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オカンとがんもとクマと恋?!
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◇◇◇◇◇
今日は、がんもの予防接種の日で
朝からこうちゃんと、麻由美ちゃんが
がんもを迎えに来てくれて
病院に連れて行ってくれていた。
本当なら
比奈が行くはずやったんやけど
この間から、絵美里が
風邪が治ったと思ってたら
病院で、麻疹をもらっていたらしくて
しばらくは、絵美里の看病で
手一杯なので、こうちゃん達が
代わりに引き受けてくれたのだった。
店の戸が開いて、こうちゃん達が帰って来た。
「ただいま~。がんもすっごい大人しくしてたで~♪
ええ子やったわ~♪」
麻由美ちゃんが、キャリーから
がんもを出してやって抱っこして笑った。
「おかえり~! 助かったわ~。麻由美ちゃんも
こうちゃんもありがとうな~♪(笑)」
私は、2人にお礼を言って
がんもを麻由美ちゃんから受け取って
抱っこしてやった。
「がんももスッカリこの辺では、有名な看板猫やな~♪
って若先生も笑ってたで~♪(笑)」
「そうなん? がんもってこの辺では、有名な看板猫に
なってしもてるん? なんや…最近、猫好きのお客さんが
増えたと思ったら、がんものお陰やってんな~」
私が笑ってると、こうちゃんが
がんももバイト代貰わなあかんな~と
言って、私を見てにやっと笑った。
「絵美里ちゃんどうなん? 熱高いの?」
「あ、大丈夫やで。昨日な、病院で点滴もしてもらって
薬飲んで、今朝はだいぶ熱が下がってたから、今日は
お粥位なら食べてくれそうやわ」
麻由美ちゃんが、絵美里のことを
心配して聞いてくれたので
私は、がんもを座敷に下ろして
2人にお茶を出しながら答えた。
「それと、こないだから気になっててんけど…
オトンって、あれから帰ってへんの?」
「ああ、この前少し帰って来てから、また出て行ったわ。
家でじっとようせん人やからな、仕方ないやろ?」
こうちゃんは、オトンのことが
気になってるみたいで
私に聞いてきたから、オトンの近況を話してやった。
「オカンは寂しいって思わんの? 大丈夫?」
「…店があるからな、寂しいとかは思わへんよ♪ ただな~、
どこかで、野垂れ死んだりせえへんか心配やけどなぁ(笑)」
私が冗談を交えて答えて
笑ってると「縁起でもない!」と
麻由美ちゃんに怒られてしまった。
それから、少し談笑した後で
2人は午後から、麻由美ちゃんの
検診があるからと帰って行った。
私はそのまま、1人で仕込みを
続けながら、オトンと自分の事を考えていた。
(うちら夫婦て、まわりから見たら
変な夫婦なんやろな…おってもおらんでも
たいして変わらんし、困らんし寂しくもない…
でも、なんかそれでも夫婦やねんけどな…
オトンも同じ気持ちやと思うから、気にもならんねんけど…
それでも野垂れ死にとかは、やっぱり嫌やな…
アカンわ…それだけはやめてほしいな…)
つい色んな事を妄想してしまって、
声に出して“アカンアカン”って言って
ふと我に返ったら、店の戸が開いて
目の前に、黒猫を抱いたロマンスグレーの
素敵な年配の男性が立っていた。
「あっ、すんません!!…猫なんか連れて来たら
アカンとは、思ったんですけど…そこの動物病院で
この店には、看板猫が居るって聞いたので
猫も同伴出来んかな~って、思って。開店前に
伺いに寄ったんですけど…やっぱり、あきませんか?」
そう言って、店の戸を開けて
出ようとしたので、私は慌てて
カウンターから出て追いかけた。
「違う違う!! 猫ちゃんなら、連れて来てもらって
