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ある日の夜のオカンの店【麻由美編】
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◇◇◇◇◇
「それで? 宗ちゃんと美花ちゃんは何時するん?」
いつもの…
何気ない会話から
いきなりドキッと、させられる
疑問を2人に投げかけて来たのは
一緒に呑んでいた桜絵ちゃんやった。
宗ちゃんは、何か勘違いしたみたいで…
飲んでいたビールをブッと
吹き出して、慌てて
おしぼりで口を拭いていた。
美花ちゃんは、桜絵ちゃんの質問に
全く動じずに、自分のおしぼりを使って
テーブルを拭きながら…
宗ちゃんの濡れた膝を叩いていた。
「…結婚のことやろ?」
宗ちゃんの
慌てぶりがおかしかったのか?
美花ちゃんは、少し笑ってから
桜絵ちゃんに答えていた。
「ゆっくり考えてるんよ。うちの親は、
うちらの好きにしたらええでって言うてくれてるし、
宗ちゃんの両親は…多分、気を使ってくれてるみたいで。
宗ちゃんには、早く結婚しろって言うてくれてるみたい」
美花ちゃんは、膝に擦り寄って
甘えているこの店の看板猫の
がんもの頭を撫でながら、
宗ちゃんの顔を見てニィっと笑っていた。
「するんやったら…こうちゃんらみたいな
結婚式がええな~♪ってこの前、宗ちゃんと
2人で話してた所やねんで(笑)」
ちょっと、のろけた感じで
美花ちゃんが目を潤ませている横で、
宗ちゃんがウンウンと
また嬉しそうな顔で頷いている。
「桜絵ちゃんと拓ちゃんは?」
今度は…美花ちゃんが、攻めに回って
桜絵ちゃんと拓ちゃんに言葉を返していた。
すると
拓ちゃんが頭を掻きながら
桜絵ちゃんと顔を見合わせてから口を開いた。
「実は俺ら…半月前から一緒に住んでるねん。
行ったり来たりが面倒になって来たし、家賃も
勿体無いなぁ~って話になってな♪(笑)」
拓ちゃんが、ちょっと照れ臭そうに白状した。
「人それぞれで色んな形の付き合い方があるから、
2人で納得して一緒に住んでるんやったらええんちゃう?
拓海もなんかあっても、責任取れる歳やしな!」
横から大人な意見を
放り投げたのは、健ちゃんやった。
「俺らは隣同士やったから、そんなん考えたことも
無かったな。どっちも自分の家みたいに行き来してたし。
そやから、結婚して2人で一緒に住んだ初日は、
めっちゃお互い緊張して…変な感じやったよな?」
こうちゃんが話を
私に振って来たので、
その夜のことを思い出して
ついつい笑ってしまった。
話を聞いてたオカンが、
新しいおしぼりと頼んだ唐揚げの
大皿を運んで来て、座敷に座ってる
面々を見渡してしみじみ言った。
「こんだけカップルがおると、次は誰と誰が
結婚するか言うて…年寄り連中は楽しみにしてるんやで♪」
ニコニコとオカンが笑って
話していると、カウンターの中から、
比奈ちゃんがこっちに向かって叫んだ。
「何時別れるか?って言うて、
賭けしてるおっさんらもおるんやで!」
そして比奈ちゃんは、意地の悪い
顔をして見せて、カウンターに座ってる
おっさん達を指差して笑っていた。
聞いていた美花ちゃんや
桜絵ちゃんは、立ち上がって
一緒に叫んでいた。
「うちらは絶対に別れたりしませんからね!!」
店の戸がゆっくりと開いて…
仲睦まじく帰って来たのは
亜紀ちゃんと真斗さんやった。
この店で、一番ホヤホヤで
アツアツのカップルや(笑)
すると…
【ゴンッ】という音がして
「痛てっ!」と言ったのは、真斗さんやった。
また頭を入り口でぶつけたらしい。
「真斗! 戸が壊れるから、気をつけて
入っておいでって、あれだけ言うてるのにまたやってる!」
「すんません! 3回に1回は、ぶつけてますね」
比奈ちゃんに怒られて
真斗さんは、ぶつけた頭を撫でながら
ペコペコと頭を下げて謝っていた。
「座敷いっぱい? もう座られへんかな?」
亜紀ちゃんが心配そうにして
聞いて来たので、すぐに横におった
こうちゃんが立ち上がって
皆でテーブルを2つ引っ付けて
囲んで座れるようにしていた。
「俺もたまには、嫁さん連れて来よかな?
