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オカンとお祝いと福の神
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◇◇◇◇◇
ワシは『オカンの店』に住み着いている
福の神と言う者です。
今日は、猫のがんもが『オカンの店』の
看板猫になって、一周年のお祝いを
する日やから、朝からオカンは、忙しそうに
皆に振る舞う料理を段取りしてますわ。
そんな忙しい時でも、オカンは
がんものご飯や、トイレの掃除に
水換えに寝床の掃除も、しっかり忘れず
やってるんやで。
ほんまに、ええ人間やねん。
そやからワシもな、ここがほんま
居心地が良くてなぁ、もうかれこれ
20年近く、黙ってこっそり
ここでオカンを見守ってるねん。
それにな、誰か知らんけど
『オカンの店』の裏口の前に、
がんもを置いて行ってくれた事を
ワシは褒めてやりたい。ほんまに…。
あれ?
もうそんな時間なんか?
ちょっと、ワシが話してる間に
誰か、来たみたいやわ。
時間が経つのは、あっという間やな。
◇◇◇
勢い良く店の戸を開けて
入って来たのは、八百屋のこうちゃんやった。
「おはようさん。どない? 段取りよう進んでる?
麻由美のオカンと麻由美がな、サンドイッチ作って
持ってくる言うてるわ! 結構、上手いんやで~!」
こうちゃんは、いつもと変わらず元気いっぱいやな。
「助かるわ~! こっちは、あと…おにぎりを大皿に
握るだけや、とりあえず煮しめと揚げ物にお浸し作ったし。
今、やっと落ち着いたとこやわ~」
オカンは、そう言うと
割烹着を脱いでから、あ~疲れたと
座敷におるがんもの所へ倒れこんでいた。
「結構、大人数になってしもたからなぁ~! 松爺まで
来るって言うてるし、店の常連さんは、皆来るんちゃう?」
こうちゃんは、持って来た野菜を
いつもの場所に置いて、カウンターに座った。
「さっきな、駅前でホストの蓮に会ったんやけど。
あいつも今日は、顔出すって言うてた。あと、弦さんも
来るって張り切ってたし、俺のオカンも来るしな♪」
そう言いながらこうちゃんは、
ポケットから、封筒を出してオカンに渡した。
「それと…これなぁ、少しやけど足しにしてくれって、
龍さんから、オカンに渡せって言われて預かったんや。
直接渡しても、受け取らんやろ?って龍さんが言うてたで」
「そやなぁ~。…ここは、意地張らずにもらっとこか?
あれから全然店に、顔を出してくれへんねん。花だけは
月に一度必ず、息子が持ってくるんやけどな!」
オカンは、ちょっと心配そうに
こうちゃんに龍の事を聞いていた。
「店に来たいって気持ちはあるらしいけど、あの時みたいに
オカンに迷惑かけたらアカンからって言うてた。今日は
『ローズマリー』やから顔は出すて言うてたわ」
こうちゃんは、オカンにそう答えると
コップに水を注いで、一気に飲み干してから
また、話を続けた。
「あの時は、ほんまに、えらい大変やったからなぁ~!
龍さんを逆恨みしたチンピラが、この店で呑んでた
龍さんに襲いかかって、たまたま店におった非番の刑事さんに
チンピラが取り押さえられて。龍さんが、この界隈を
仕切ってはる暴力団の組長やて…初めてわかったんやもんな。
ええ人やのにな。オカンもショックやったやろ?」
「龍ちゃんは、何回か話をして堅気の人では無いかも
しれへんとは、薄々感じとったんや。物腰とか、雰囲気が
一般の人とは、違うかったしな。そやから、うちはなぁ
あの時は、そんなに驚かんかったんよ」
そう言ってオカンは、
寂しそうな顔をして話を続けた。
「そやけどな。やっぱり、怖い世界なんやなぁてな。
あの時は、改めて思ってな。少し、悲しくなったんよ」
オカンの話を聞いて、
こうちゃんもうんうんと頷いている。
「そやけど、あれって…がんもが来る前やったよな?