構いませんよ! アカンアカンって言うたのは、うちの
独り言ですわ~(笑)ほんま、大丈夫ですよ!」
「ほんまですか? 良かった~♪ 私は、駅前の商店街で
『黒猫』という、喫茶店をやってる前田と言います。
ぜひ、今夜にでもコイツと伺わせてもらいます♪」
前田と名乗った彼は、嬉しそうに
ニッコリ笑って、夜また来てくれると
私に約束して帰って行った。
その後、私はなんか気持ちが
ウキウキしてきて、張り切って
仕込みを済ませて、一度家に帰って
比奈と絵美里の夕食の支度をしてから店に戻った。
◇◇
「ただいま~!」
店の戸が開いて
一番に帰って来たのは
拓海ちゃんと桜絵ちゃんやった。
「おかえり~! 今日はデートの帰りか? 相変わらず仲ええなぁ~」
おしぼりを渡しながら
私が2人に聞いたら
拓海ちゃんが、私にVサインして見せた。
「今日はな、役所へ婚姻届け出して来てん。
桜絵ちゃんの誕生日やから、絶対忘れへん思ってな
どっちの両親も、賛成してくれたし…そろそろ
ケジメもつけんとアカンって思ってたしな…」
拓海ちゃんが、ケーキの箱を出して
ここでお祝いしたいなぁ~って思ったから
買うて来てんと言って、少し照れ臭そうに笑った。
「そんなん早めに教えてくれてたら全部こっちで
用意してあげたのに…なんで教えてくれへんかったん?」
「ごめんごめん…3日前になぁ、急に拓ちゃんが
言い出して、両親とか祖父母に了解もらったりして
バタバタしてて、ここに来る暇が無かってん…(笑)」
私がちょっと口を尖らせて拗ねて見せたら
2人とも、両手を合わせて頭を下げていた。
「冗談やって♪ …うちのリサーチ不足やったわ。
桜絵ちゃんが、今日誕生日って事も知らんかったしな…
もしかしたら聞いてて忘れてたかもしれへんし…
うちこそ、ごめんやで~(笑)」
2人が本気で謝るから、私は慌てて
冗談やって笑って、座敷へ座ってもらった。
しばらくして、こうちゃんと麻由美ちゃんと
美花ちゃんと宗ちゃん。亜紀ちゃんと真斗さんも
揃って、皆で座敷で2人の入籍祝いが始まった。
「なんか知らんけど、みんな上手いことここで
出会って纏まってるなぁ~!(笑)」
座敷の若者を眺めながら、健ちゃんと
高田さんが、微笑ましいなと言って笑った。
そうこうしてると…
珍しく…
がんもが、座敷から降りて来て
店の戸の前で"にゃ~ん"と鳴いた。
すると、戸の向こうからも"にゃ~ん"と
鳴き声がしたので…戸を開けてみると、
前田さんが、黒猫ちゃんを連れて
店の前で立っていた。
「どうしたんですか?」
「お客さんが、沢山居たはるんでね…さすがに
猫連れてるから、入り辛くなってしまいまして…
店の前で悩んでいたら、がんもちゃんが出迎えて来れました」
前田さんは、がんもにありがとうと言って
店の中に入って、カウンターの端の席へ座った。
がんもは、他の猫が珍しいらしくて
前田さんの黒猫ちゃんに寄って行って
匂いを嗅いでいた。黒猫ちゃんは、
おとなしい性格のようで
怒りもせずにされるがままやった。
「猫ちゃんのお名前なんて言うんですか?がんもより
大きいから、大人の男の子ですか?」
「わかりますか? そうです雄で、もうすぐ5歳になります。
名前はクマって言うんですわ…(笑)胸の所に少し
白い毛があるから、子猫の時は熊の子みたいで…(笑)」
前田さんは、クマちゃんの頭を撫でながら
照れ臭そうに教えてくれた。
「クマちゃん、ええ名前やね。確かに
白いとこが、チャームポイントですね~♪」
私と前田さんが猫の話で
盛り上がってると、お手洗いから戻った
健ちゃんが、前田さんを見て声を上げていた。
「黒猫のマスターやん! しかもクマちゃんまでおる!