お前ら見とったら1人で飲んでるんが寂しなって来たわ」
座敷の面々を見ながら…
健ちゃんが寂しそうに言ったら
比奈ちゃんが、カウンターの中で驚いていた。
「健ちゃんって奥さんおるん? 独身やと思ってたわ!」
「おるおる! 子供もおるで! 娘が1人、
もうすぐ中学2年や! 難しい年頃やねんけどな」
健ちゃんは、少し苦笑いしながら
比奈ちゃんに答えてから、
また話を続けた。
「嫁はんは、看護師やからめっちゃ忙しいねん。
夜勤もしてるしな。そやから娘は小さい頃から、
ほとんど…うちのババァが見てくれてる。俺は、
家におってもおらんでもあんまり役にたたんねん」
健ちゃんが、珍しく
弱気な発言をしていたら
横からオカンが口を挟んだ。
「そんなことないで! 一生懸命両親が働いてくれてるから、
ご飯も食べられて学校へも行けるんや!
ちゃんと健ちゃんは、役にたってる!」
「そんな風に言うてくれるんは、オカンだけや~♪」
オカンが健ちゃんの背中を
叩いて励ますと、健ちゃんは
オカンに抱きついて笑っていた。
すると
さっきから起きてウロウロしてたがんもが…
「ニャーン♪ ミャーン♪」と鳴き出した。
座敷の端で寝ていた
絵美里ちゃんも、目を覚まして
起きてしまった。
「あらら~、がんもにつられて起きてしまったなぁ~」
オカンがすぐに飛んで来て
グズってる絵美里ちゃんを抱っこして
カウンターにおる
比奈ちゃんのとこまで連れて行った。
こうちゃんは、裏口の方に置いてある
がんものご飯を持って来て
がんもに食べさせながら、美味しそうに
ご飯を食べているがんもを眺めて
嬉しそうに笑っていた。
「うちも絵美里と、少しご飯食べるわ~♪」
比奈ちゃんが、絵美里ちゃんと
座敷に来て座ったら、こうちゃんが
カウンターに入ってオカンを手伝い始めた。
「こうちゃんは家でもあんなん? それともここでだけ?」
比奈ちゃんがコソコソっと聞いて来た。
「家でもあのまんまやで♪」
比奈ちゃんの質問に私が答えたら
また比奈ちゃんは、ニィっと笑って
「それで? 赤ちゃんは、まだなん?」
いきなり赤ちゃんの話を聞いて来たから
ちょっと私は焦って、言葉に困ってしまった。
「なんかあったら相談してな! ちょっと頼りないけど
一応先輩やしな!」
比奈ちゃんはそう言うと、
返事に困ってる私の肩をポンポンと叩いて
絵美里ちゃんの口の周りについた
ケチャップを、おしぼりで拭いていた。
「私も、女の子がええなぁ~」
絵美里ちゃんを見ていた
桜絵ちゃんが言うと、拓ちゃんも
ウンウンと笑って頷いていた。
今度は、絵美里ちゃんと比奈ちゃんを
見つめてる真斗さんを見ていた
亜紀ちゃんが、唐突に真斗さんに聞いていた。
「真斗さん、子供早く欲しい?」
「え、あっ! 子供? 俺と亜紀ちゃんの?」
これは、図星やったみたいやわ…(笑)
絵美里ちゃんと比奈ちゃんを見て
自分の子供と亜紀ちゃんの姿を
想像してたみたいで、真斗さんは
真っ赤な顔で、亜紀ちゃんの
質問にあたふたしていた。
「付き合い始めたばっかりやのに、気が早いわ!」
宗ちゃんと美花ちゃんに
すぐに突っ込みを入れられて
真斗さんがめっちゃ困っていたので
私も思わず笑ってしまった。
「実は、2ヶ月ほど月の物が遅れてるから…
病院へ昨日行って検査してもらったら、出来ててん」
私は、お腹をさすりながら
比奈ちゃんにコソッと小声で…
まだ、誰にも内緒やねんけどと
言ってから打ち明けた。
すると、話を聞いた比奈ちゃんが
すぐに声を上げそうになったので
私は比奈ちゃんの口を抑えて
比奈ちゃんの耳元で言った。
「もうちょっと黙ってて! もう少し落ち着いてから
こうちゃんに話そうって思ってるねん」