そやから、龍さんは、1年以上も店に来てないんや!」
そう言ったこうちゃんも
大きな溜め息を吐いていた。
「ああああー! もう! 暗い顔してても始まらんし!
今日は皆で盛大にお祝いして、楽しんでもらおう! 滅多に
集まらん面々が、ようさん集まるんやからな!」
オカンは、立ち上がって叫ぶと、
持っていく料理を詰めて、荷物を纏め始めた。
「俺、荷物運ぶの手伝うわ! 今日は、配達も終わったし。
車で運んだほうが、オカンも楽やろ? (笑)」
しんみりしてたこうちゃんも、
オカンの言葉でハッとして、すぐに
いつもの明るさを取り戻して荷物を運び出した。
何事も、クヨクヨせんと明るく前向きな
オカンは、何時見ても気持ちが良い人間やろ?
ここにずっとおるんは、ほんま気持ちが良いねん。
なんせワシは福の神さんやからね。
◇◇◇
それから、面白そうやから
ワシも一緒に、こうちゃんの車に乗って
『ローズマリー』へついて行くと、
亞夜子ママと高田さんが居て、この店で
働いてる蘭子と薫子も呼び出されて、
掃除や飾り付けをママに手伝わされていた。
「ママ、今日は、早くから手伝わせてしもてごめんね!」
「気にしないでよ! この子たちも、楽しみにしてたんだから!
何時もなら、何回電話してもなかなか起きない薫子も
今朝は、すぐに起きて来たのよ~♪(笑)」
オカンが皆に頭を下げてると、
フフフと笑って、亞夜子ママが答えながら
オカンから受け取った料理を、お皿に盛り付け始めた。
それにしても、凄いのはお祝いやと
皆から届いた花が、店の入口でいっぱいや、
グランドオープンするクラブかラウンジのようやで。
「俺と麻由美の結婚式の披露宴パーティーよりも、
盛大になってしもたかもなぁ~! なんならがんもと
クマちゃんの結婚式でもする?」
ケラケラとこうちゃんは、笑いながら
オカンが抱っこしてるがんものおでこを
人差し指で、ツンツンと突付いていた。
「それはそれで面白いわね~! クマちゃんにこの蝶ネクタイ
させて、がんもにはこのピンクのレースのリボンしちゃう?」
亞夜子ママが笑いながら、
オカンに蝶ネクタイとリボンを渡して
それをオカンが、ニコニコ笑いながら
がんもに結んでやったら、がんもも、
嫌がらずに澄ました顔をして座っていた。
夕方になって『黒猫』のマスターと
クマちゃんが来たら、すぐにクマちゃんは
皆に囲まれて、蝶ネクタイをされてしまっていた。
「クマちゃんも嫌がりませんね~♪(笑)」
皆に、大人しくされるがままの
2匹の様子を、カメラで撮りながら
高田さんが感心していた。
そんな事をしている間に
『ローズマリー』は、今日の
お祝いの客で、いっぱいになり始めていた。
さすがに、この辺りで一番大きい
この店でも、今日はいっぱいになってしまったんやな~。
「え~皆様! それでは、時間になりましたので、
始めさせて頂きたいと思います!」
こうちゃんがマイクを手に持って
進行を始めたら、皆はグラスを持って立ち上がった。
「がんもの一周年と、マスターが無事に退院された事を
祝って! カンパ~イ!!」
乾杯の音頭と共に、皆は
一斉にグラスを掲げて乾杯して、
久し振りに顔を合わせた飲み友達に
歩み寄って、楽しい時間を過ごし始めた。
ほんま、こうちゃんは、昔から
仕切り上手やわ。 店の切り盛りも
しっかり出来るようになって来たし、
八百屋に住んでるワシの仲間も
気持ち良くおれそうで安心やわ♪
「がんもちゃん、一周年おめでとうございます。
ほんま大きくなったね~♪」
こうちゃんのオカンの浅ちゃんと、
麻由美ちゃんのオカンの貴ちゃんが
オカンに挨拶すると、オカンが2人に
日頃のお礼を言って、頭を下げていた。
「ほんまこうちゃんにも麻由美ちゃんにも、いつも
お世話になりっぱなしで…すんません」
「そんなん気にせんといて! 色々陽子さんからは、