オカンもマスターと知り合いやったん?」
「あら、健ちゃん知り合いなん?前田さんな、わざわざ
クマちゃん連れて、昼間挨拶に来てくれはってん。
クマちゃん良い子やから、がんもも気に入ったらしいし
一緒にどうぞってうちが言うてんけど、遠慮してなかなか
店に入れんかったらしいわ…そしたらな、がんもが
戸の前で鳴いて、教えてくれてん」
私は、驚いている健ちゃんに
事の経緯を、説明してやった。
クマちゃんは、がんもが誘うので
前田さんの膝から降りて、がんもについて
座敷へ上がって、がんもと少しだけ距離を取って座っていた。
「クマちゃんは人に慣れてるんですね♪」
いつの間にかクマちゃんは、座敷で
みんなに撫でられたり、抱っこされたり
していたけど、全く怒ったりしなかった。
「クマは、子猫の時から店で大きくなったんで
人を怖がらないんです。猫嫌いの人は、わかるみたいで
近寄りませんしね…世渡り上手なんでしょうね(笑)」
前田さんはそう言うと
にっこり笑って、座敷の2匹を
嬉しそうに眺めていた。
「以前から、ここの常連さんからお店のこと聞いてて
伺いたいなぁとは、思ってたんですけど…クマの事が
気になるので、夜はあまり外出しないようにしてたんです。
私の家族は、クマだけなもので…そしたら、最近…
がんもちゃんっていう、看板猫ちゃんが居る言う事を
若先生から聞いて…クマと一緒に来れたらええなぁ~って
思って…昼間寄らせてもらったんです。来て良かったです(笑)」
「ほな…今度は、うちが仕込みの前に前田さんのお店に
寄らせてもらわなあきませんね~♪ 楽しみやわ(笑)」
私は嬉しくて、
前田さんのお店に行ってみたくなっていた。
「ぜひいらして下さい。小さい店ですけど、陽子さんの
お好みの珈琲をご馳走しますよ♪」
「黒猫のマスターの珈琲は、商店街では有名なんですよ!
ほんま、そのお客さんの好みの珈琲を淹れてくれるんです」
高田さんも『黒猫』の常連らしくて
本当に珈琲が美味しいと、教えてくれていた。
「そしたら、今日から猫友達と言う事で乾杯しましょか?」
私が言うと、前田さんも頷いて
末永いお付き合いを
宜しくお願いしますと言って乾杯した。
お酒はたしなむ程度で、
夜定食を美味しい美味しいと言って
前田さんは、食べてくれて満足そうに笑って
また来ますと言って、クマちゃんを抱いて帰って行った。
私とがんもが店の前で
いつまでも見送ってると
健ちゃんが、少し心配そうに出て来て…
「マスター…オカンの事が好きなんかもしれんな。
オカンも、満更でも無いんやろ?」
「そやなぁ~。満更でも無いかもしれへんなぁ~♪」
直球で健ちゃんが聞いて来たもんやから、
私は、ペロッと舌を出して笑ってやった。
確かに、久し振りに心地良い時間を過ごした気がして…
私は、少し浮かれていた。
これがきっかけで、ちょっとした事件が起こるんやけど…
それはまた、別の話で。(笑)
今日は、がんもの予防接種の日で
朝からこうちゃんと、麻由美ちゃんが
がんもを迎えに来てくれて
病院に連れて行ってくれていた。
本当なら
比奈が行くはずやったんやけど
この間から、絵美里が
風邪が治ったと思ってたら
病院で、麻疹をもらっていたらしくて
しばらくは、絵美里の看病で
手一杯なので、こうちゃん達が
代わりに引き受けてくれたのだった。
店の戸が開いて、こうちゃん達が帰って来た。
「ただいま~。がんもすっごい大人しくしてたで~♪
ええ子やったわ~♪」
麻由美ちゃんが、キャリーから
がんもを出してやって抱っこして笑った。
「おかえり~! 助かったわ~。麻由美ちゃんも
こうちゃんもありがとうな~♪(笑)」
私は、2人にお礼を言って
がんもを麻由美ちゃんから受け取って
抱っこしてやった。
「がんももスッカリこの辺では、有名な看板猫やな~♪
って若先生も笑ってたで~♪(笑)」
「そうなん? がんもってこの辺では、有名な看板猫に
なってしもてるん? なんや…最近、猫好きのお客さんが
増えたと思ったら、がんものお陰やってんな~」
私が笑ってると、こうちゃんが
がんももバイト代貰わなあかんな~と
言って、私を見てにやっと笑った。
「絵美里ちゃんどうなん? 熱高いの?」
「あ、大丈夫やで。昨日な、病院で点滴もしてもらって
薬飲んで、今朝はだいぶ熱が下がってたから、今日は
お粥位なら食べてくれそうやわ」
麻由美ちゃんが、絵美里のことを
心配して聞いてくれたので
私は、がんもを座敷に下ろして
2人にお茶を出しながら答えた。
「それと、こないだから気になっててんけど…
オトンって、あれから帰ってへんの?」
「ああ、この前少し帰って来てから、また出て行ったわ。
家でじっとようせん人やからな、仕方ないやろ?」
こうちゃんは、オトンのことが
気になってるみたいで
私に聞いてきたから、オトンの近況を話してやった。
「オカンは寂しいって思わんの? 大丈夫?」
「…店があるからな、寂しいとかは思わへんよ♪ ただな~、
どこかで、野垂れ死んだりせえへんか心配やけどなぁ(笑)」