「なんで? すぐにそんなん言って教えとかなアカンやん。
一番大事な時やねんで!」
比奈ちゃんは、そう言うと
私の手を握って真剣に心配してくれてた。
「なんか、タイミングが難しくて…もうちょっと
落ち着いてからでもええかな? とか…思ったりしてるんよ」
「まゆちゃんは、ほんまおっとりしてると言うか、
のんびり屋と言うか、まぁ、そやからずっと
こうちゃんを好きでおったんやろけどな~」
なんか褒めてくれてるのか、
けなされてるのか?(笑)
確かにそうかもしれへんな
とは、私も思ったけどね。
「こうちゃん! まゆちゃんが大事な話があるらしいで!」
比奈ちゃんは、わざと怒ってるような
口調で、こうちゃんを呼びつけた。
「何? どうしたん? 俺、何かした?」
こうちゃんは、慌ててカウンターから飛んできた。
そして、座敷に上がって
私の前に正座して座った。
「まゆちゃん。早く教えたり! こういう事はな、
早いほうがええねん!」
比奈ちゃんに言われて
こうちゃんが更に不安そうに私を見ていた。
「あ、えーっと。昨日、病院へ行ったら、
出来てるって言われてん。うちらの赤ちゃん…」
私がお腹をさすりながら伝えると
こうちゃんは暫く固まっていた。
「えっ? 麻由ちゃん、出来たん? ほんまに?」
「凄いやん! おめでとう~~!」
こうちゃんよりも、横で聞き耳立ててた
美花ちゃんと桜絵ちゃんのほうが
声を上げて喜んでくれていた。
皆が喜んでお祝いの言葉を
口にしている横で
こうちゃんは、そうっと
私のお腹に顔を近付けて聞いていた。
「ほんまに? ほんまにお前、お腹におるんか?」
「ほんまやで! 嘘じゃないで! ほんまにここにおるんやで!」
私が、真面目な顔で答えると
こうちゃんは、ガッツポーズをして立ち上がっていた。
「やった~! オカン! お父ちゃんになるんやで~!
俺…俺が、お父ちゃんになるんや~!」
こうちゃんは声を上げて叫ぶと
オカンのとこへ行って、オカンに抱きついていた。
「良かったな~こうちゃん! 麻由美ちゃんの事、
大事にしたらなアカンで! 今がほんまに一番大事な時やからな!
2人ともおめでとうさん!」
オカンは、こうちゃんの頭を
ポンポンと叩いて
乾杯しよか~っと言って、
皆にビールを注いでくれた。
もちろん私は、オレンジジュースを渡されたけどね。
その後は、こうちゃんが
男の子やったら、一緒に釣り行ったり
ガンプラ作ったりするねんとか…
女の子やったら、お風呂は
ずっと俺と入るねんとか
アホみたいなことばかり言って、
皆を笑わせていた。
みんなが騒いでる中で、
がんもと絵美里ちゃんは
仲良く座敷の隅に敷かれた
ベビー布団で、気持ちよさそうに
また、スヤスヤ寝てしまっていた。
そんな絵美里ちゃんを
私は眺めながら…ここに
自分の子も混ざるのかと考えたら
なんか嬉しいけど、こうちゃんと
生まれてくる子のやりとりを想像したら
笑いが止まらなかった。
翌日…。
両親とこうちゃんのお母さんに
赤ちゃんが出来たことを報告したら
私が想像いていた以上に凄く喜んでくれていた。
「それで? 宗ちゃんと美花ちゃんは何時するん?」
いつもの…
何気ない会話から
いきなりドキッと、させられる
疑問を2人に投げかけて来たのは
一緒に呑んでいた桜絵ちゃんやった。
宗ちゃんは、何か勘違いしたみたいで…
飲んでいたビールをブッと
吹き出して、慌てて
おしぼりで口を拭いていた。
美花ちゃんは、桜絵ちゃんの質問に
全く動じずに、自分のおしぼりを使って
テーブルを拭きながら…
宗ちゃんの濡れた膝を叩いていた。
「…結婚のことやろ?」
宗ちゃんの
慌てぶりがおかしかったのか?