学ばせてもらって、あの子らが成長してくれてるから
逆に私らは、助かってるんよ! なぁ~、貴ちゃん!」
浅ちゃんが、オカンの手を取って
これからも家族ぐるみでお願いしますって
言ったら、オカンは凄く嬉しそうに涙ぐんでいた。
「凄いなぁ~! オカンは相変わらずモテモテみたいで、
ちょっと妬けるな…」
いつの間にかオカンの後ろに
黒いサングラスと、洒落たブランド物のスーツを
纏った男が立って笑っていた。そや、この男が
こうちゃんとオカンが話していた組長の龍や。
「龍ちゃん! ほんまに来てくれてんなぁ~! あ!
カンパ…ありがとうな。 助かりました。それに、
いつも律儀にお花届けてくれてありがとう♪」
オカンは、生き別れた弟に
再会したみたいに、涙を浮かべて
龍に抱きついて喜んでいた。
「実はな、俺、引退することにしたんや。 俺の後継いで、
しっかりやっていけそうな奴が育ってくれたんで、
そろそろ、この世界から身を引かせてもらいますわ」
龍は、そう言ってオカンの横にいる
がんもの頭を、優しく撫でて笑った。
「そうなん? 嬉しいわ! また、良かったら、店にも
顔出してくれたらええんやで! 息子の彰ちゃんも、
一緒に連れて来てくれたらええんよ!」
オカンが龍の手を取って笑ったら、
龍は少し困った顔をして、頭を下げていた。
「俺もな、オトンみたいに旅することに決めたんや。
彰も一人前になったしな。ずっとそうしたかったんや。
それに、色々あるし。そやから、たまにしか帰って来んけど
その時は、必ず顔を出させてもらいます…」
龍は、そう言うてもう一度
頭を深く下げてから、その時は
美味しい酒を呑ませて欲しいと
オカンにお願いしていた。
「ほな、たまにオトンと一緒に旅してやって! そろそろ
一人旅は心配やから、龍ちゃんが一緒やったら安心やし♪」
オカンは、少し寂しそうやったけど、
龍が堅気の生活を送れるんなら
良い事やからと言うて喜んでいた。
そうしてる間に、ホストの蓮が
後輩らを引き連れて来て、豪快な
シャンパンタワーを始めて
店の中は、最高潮に盛り上がっていた。
「僕達の細やかな贈り物です。いつもオカンには、
お世話になりっぱなしなので、こんな事でしか恩返しが
出来ませんが、オカン!いつもありがとう! がんも~
マスターおめでとうございます!!」
蓮はそう言って
皆にシャンパンを振る舞ってくれた。
オカンは、すぐに蓮の所へ駆け寄って
蓮や後輩たちに、ありがとうと言って喜んでいた。
「嬉しいわ~! ほんまに有難いなぁ~! 頑張って
店やって来て良かったなぁ~って染み染み思います。
こんなに沢山でお祝いしてもらえて、ほんまに幸せやわ~」
改めてオカンとマスターは
がんもとクマちゃんを抱いて
皆にお礼を言って回っていた。
がんもとクマちゃんは、
お祝いのケーキにケーキ入刀をさせられて、
お揃いの首輪の交換をして
2匹は晴れて夫婦になってしまった。
その後は、
皆で朝方まで飲んで騒いで、
さすがにオカンもマスターも
その日は、店を臨時休業してた。
2人とも、久し振りに
一日ゆっくり休んだんやで! フフフフ♪
ワシは『オカンの店』に住み着いている
福の神と言う者です。
今日は、猫のがんもが『オカンの店』の
看板猫になって、一周年のお祝いを
する日やから、朝からオカンは、忙しそうに
皆に振る舞う料理を段取りしてますわ。
そんな忙しい時でも、オカンは
がんものご飯や、トイレの掃除に
水換えに寝床の掃除も、しっかり忘れず
やってるんやで。
ほんまに、ええ人間やねん。
そやからワシもな、ここがほんま
居心地が良くてなぁ、もうかれこれ
20年近く、黙ってこっそり
ここでオカンを見守ってるねん。
それにな、誰か知らんけど
『オカンの店』の裏口の前に、
がんもを置いて行ってくれた事を
ワシは褒めてやりたい。ほんまに…。
あれ?