私が冗談を交えて答えて
笑ってると「縁起でもない!」と
麻由美ちゃんに怒られてしまった。
それから、少し談笑した後で
2人は午後から、麻由美ちゃんの
検診があるからと帰って行った。
私はそのまま、1人で仕込みを
続けながら、オトンと自分の事を考えていた。
(うちら夫婦て、まわりから見たら
変な夫婦なんやろな…おってもおらんでも
たいして変わらんし、困らんし寂しくもない…
でも、なんかそれでも夫婦やねんけどな…
オトンも同じ気持ちやと思うから、気にもならんねんけど…
それでも野垂れ死にとかは、やっぱり嫌やな…
アカンわ…それだけはやめてほしいな…)
つい色んな事を妄想してしまって、
声に出して“アカンアカン”って言って
ふと我に返ったら、店の戸が開いて
目の前に、黒猫を抱いたロマンスグレーの
素敵な年配の男性が立っていた。
「あっ、すんません!!…猫なんか連れて来たら
アカンとは、思ったんですけど…そこの動物病院で
この店には、看板猫が居るって聞いたので
猫も同伴出来んかな~って、思って。開店前に
伺いに寄ったんですけど…やっぱり、あきませんか?」
そう言って、店の戸を開けて
出ようとしたので、私は慌てて
カウンターから出て追いかけた。
「違う違う!! 猫ちゃんなら、連れて来てもらって
構いませんよ! アカンアカンって言うたのは、うちの
独り言ですわ~(笑)ほんま、大丈夫ですよ!」
「ほんまですか? 良かった~♪ 私は、駅前の商店街で
『黒猫』という、喫茶店をやってる前田と言います。
ぜひ、今夜にでもコイツと伺わせてもらいます♪」
前田と名乗った彼は、嬉しそうに
ニッコリ笑って、夜また来てくれると
私に約束して帰って行った。
その後、私はなんか気持ちが
ウキウキしてきて、張り切って
仕込みを済ませて、一度家に帰って
比奈と絵美里の夕食の支度をしてから店に戻った。
◇◇
「ただいま~!」
店の戸が開いて
一番に帰って来たのは
拓海ちゃんと桜絵ちゃんやった。
「おかえり~! 今日はデートの帰りか? 相変わらず仲ええなぁ~」
おしぼりを渡しながら
私が2人に聞いたら
拓海ちゃんが、私にVサインして見せた。
「今日はな、役所へ婚姻届け出して来てん。
桜絵ちゃんの誕生日やから、絶対忘れへん思ってな
どっちの両親も、賛成してくれたし…そろそろ
ケジメもつけんとアカンって思ってたしな…」
拓海ちゃんが、ケーキの箱を出して
ここでお祝いしたいなぁ~って思ったから
買うて来てんと言って、少し照れ臭そうに笑った。
「そんなん早めに教えてくれてたら全部こっちで
用意してあげたのに…なんで教えてくれへんかったん?」
「ごめんごめん…3日前になぁ、急に拓ちゃんが
言い出して、両親とか祖父母に了解もらったりして
バタバタしてて、ここに来る暇が無かってん…(笑)」
私がちょっと口を尖らせて拗ねて見せたら
2人とも、両手を合わせて頭を下げていた。
「冗談やって♪ …うちのリサーチ不足やったわ。
桜絵ちゃんが、今日誕生日って事も知らんかったしな…
もしかしたら聞いてて忘れてたかもしれへんし…
うちこそ、ごめんやで~(笑)」
2人が本気で謝るから、私は慌てて
冗談やって笑って、座敷へ座ってもらった。
しばらくして、こうちゃんと麻由美ちゃんと
美花ちゃんと宗ちゃん。亜紀ちゃんと真斗さんも
揃って、皆で座敷で2人の入籍祝いが始まった。
「なんか知らんけど、みんな上手いことここで
出会って纏まってるなぁ~!(笑)」
座敷の若者を眺めながら、健ちゃんと
高田さんが、微笑ましいなと言って笑った。
そうこうしてると…
珍しく…
がんもが、座敷から降りて来て
店の戸の前で"にゃ~ん"と鳴いた。
すると、戸の向こうからも"にゃ~ん"と
鳴き声がしたので…戸を開けてみると、
前田さんが、黒猫ちゃんを連れて
店の前で立っていた。
「どうしたんですか?」
「お客さんが、沢山居たはるんでね…さすがに
猫連れてるから、入り辛くなってしまいまして…
店の前で悩んでいたら、がんもちゃんが出迎えて来れました」
前田さんは、がんもにありがとうと言って
店の中に入って、カウンターの端の席へ座った。
がんもは、他の猫が珍しいらしくて
前田さんの黒猫ちゃんに寄って行って
匂いを嗅いでいた。黒猫ちゃんは、
おとなしい性格のようで
怒りもせずにされるがままやった。
「猫ちゃんのお名前なんて言うんですか?がんもより
大きいから、大人の男の子ですか?」
「わかりますか? そうです雄で、もうすぐ5歳になります。
名前はクマって言うんですわ…(笑)胸の所に少し
白い毛があるから、子猫の時は熊の子みたいで…(笑)」
前田さんは、クマちゃんの頭を撫でながら
照れ臭そうに教えてくれた。
「クマちゃん、ええ名前やね。確かに
白いとこが、チャームポイントですね~♪」
私と前田さんが猫の話で
盛り上がってると、お手洗いから戻った
健ちゃんが、前田さんを見て声を上げていた。
「黒猫のマスターやん! しかもクマちゃんまでおる!