美花ちゃんは、少し笑ってから
桜絵ちゃんに答えていた。
「ゆっくり考えてるんよ。うちの親は、
うちらの好きにしたらええでって言うてくれてるし、
宗ちゃんの両親は…多分、気を使ってくれてるみたいで。
宗ちゃんには、早く結婚しろって言うてくれてるみたい」
美花ちゃんは、膝に擦り寄って
甘えているこの店の看板猫の
がんもの頭を撫でながら、
宗ちゃんの顔を見てニィっと笑っていた。
「するんやったら…こうちゃんらみたいな
結婚式がええな~♪ってこの前、宗ちゃんと
2人で話してた所やねんで(笑)」
ちょっと、のろけた感じで
美花ちゃんが目を潤ませている横で、
宗ちゃんがウンウンと
また嬉しそうな顔で頷いている。
「桜絵ちゃんと拓ちゃんは?」
今度は…美花ちゃんが、攻めに回って
桜絵ちゃんと拓ちゃんに言葉を返していた。
すると
拓ちゃんが頭を掻きながら
桜絵ちゃんと顔を見合わせてから口を開いた。
「実は俺ら…半月前から一緒に住んでるねん。
行ったり来たりが面倒になって来たし、家賃も
勿体無いなぁ~って話になってな♪(笑)」
拓ちゃんが、ちょっと照れ臭そうに白状した。
「人それぞれで色んな形の付き合い方があるから、
2人で納得して一緒に住んでるんやったらええんちゃう?
拓海もなんかあっても、責任取れる歳やしな!」
横から大人な意見を
放り投げたのは、健ちゃんやった。
「俺らは隣同士やったから、そんなん考えたことも
無かったな。どっちも自分の家みたいに行き来してたし。
そやから、結婚して2人で一緒に住んだ初日は、
めっちゃお互い緊張して…変な感じやったよな?」
こうちゃんが話を
私に振って来たので、
その夜のことを思い出して
ついつい笑ってしまった。
話を聞いてたオカンが、
新しいおしぼりと頼んだ唐揚げの
大皿を運んで来て、座敷に座ってる
面々を見渡してしみじみ言った。
「こんだけカップルがおると、次は誰と誰が
結婚するか言うて…年寄り連中は楽しみにしてるんやで♪」
ニコニコとオカンが笑って
話していると、カウンターの中から、
比奈ちゃんがこっちに向かって叫んだ。
「何時別れるか?って言うて、
賭けしてるおっさんらもおるんやで!」
そして比奈ちゃんは、意地の悪い
顔をして見せて、カウンターに座ってる
おっさん達を指差して笑っていた。
聞いていた美花ちゃんや
桜絵ちゃんは、立ち上がって
一緒に叫んでいた。
「うちらは絶対に別れたりしませんからね!!」
店の戸がゆっくりと開いて…
仲睦まじく帰って来たのは
亜紀ちゃんと真斗さんやった。
この店で、一番ホヤホヤで
アツアツのカップルや(笑)
すると…
【ゴンッ】という音がして
「痛てっ!」と言ったのは、真斗さんやった。
また頭を入り口でぶつけたらしい。
「真斗! 戸が壊れるから、気をつけて
入っておいでって、あれだけ言うてるのにまたやってる!」
「すんません! 3回に1回は、ぶつけてますね」
比奈ちゃんに怒られて
真斗さんは、ぶつけた頭を撫でながら
ペコペコと頭を下げて謝っていた。
「座敷いっぱい? もう座られへんかな?」
亜紀ちゃんが心配そうにして
聞いて来たので、すぐに横におった
こうちゃんが立ち上がって
皆でテーブルを2つ引っ付けて
囲んで座れるようにしていた。
「俺もたまには、嫁さん連れて来よかな?