もうそんな時間なんか?
ちょっと、ワシが話してる間に
誰か、来たみたいやわ。
時間が経つのは、あっという間やな。
◇◇◇
勢い良く店の戸を開けて
入って来たのは、八百屋のこうちゃんやった。
「おはようさん。どない? 段取りよう進んでる?
麻由美のオカンと麻由美がな、サンドイッチ作って
持ってくる言うてるわ! 結構、上手いんやで~!」
こうちゃんは、いつもと変わらず元気いっぱいやな。
「助かるわ~! こっちは、あと…おにぎりを大皿に
握るだけや、とりあえず煮しめと揚げ物にお浸し作ったし。
今、やっと落ち着いたとこやわ~」
オカンは、そう言うと
割烹着を脱いでから、あ~疲れたと
座敷におるがんもの所へ倒れこんでいた。
「結構、大人数になってしもたからなぁ~! 松爺まで
来るって言うてるし、店の常連さんは、皆来るんちゃう?」
こうちゃんは、持って来た野菜を
いつもの場所に置いて、カウンターに座った。
「さっきな、駅前でホストの蓮に会ったんやけど。
あいつも今日は、顔出すって言うてた。あと、弦さんも
来るって張り切ってたし、俺のオカンも来るしな♪」
そう言いながらこうちゃんは、
ポケットから、封筒を出してオカンに渡した。
「それと…これなぁ、少しやけど足しにしてくれって、
龍さんから、オカンに渡せって言われて預かったんや。
直接渡しても、受け取らんやろ?って龍さんが言うてたで」
「そやなぁ~。…ここは、意地張らずにもらっとこか?
あれから全然店に、顔を出してくれへんねん。花だけは
月に一度必ず、息子が持ってくるんやけどな!」
オカンは、ちょっと心配そうに
こうちゃんに龍の事を聞いていた。
「店に来たいって気持ちはあるらしいけど、あの時みたいに
オカンに迷惑かけたらアカンからって言うてた。今日は
『ローズマリー』やから顔は出すて言うてたわ」
こうちゃんは、オカンにそう答えると
コップに水を注いで、一気に飲み干してから
また、話を続けた。
「あの時は、ほんまに、えらい大変やったからなぁ~!
龍さんを逆恨みしたチンピラが、この店で呑んでた
龍さんに襲いかかって、たまたま店におった非番の刑事さんに
チンピラが取り押さえられて。龍さんが、この界隈を
仕切ってはる暴力団の組長やて…初めてわかったんやもんな。
ええ人やのにな。オカンもショックやったやろ?」
「龍ちゃんは、何回か話をして堅気の人では無いかも
しれへんとは、薄々感じとったんや。物腰とか、雰囲気が
一般の人とは、違うかったしな。そやから、うちはなぁ
あの時は、そんなに驚かんかったんよ」
そう言ってオカンは、
寂しそうな顔をして話を続けた。
「そやけどな。やっぱり、怖い世界なんやなぁてな。
あの時は、改めて思ってな。少し、悲しくなったんよ」
オカンの話を聞いて、
こうちゃんもうんうんと頷いている。
「そやけど、あれって…がんもが来る前やったよな?