オカンもマスターと知り合いやったん?」
「あら、健ちゃん知り合いなん?前田さんな、わざわざ
クマちゃん連れて、昼間挨拶に来てくれはってん。
クマちゃん良い子やから、がんもも気に入ったらしいし
一緒にどうぞってうちが言うてんけど、遠慮してなかなか
店に入れんかったらしいわ…そしたらな、がんもが
戸の前で鳴いて、教えてくれてん」
私は、驚いている健ちゃんに
事の経緯を、説明してやった。
クマちゃんは、がんもが誘うので
前田さんの膝から降りて、がんもについて
座敷へ上がって、がんもと少しだけ距離を取って座っていた。
「クマちゃんは人に慣れてるんですね♪」
いつの間にかクマちゃんは、座敷で
みんなに撫でられたり、抱っこされたり
していたけど、全く怒ったりしなかった。
「クマは、子猫の時から店で大きくなったんで
人を怖がらないんです。猫嫌いの人は、わかるみたいで
近寄りませんしね…世渡り上手なんでしょうね(笑)」
前田さんはそう言うと
にっこり笑って、座敷の2匹を
嬉しそうに眺めていた。
「以前から、ここの常連さんからお店のこと聞いてて
伺いたいなぁとは、思ってたんですけど…クマの事が
気になるので、夜はあまり外出しないようにしてたんです。
私の家族は、クマだけなもので…そしたら、最近…
がんもちゃんっていう、看板猫ちゃんが居る言う事を
若先生から聞いて…クマと一緒に来れたらええなぁ~って
思って…昼間寄らせてもらったんです。来て良かったです(笑)」
「ほな…今度は、うちが仕込みの前に前田さんのお店に
寄らせてもらわなあきませんね~♪ 楽しみやわ(笑)」
私は嬉しくて、
前田さんのお店に行ってみたくなっていた。
「ぜひいらして下さい。小さい店ですけど、陽子さんの
お好みの珈琲をご馳走しますよ♪」
「黒猫のマスターの珈琲は、商店街では有名なんですよ!
ほんま、そのお客さんの好みの珈琲を淹れてくれるんです」
高田さんも『黒猫』の常連らしくて
本当に珈琲が美味しいと、教えてくれていた。
「そしたら、今日から猫友達と言う事で乾杯しましょか?」
私が言うと、前田さんも頷いて
末永いお付き合いを
宜しくお願いしますと言って乾杯した。
お酒はたしなむ程度で、
夜定食を美味しい美味しいと言って
前田さんは、食べてくれて満足そうに笑って
また来ますと言って、クマちゃんを抱いて帰って行った。
私とがんもが店の前で
いつまでも見送ってると
健ちゃんが、少し心配そうに出て来て…
「マスター…オカンの事が好きなんかもしれんな。
オカンも、満更でも無いんやろ?」
「そやなぁ~。満更でも無いかもしれへんなぁ~♪」
直球で健ちゃんが聞いて来たもんやから、
私は、ペロッと舌を出して笑ってやった。
確かに、久し振りに心地良い時間を過ごした気がして…
私は、少し浮かれていた。
これがきっかけで、ちょっとした事件が起こるんやけど…
それはまた、別の話で。(笑)
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