お前ら見とったら1人で飲んでるんが寂しなって来たわ」
座敷の面々を見ながら…
健ちゃんが寂しそうに言ったら
比奈ちゃんが、カウンターの中で驚いていた。
「健ちゃんって奥さんおるん? 独身やと思ってたわ!」
「おるおる! 子供もおるで! 娘が1人、
もうすぐ中学2年や! 難しい年頃やねんけどな」
健ちゃんは、少し苦笑いしながら
比奈ちゃんに答えてから、
また話を続けた。
「嫁はんは、看護師やからめっちゃ忙しいねん。
夜勤もしてるしな。そやから娘は小さい頃から、
ほとんど…うちのババァが見てくれてる。俺は、
家におってもおらんでもあんまり役にたたんねん」
健ちゃんが、珍しく
弱気な発言をしていたら
横からオカンが口を挟んだ。
「そんなことないで! 一生懸命両親が働いてくれてるから、
ご飯も食べられて学校へも行けるんや!
ちゃんと健ちゃんは、役にたってる!」
「そんな風に言うてくれるんは、オカンだけや~♪」
オカンが健ちゃんの背中を
叩いて励ますと、健ちゃんは
オカンに抱きついて笑っていた。
すると
さっきから起きてウロウロしてたがんもが…
「ニャーン♪ ミャーン♪」と鳴き出した。
座敷の端で寝ていた
絵美里ちゃんも、目を覚まして
起きてしまった。
「あらら~、がんもにつられて起きてしまったなぁ~」
オカンがすぐに飛んで来て
グズってる絵美里ちゃんを抱っこして
カウンターにおる
比奈ちゃんのとこまで連れて行った。
こうちゃんは、裏口の方に置いてある
がんものご飯を持って来て
がんもに食べさせながら、美味しそうに
ご飯を食べているがんもを眺めて
嬉しそうに笑っていた。
「うちも絵美里と、少しご飯食べるわ~♪」
比奈ちゃんが、絵美里ちゃんと
座敷に来て座ったら、こうちゃんが
カウンターに入ってオカンを手伝い始めた。
「こうちゃんは家でもあんなん? それともここでだけ?」
比奈ちゃんがコソコソっと聞いて来た。
「家でもあのまんまやで♪」
比奈ちゃんの質問に私が答えたら
また比奈ちゃんは、ニィっと笑って
「それで? 赤ちゃんは、まだなん?」
いきなり赤ちゃんの話を聞いて来たから
ちょっと私は焦って、言葉に困ってしまった。
「なんかあったら相談してな! ちょっと頼りないけど
一応先輩やしな!」
比奈ちゃんはそう言うと、
返事に困ってる私の肩をポンポンと叩いて
絵美里ちゃんの口の周りについた
ケチャップを、おしぼりで拭いていた。
「私も、女の子がええなぁ~」
絵美里ちゃんを見ていた
桜絵ちゃんが言うと、拓ちゃんも
ウンウンと笑って頷いていた。
今度は、絵美里ちゃんと比奈ちゃんを
見つめてる真斗さんを見ていた
亜紀ちゃんが、唐突に真斗さんに聞いていた。
「真斗さん、子供早く欲しい?」
「え、あっ! 子供? 俺と亜紀ちゃんの?」
これは、図星やったみたいやわ…(笑)
絵美里ちゃんと比奈ちゃんを見て
自分の子供と亜紀ちゃんの姿を
想像してたみたいで、真斗さんは
真っ赤な顔で、亜紀ちゃんの
質問にあたふたしていた。
「付き合い始めたばっかりやのに、気が早いわ!」
宗ちゃんと美花ちゃんに
すぐに突っ込みを入れられて
真斗さんがめっちゃ困っていたので
私も思わず笑ってしまった。
「実は、2ヶ月ほど月の物が遅れてるから…
病院へ昨日行って検査してもらったら、出来ててん」
私は、お腹をさすりながら
比奈ちゃんにコソッと小声で…
まだ、誰にも内緒やねんけどと
言ってから打ち明けた。
すると、話を聞いた比奈ちゃんが
