11 / 25
2章 夜見のパーティー
10話 消える少女達
しおりを挟む
「マスター、お茶入りました」
バーの仕事にも慣れてきた頃、マスターのお茶汲みも任されるようになった。
「おい、見な。少女の消える夜会だとよ」
マスターは読んでいた新聞を僕に広げて見せた。表に大きく、「少女消失、どこに消えた?」と書かれている。ダビデとディーバに教えてもらい、そこそこ混ざりもん達が使う言葉も読めるようになった。
「消える…?とはなぜ…」
「さぁなぁ。混ざりもんや異形の女子供が消えるなんざぁ、このB区じゃ日常茶飯事だ。が、C区となっちゃ話が違うからな」
C区とはここらでは比較的に治安が良く、住人にもこのB区と違って倫理観がある。と、考えているとドアの開く音が聞こえ、風がビュウと音をたて入ってくる。
「やぁ、旦那。久しぶりだねぇ」
「トルファトーレか。なんだ、また違法商品でも売り付けにきたか」
部屋に風と入ってきたのは、狐面をつけた大柄ではあるがひょろりとした青年だった。
「おやぁ?旦那、また息子が増えたのかい?懲りないねぇ」
近づかれくんくんと臭われる。動作がとまる。
「…?なんだい、異形でも混ざりもんでもない匂いだ…。が、魔力が強いときた…」
「おっと、そのへんにしな。俺の息子に手ぇ出すんじゃねぇぞ。用件を言いな」
マスターの目がギッとキツくなる。トルファトーレと呼ばれた青年が察して僕から離れる。
「すまないねぇ、用件はそれさね」
トルファトーレは先程、マスターが読んでいた新聞を指差した。長い爪が光る。
「あぁ、この事件か。なんだお前また一枚噛んでんのか」
「人聞きが悪いねぇ。私はただ取り返してほしいのさ。私の入れ込んだ娘が失踪してね、察するにその事件なんだよ」
「なぜそう言える?」
「その事件の被害者達はみんな、夜会の最中に失踪してるんだ。あの子も、先日連れていったパーティーで消えてしまってね、ま、報酬は弾むさ。頼んだよ」
そう言って、トルファトーレはまた風と去ってしまった。嵐みたいな人だ。勝手だなと思ってポカンとしていると、マスターが口を開いた。
「そうでもないさ。あいつがあんなに焦ってんのは始めて見る。どれ、珍しいもんが見れたんだ。調べてみるか」
バーの仕事にも慣れてきた頃、マスターのお茶汲みも任されるようになった。
「おい、見な。少女の消える夜会だとよ」
マスターは読んでいた新聞を僕に広げて見せた。表に大きく、「少女消失、どこに消えた?」と書かれている。ダビデとディーバに教えてもらい、そこそこ混ざりもん達が使う言葉も読めるようになった。
「消える…?とはなぜ…」
「さぁなぁ。混ざりもんや異形の女子供が消えるなんざぁ、このB区じゃ日常茶飯事だ。が、C区となっちゃ話が違うからな」
C区とはここらでは比較的に治安が良く、住人にもこのB区と違って倫理観がある。と、考えているとドアの開く音が聞こえ、風がビュウと音をたて入ってくる。
「やぁ、旦那。久しぶりだねぇ」
「トルファトーレか。なんだ、また違法商品でも売り付けにきたか」
部屋に風と入ってきたのは、狐面をつけた大柄ではあるがひょろりとした青年だった。
「おやぁ?旦那、また息子が増えたのかい?懲りないねぇ」
近づかれくんくんと臭われる。動作がとまる。
「…?なんだい、異形でも混ざりもんでもない匂いだ…。が、魔力が強いときた…」
「おっと、そのへんにしな。俺の息子に手ぇ出すんじゃねぇぞ。用件を言いな」
マスターの目がギッとキツくなる。トルファトーレと呼ばれた青年が察して僕から離れる。
「すまないねぇ、用件はそれさね」
トルファトーレは先程、マスターが読んでいた新聞を指差した。長い爪が光る。
「あぁ、この事件か。なんだお前また一枚噛んでんのか」
「人聞きが悪いねぇ。私はただ取り返してほしいのさ。私の入れ込んだ娘が失踪してね、察するにその事件なんだよ」
「なぜそう言える?」
「その事件の被害者達はみんな、夜会の最中に失踪してるんだ。あの子も、先日連れていったパーティーで消えてしまってね、ま、報酬は弾むさ。頼んだよ」
そう言って、トルファトーレはまた風と去ってしまった。嵐みたいな人だ。勝手だなと思ってポカンとしていると、マスターが口を開いた。
「そうでもないさ。あいつがあんなに焦ってんのは始めて見る。どれ、珍しいもんが見れたんだ。調べてみるか」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる