取った。そうして、寝台脇に隠されていた、ツィスカが用意した衣裳ドレスをまとい、髪を結いあげる。傍らに置かれた鏡を頼りに化粧を施し、頭から薄布ヴェールを被れば、そこにいるのは、若干背は高いものの紛れもなく妙齢の女性であった。

「お一人で、大丈夫なのですか?」

 暗に同行をほのめかすツィスカに、ディグルは無用だと声をかける。
 ツィスカには、ここに残り、彼が床で臥せっているように振舞ってもらわねばならない。このことは、当然ルーラにも知らせてはいない。彼女に知られれば、止められるだろう。王太子妃に知られれば、鼻で笑われるか、看病を口実に同行を迫られるか。どちらにしろ、面倒なことになる。

 舞い散る雪を窓越しに見、ディグルは遠き北の都に想いを馳せた。
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