そやから、龍さんは、1年以上も店に来てないんや!」
そう言ったこうちゃんも
大きな溜め息を吐いていた。
「ああああー! もう! 暗い顔してても始まらんし!
今日は皆で盛大にお祝いして、楽しんでもらおう! 滅多に
集まらん面々が、ようさん集まるんやからな!」
オカンは、立ち上がって叫ぶと、
持っていく料理を詰めて、荷物を纏め始めた。
「俺、荷物運ぶの手伝うわ! 今日は、配達も終わったし。
車で運んだほうが、オカンも楽やろ? (笑)」
しんみりしてたこうちゃんも、
オカンの言葉でハッとして、すぐに
いつもの明るさを取り戻して荷物を運び出した。
何事も、クヨクヨせんと明るく前向きな
オカンは、何時見ても気持ちが良い人間やろ?
ここにずっとおるんは、ほんま気持ちが良いねん。
なんせワシは福の神さんやからね。
◇◇◇
それから、面白そうやから
ワシも一緒に、こうちゃんの車に乗って
『ローズマリー』へついて行くと、
亞夜子ママと高田さんが居て、この店で
働いてる蘭子と薫子も呼び出されて、
掃除や飾り付けをママに手伝わされていた。
「ママ、今日は、早くから手伝わせてしもてごめんね!」
「気にしないでよ! この子たちも、楽しみにしてたんだから!
何時もなら、何回電話してもなかなか起きない薫子も
今朝は、すぐに起きて来たのよ~♪(笑)」
オカンが皆に頭を下げてると、
フフフと笑って、亞夜子ママが答えながら
オカンから受け取った料理を、お皿に盛り付け始めた。
それにしても、凄いのはお祝いやと
皆から届いた花が、店の入口でいっぱいや、
グランドオープンするクラブかラウンジのようやで。
「俺と麻由美の結婚式の披露宴パーティーよりも、
盛大になってしもたかもなぁ~! なんならがんもと
クマちゃんの結婚式でもする?」
ケラケラとこうちゃんは、笑いながら
オカンが抱っこしてるがんものおでこを
人差し指で、ツンツンと突付いていた。
「それはそれで面白いわね~! クマちゃんにこの蝶ネクタイ
させて、がんもにはこのピンクのレースのリボンしちゃう?」
亞夜子ママが笑いながら、
オカンに蝶ネクタイとリボンを渡して
それをオカンが、ニコニコ笑いながら
がんもに結んでやったら、がんもも、
嫌がらずに澄ました顔をして座っていた。
夕方になって『黒猫』のマスターと
クマちゃんが来たら、すぐにクマちゃんは
皆に囲まれて、蝶ネクタイをされてしまっていた。
「クマちゃんも嫌がりませんね~♪(笑)」
皆に、大人しくされるがままの
2匹の様子を、カメラで撮りながら
高田さんが感心していた。
そんな事をしている間に
『ローズマリー』は、今日の
お祝いの客で、いっぱいになり始めていた。
さすがに、この辺りで一番大きい
この店でも、今日はいっぱいになってしまったんやな~。
「え~皆様! それでは、時間になりましたので、
始めさせて頂きたいと思います!」
こうちゃんがマイクを手に持って
進行を始めたら、皆はグラスを持って立ち上がった。
「がんもの一周年と、マスターが無事に退院された事を
祝って! カンパ~イ!!」
乾杯の音頭と共に、皆は
一斉にグラスを掲げて乾杯して、
久し振りに顔を合わせた飲み友達に
歩み寄って、楽しい時間を過ごし始めた。
ほんま、こうちゃんは、昔から
仕切り上手やわ。 店の切り盛りも
しっかり出来るようになって来たし、
八百屋に住んでるワシの仲間も
気持ち良くおれそうで安心やわ♪
「がんもちゃん、一周年おめでとうございます。
