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俗に言う異世界召喚ってやつ?
2話
しおりを挟む「え、ここ、どこ………?」
真上の色とりどりのステンドグラスから、カラフルな太陽光が降り注いでいる。
「おや、状況が読めないと言った顔だね」
正面の目隠し男は言った。
正直言って、全然状況が読めない。
さっきまで私は学校にいて、伏見先輩にぶつかって、伏見先輩の彼女(仮定)に煙を吹きかけられて………。って、なんだったんだあれ。新しい喧嘩の売り方??
「ああ、ミカとリリーに会ったんだね。どうりで雑な召喚な訳だ」
「召喚………てことは、ここやっぱり日本じゃ無いんですね?」
「その通り」
「ドイツ村でもなく」
「ドイ………?ちがうね、ここは魔族の国ガルニア。君のおばあさんの故郷だよ」
おばあちゃんの………?いや、でも、おばあちゃんは。おばあちゃんは………?そういえば、出身や生まれの質問をしてもいつもはぐらかされた。そして、ついに生きている間に彼女の口から聞くことはなかった。
「おばあちゃんは一体なんだったんですか?」
「大魔女。魔族の中でも膨大な魔力量を持ち、魔法陣、詠唱無しで全ての元素の使用を成した」
そう言えば、小さい頃はよく不可解なことが起こっていた。コンロで火を使っているのにガス栓が閉じていたり、みんなの家は道路工事で断水しているのにうちの蛇口からだけ水が出たり。あの頃はよくわかっていなかったが、今思うと不可解極まりない。し、魔法と言われるとなんとなくだが納得できる。
「け、けど、それと、私がなにか関係が!?」
「大アリだ。君にこの国を救ってもらいたい」
国を?救う??
バーーーーンッッッと大きな音を立てて広間の大扉が開く。
「やっほーーー!!リリーちゃんとみかりんが帰ったよお!!!」
入ってきたのはぶいっ!とポーズを決める先程の女の子………によく似た青年と伏見先輩だった。
「ふふふふ伏見先輩!??!」
なんで先輩が異世界に!?
そんな私の気持ちも梅雨知らず、気まずそうな顔をしてこちらを見ている。
「ひどいよお、お孫ちゃあん!!俺もいるでしょ俺も!!」
うわーんと泣きついてきたのは先程の女の子の面影がある青年だ。たしかに、顔のパーツや髪の色はそのままだが、明らかに背丈や肩幅などが男のそれで混乱する。
だってみるからに伏見先輩の身長を優に超えている。
「リリー、お孫さんに引っ付くんじゃないよ。石にしてしまうよ」
「ひーーーん、なんでメルって僕にだけあたり強いの!?」
そんな中、伏見先輩が横にこっそりきてくれる。
「さっきはごめん。今も急に連れてきちゃって………今から説明してくれるからね」
せ、先輩優しい………。
そうやって目頭を熱くさせていると、周りを取り囲んでいた兵士たちが整列を始めた。
「貴様がマリの孫か」
びり、と体に響くような声が扉向こうから聞こえる。
「全員、敬礼!!」
目隠し男がそう叫ぶと、兵たちだけでなく泣きついてきた男、伏見先輩までが敬礼する。
「お孫さん、彼があなたを呼んだんだよ」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で、泣きついてきた男が言う。
扉向こうから現れたのは、立派なツノを頭にはやし、いかにも一国の王といった赤いマントを身につけた………
私と同じくらいの少年だった。
「彼が、ガルニアの魔王、モルガン=ドラコニアスだ」
魔王???
こういうのって、勇者とかじゃないの???
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