すぐに声を上げそうになったので
私は比奈ちゃんの口を抑えて
比奈ちゃんの耳元で言った。
「もうちょっと黙ってて! もう少し落ち着いてから
こうちゃんに話そうって思ってるねん」
「なんで? すぐにそんなん言って教えとかなアカンやん。
一番大事な時やねんで!」
比奈ちゃんは、そう言うと
私の手を握って真剣に心配してくれてた。
「なんか、タイミングが難しくて…もうちょっと
落ち着いてからでもええかな? とか…思ったりしてるんよ」
「まゆちゃんは、ほんまおっとりしてると言うか、
のんびり屋と言うか、まぁ、そやからずっと
こうちゃんを好きでおったんやろけどな~」
なんか褒めてくれてるのか、
けなされてるのか?(笑)
確かにそうかもしれへんな
とは、私も思ったけどね。
「こうちゃん! まゆちゃんが大事な話があるらしいで!」
比奈ちゃんは、わざと怒ってるような
口調で、こうちゃんを呼びつけた。
「何? どうしたん? 俺、何かした?」
こうちゃんは、慌ててカウンターから飛んできた。
そして、座敷に上がって
私の前に正座して座った。
「まゆちゃん。早く教えたり! こういう事はな、
早いほうがええねん!」
比奈ちゃんに言われて
こうちゃんが更に不安そうに私を見ていた。
「あ、えーっと。昨日、病院へ行ったら、
出来てるって言われてん。うちらの赤ちゃん…」
私がお腹をさすりながら伝えると
こうちゃんは暫く固まっていた。
「えっ? 麻由ちゃん、出来たん? ほんまに?」
「凄いやん! おめでとう~~!」
こうちゃんよりも、横で聞き耳立ててた
美花ちゃんと桜絵ちゃんのほうが
声を上げて喜んでくれていた。
皆が喜んでお祝いの言葉を
口にしている横で
こうちゃんは、そうっと
私のお腹に顔を近付けて聞いていた。
「ほんまに? ほんまにお前、お腹におるんか?」
「ほんまやで! 嘘じゃないで! ほんまにここにおるんやで!」
私が、真面目な顔で答えると
こうちゃんは、ガッツポーズをして立ち上がっていた。
「やった~! オカン! お父ちゃんになるんやで~!
俺…俺が、お父ちゃんになるんや~!」
こうちゃんは声を上げて叫ぶと
オカンのとこへ行って、オカンに抱きついていた。
「良かったな~こうちゃん! 麻由美ちゃんの事、
大事にしたらなアカンで! 今がほんまに一番大事な時やからな!
2人ともおめでとうさん!」
オカンは、こうちゃんの頭を
ポンポンと叩いて
乾杯しよか~っと言って、
皆にビールを注いでくれた。
もちろん私は、オレンジジュースを渡されたけどね。
その後は、こうちゃんが
男の子やったら、一緒に釣り行ったり
ガンプラ作ったりするねんとか…
女の子やったら、お風呂は
ずっと俺と入るねんとか
アホみたいなことばかり言って、
皆を笑わせていた。
みんなが騒いでる中で、
がんもと絵美里ちゃんは
仲良く座敷の隅に敷かれた
ベビー布団で、気持ちよさそうに
また、スヤスヤ寝てしまっていた。
そんな絵美里ちゃんを
私は眺めながら…ここに
自分の子も混ざるのかと考えたら
なんか嬉しいけど、こうちゃんと
生まれてくる子のやりとりを想像したら
笑いが止まらなかった。
翌日…。
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赤ちゃんが出来たことを報告したら
私が想像いていた以上に凄く喜んでくれていた。
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