ほんま大きくなったね~♪」
こうちゃんのオカンの浅ちゃんと、
麻由美ちゃんのオカンの貴ちゃんが
オカンに挨拶すると、オカンが2人に
日頃のお礼を言って、頭を下げていた。
「ほんまこうちゃんにも麻由美ちゃんにも、いつも
お世話になりっぱなしで…すんません」
「そんなん気にせんといて! 色々陽子さんからは、
学ばせてもらって、あの子らが成長してくれてるから
逆に私らは、助かってるんよ! なぁ~、貴ちゃん!」
浅ちゃんが、オカンの手を取って
これからも家族ぐるみでお願いしますって
言ったら、オカンは凄く嬉しそうに涙ぐんでいた。
「凄いなぁ~! オカンは相変わらずモテモテみたいで、
ちょっと妬けるな…」
いつの間にかオカンの後ろに
黒いサングラスと、洒落たブランド物のスーツを
纏った男が立って笑っていた。そや、この男が
こうちゃんとオカンが話していた組長の龍や。
「龍ちゃん! ほんまに来てくれてんなぁ~! あ!
カンパ…ありがとうな。 助かりました。それに、
いつも律儀にお花届けてくれてありがとう♪」
オカンは、生き別れた弟に
再会したみたいに、涙を浮かべて
龍に抱きついて喜んでいた。
「実はな、俺、引退することにしたんや。 俺の後継いで、
しっかりやっていけそうな奴が育ってくれたんで、
そろそろ、この世界から身を引かせてもらいますわ」
龍は、そう言ってオカンの横にいる
がんもの頭を、優しく撫でて笑った。
「そうなん? 嬉しいわ! また、良かったら、店にも
顔出してくれたらええんやで! 息子の彰ちゃんも、
一緒に連れて来てくれたらええんよ!」
オカンが龍の手を取って笑ったら、
龍は少し困った顔をして、頭を下げていた。
「俺もな、オトンみたいに旅することに決めたんや。
彰も一人前になったしな。ずっとそうしたかったんや。
それに、色々あるし。そやから、たまにしか帰って来んけど
その時は、必ず顔を出させてもらいます…」
龍は、そう言うてもう一度
頭を深く下げてから、その時は
美味しい酒を呑ませて欲しいと
オカンにお願いしていた。
「ほな、たまにオトンと一緒に旅してやって! そろそろ
一人旅は心配やから、龍ちゃんが一緒やったら安心やし♪」
オカンは、少し寂しそうやったけど、
龍が堅気の生活を送れるんなら
良い事やからと言うて喜んでいた。
そうしてる間に、ホストの蓮が
後輩らを引き連れて来て、豪快な
シャンパンタワーを始めて
店の中は、最高潮に盛り上がっていた。
「僕達の細やかな贈り物です。いつもオカンには、
お世話になりっぱなしなので、こんな事でしか恩返しが
出来ませんが、オカン!いつもありがとう! がんも~
マスターおめでとうございます!!」
蓮はそう言って
皆にシャンパンを振る舞ってくれた。
オカンは、すぐに蓮の所へ駆け寄って
蓮や後輩たちに、ありがとうと言って喜んでいた。
「嬉しいわ~! ほんまに有難いなぁ~! 頑張って
店やって来て良かったなぁ~って染み染み思います。
こんなに沢山でお祝いしてもらえて、ほんまに幸せやわ~」
改めてオカンとマスターは
がんもとクマちゃんを抱いて
皆にお礼を言って回っていた。
がんもとクマちゃんは、
お祝いのケーキにケーキ入刀をさせられて、
お揃いの首輪の交換をして
2匹は晴れて夫婦になってしまった。
その後は、
皆で朝方まで飲んで騒いで、
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